サイレントやりとり/ひだかたけし
 
愛を纏う風のチューニング
笑い続けるストロボライト
逃れる野ウサギの雪原に足跡残し

朝焼けも夕焼けも最早区別つかず
眼の前過ぎていく時の姿すら観えて
どん底迄に落ちて優しく降り出す雨

沈黙のなか初めて始まる遣り取りの
互いにエッセンス抉り出し掬い取り

忘却された記憶の彼方で
差し出す手を握り締める
やはらか確かな人の手触り

風のチューニングに身を任せ
生き抜くあいだ手と手を合わせ

生き抜く終わりに訪れる薄氷の野ウサギ 、

笑い続けるストロボライトに照らされ

沈黙のなか、瞬間の点滅張り裂け姿現す無限端末



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