七人の話 その2/hon
“食堂”に五人が揃っていた。
だだっ広い食堂の空間の中央からややはずれた所に、白いテーブルクロスをかけられた大きな矩形の卓が置かれている。厨房からの灯りがわずかに漏れ出して、食堂の全体を仄かに浮かび上がらせている。ひとつの電灯が食卓に向けて照らされており、その周囲はうす暗がりに包まれている。使われることのない多くの机や椅子は、食堂の壁ぎわに並べて重ねられ、うずたかく積もっていた。
仁乃と小遥がせわしなく食堂と厨房を行き来し、食事が盛りつけられたいくつもの皿が、いましも食卓に並べられている。
睦夫と奈々子は、食卓に隣りあって座り、妙にまじめな表情で互いに何かささやいている。
秀人は
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