机上/たもつ
木漏れ陽のような
小さな音を立てて
空論が机上に落ちた
静かに生む
静かに壊す
その繰り返しが
繰り返される
知ってる
ずっと昔から知ってる
誰からも
忘れられた窓がある
開けることもなく
閉めることもなく
ただ外側と内側の
境目として奥の方に
しまったまま
その薄い存在に
締めつけられそうになる
水彩画教室の帰り道
きみとした約束
守れないなんて
わかっていたのに
したかった約束
しなければならなかった約束
あの日二人は
互いの名前を
一生分呼び合った
机上に貨物船が入港する
常備薬の副作用と
僅かばかりの痛みを積んで
風に触れる
水だから
少し濡れた
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