音霊/栗栖真理亜
心地よく身を任せよう
その音霊に
楽器同士重なり合い協調し合いながら
奏でるハーモニー
まるで寄せては返す波のように心を揺らしては
夢想の世界へと連れ去ってしまう
ゆったりと時を忘れ
日常のただなかは非日常となる
柔らかく包み込む旋律にリズムに
体は浮遊しながら流れゆく
年月を経て小麦色に煤けた畳も
マーブル模様の入った木の柱も
重く伸し掛かるような土壁も
外を切り取るようなガラスの大きな窓も
現実に目に映るはずの情景はぼやけたまま
私は音霊にただ心を預ける
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