藤鈴呼 2018年5月16日9時31分から2018年10月19日1時55分まで ---------------------------- [自由詩]そんなこと/藤鈴呼[2018年5月16日9時31分] 涙ってしょっぱいんだって  ふいに気付く瞬間ってあるよね ふいに、じゃあないね そう気付けるのは 涙が流れている時だものね まさに号泣と呼べるような瞬間には 涙の味も感じられないほど 息を吐く暇もないくらいに哭けてしまう そんなことも。 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]忘れて/藤鈴呼[2018年5月19日11時28分] 真夏は シャーベットが ありがたかった ザクザクの路面で そんな日々を 思い出す ギザギザの心は まるで 氷柱みたいに 心を 射抜くから 少し 温まる頃 陽光に充てて 安らいだ 時間 力を抜くのは夜と 決まっていた筈の 勝手に思い込んでいた ワタクシの心臓が トクン ゆるやかに 揺れた カタン 誰かの足音に ビクン もう 振り返る事も 忘れて ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]進行方向/藤鈴呼[2018年5月20日10時04分] 手が凍えると 少しでも 温めようとして 両手をこすりあわせる 身体が凍えた時に おしくらまんじゅうをした 子供時代を思い出す 足が震えたら 地団駄を踏んでみる 足元の氷が割れて 道が顔を出す これが進行方向 そう信じて歩行する 芳香 大好きな曲 その全てが 楽しく リフレインし始めて 終に 笑顔が隠せぬ程 幸せな気分に包まれる そんな季節感が イイ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]仄桃/藤鈴呼[2018年5月22日12時20分] 少しずつ 近付いて来る 大切な季節は 楽しみに しているのは 雪でもなく 撒き散らされた 愛でもなく あなたでした ふらふらと彷徨う町に イルミネーション 色合いが青いからと ブルーな心の言い訳を 重ねて 重ねて この雪のように どっかりと 積もった 哀しい気持ちを 払拭して くれるかのような 仄かな 桃色が差した頬が 一番 綺麗ね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]プチポエム/藤鈴呼[2018年5月25日11時28分] 小さな、と言う表現は 縮こまってしまいそうな印象も受けるけれど リトルマーメイド そう書けば 何だか 可愛らしさまで 浮かぶ ぷちっ と 可愛らしい透明模様を描いた円を 少しずつ 潰していくように 緩衝材よりは プチプチと呼んだ方が 可愛らしいね プリティー ちょっと 洒落たイメージ 可愛らしい 可哀相 色んな言葉を鏤めて 私なりの 世界を探す プッと 吹き出してしまいそうな 斬新さと ふっと 息を吐き出しながらの 安心感 双方がシーソーゲーム ゆれる めぐる また まわる ゆがむ は ごめんだ プールサイドで 佇む 傷に染みるから 本当は 濡らしたくなかった、と 裸足の爪先を見つめる 伸び放題で どんなペディキュアも ハシタナク映る頃 血豆が消えた 伸び過ぎて 良いこともあるね 例えば 猫のように 思い切り 両手伸ばしてみたら ちょっとは 楽に なれるのかもね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]みるくてぃー/藤鈴呼[2018年6月1日10時20分] ミルクが甘いのは 優しさが 詰まっているからかな ちょっと 胃が キリキリと痛む日も 何となく 柔らかなイメージで 喉を 潤して くれるから 赤ん坊を抱くと いつだって ミルクのにおい そう 代弁されるけれど 実際に 感じる機会は 意外と少ない いつも 毛嫌いしている  泣き声も 叫び声も 心の声を 上手く伝えられぬ その 代わりなのかも 知れない そう 云えなかった頃 私達は どうやって 濡れた頬を 乾かして いたのだろう 今は 想像することしか 出来ないけれど 大人になったから ではなく 目の前に ティッシュがあって 拭うと 涙が消えると 知ったから 活用できること そんな風に 一つ一つ 重ねて行けば 良いんだね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]うみねこたち/藤鈴呼[2018年6月2日9時30分] だらだらと流れる水が ダダ漏れするならば こんな瞬間 水滴が躍るのは イルミネーションの内側だけ 例えば 光に重なった 偽りの 文字の分だけ 想いは 重りに量られて 謀られた分だけ 透明に 近付く 角度が不明だ 反響した壁の向こう側に たわわに実る房がある ぽよんぽよんと音がすれば どんなテクニカルボールよりも 乗りこなせるバランスを 生み出せるのに だらだらと流れる粒は 今 固まって 小雨に代わった ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]虎の尾/藤鈴呼[2018年6月12日19時45分] 暗がりの中で揺れる存在感に やわらかさを ふわり足して 葦の穂と知る 呻くような叫びも 穏やかな笑顔も ここに 光 あればこそ 美しく 魅せるのでしょう されば 明順応の手前で 視界が悪いことにも脅えず 進みたくも なるものかな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ピンクのセーター/藤鈴呼[2018年6月15日1時45分] 大正10年の今日、おばあちゃんが生まれた 生前 色んなものを貰った 今来ているセーターも その中の一つだ 本当は スカートもついていたのだが 元々パンツルックばかりの私のこと 早々にサヨナラしてしまった これね オーダーメイドなんだよ 少し恥ずかしそうに でも少し 誇らしげに告げた笑顔が残っている そろそろ断捨離を始めないとな・・・ 服についても そんなことを考えている スタッフ時代のユニフォームも捨てて このピンクのセーターも そろそろ・・・ そんなコトを思っていた今朝  旦那に言われた 「何かそれ、小さくなったんじゃない?」 いつも 私の後姿を見て  ドラえもんだと茶化すあなたが 真面目な顔で そんなことを言う スーツだって何だって  一度着れば 洗濯機で グルグル洗う私のこと もしかして 縮んだのカナ?! それとも 私が肥えた・・・のは 事実として なんて思いながら 旦那を送り  帰宅して ハッと気付く そうか、今日は  おばあちゃんの誕生日だ 通した袖から はみだした腕 元々 七分袖チックだった 一度取れて 付け替えた 大きなボタン 失くしたら 似たようなものは 売っていないかも 何だか 捨てるのが  ちょっと惜しくなった たまたまだけど たまたまなんだけど 今日 この服を  久々に着てしまったからかな まだ おばあちゃんの温もりを もう一度 感じたいような 気になっている ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]こもごも/藤鈴呼[2018年6月16日16時10分] 枝に張り付いた雪が まるで 昔から私は こんな風だったのよ そう 云わんばかりに 胸を張っているから なんにも言えなくなって 佇んだ まま アメリカンドッグと フランクフルトの違いで 何時だって 言い合いをした あんな風な 感覚 ふわふわの意識が 衣にも似て 空を 見上げた インスピレーション 氷柱のように 突き刺さるから 痛みよりも 先に 美しい氷で象られた 水溜りの行方を乞う 願いは雪にとけ 祈りは雪と融け 解け合う前に解決できぬ物語が 枝の隙間から顔を出す光に 彩られる スッと刺した頬紅の色が 暁を思い出すようで 睫毛の下に浮かぶ影は きっと 夕暮れ 繰り返したら 一日が終わる 繰り返せたら 一日が また 始まる ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ジンジャーはちみつレモンティー/藤鈴呼[2018年6月18日0時32分] 煌びやかなネオン通りや  切なすぎるメロディーよりも 心潤す存在があるとすれば  喉を潤す生姜紅茶だろう 君は何時も 何かを勘違いしていて  ジンジャーティーと言えば ブレッドマンと続けたり 甘ったるいクッキーの味を連想して  にやけてみたりもする そういう処が可愛らしいのだけれど、 とは思うが 刺激を含んだドリンクのように  一瞬 詰まったりする 会話の中で  二の句を継げなくなったりすることは 有り難いことに 最近では  ほぼ 無くなった 昔は  「沈黙の時間が苦じゃない相手が理想」  なんて言っては 長かった髪をかき上げて 頬杖ついたりも  したもんだ 君が勘違いしている「何か」が 「なに」で在るのか 説明しようとすれば  上手く言葉が出て来ない 要らぬ台詞ならば  ゴマンと出ては離れないのに もしくは君の心を  閉じ込めてしまえるものならば もっと 良かったのにね 喉の奥に 小骨が刺さったような… 否 今日の気分は洋食に決まりだ だって クリスマスなんだもの 魚の小骨じゃあ なくったってね 本当は 自分が肴になる位が 丁度良かった 食事の最中  君は何度も繰り返した 窓の外を駆け抜ける 大型トラックを眺めては 「かわいそうにね、今日は クリスマスなのに」 宅配トラックを眺めては 「仕事だろうけど、大変だね、クリスマスなのに」 少しの同情と憐み  ともすれば優越感や安息をも 表現された 一言だったのだろうか 振り返った 僕の瞳には  涙雨が伝う 硝子が見えた 僕が 泣いていたんじゃない  空が 代わりに 哭いてくれたんだ そんな 洒落たことは 言わないけれど ちょっと  代弁してくれているような気がして ホッと一息ついてしまったのは 否めない たった一言が 衝撃派となって 何度も押し寄せて来る そんなコトってあるだろう 丁度 テレビ画面で誰かが喋っていた 「心が風邪を引いて云々…」 嗚呼、そうなんだ!  そんな感覚なのかも知れない ほんのちょっと ガサガサした 喉みたいに 小骨の代わりに 生姜の欠片が挟まった 歯の隙間から 苦しいよって言う代わりに  呻き声が 漏れるみたいに 聴き様に寄っては 鳥の囀りに似てなくもない 勘違いするならば 聖なる鐘の音だとも思いたい そんな錯覚が 許されぬ程  破壊力のある 一言がある あの日 少し 風邪気味だったので 何時もはしない料理を 君がしてくれた メニューは何かのパスタだったと思う そうだ 君の好きな ミートソースパスタ その後で 年賀状を書かないと…  と パソコンに向かって 私はテレビに向かって 閉じそうな瞼を こじ開けていた あの音に関しては  今更 驚くべきことじゃあ ない 君の言う通り  もう 何千回も 放った音 くしゃみが ハックション! と 表現されるとして おならが ぷ〜う! と 放たれるとして しゃっくりは 人それぞれだろう ひいっ 引き笑いのようになってみたり  アレンジが入ってみたり 何度か続いた後で 一言 ぼそっと呟いた 「きたない」 汚い キタナイ き た な い 出会って十年程になるが このタイミングで ワタクシは キタナイソンザイとして ニンシキされたのだ アナタはワタシの方を チラリとも見やることなく 視線は画面に釘付けで その後のフォローもなかった たった それだけのこと 何の気なしに 放った一言は 放屁よりも馨しく 我が心を打ち破ったから こりゃ一大事 寝ても覚めても 私は 汚い者として生きることを余儀なくされた 枕が濡れるのに不思議を感じたのは  何故だろう そうだ 涙が 上に流れて行ったからだ ドラマのように 格好良くは いかない 耳の穴に入って行く水滴は 結構えげつない ぞくっとする そんな自分に ゾクッとする 身震いがする 熱が上がる 朝が来る 昼になる 夜になる 二人になる 朝が来る 一人になる 私は眠る 夜になる 私は眠る ワタシハネムル 何かが スウッと引いて行くのを感じた 清々しいミント味のキャンディーならば 思い切り 深呼吸 出来るだろうに あなたは 薄荷が キライでしたね 思い出の中で そう呟けば キシリトールが呟く 歯の健康は命です 芸能人じゃないから 今更 歯の黄ばみなんて 気にしないとか言いながら 血が出るまで 電動歯ブラシを動かしてみたりもする ほんの とお 数えた頃 それくらい昔の ある夜 私達は 冷えた身体を  ジンジャーティーで 温めた あの頃 二つの心は  同じような角度で 綻んでいた 結ばれた紐が 解けるのは 道理 それぞれの 旅立ちへ向けて 準備を始める頃 素敵なジングルベルが 鳴り響く 同じ湯船に浸かっても 何だか生温い それは なまぬるいカンケイ なのではなくって ココロがササクレダッテイルだけのお話 お箸を取り直して  取り零したものを 一つまみして それは そう 例えば  この季節なら 年越し蕎麦 かしわ汁を作って 柏手を打つ頃 私達は 空の上 南の空へ 飛び立つのね あのね、あなたいつも まちがえているんだけれど あのひ のんだのは はちみつジンジャーティーなのよ 檸檬なんて ひとっかけらも 入っていないの うん だけど 何となく 合うような妄想も してきたわ どんな味が するのかしらね お店のお姉さんに 質問された クリーム系の味って 飽きない? 私はドロドロ系が大好きなので 飽きないけれど 誰か他のお客さんに 言われたんですか? ううん、違うの。わたしがね、飽きるから。 「ワタシガネ、アキルカラ」 褒め千切った翌朝の胃もたれは  二人 おんなじ あれ あんなに おいしかったのに おかしいねって 笑い合ってる 大きなカップの中で 生姜の欠片が ぶつかり合って その内 喉の中に 共に 吸い込まれて行く 胃袋の中で はちみつと 紅茶と 同化して どうかしていた過去なんて どうでも良い位に 笑える位の おとぎ話に 代わっていくから だから どっちかって言うと 生姜は  磨り潰してない方が 好きだな 喉に刺さった 小骨の代わりを 見つけた 言いたかった 台詞の渦だ 渦潮に遭遇した記憶はないが 船の上から眺めると  きっとこんな感じなんだろう 自分だけ ずぶ濡れ回避しておいて 水滴の一つ一つを 綺麗だね、なんて言いながら 眺めて居る それこそが 汚さ だったんだな 例えば他人の車のワイパーの動きや イコライザーから 眼が離せなくなったりする夜に 目の前のシグナルが 青から赤に代わろうとも 関係ない と 言うみたいに 黄色、だったなら 何か 代わっていたのかも知れない 中途半端な 今の自分と  同じくらいの 色合いだったなら ちょっとは気にして 立ち止まったりも したんだろうって 思う 私は 一連の出来事を 小さなカードに認めて 彼に渡した 二人 とびきりの笑顔で 満腹になった その後で 「・・・なんで ここに こんなこと 書くかなあ」 そんな言葉が凝縮された  第一声 「そうですか」 そうですか そうなんです 躁ですか? ソウかも知れません 楽しい時の波が 引ける時の早さ 小波が 溶ける瞬間の 儚さを見た気がした 立体型のカードの方を 開いてくれたなら 良かった そこには きっと こう書いてあった筈だ 「あなたに ずっと 着いていきます」 だから 連れていってね どこへ? 小波の向こう側へ ワクワクする出来事を乗せて ちょっと違う 一緒に行こうね 愉しい日々を探して 穴だらけのヒビの深みにはハマらないで そう祈るだけのクリスマスがあっても いいよね 湯気が消える 流石の生姜力も 何時間もは 続くまい そう 知っているから 早めにカップを持ち上げて わたしは また  はちみつジンジャーティーを 飲み干そうと している ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]音の懐/藤鈴呼[2018年6月18日14時31分] ゆっくりと振り返る 前なのか 後ろなのか 右のような気もするし 耳が詰まっているだけの話で 本当は左側かな とても近いかも知れないけれど 案外と小さいから 遠いのかも 鳴っていることは 分かるのに 出所が 分からない 虹みたいに 生えている訳でも ないしなあ  なんて 考えている内に 一瞬訪れるは 静寂 シーン しーーーーーん、と言う音が つーんと響き 鼻の奥で 水たまりが破裂する 瞳が腫れて ポインセチアの色になる ゆっくりと 染まるから 境界線が 分からないのね それでも 自分の中で響く 心のお話だけは 失くしたく ないな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]左右の階段に積もる雪 /藤鈴呼[2018年6月20日0時23分] 昨日のと 一昨日のと  明々後日の雪は 積もる手前で 出番待ち  握りしめる欄干に にじり寄る  この空気感で  いっそ 溶けてくれないかと  願い 込めながら ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]白い夜/藤鈴呼[2018年6月24日11時16分] 本当は それぞれが 輝く筈の 星空を 見上げれば 一等星が 眼に映る 確率が 大きいから 何時だって 嫉妬 されるのね 個々に 良い瞬き方を 知って 実践している 星たちの 中で 瞼の先に 睫毛を描く 方法を 編み出した 先駆者が 居るね 瞳の先に 白いパワーポイント キラキラの マスカラホワイト 今宵 クリスマスを 彩ったら 誰よりも 幸せな 夜になれる ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]まろん/藤鈴呼[2018年6月28日10時23分] クルクルと 何処までも 何時までも 終わらぬ螺旋階段を 永遠に 昇り続ける そんなプレッシャーに阻まれて そんなのはプライドが許さないと 何時の間にか叫んでた 時の間に間に あなたが くねこねこねた モンブラン もんぶらんって 何処かしら もぐらみたいな名前だから あたし 大っ嫌いって叫んだら 途端に頬を叩かれた トタンもビックラこいた なんてことはなくて ただ ただ 食べ過ぎると 飽きるのねって それだけ 何度 観ても 語り合っても 見詰めても 言葉に詰まっても 心が詰まっても お掃除してくれる 心が 二つ 寄り添って いればこそ モンブラン くり、の文字に目が入って 思わず選んだのは まるっこい ケーキではなくて 長四角の まるで あなたみたいに スマートな形の  ケーキでした 甘いかな あまいよね きっと ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]バラ色の夢/藤鈴呼[2018年6月29日11時23分] 妄想の中の幸福は形が丸く色は薔薇色? 薔薇色と言っても色々あるよなぁと思えば 考えるのが面倒になって  もうそのことから幸福を一つまみ 外側に放り投げてしまっているような気がするから  じっくりと花言葉の本を開いて重ねて 押し花にした本の行方を また思い出してみたりする 幸福に表情があるとするならば 笑っていて欲しいのだけれど、 それは爆笑ではなくて 皺が隠れるくらいの微笑であったりする印象  だけど 嗚呼違うなって思い返してみる  だって  倖せを求める人間たちを眺めているのだから 微笑そのものだけじゃあ  生きらんないんじゃあ ないかなって。 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]新しい主/藤鈴呼[2018年7月1日9時10分] シェーバーが見かけよりもズッシリと重いのは 何故だろうと不思議だった  携帯よりも小さい旅行用のシェーバーなのに 充電池の部分が妙に重いからだ  そう信じていたけれど  ちょっと違う気がした  新しい主人の 少し白くなった髭を剃る瞬間の溜息  その思いを全て  受け留めているからなのかも 知れない・・・ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]白と赤/藤鈴呼[2018年7月4日9時12分] 同系色のランチョンマットの上で もっと真っ赤なリンゴが 鎮座している 情熱を 閉じ込めたような雰囲気 窓の外は 雪 白と赤 嗚呼 そうか もうすぐ 紅白の似合う お正月だね ---------------------------- [自由詩]冷たいから・・・/藤鈴呼[2018年7月15日23時55分] 声にならぬ音を飲み込み 握りしめた手を そっと解き 温めてくれる 一つの指先 万華鏡のように 揺れる頭 嬉しい 冷たい でも 嬉しい 少し 悲しい その指先に乗せる音を 弄んでみる どの音にしたら良いのか 確かめながら弾く 弦のように揺れる月を そっと流れる雲に 擬えてみる 首元まで引き上げた布団で 少し 苦しくなって 冷たかった左手が すっかり温かくなって 気付いた 握りしめていない右手と 同じ温度だ 繰り返す鼓動 それは足先 プラプラと振り子のようにはいかぬ 底辺が 固定されているのだ 地に足を付けるとは こういうことなのだろうかと 鑑みる 仄かな灯りの下で煌めく 硝子に映る影が 風を連れて来る ひっそりとした夢を乗せて ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]運河の先に/藤鈴呼[2018年7月18日23時42分] バニラの香りのするティッシュひとつまみ 鼻先をくすぐる乙女心を思い出せば 不摂生の祟った吹き出物ひとつ見つかる 忘れてしまった風な喉の痛みから出たイガイガ 足先から離れないイボのような不具合さ ツラツラと綴る心の四方山話 何処かの井戸に落とした戯言 紐伝いに引きずり上げれば干からびた溜息 誰にも響かぬと空を見上げていた黒猫の鼾 頬を撫でる風そよぐ春を感じたのは 黄色のシロツメクサと勘違いしたからで 其れが蒲公英と言う名前なのと知った処で 最早代わるものなど何も必要ないかのよう 音の霞から浮き上がる閃き 門構えから伸びる松の切っ先 真っ先に伸ばす指先 二度と届かぬ囁き ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]そんな風にね/藤鈴呼[2018年7月19日10時19分] 石や岩の文様然り 昔から好きで 凝視してしまう存在 最近じゃあ 根にも恋する有様で 空を見上げたり 花びらを映したり 下を向いたりと 余念が無いのね * 産まれた赤子が成人となる位の時間が流れましたね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]黄色い鳥の物語/藤鈴呼[2018年7月25日10時39分] 弾む 揺れる 溶ける 囀りが 尾を引いて 離れぬ 何処から 何故 どのように 角度は 幾つもの疑問符が 流れる雲のように 消えた 一枚の 五線紙 方眼紙ほどは 網目が少ないから 今日は これで 良しとしよう マイン・スイーパー 眠りを誘う時間帯には ピッタリの ゲームが存在した筈だ ニート ニード ハードグラス グラフの中に 埋もれたハート 中央に 埋め込んだら良い星型が やや 崩れ加減で 焼けたクッキー さくり 新雪を踏んだ時の 乾いた空気を思い起こす 弾ける 飛び出す メルティー 堕天使の羽根が いやに透明で 眼を閉じた 此処に 虹色を 垂らせば 上手い具合に 升目に埋めるボールが 見付かるだろうか 朱色の弾を 見つめながら 兎の嘆きを 聞きながら 何時だって思うのは 空の事 明日の朝 色合いばかりを気にしてる 期待に反して 曇天だったって 雨足が 遠のくのなら 良いもんだ ジョウビタキ ジョウレンノタキ セキをする 堰を切って 流れ始める 涙のように とろり 透明な液体を わたしに ください ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]指なし手袋、/藤鈴呼[2018年8月11日21時22分] 懐かしい 小人たちが 掌の上で 踊る 手袋のない指先が ちょっと 凍えている 感覚が じんわりと 伝わる夜 ほっと温まる飲み物は 冬ならではの 癒しとなる 雪かきの後には シュンシュンと 湯気を上げるヤカンを 覗きこんで メガネを白くするのが お決まりの ワン・シーン じっとりとした粒を 幾つも連れて 白いタオルも しっとりと濡れて ただ ただ 埋もれた 単純作業を ゆっくりと 振り返る キシキシ鳴る腕 きゅうっと鳴る胃袋 ちょっと待ってね 今 おいしいものを・・・ 疲労と風邪気味の身体には ビタミンが良いかなあ 春先にならないと 出回らないと 勘違いしていた 苺 ひとつまみ 唇に 乗せてみる きゅうっとすぼめた頬が おばあさんみたいだけれど これが 勝利の勲章 何に 勝ったの・・・? きっと 自分自身かな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° 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吹き出した笑いを乗せた空気も 月の下では皆同じ ツキを重ねて進む道 尽きたのは歯車 此処には 足音が響く 足跡はイラナイ 硝子の向こう側が 少しでも 透明に 視える角度で 微笑んで イタイから 足元のマットには 全体を見渡す灯火 スポットライトを浴びたふう 一陣の風も 忘れたかのような 屋内だから ビニールハウスみたいに 生育している 可愛らしい苺が 外側から 見えるだけなの ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]黒蝶粋/藤鈴呼[2018年10月9日9時55分] 萌え出ずる世界を 連想するかの如く ウキが描く軌跡は 花びらのよう あと半分で完成する パズルよりも 未だ足りぬから 脳内伝達物質で 飾り立てた 観えぬ部分は 記憶が補充してくれる ふわりふわりと揺れる筈の水上で 大きく動いたように見えぬ理由 キミは浮き輪 幾ら浮き上がってみても 空には届かぬと泣いている 黒い羽根を広げ 跳ねた水滴の右側に映り込む 遠くに魚が見える 岸から離れられぬマーメイド 森の中に住む狩猟民族と 海の中で待つ家族達に挟まれて フィッシュボーン  髪型は決まった 羽衣のドレスの代わりに 透明な粒を纏い 足をバタつかせ もがきながらも いつまでも 踊り続ける ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]貝のように/藤鈴呼[2018年10月10日10時14分] 熱々の鉄板の上 肉汁滴る薫りに乗せられ 気分は上々 気流を信じて籠を編む 空に飛ばす為 厚い雲をも突き抜けて 何処までも昇れば 天使の羽根が見えて来る 昔憧れし衣の奥に 少しパン粉が挟まって 口を開けた帆立を 思い出すよう 鍋肌醤油で焦がした心 溶けた雪を思い出す冬 今が夏でもなく 秋でもない理由を 何時までも探し続ける ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]神秘の白鳥/藤鈴呼[2018年10月13日10時27分] カモメの漂う水面の色が綺麗で 見とれていた 歯を食いしばっても食いしばっても 喰い尽くすことの出来ぬ秋の落葉に飽き飽きして 踏み締めたのは 厚く塗られたアスファルト 塗り絵のように  カラフルではない 何処までも 何時までも続くかと思われた雪も たった今 溶けた 厚いタイヤに阻まれて 熱い吐息に晒されたならば良かったのに 見上げると十字を切る白鳥 ちょっとランダムな髪の毛が見える 空の向こうに飛び立てぬのだからと諦めたふう この世は何処までだって えげつなく回り続ける 吹き抜けるような丸い穴の向こうに 青い空が広がっていて それを当たり前に感じていた過去と言う名の夏が ゆっくりと過ぎ去って行った 気付けば世の中はヴァレンタイン風味に彩られ 街でも店にもチョコレート臭が囁く 耳をくすぐる声は何時までも甘く とろけるような革張りのソファーは柔らかかった 先に翔る翼は 明日が嵐だと知っていたのか 後に続く嘴は 文句も言えず着いて行くのか ただそれだけを知りたくて 痛む首を 身体全体で持ち上げて 何時までも 見つめてみた ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]桜シフォン/藤鈴呼[2018年10月19日1時55分] 双方向に惹き逢う心はとても愛しく 逆方向に背き合う人はとても冷たい * 滑車も車輪も歯車も 進むための物体 動かすのが人間 皮を被っただけでは 上手く操縦できない 誰にとって、上手く、なのか 味わい尽くすための舌は 本格的なのか 贅沢を極めたグルメなのか 見知らぬ味を求めるものかと 考えてしまう ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- (ファイルの終わり)