藤鈴呼 2018年11月1日4時31分から2019年4月19日20時37分まで ---------------------------- [自由詩]夕陽好きの人は/藤鈴呼[2018年11月1日4時31分] 傾く木 進む人 立ち止まる影 揺れる夕陽 これから必ず来る 闇を知ってのことでしょうか 美しいと 感動するだけではなく 想像するのは 夜の帳だから 貴重な時間を しっくりと 貴方と過ごす ただ それだけのために 車を飛ばして やって来ました 何度目の夕暮れなのかは知らない 起点は何処にあるのか 地球が始まってから? 宇宙が生まれてから? 杓子定規にしか測れぬ良し悪し事 行儀よく耳を欹てる 四方山話 そよそよと吹く 風の向こうに 広がる海が 貴方にも 観えた ことでしょうか ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]横向きテトリス/藤鈴呼[2018年11月7日19時25分] 夜半からの雨が 霙交じりの雪に変わった とは 勘違いだった様だ どうやら霰らしい 霞がかった空の向こう側に 淡く光る山並みも 今日こそ凍えている 震えるならば 今この瞬間であれ、と 軽く 舌打ちを 繰り返す ワイパーが殴る 一粒一粒が 可愛らしいなどと 何て戯言 まあ戯け者よ! 道化師なのよ! ザマス口調で文句ばかりを繰り返す 時代錯誤の女性の姿と スカーフから零れ落ちる 甘ったるい香り ジーザス あれは 遥かなる未知の灯り 憶えているのであれば 幼き昼下がりの公園で 刺されただろう 蜂の針に ポプリのような香しさに乾杯 柑橘系と薔薇の違いは  良く識っている筈だった 花粉症になった記憶はないが 鼻が効かないのが 唯一の課題だろう くるり 動かしても リロードしない 鏤めたばかりの文字が 蝶の羽根の如く彩る白い画面は 憂鬱さと夕焼けの影に隠れて  又 雪粒を生み出した 御覧 ひっきりなしに右側に寄せる ゴムの隙間で スクラブのように寄り添う霰たちを 透明なフロントガラスの向こう側 それが 歯磨き粉の コマーシャル撮影会場だったかな? 含み笑いを繰り返しながら シグナル明けを待つ 飽きもせずに眺める 横向きテトリス ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]モルグ/藤鈴呼[2018年11月8日23時48分] 階段を駆け上がる音 せわしなく語り尽くす亡者たち 今 ここに 灰汁だらけの挑戦状が 叩きつけられて 扉に飛び散る液体が ワイン色の微笑を称えた瞬間 零れ出す 笑顔の中に埋まる白い歯 其れは何時かの象印 猿が落とした 鉄製の轡 握る度に ひんやりとした恐怖が滲み始める 今日び 安全な寝床などないと  知っているかのような 戯言 空色のランドマーク 誰よりも清々しいと 綻んで繋ぐ糸に紛れて 蟻んこが行進する あの穴の奥に隠れたら どんなに頑丈な岩垣をも 打ち砕いてしまう 綺麗なサルビアが咲いていたったって 垣根から飛び出す病的な色合いの細い爪が 手招きをしているようで ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]オレンジの雫/藤鈴呼[2018年11月12日21時54分] 宵闇に揺れる 高速道の灯りよりも 大好きな瞬間が訪れた 巨大なビルディング 斜め上から見やるには 小さな蟻の巣にも似た鐘状 ダイヤモンドよりも 美しい煌めきを問いなさい 空白を埋めるのは 貴方と 過ぎし夕の溜息 京風おもねく空の僻地で揺れる 移動する日暮れの太陽 人が其れを 夕闇と呼ぶ迄には 未だ間が在りて 聴こえるのは 鴉の羽ばたき 突っつき合って 楽しそうな 逃避行 何処へ還るものか 誰も知らない どんなにか美しい宝石よりも 麗しい太陽の滴が 今 ぽたり、と 落つる ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]深海魚/藤鈴呼[2018年11月13日17時54分] 縁為しのシンメトリーを泳ぐ 底無し沼よりは ちょっと浄化された海 魂の隙間から そっと漏れる光を 待ち望んでいるかの様な 青 それは 儚い 少しばかりの四方山話に耳を傾けて 鱗の角度を探す 探知機は沖合に流してしまった オール5の通知表など意味を生さない 風呂桶に残された空間は僅かな 幾何学模様を移しく描き始めた すうっと伸びた耳の領域 今 弾むようなボール音が響いた 聴こえた? 蓋が選んだマトリックスに切り取られてしまえば 毛の一本一本まで縮れてしまいそうで 心と共に錠か表を選ばないと 今すぐに運ばないと 崩されてしまう 運命の積み木みたい ふっと意識が遠のく瞬間に きっと君は云うのだろう 死ぬ貯めの台詞なの? それとも 否 声をデカダンスにして告げる 生きる溜めのダンスだ 鱗の模様と固さが鈍色に輝けば 世界が瞬き始める けれど 知っている 宇宙の中の 一粒の滴 今 流れ落ちた ひとしずくは 二度と 還らぬことも ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]掌に乗るもの/藤鈴呼[2018年11月16日9時23分] たわごとばかり くりかえす いいえ ざれごと などと いう 癒えぬ傷なら 云えぬもの 家なき家鴨が繰り返す水音 水面に跳ね返る自らの表情 視力が良くないから 確りとは見えない その位が丁度良いのだと 何処からか慰めの言葉が降り注ぐ 空を 仰ぎ見るなんて 芸当は出来ぬ炎天下 抱えた玉の汗ごと スッカラカンに乾く陽に あざ笑われて 終わりそうな  今日のピーカン あなたを てのひらのうえで ころがすよりも ころころ ころころ たのしく 舞い踊っていた方が いっそ 倖せと言うものよ しあわせの角度など 誰しも違うと知っていてね それでも まだまだ 呟くの ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ゴールド/藤鈴呼[2018年11月23日10時40分] 金に汚かった訳でも 訳知り顔で  妙に細かかった訳でも 分け入れぬ領域を 自ら指示さぬ和気でもなかった あなたなら この色を 選びそうな 気がして 一目惚れ プシュッ 栓抜きの音とともに 跳ね上がる泡が そろそろ似合う季節 あなたが纏う雪は もう溶けて 二度とは 降り積もらない あなたの上には もう 跳ね上がる鱗の柄さえも 見えないのだ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]47個の指輪/藤鈴呼[2018年11月24日16時00分] ユビワ 指ぬき 閂 あなたの目の前に 三つを指し示す女神が現れたら きっとあなたは 真っ先に アレを選ぶでしょう 金色の瓶 虹色の夢 叶わないと 知っていて それでも唱える歌が 不協和音を 奏でようとも 音が続くから ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]指/藤鈴呼[2018年11月25日11時03分] 綺麗に見える 角度を探す 細くもない 補足すべき事項も 中々見つからぬ我が指は 案外と 働き者 丸三日間 自らの肩を抱いていたから 疲れが出たのだろう 嫌気が差したのだろう 誰かは問う そんなに動かすと ねえ又 動かなく なりますよ、と それなら それで いいじゃないか 髪を 振り乱して 叫ぶ 途切れぬ声ばかりは 大きく響く室内で 真四角じゃあないから いけない 反響するように 作られているんだ 彩られた 半狂乱のリズム 不確かな鼓動 孤独を抱え たった一人で立ち向かう 何処に? 誰と? ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]じゃ/藤鈴呼[2018年11月29日8時41分] 我が麗しの相棒 コードネームはP-01G ガラケー族街道爆心中 脱線は許されない ダジャレは御洒落 オサレは最高のアイテム 光る宝石をゲットしたら 天国と会話できるのだ そんな話を小耳に挟んだ 隣の鴉が 噂していたよ 蛇腹だかJAXAだか分からないけれど これで手放し運転が 可能なんだってサ ザッツ・ライト 大きな弾電球が途切れる前に 真っ先に唸ってみてよ 苦しみも 哀しみも 等間隔で 電波に乗るよ ノイズは 君次第 Jabraぶらぶらヘリコプター ブーンブーンと旋回してさ このまま何処に飛ばされるのか 竜神様は旅行中 この夏最高の湯加減だから 湯あたりしちゃうかも ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]紫のカリフラワー/藤鈴呼[2018年12月1日8時56分] 薔薇を手向けるのが好きだった 貴方の代わりに 一輪挿しを生めるなら 目の前で儚げに咲くラベンダーよりも ふわふわの雲をヒトサシ 唇が切れぬ程の柔らかさでもって 棘など まるで 知らなかったかのような 角度で 微笑んであげる 手を伸ばしてあげる 両手を空に向けて 唇を仰いだ団扇から外したら 顎が外れるくらいに 笑えるかしら 粒揃いの光たちが行き過ぎる 何かを引き摺る音 夕暮れのトキメキから解き放された朱鷺が 頬まで朱く染めるならば こんな瞬間 真っ青な蒼も空も海も忘れて 真っ赤な唇だけを求めて泳ぐのね ふよふよと頼りなさげな鱗を 360度 逆回転させながら 世界一の断末魔の叫びよりは美しい声を 少しくねらせて スカートが ふわり跳ね上がるよりは 強かなカーテンが揺れる これね 遮光なの だから 大丈夫 どんなに 車高のある箱乗り横向き笑顔からでも 見えない角度だから 西日が差す 青と赤の共演 途切れることのない ふわふわの 紫模様 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]極めろ/藤鈴呼[2018年12月5日10時57分] あっさり心地で 腹もちも良く 後腐れなく するする食べられる 絶品食材 豆腐 アンタが主役になったこと 今迄 何回 あったかな 数え切れないくらい キリがないような気もするし 数える必要なんて ないくらい 蔑ろだった気もそぞろ ぞろ歩く ぞろぞろ引き攣れる  人数だけは多い捻挫気味の足首から 汁が滴る 味噌味が 一番だよ スーパーの一番手前に並んでた みそパンの味が  気に成って仕方ないんだ 今度買おう 今度買おうと 呪文のように唱えながら 終ぞ その時が来ずして 人生を終えてしまった なんて 嘆くことが ないように 今度 見つけたら 必ず籠に入れようかなって まだ ちょっと 迷っているんだ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]スッキリタペストリー/藤鈴呼[2018年12月6日10時31分] 茨の道は傷むのよと誰かが啼いたら 何だ、これは 唯の タペストリーじゃないかと 笑いながら 肩を叩ける相手が良いですね 相棒は 愛嬌がある方が 良いんだし 合いの手を入れられる位の相槌があれば 少々くらい 喉が掠れていたって 喋り続けることが 可能だと 信じたいから ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]オタマ/藤鈴呼[2018年12月11日8時55分] コミュニケイションとカンバセイションと コミュニティーとシチュエイションと シチューに入れる具を間違えなければ オタマが凶器に代わる事など きっと ないんだと 思うの ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]空瓢箪/藤鈴呼[2018年12月12日9時46分] 浮かび上がる文様の中に 私だけの世界を探す 仕草の向こうに 溜息のこちら側から しっとりとした音が流れて 重たくなる 湿り気はキライという帰来 描き出される影 そう 一瞬 二準目からは お決まりの台詞 何か 見たことのある 効いたことのある お喋りを 只管に 繰り返して ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]生ラムジンギスカン/藤鈴呼[2018年12月14日10時07分] 浮き上がる 黒い鉄板 その上に ラムちゃん 緑と黄色と黒がトレードマーク そんな彼女だったならば この鉄板から 逃げられたかな 焦がれるような想いも忘れて ジリジリと 時だけが過ぎて もたれるのは貴方の肩? それとも胃袋 袋の中に収めるのが 笑いだけならば 良かった それは偽りの世界 そんなことは 知っていると 物知り顔のジイを蹴飛ばして 宝玉のついた杖を 奪うのだ 厳しいだけでは 人はついては来ませんと 連なる人影も見えぬのに そっと呟く 甘いだけでは 人には からかわれますと 眉毛と碇型で 全てを消し去ったヒト 今 やわらかな贅肉を癒すのは 甘い玉ねぎ 炒めたら 甘さが増すから 生のままでは 食べないでネ あなたの大事な胃袋が 痛いと 泣いて しまいますヨ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]モエレ花火?/藤鈴呼[2018年12月15日19時18分] ドーン ドーン 夜空に響く音が 心の内を 打ち砕く 哀しみや 怒りばかりを 払拭して くれますように ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]おなべのなかで/藤鈴呼[2018年12月16日12時50分] お鍋の中で グツグツ・ぐつつ あなたと わたし 仲良く煮込む 同じ味のスープならば 飲み干してしまうのに 苦労は イラナイ 違う味に なってしまえば 舌先が ピリリとするから 赤と青 いつまでも 交わる色で 寄り添って いてね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]白鬱/藤鈴呼[2018年12月19日8時42分] 小さな羽虫が 転がり込んで来た 此処は お主の住処ではないぞよ 仙人の声も届かない程の爆音が 毎夜 繰り広げられる街 静かにスターターを切り レシピも驚くほどのスピードで シグナルなど見えぬ姿で飛んで行く 童の耳栓が 高級な事だけを信じて 大丈夫 照り返しはキツイけれど 何れ 夕暮れが 包んで繰れる、と あやふやな 願いばかりが  空の 彼方で ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ラクシュミー・ラグジュアリー/藤鈴呼[2018年12月22日11時31分] 見えぬ文様を 魅せる模様に描き上げる その筆力も 必要不可欠 パレットが灰色なのと嘆きながら もうタオルケットは干してしまった 洗ってあるから 時間が必要なの パリリ 乾くまでの 僅かな時間が タイム パセリ あとは何? 知っている名前をちりばめても 同じ色は作られぬ 山や野や葉や扇風機 風の味わいも 一つ一つが 違うからね どれでも同じがイヤだった 首を振り子のようにして 時計の柱にもたれながらも 歩いていたの ヘリコプターの轟音 乗ってみれば爽快 おや そうかい? なんて 笑いながら 言ってみたいよ 行ってみたいよ 空の国 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]摘む源/藤鈴呼[2019年1月4日9時12分] 前にねぇ 岩手にいた時に 思い付いたんだよねぇ 歌を歌えないんじゃない うんたらかんたら この うんたらかんたら を すっかり忘れてしまったから つむげんことなっちまっただ 作った時には これ最高! そして忘れる それが常 つむげん 摘む源 旋風 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]振り髪/藤鈴呼[2019年1月16日23時31分] 役に立てないなんて言わないで 随分と救われた 一つの物事しか見えない 不器用な性格だったかと 振り返る時には もう その風は 通り過ぎていてね 振り返る髪の毛を 強風が攫って たったの一本だけだったって 眼に入ったら 痛いんだから ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]若い女性/藤鈴呼[2019年1月19日13時31分] 空の色合いが好きで  最近は 眺める度に  デジ・カメ子ちゃんを手に ウロウロ・ウロロ うん、でも いかんせん 夜空は いけんね 真っ暗になってしまって 肉眼の美しさを  再認識して しまったの 好きな人の声だけを 抽出できる耳と きっと 同じ 角度で ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ウイルス撃退!/藤鈴呼[2019年1月24日9時01分] 想像力をもらって  一つ ザレザレ 吉兆ではなく  吉祥なのね  一つ メモメモ 勉強中 サメサメも サメザメも  海の中だけ デレデレは しないから 鼻の下 伸ばしたって  こぼれないくらいに ウイルス撃退!  そんな気分で ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]薄紫の花に惚れ/藤鈴呼[2019年1月26日7時13分] それでも花は咲く  そして 見とれる私が居るのだ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]しゃくなげ/藤鈴呼[2019年1月31日11時59分] 花は 遠くで眺める方が 愛おしいか  されど 芳しきを 感じなければ 意味もなし なんて 呟きながら 眺める 夕暮れに  尚一層 美しく 咲き乱れるのでしょうね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]もうひとウネリ/藤鈴呼[2019年2月28日0時22分] 不謹慎な程にウネル波型が美しい トルネード・ポテト 和食が似合うのだから 「じゃがいも」と呼びなさい と 説教をしている声が 油塗れのプチプチ音とともに 絡まり合う夕刻の雰囲気は 憂鬱な湿気に包まれて 酷く臭うけれど 止められない常習性をも 醸し出して行く こんなに甘いメロンを食べてしまえば  もう 普通のメロンを食べられなくなってしまいそうだ 倖か不幸か 誕生日に合わせて食べた 初メロンの産地は夕張 貼って行くのはマスキング・テープと 相場が決まっていた筈の 四角いパレットに 桃色の画用紙を垂らしこんで  ヨダレの出る角度で ミシミシと揺れたのは 足元の畦道を必死で踏みしめる 麻の履物 何時か踏みしだいた畳の匂いが  ふんわりと過る 脳裏の奥からはみ出した波が  もうひとウネリ 道は続く うねうねと  どこまでかは 続くのだ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]信ずればこそ/藤鈴呼[2019年3月2日11時06分] 空飛ぶ絨毯よりは  道路を走る列車の方が 現実的なのだろうか  それとも リニアモーターカーのように  路面と足元の間を 空気の層が埋めるのが 快感になる時代が  もう 当たり前に やって来るのだろうか、 未来は無限の痛快に包まれていると 信ずればこそ、 先ずは 到達せねば なりますまい ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]夏のマヤカシ/藤鈴呼[2019年3月4日1時55分] 熱々のラーメンを頬張った後で 満腹だねと笑いながら腹をさする さすれば本日の胃袋に詰め込む作業は これで終了ですか、の鐘が鳴り 金を出す筈の財布から 麺より長いレシート出る 火いずる釜の神様は  朝寝坊が得意 エスカレーターを降りた辺りで 喰うと鳴る クウと言う音 空腹の合図 おやもう デザートの時間ですかいな それならば とっておきの あなたが住む国に浮かぶ  ふわふわのアレに似た色合いの 解け始める前に 考え込む難題に似た 夏のマヤカシを もう一度だけ  頬張ろうじゃあ ありませんか ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]歪月/藤鈴呼[2019年4月19日20時37分] 苦悶の表情を浮かべる天使の棲む場所は暗黒 星雲の隙間から光差す氷上の溜息 女神の杖を探しなさい とっておきの呪文とともに 叶え始めた恐怖の約束 汁に沈めて もう一度 浮かんだ刹那 破られたクレーターの膜を クレーマーが引き裂いては笑う ワタクシのヒカリの方が力強いのだ どんなにお前が美しくあっても 民からは遠すぎて 良くは見えぬ さすれば 目の前に塞がるのは 天使の溜息 冷たく まどろっこしい唇から流れ始める 残念な溜息 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- (ファイルの終わり)