吉岡ペペロのおすすめリスト 2018年2月2日7時05分から2018年10月27日21時32分まで ---------------------------- [自由詩]光/1486 106[2018年2月2日7時05分] 小さな掌に触れた あどけない貴方がくれた笑顔が あまりにも可愛らしすぎたから 温かい気持ちで満たされてた 貴方が生まれてきたそれだけで世界が かけがえのないものに変わったんだ 夏の風が吹いた七月の晴れた日 目の前に現れた小さな光 振り返れば後悔ばかり それでも俺はまた剣を手に 険しくも長い道を往こう 貴方がそれを望むならば いつでも全力で生きている貴方が どこまでも真っ直ぐ歩いていけるように 遮るものがあれば命を懸けたっていい そう思える人は他にはいない これからもずっと傍でこの身体が果てるまで 必ず守り抜くそれが俺の誓い 貴方が選んできたこれまでの全てが 間違いじゃなかったと信じられるように 道に迷う時は同じように悩み 共に目指す物は果てない未来 貴方が生きているそれだけで世界は こんなにも眩しく輝きを放って 大事な物が何か俺に教えてくれる 何度だって言おう 貴方は俺の光 俺が貴方の光 ---------------------------- [自由詩]明けない夜/1486 106[2018年2月2日18時30分] 凍えるような夜の空気に包まれていたかった 満月はそれでも道を照らそうとするから 僕はまた歩き出そうとしてしまうだろう 本当の気持ちと向き合うこともなく ただ何も決まらないまま考えていたいだけ 明けない夜の帳の中で 賑やかな午後の空気は好きになれない 太陽は嫌でも町を照らそうとするから 全ては光が当たっているだけで 何一つとして輝いていないんだ ただ何も決められないままじっとしていたいだけ 明けない夜の静寂の中で 全ては闇から始まったはずなのに 光こそが正しいとどうして言えるの ---------------------------- [自由詩]夕闇/1486 106[2018年2月3日0時54分] 歩き煙草に咳き込んだ 不機嫌そうな顔こちらを見る 目を逸らした自分が間違っているのか 転んだ痛みに呟いた それはただの独り言 差し伸べてくれる手を伸ばす 期待はいつも裏切られる 夕日が眩しく輝いて 君の顔が見えなくなる 老いぼれ犬の影は伸びていく 老いぼれ犬の影は消えていく 老いぼれ犬の影は見えなくなる 誰もいない公園を横切る 子ども達の声は聞こえない 揺らめく街灯音も無く 乾いた風が枯葉を揺らして 音も無く 知らない町に迷い込んだ気分 ---------------------------- [自由詩]いいね!/1486 106[2018年2月3日11時10分] 簡単に呟けるくらいがいい 指先一つで誰でも気軽に 考え過ぎないくらいがいい 直接話すのと同じ感覚で 盛ってしまうくらいがいい 大袈裟な方が盛り上がれる 責任を取るのは自分なんだし 好きにやったっていいじゃない 真面目に語るのもたまにはいい 茶化されるのもまた一興 写真を載せるのもたまにはいい 少しだけ身近に感じられるし 心無い返答もたまにはいい 頭を冷やすきっかけになる 放ったものは消せないけれど 言葉も文字も同じことだから 好きなように解釈すればいい 感じ方は人それぞれだから 直接コメントをくれればいい 貴方を身近に感じられるし 拡散してくれるなら更にいい 貴方にが感してくれたなら いいね!ボタンをクリック ---------------------------- [自由詩]メーデー/1486 106[2018年2月3日19時39分] 冷たい風が窓を叩く ため息は白く浮かぶ 毛布に包まったまま 凍える身体を温める 外はスノードームの世界 直にこの家を覆い尽くす 少しだけ眠くなってきた あとは只身を委ねるのみ 脳裏に浮かぶシルエット 名前も思い出せないけど 最後に一目会いたかった 氷のなみだが床に落ちた ノックの音が響いた いつの間に雪は止み 毛布を剥いだその人 凍える身体を温める ---------------------------- [自由詩]彷徨/もとこ[2018年2月4日17時32分] アタシは夏が嫌いだった 生まれた朝を思い出すから アタシは冬が嫌いだった 自死する夜が思い浮かぶから 長い闇から解放されて 自由を謳歌している声が アタシの脳を撹拌するから 彼らを不当に弾圧したい 誰かの不幸は誰かの幸福 当たり前の法則はとても残酷 勝者と敗者は水と油だから 薄い皮膜は永遠に破れない もうひとつの恋を探して 無垢な娼婦が荒野をめざす 力尽きた神の代わりに 老いた赤子が産み落とされる アタシはコンパスだけを頼りに 白夜の通学路を彷徨っている 真理を知っている誰かさんは 肉親の薄情さで沈黙している お願いだから電話を切って 停戦よりは簡単でしょう? 世界の終わりは窓の向こうで アタシの帰りを待ちわびている ---------------------------- [自由詩]フラワー・オブ・ロマンス/もとこ[2018年2月4日17時36分] アタシに初めて薔薇が咲いたのは 十二歳の冬の日だった ひとつ、ふたつとこぼれ落ちる 目が痛くなるような赤い薔薇 そのことをママに告げると 彼女は「やあねぇ」と眉をひそめた それは悪い魔女の呪文のように アタシの中に苦痛を刻んだ それから薔薇が咲くたびに アタシは棘の痛みに苦しんだ 図書室の本には薔薇の花が 気高く尊いと書いてあったのに アタシを産んだママも アタシを抱く男たちも 誰も薔薇を喜ばない かわいそうな薔薇 役立たずの薔薇 薔薇はアタシ 無意味なアタシ だからアタシは薔薇を憎んだ アタシの薔薇を否定する すべての人たちも憎んだ そして今この瞬間から 薔薇を無意味にすると決めたのだ アタシの中にもきっとあるはずの 薔薇を愛せない遺伝子を アタシの代で終わりにするために  アタシが罰当たりだと言うなら  誰か薔薇を祝福してよ  舌打ちしたり  溜め息をついたりせずに  アタシの薔薇を祝福してよ 赤い花びらが散らばる花園で アタシは叫び続けるけど 答える者などいやしない だって薔薇が咲いている間は 誰も花園を訪れないもの この孤独こそ復讐の承認 許しておくれアタシの薔薇 いつか花園に終わりの時が来て アタシの薔薇が咲かなくなったら 水分を失って変色した 薔薇の屍たちに埋もれて アタシは静かに眠り続けるのだ もはや永遠に訪れることのない 優しい王子様の夢を見ながら ---------------------------- [自由詩]はしっこのの村(改)/AB(なかほど)[2018年9月27日20時21分] うつつわさはのくにのくにぶり わさえ いりのはのいり ぬさえ のまた のさのさ げんせんじょうどん いでんのあがりの よこさ のさのさ わささち どさけさ どさけさ おおお っ けえええい ぬささち ぬささちど のさのさ いでんのあがりの ぬささちん ---------------------- 現世風俗我端之国 私の家は 西の端の入口 あなたの家は そのまたもっともっと 現世浄土の エデンの東の 隣のもっともっと 私の幸なんか どうでもこうでも どうでもこうでも OK あなたの幸 あなたの幸こそ もっともっと エデンの東の あなたの幸へ fromAB  ---------------------------- [俳句]秋日/ひだかたけし[2018年9月28日17時45分] うっとりと金木犀の秋日かな 込み上げる郷愁の念空高し 群れをなす曼珠沙華と青空と ---------------------------- [自由詩]ダイアリー/そらの珊瑚[2018年10月5日15時03分]  とある街で 金木犀が香る だけど金木犀はみあたらない 探しているうち 何年経ったろう すっかり風向きは変わってしまった 行きついた先で 仕舞い忘れられた 軒先の風鈴が鳴った  再会 海がこんなに満ちているのに 潮の香はしない 途方もなく遠い場所から 旅しているうちに 海は透明な雨になった  寝坊 目覚ましタイマーの音を 青いカナリアに変えたせい 棺桶の寝心地はとても悪かったけれど  雨上がり 少しだけ窓を開けておく 乳房から孵化したわたしの蝶が 旅立つにはちょうどいい温度  風待ち 昨日と違う今日にするために スカートをはく  乱数表 いってらっしゃいと わたしたちは毎朝別れ ただいまと毎夜再会する 迷子にならなければ 或いは 死ななければ  夏供養 ひまわりは枯れて 彼女が背をむけた場所に 黒々とした影が生きている    ハッピーバースディ 娘が十九歳になり 私は 母になって十九歳になった ともに未成年 蕁麻疹の原因は不明 ---------------------------- [自由詩]ショッピングセンターにて/梅昆布茶[2018年10月8日10時42分] 月曜日は買い物日和だ 砂漠の中のショッピングセンターへゆこう 遠くの部族が集まる日曜日よりはましだから きみの前髪を上手にきってくれる人をさがそう くだらない思想でこころを壊さないように ついでの買い物が時系列を並べ替えてしまわないように たいせつな宝物をさがそう 自動販売機で缶入りのおでんとオイルサーディンを買おう そしてゲームセンターでちょっぴり魂を売ろう 好きだと言う前にたいてい想い人はいなくなってしまうから きみといっしょにフードコートで銀だこをたべようとおもう 夕方になったら帰りの靴をさがそう 闇にのみこまれないようなかるい靴を そしてどこからもダウンロードできない夜想曲を ふたたびさがしに行こうかともおもっているのだ ---------------------------- [自由詩]ホワイトタイガー/鵜飼千代子[2018年10月9日17時35分] 好きすぎて噛んじゃったのかな? 鹿児島市平川町 平川動物公園のホワイトタイガー お兄さん死んじゃったよ 死んじゃうとね、もう遊べないの ホワイトタイガーのリクくんは殺処分されないのね ねえ リク 明日からお兄さん居ないんだからね だから、噛んじゃダメだったんですって リクは生きていくけど お兄さんが居ない生涯は生殺しかな? だから、噛んじゃダメだったんですって お兄さんと遊べなくなって 一番悲しいのは リクだよね ねえリク、 お兄さんの分まで生きて お兄さん、お空でリクと 沢山遊んでいるよ お空に行くまで ちょっと待っていてねだね うろこアンソロジー2018所収 ---------------------------- [自由詩]秋の傷あと/橘あまね[2018年10月12日22時29分] 血 死 傷 痛み 沁みこんで 真夜中に叫ぶ 狂おしい祈りの雨音 実 火 時 苦味 留まって 飛びたてない鳥 古ぼけた日めくりの呪い 血 死 傷 痛み 流れれば 永遠の眠り 消えていく足音を奏で 実 火 時 苦味 届かない 温かな記憶 指先に遺るひとかけら ---------------------------- [自由詩]失望した/間村長[2018年10月15日9時42分] 座(すわ)ろうとすると 私の椅子に浣腸の指が 置かれて居て座(すわ)りづらかった しまった旧石器人に浣腸された 新人のクロマニヨン人である私は 普段から旧石器人である 旧人のネアンデルタール人を見下して居たのだ 先生に相談すると そんなもん躱(かわ)せよと冷たい 君は新人で、クロマニヨン人で 君の名は「まむら・ちょう」とか言ったねと先生。 「そうなのですが、わざと区切り方を間違えて 間(あいだ)村長(そんちょう)あるいは 芸能人にちなんで間(はざま)村長(そんちょう)などと 呼ばれたり言われたりしているそうなのですが」 「ふうむ、そんなのフィリピン、デコピン、リイ先生だ」 と、けむに巻く先生に私は失望した ---------------------------- [短歌]努力/夏川ゆう[2018年10月16日4時57分] 何もかも輝いて見える日常の幸せばかり舞い込む魔法 山の上の畑まで一時間かかる毎日だから体力もつく 想像と違うイベント目の前に陽差しが照らす努力の数々 梅雨明けを待てば待つほど遠退いて行くように降る激しさ増す雨 ---------------------------- [自由詩]/印あかり[2018年10月18日23時06分] 磨いても磨いても光らない いったい いつ輝いていたのか 目にいたいほど 肌をえぐるように 光をうばうほど 輝いていたのかしら ああ ---------------------------- [自由詩]東の国の眠らない夜/るるりら[2018年10月21日21時25分] ひんがしのくにのね 群らない夜は だれもか大勢の中で たったひとり 回遊魚のように 周回する深夜バス 満員なのに みんな たったひとりきり だれもが どろりととけた目をして 混雑した車内の中で ひとりきり ねてもさめても 大勢のひとがいて いつまでも眠らない夜を走るバスは ふたつのライトを真っ赤にして 海の底をおよいでいるのに誰もきがつかず 朝をめざしてはいるけれど だれもが時間を捨てました ****** 即興ゴルコンダ(仮)参加作品です。題名は、社町迅さんです。 http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5933773#12638548 ---------------------------- [自由詩]委ねられたバイオリン/朝焼彩茜色[2018年10月21日21時34分] ふわっと骨が溶けた 蒸発する 瞬間みたいな音がした 弦だ 何を語り何で存在するのか愛さないと獲れない 司り 小僧の奏でられるキザな姿 美少年の枠の先端に陰りを静けさ満ちて放つ その化身 宿りが見えるしかりと 震えが情熱に灯す圧巻の週始末 金輪際までもベールで届くような清々しい褐色の様 精神の腹に心地良い安定感を結んで去り響く 約束を置いてゆく 私は耳を傾けて鋭く集中せざるを得ない 弦だ 化身の心意気 ---------------------------- [自由詩]預けるまで/ナンモナイデス[2018年10月24日12時55分] 誰も寝ていない寝台の上に まだ戒名の付いてない 母の骨箱を座らせる ダウンロードしておいた 浪曲を流す 追い追いと涙が溢れる ---------------------------- [自由詩]道化師/あおいみつる[2018年10月26日17時41分] おくびょうなこころ ふるえる ふるえる いたみとかなしみ つくろえない とりつくろえば 道化師のようで なぜかかなしい わたしの居場所はない おそろしくて はずかしくて 逃げ出したい こころの傷は癒えない だから 皆に 見すかされて はだかにされて みせものにされる 人間として生きられない そういう痛みもあるものだ ---------------------------- [短歌]花/水宮うみ[2018年10月26日19時31分] 夢を見るあなたもわたしも歩く人 色彩のない花畑をゆく 思い出は消えていくからまたいつかふたりっきりで花を見ようよ ---------------------------- [自由詩]フリーダム/あおいみつる[2018年10月26日22時21分] こころの雲は晴れ 星が瞬く 世界が回り始め すべてが光りだす ただ ただ シンプルに かろやかに ブーツには羽が ダンス ダンス ダンシング 素顔のまま 優しい笑みを ひかる ひかる まるでパラダイス 君はマーメード スパーク スパーク このまま 夜が明けるまで 楽しもう ---------------------------- [自由詩]どこかのレクイエム/ヒヤシンス[2018年10月27日5時03分]  鏡に映る自分の立ち姿にあなたの面影を重ねる。  こんな秋の夜長には。    家中の時計が鳴り響く。  おまえは時を刻んでいればよいものを。  ポーの描いた大鴉か、リヒテルの奏でるラフマニノフか。  夜更けをほんのり過ぎた頃、私の頭は混乱する。  暗い暗号を解くカギはどこだ?  鏡に向かって白々しく笑って見せる。  あなたの面影が私を喰らおうとする。  見世物ではないのだ。笑え。  大きくて長い釘を私の心臓に打ち付けているもの。  私は生きた。あなたよりも永く。  鳥たちの声はもはや聴こえない。  物語も歌えない。    このまま夜が明けなければよい。  幸福は朝を描くが、不幸は朝を塗りつぶす。  聖歌隊の歌が聴こえる。  沈黙の中に祈りが見える。  涙は枯れたが、悲しくはない。  私の心臓には影がある。   ---------------------------- [自由詩]ギャンブルカメラ/イオン[2018年10月27日10時39分] いい写真を撮るのではなく いい写真を探す時代なのだ フィルムカメラの時代は 一枚を写すのに時間と知恵をかけて 自分の芸術を探していた デジタルカメラの時代は 大量に写して選ぶのに時間をかけて 偶然の芸術を探している ボクは写真が 宝くじみたいなギャンブルに なってしまったと嘆くと キミはウォークマンで 音楽が体の一部になったように スマートフォンで 写真も体の一部になったと微笑む ボクはシャッターチャンスが 稀なものから選ぶものになって悲しいと言うと キミはシャッターチャンスが 人のものから自分のものになって嬉しいと スマートフォンでボクの横顔を写した ---------------------------- [自由詩]帰依/ひだかたけし[2018年10月27日21時32分] 白壁に囲まれた部屋に ゴオォと響き続ける音、 独り存ることの恐怖を 予感のうちに告知する 混沌蠢く夜闇の奥、 次第に姿を現し 魂に帰依することを 唯一の寄す処として 私は静かに目を瞑る ---------------------------- (ファイルの終わり)