秋の夜に/洗貝新
 
 

                        満月の下をくぐらせるペダルは軽い
 前屈みに夜の街を疾走して行く自転車 
きみの姿を見かけなくなってからひと月が経って     
日曜日の次の朝は静寂に 思いのほか言葉があふれてくるよ
      窓ガラスに映る白い影       
そういえば誰かがもらってきたシャム猫のジル  じっと縁側の前で僕の帰りを待っていたな     
涼しい夜風に煽られて   いまは言葉を考えているよ      
                           
灯りを翳した満月が  いときれ雲を引き連れて山に降りていく   
  
   もう秋なのか   
  


              


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