進化は止まらないことから始まる/ホロウ・シカエルボク
 

部屋の隅に転がった昨日の俺が奇妙な声を上げながら塵になって消えて行く、別に心残りなどあるわけでもなかったし生きながら化ける理由なんてものもあるはずはなかった、けれどそれが例えば俺とはまるで関係の無い何かが俺の振りをしているという風にも思えなかった、もちろん表面的な「俺はそう思う」だけでそういう現象を片付けるわけにはいかなかったし、答えが出ないなら無理に探さずにいったん泳がせておこうという結論に逃げるのが精一杯だった、それは例えば動画に収められた霊の声みたいに釈然としない落としどころだった、納得は勿論してはいなかった、でも突き詰めても辿り着けないであろう事柄について無理矢理突っ込んでみるのは愚策
[次のページ]
戻る   Point(3)