秋の夜に/
洗貝新
満月の下をくぐらせるペダルは軽い
前屈みに夜の街を疾走して行く自転車
きみの姿を見かけなくなってからひと月が経って
日曜日の次の朝は静寂に 思いのほか言葉があふれてくるよ
窓ガラスに映る白い影
そういえば誰かがもらってきたシャム猫のジル じっと縁側の前で僕の帰りを待っていたな
涼しい夜風に煽られて いまは言葉を考えているよ
灯りを翳した満月が いときれ雲を引き連れて山に降りていく
もう秋なのか
戻る
編
削
Point
(8)