彼女は今日もほとんど終電と言っていい時間の電車に乗った/泡沫の僕
 
飲み会帰りの赤ら顔と、自分と同じ濁った眼の青い顔が交じった陰鬱な籠。

朝より密度が低いのが、唯一の救い。
今朝はエレベーターで、どんよりした眼の男に睨まれたおかげで、最悪な気分で始まった。

嫌な気分を振り払うように、急いでドアから抜け出す。
駅前のダイエー(今もある?)が開いている。
「今日は少しマトモな食事かな」
皮肉な、それでも少し嬉しそうな笑みが漏れた。

ほとんど選択肢のない惣菜と、度数が高めのチューハイをいくつかカバンに詰めた。
爪先だけを見つめながら、彼女は家路を辿った。
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