藤鈴呼のおすすめリスト 2012年9月24日18時58分から2018年8月9日11時48分まで ---------------------------- [自由詩]新月欠けていく パリ 香港 アメジスト/北大路京介[2012年9月24日18時58分] 新月欠けていく パリ 香港 アメジスト ---------------------------- [自由詩]願わない/芦沢 恵[2012年9月26日1時24分] 願うよりも 探してしまうアルタイル ハクチョウはキレイに羽をみせている スター・ダストなんてダストは ないのですよ どれ一つに目を凝らしても ただ、またたくばかりで だから それがなおさら心地よく 星が私を見透かしている ことばもない 願わない ---------------------------- [自由詩]ぼくのテレパシー 2010/たま[2012年9月26日13時12分] まいにち、テレパシーをとばしている とどいたのかなぁ 今日は雨だけど ・・・ れんちゃんにとって 六月はもう、真夏とおなじだった 朝から暑くてたまらないみたい ひんやりつめたい板間の風通しのよい階段のしたが 日ながいち日 れんちゃんの指定席になる 梅雨入りしたばかりの日よう日の午后 今日は畑しごともおやすみだから窓のしたの座椅子が ぼくの指定席となる とばしても、とばしても かえってこないテレパシー こんな場合はなんていうのかなぁ やっぱし、 おんしんふつう ・・ かなぁ ふと、気になって 階段のしたの、れんちゃんにテレパシーをとばす れんちゃーん ・・・ 心のなかで三回呼んでみた れんちゃん、むっくり頭をあげてぼくをみる おおっ、つうじたかな? って、おもったら れんちゃん、めいわくそうな顔をして ねむい頭を床にもどすと とれーど・まーくのじゃあーきー腹がふうせんみたいに ふくらんで ぷいっと、ため息ついて寝てしまった あれっ ・・・ 無視されたの? なーんてかわいげのないやつなんだろ おんなも四十をこえるとねぇ ・・・ あっ、これはとどくとまずいかも 髪がのびてくると天パーはたいへん 歳とともにほそくなったアンテナがからみ合って あー、これじゃあ、とばないかもね ・・・ でも、れんちゃんにはとどいてるみたいだから だいじょうぶだとおもうけど ねぇ、ママ。れんちゃんにテレパシーがつうじたよ。 ちがうでしょ。 それはね、アイコンタクトっていうのよ。 なんだ ・・・ そっかぁ。 雨の日は耳がうるさい わあわあ、きいきい うまくとばなかったテレパシーが耳のなかで 出口をさがして 右往左往しているみたいだ とおくても近くてもぼくのテレパシーは健気に とんでいくはず はやぶさみたいにね そう、しんじていたい もし、ぼくのテレパシーが半けい五メートルしか とどかなかったら とおくはなれたひとは愛せなくなる なんだかいちばんつらいなぁって、おもう テレパシーだって道にまようことがあるのだろう 知らないまちから招待状がとどいた れんちゃん、ちょっと出かけてくるね。 おるす番たのんだよ。 東京は何年ぶりだろうか 上野から十五両編成のながい列車にのった 小金井行だった 大宮あたりをすぎると都会のにおいがきえた 田植えのおわったばかりの水田の一角に こおばしく色づいた麦畑がみえた 水無月のとなりに麦の秋が佇むうつくしい風景だった 久喜でのり換えてようやく 羽生というまちにたどりつく みわたすかぎり平らな大地に まあたらしい駅舎だけがぽつりと目立つまちだった ああ ・・・  ここならどこまでもとばせるかもしれない 南も北もわからないけれど あてずっぽうにとばしてもだめかもしれないけれど ここならきっととどくかもしれない 何年かかってもかまわない 寄る辺ない遥かな真闇の海を旅したとしても きっとかえってくる はやぶさのように 天の川に蒼白の虹をかけて もえつきた ぼくのテレパシーが あのひとを つれて ---------------------------- [伝統定型各種]琵琶湖【都々逸】/北大路京介[2012年9月29日0時36分] 大きな鬼と琵琶湖に入りブラックバスを食べ尽くす ---------------------------- [自由詩]イフ・アイ・ラヴド・ユー/芦沢 恵[2012年9月29日22時00分] もしもツバサがあったなら あなたのところへ 飛んで行けるのに もしもツバサがあったなら あなたのところへは 飛んで行かない 背中にツバサを背負った姿で 愛を語るのは滑稽だから もしもあなたを愛しているのなら 背中にツバサを背負った 滑稽な格好をしてでも 会うために飛んで行けるのです ---------------------------- [自由詩]あしたはあしたの風がふく。/じじ[2012年10月1日18時57分] ななめ45℃に体かたむけて空を見る とんびがくるくっるとんでゆく 仕事がえり 足が大根になってゆく シンドイナってつぶやいて ちかちかと電信柱に灯がともる いいこともわるいこともおきない 一日が暮れるゆく 落し物があったような こころのね いいたいことや やってあげたいことや やさしくしてあげれなかったことや 体ななめにして ちょっと 悲しくなったりする すっかり 秋めいたから ちょっとね ちっぽけ人生にみえちゃったりして しわくちゃになったスカートが くたびれてる おなかすいたから 早くかえろっと お腹いっぱいになると しあわせ気分になれるから とっぷりと 暮れ行く秋の宵。 ---------------------------- [自由詩]ホッチキスでとめただけの簡単な詩集、でもそれを君は本と呼んで/あおば[2012年11月23日10時45分]              121123 むーる あむーる  あふれる潮 かむろのじょなさん 忍び足 日高の山から見おろせば ホッチキスが狙い撃つ 怖い小父さんパセリを蒸して 優しい伯母さんセリ刻む お腹の空いた孤児たちと 乾いた風を調理した それでも君は弾けない 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)                 http://anapai.com/tanpatsu/goru/ タイトルは、4WDさん。 ---------------------------- [短歌]無題/あおば[2012年11月29日8時33分] 無理は無理無理無理無理よ無理は無理 むーりむーり嘆き むーりむーり黙る ---------------------------- [自由詩]かさぶた/涙(ルイ)[2012年12月8日9時34分] ずいぶん長いことご無沙汰しておりました その後お変わりございませんか 昨年は大量のクスリを飲んでしまい あなたや他たくさんの方々に大変なご迷惑をお掛けしてしまいました なかなかうまくこと死ねないものですね なんて ごめんなさいませね 今のはほんのブラックジョークだと受け止めてください この頃私はずっと 家族について考えています どんな家庭でも それなりに問題を抱えていること それくらいは私にだって判っているつもりですが 果たしてその家族・家庭というものに本当に幸福が存在しているのか 私にはまったく理解できないのです     働かない パチンコ三昧 食っちゃ寝食っちゃ寝     たまに仕事してきたと思えば大威張りで     すぐに腹を立てては暴力に訴える     大人にも親にもなれない 子供より始末がわるい いったいどういう育ち方をすれば あんなふうになれるものなのでしょう 何を見て聞いて感じたれば  あんないい加減な大人子供が出来上がるのでしょうか 絶対にあんな大人にはなるつもりはないしなりたくもないですが 自分もやがてはそうなってしまうのでしょうか いやもうすでにそうなってしまっているのでしょうか できることならこの躰を流れる血液まるごと全部取り出して 洗濯機でジャバジャバ洗い流してしまいたいですよ あんな人間の血がこの躰の隅のすみまで走っているなんて いずれ間違いなく つま先から腐敗していくに違いありません そんなどうしようもないクズの血が流れている私だから きっとみんな その匂いを嗅ぎ分けて 誰も寄り付こうとしないのではないか そんな考えなくていいことまで考えてしまうから ホントまったくもってやれやれといった感じです 毎日毎晩 夢とも現実ともつかない とても居心地の悪い夢ばかり見るのです 私を苦しめるあいつらが 平気で人の生活に踏み込んではめちゃくちゃにしていく いいようのない怒りが込み上げて  息をするのも苦しくなって 大声で叫んで 叫んだ声に驚いて目を醒ます その繰り返しなのです こんな話 あなたにとってはきっと とるにたらない どうでもいいことでしかないでしょうね いいえ 別に責めているのではないのです ただ 誰かに聞いてもらいたかっただけなのですから いつだって自分の気持ちはどこかへ置いてけぼりのままで 何もかもすべてあきらめてしまうことこそ処世術だと そんなふうにいつもいつも 自分に言い聞かせ続けてきましたが だけど本当はもうとっくに うすうすと感づいてもいるのです 思い出したくないのに思い出してしまうから辛いのだと ずっとそんなふうに思ってきたけれど 本当はそうじゃなくて  そんなことなんかじゃなくって そいつによって沸々と湧き上がる感情であったり 心が拠り所を失ってしまったり どこへもぶつける宛もなく 結局は自分に向けるしかないやり場のなさだったり 眠ることさえ怖くなってしまったり 思い出すことによって何度も何度も痛めつけられていたんだということ かさぶたをひっぺがえすのは己の爪ばかりじゃ決してないということ つらい記憶がフラッシュバックしてしまうのは もうしょうがないことなのです 思い出すつもりじゃなくても出てきてしまう そんなの当たり前のことだったのです たとえて云うなら 子供のころに習った掛け算の九九 繰り返し繰り返し復唱しては覚えていった 要するにあれと同じようなことなのです 経験してしまったんだもの 強く強く刻みこまれてしまったんだもの 忘れろと云われることのほうが無理な相談というものなのです 殴られた記憶が いまの私を殴りたおす 蹴り上げられた記憶が いまの私を蹴り散らす 酷い言葉が いまの私の存在を脅かす もう十分でしょ 十分苦しんだでしょ その重い足かせ そろそろ外してもいい頃よ あの頃の痛みを思い出してつらいんじゃない 記憶の刃先が切り付けるのは まぎれもなく今現在のわたし まったく何かの罰かなにかのように 自分を痛めつけることに熱中していたのです しあわせになることは罪なことだと どこかでそう 思い込もうとしていたのかもしれません しあわせになるのに 罪も罰も関係ないのにね それでも私はずっと そう思い込もうとしていました そういう思考のくせみたいなものが 最近になって ほんのちょっぴりわかってきて だからかな前よりはずっと長く 心痛まないでいられるようになりました ずっと自分が大嫌いでした 愛を求めて伸ばした手は撥ね付けられ 歩みよろうとすれば近寄るなとばかりに壁をつくられて 何をしても 何もしなくてもいつも余計者扱いで どこにも拠り所のない自分が 大嫌いでした もてあましてばかりいました 消えてなくなってしまえばいいと ずっとそう思いながら生きてきました だけど今日宣言します 私は私を引き受ける覚悟を どんな情けない自分も決して見放さない覚悟を ここに決めました、と ---------------------------- [自由詩]去りゆくものたち、生まれくるものたち/あおば[2012年12月31日15時28分]                121231 ザルで掬い取ったざらざらの砂粒を選り分けている もとより砂金など含まれているはずもない裏川の黒い砂粒も 大晦日の朝日に煌めくと黒曜石の誇りを取り戻すかのように角を尖らせた 活きの良い川風が背中をずどんとどやしつけぶるっと背筋を振るわせられるがまだ生きている証のように思えば頼もしい 僅かに混じっている白く鈍いカケラは長石かそれとも二枚貝のなれの果てかは定かでないが真っ黒な川底にも幾分の明るさを与えているようにも思えた 失われ帰郷不可能な川底にもまだ黒い砂が堆積したままだろうと思いながら 時々大袈裟に音を立てる錦鯉の放流された群れの他にもなにか生息するものか居ないかと一心に目を凝らす日常が約束させられているかのように思いながら正月飾りをスーパーマーケットで買い求める人々の当てのない希望をせせら笑う余裕の無いままにするっと年を越すだろうと考えているが、一等61組195280番、四億円の年末ジャンボ宝くじの引き替え期間は一年間なので当選者はそれを忘れないようにしてください。 タイトルは、小原 明季さん ---------------------------- [自由詩]トノサマバッタ/あおば[2013年8月27日20時39分]                    130827 早く気付くことが必要です 痛みが無くても 気にしてください もみ手をして この度も お願いしますと 誰彼構わず挨拶回り 元気がいいなぁと 羨ましくなる お殿様は鷹揚です そんなつもりでいたのですが もみ手がいつの間にか広まって 大勢の人が広場に集まってきた 時が来たのかもしれないと 期待したが 残念なことに 姿勢制御が失敗して 午後4時直前 エプシロン新型ロケットは打ち上げを延期した 絶好の打ち上げ日和なのにと 見学者達はがっかりしただろう 黒豚弁当を食べながら 点になるまで見送るんだと 口々に言い交わし もみ手をして カウントダウンに従って 見守った しかし ゼロになっても変態が始まらない 編隊を組んでどこまでも飛んでいきたかったのに 変色が始まらなかったのにカウントダウンを始めたのがいけないのだ データーの伝達が不十分で、回転異常と判定してしまったのだ 認識の相違が生じたのだ 殿様はいつも鷹揚だから 細かいことは好きに任せるから こんなことになってしまったのだ それではなんど延期されても 性格を変えていただかないと 大飛翔は無理だろう 消息通はなにやらの説明を重ね 揉み手をするのを中止する これでは益々、意気が上がらなくなり もしかすると失敗の憂き目を見るのかもしれないと 大地国の悲観論者の筆者は成功を祈り トノサマバッタと100万編唱えることに致しました 皆さまにも 少しでも変色を感じられたならば是非ご唱和下さることを伏してお願いいたします あらあらかしこ 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、fujisuzukoさん ---------------------------- [自由詩]ねぇ お母さん/葉月桜子[2013年11月3日0時58分] いつも 楽しそうだね ねぇ どうして そんなにがんばれるの? 生き生きしてるね 仕事で出会う周りの人は 私のことをそう言う なんでそんなに不安になるの? もっと自信もったらいいのに 何も心配なんてないのに 大丈夫 大丈夫 私のことよく知る人は そう言って励ましてくれる どうしてそんなに 楽しそうでいられるの? ほんわか のんきね こんなに 辛いことが自分に起きたのに お母さん 心配して夜も眠れないでいるのに  お母さんは 微笑みながらこちらを見て 少し困ったような  寂しそうな顔をしてた どんな私も 本当の私 悲しいことが起きても お腹は減るし 元気になったと思っても 急に不安は襲ってくるし ピアノを弾けば 涙も出るし 大好きな人と話せば 笑顔になるよ ねぇ お母さん でもやっぱりお母さんには 心配かけたくないから 笑顔で 楽しい話 たくさんするよ きっと全部分かってくれているよね どんな私も 本当の私 今を もう一度生きよう 心配なんて 吹き飛ばしてしまおう いつか みんなで手をつないで笑えるように いや そのうちまた きっと幸せになるから ねぇ お母さん だから何も心配 いらないの 今日も 私は ほんわかのんきに キラリと光る青い空 ただにっこり見上げた ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]★三月三日 雛のお祭企画のお知らせ。★追加の連絡事項があります。/るるりら[2014年2月26日7時57分] 和歌や短歌などについて まったく経験のない私が、節分祭と名をうち 無謀にも 五七五で ポイントなしの レスをつけさせていただこうという企画をやらせていただきました。 クレームを お茶目な節分祭は みなさまのお蔭をもち無事に終了したしました。 その節はありがとうございました。 おかげさまで、楽しい思い出となりました。 そこで 第二弾として 三月三日【雛祭】を、決行いたします。  前回、経験して感じたことは、やっている私は楽しかったのですが、 わたしが どんなふうに楽しかったかを ほかの皆様は ご存じないという事です。 いやあ、みなさんも 是非やってみてくださいませ。  したがって、第二弾では、三月三日に、ポイントなしで ほかの方の詩作品をうけておもいついたことがらを書いていただける方がいらっしゃると 嬉しいです。 ぜひ 五七五で レスを差し上げてみてください。 日頃は なんとなく読み飛ばしていたような詩も 視界に入ってくること 請け合いです。 どうぞ、お誘いあわせのうえ、ふるってご参加くださいませ。 日時 三月三日     零時の時点から、11時59分まで。 ****************************************************************** 尚、五七五による コメントなし レスポンスは  当日の三月三日より三月五日の11時59分までとします。 そのようにした理由は、三と五と七が 日本の数字は おめでたいとされているのだあ!! どうぞ、みなさま ふるってご参加ください。 ---------------------------- [自由詩]ハーモニカ/nonya[2014年6月14日11時45分] >吹いて <吸って <吸って >吹いて あたたかい息が リードをふるわせると やわらかい音符があらわれる >吹いて >吹いて <吸って >吹いて さみしい唇を 吹き口ですべらせると やさしいメロディがつながる 音符を落としながらあるいた ひとりぽっちの帰り道で メロディを懸命においかけた ごじかんめの音楽室で いつも身近にあった ひとなつっこい楽器は 記憶のきざはしの一番下で ぼんやり錆びついたまま >吹いて <吸って >吹いて <吸って 日々のリードを かすかにふるわせながら 暮しのハーモニーに かろうじてくわわりながら 想い出してくれるのを ずっと待っている ---------------------------- [自由詩]底(そこ)/佐白光[2014年8月28日0時35分] 底をみせていない 心底笑い 笑わせる 底知れない エネルギー 底なし沼か ブラックホールか 底には 真理の川が流れている 人間の底を見た時の 忘却の念 忘れている 忘れなければならない 母親の お腹の中で  一度見ている 人間の底 ---------------------------- [自由詩]25年目のおっぱい/梅昆布茶[2014年10月1日13時10分] 生きづらいな なんて時々生意気にもおもう ただそれは誰かが対処できていることに 自分なりの対処法をもたないだけだろう 経験値はできれば幅広く多く積みたいものだ 子供達以上にドラクエにはまっていた親としては それは攻略本のでていない あるいはパチモノが巷間にあふれすぎている状況で 正確なGPSを得るために 武器や防護服や 魔法のアイテムの狭間を 地下ダンジョンのように彷徨う事 出自はたぶんサブカルであろうが 「サスケ」を横目でみながら 「火の鳥」の宇宙観に憧れ 「青春残酷物語」に撃たれた 中川五郎の発禁になった 「僕と君のラブジュース」 五郎さんには 「25年目のおっぱい」 なんて曲もあるらしい 赤ん坊として生まれる基盤はえらべない でも死ぬかたちは創れる そんなための一生かもしれないと ただ生命を慈しみ 過大にも過小にも評価を外した 自分でありたいとおもう ---------------------------- [自由詩]祖母は千歳飴をなめる/白島真[2016年10月17日7時16分]                                                                                大切な人が死んだとき 勿論、ぼくは生きていたが 最近、思うようになってきた ぼくは死んでいたのではなかったかと 死んでいて 亡くなった父や母が悲しそうに ぼくを見ている そんな時間があるのではないかと このままぼくだけが歳をとれば 父や母が ぼくの子供になってもおかしくない いや、彼らはぼくの子だったのだ ブリキのおもちゃで遊ぶ父や うさぎのぬいぐるみを抱きしめる母 祖父も祖母も着飾って おいしそうに千歳飴を舐めている ぼくがみんな買ってあげたのだ 曾祖父や曾祖母にも兄弟がいたはずだが はっきりと思い出せない それは記憶や知識が曖昧なせいではなく まだその時がきていないためだ 明日、数年後、数十年後になったら きっと思い出す あるいは その事実に遭遇する 系譜はさかのぼるものでなく いまここで織りなされているものだから ぼくは毎日みずをあげ こんにちはと声をかける ---------------------------- [自由詩]/水菜[2017年2月19日22時24分] ちいさなことがらを 責める気持ちになるのは あなたが鬼だからですか……? いいえ、ちがいます あなたが素直過ぎるから まっさらな気持ちでひらたく今をみたら なにもかもがやさしくただそこにある あることをつづけるだけで済むのなら これほど喜楽なことはないでしょう 地獄をみれば あなたが今いる場所がどれほどやわらかいかをあなたは きづくでしょう 世界をやわらかく見て あなたが出来ることを続けるだけで それがどれほど喜楽かをあなたは知っているから ---------------------------- [自由詩]夾竹桃/間村長[2017年5月31日23時42分] 自転車はよけなかったが 携帯電話はよけた モーツアルトのピアノソナタは K.(ケッヒェル番号)310と330で イヤフォンで聞いて居るうちに 幼稚なところにたどり着いた 途中会計事務所が角地で 無くなって居て 廃墟と化して 土を曝して居た 行きは急いでいたので 帰りに何時もの公園を回避して 廃墟を撮影してから ヤッパリ何時もの公園は廃墟の後に 通過してから家に帰った 公園では夾竹桃が咲いて居た ---------------------------- [自由詩]恋の唄/佐白光[2017年10月5日9時51分]  見ていたい  いつでも どこでも  地球の裏でも  カーブミラーを果てしなく繋ぎあわせて  見たい 監視したい  表情 行動 行き先を  発する言葉 一言一言理解したい  嫉妬 ヤキモチ   湧き上がる感情に覆い尽くされそうで  見ていたい いつでもどこでも  心臓が奏でるメロディーに  心の歌詞で歌いたい  いつでもどこでも 見ています   ---------------------------- [自由詩]エピローグ/Lucy[2017年10月26日21時20分]   エンドロールの途中に まさかのどんでん返しが 意表を突いたハッピーエンドが そんな気がして なかなか席を立てないでいる 場末の映画館 あるいは アディッショナルタイムの カウントダウンが始まった サッカーコート 今まで出したこともない力を振り絞って 走る 走れる 踵を返して カウンター攻撃だ 逆転のシュートを今こそ 遥かなゴールに 叩きこむ ---------------------------- [短歌]ほしりんご/AB(なかほど)[2017年12月8日10時30分] いつまでも紅いほっぺたのままではいられませんが ずっと待ってる ずっと待ってるって言ったけど もうそろそろひからびちゃいます 即興ゴルコンダより ---------------------------- [自由詩]どうしよう/佐白光[2018年3月4日0時20分]  どうしよう 明日の朝  どうしよう 明日の昼  どうしよう 大切な時間  時間を無駄にしているようで生まれる嫌悪感  どうしよう  なんかしなくては  どこかに行かなくては  誰かに会わなくては 電話しなくては  どうしよう どうしよう どうしよう  答えは 一つ どうしよう  どうしよう 考える余裕があること  大切だよ     ---------------------------- [自由詩]やっぱり雨が好き/佐白光[2018年4月25日9時35分]  突然の水曜日の休日  天気予報は朝から雨  本当だったら  雨かーーー という気持ちなのかな  なのに この心の静粛はなんだろう  外出しない理由にできる  落ち着いて家でのんびり  リラックスできる  自分だけの理由だけど  雨音で目覚める朝  やっぱり雨が好き     ---------------------------- [自由詩]River Flows In You/暁い夕日[2018年4月25日14時20分] 悲しい日が続くと 通り雨を期待する 淀みを防ぐために傘をさしている だけど、まだ日はさして 道化師の様にたたずむ毎日 待ちくたびれた頃に、心を洗うように 雨が降りだす 川面に跳ね上がる雨の雫が やさしくピアノを奏でるよ 道化師の私に 川に足を踏み入れて 泣いちゃっているんだ 旋律が泣かせるよ 雨が洗うよ 流れ出る全てのもの 川に弾け落ちていくよ ごうごうと轟きながら 川は溢れ出す 悲しみを込めて 雨を滲ませて 涙を含んで… やがて君の中に流れていくよ 受け止めてほしい 私が道化師にならないように ---------------------------- [自由詩]さよなら/まみ[2018年6月30日4時10分] あなたは僕を待っていた白いシーツの上で 電話も出来ず声も出ず 赤子の声を嫌い痛みを敵のようにしていたあなたが ただ僕を待ちながら天井を見つめる檻の中で闘っていた あなたが望んだ最後の望みは僕と会うほんの砂のような時間 そしたらさよなら 毎日のように触れていた命を失う時 あなたのようになれなかった僕を じっとあなたは待っていた きっと想った願いは流れる星屑のようにあったろう 僕が行く前の日まで何の助けもさせず プライドが杖で引きずるように彼を歩かせた そして器用だった指で彼女にありがとうとくっきり書いた 僕を見たあなたは自分の人生の中に 混沌とした痛み止めの幻覚と渦の中に そしたらさよなら あなたは僕に話しかけた声なき声で そしたらさよなら 僕が生まれて覚えたあなたは去っていった 叱ったのも褒めたのも 励ましたのも慰めたのも 憎んだのも愛したのも 僕の全てが去るまであなたは終わることができない そしたらさよなら 僕が僕に言うまで そしたらさよならってね ---------------------------- [自由詩]我慢/佐白光[2018年8月9日11時48分]  我慢してきた  あなたの為に  辛抱してきた  会社の為に  我慢して辛抱したのは  自分の為だと分かった時  我慢していると思うことも  辛抱していると思うことも  なくなりました   ---------------------------- (ファイルの終わり)