藤鈴呼 2018年3月24日8時54分から2018年6月12日19時45分まで ---------------------------- [自由詩]紅葉花/藤鈴呼[2018年3月24日8時54分] 手首茎からパラアリと広がる 指の先に光る マニキュアの花 染まる色なら 勿論 紅 エキスをくれない? 首を傾げて聞きかじった枝が ボンタンの先にポタンと落ちる 滴るのは霰  アレ 今日は寒いから アラレが見えたの? 大きな眼鏡が丸いから 可愛らしいような気がしたけれど 垂れ目なの その方が可愛らしいわよと パンダの溜息 黒か白か灰色か グレイの雲か 空を見上げる度  もみじの朱さが目に染みる 色合いの空虚さを感じるのは こんな瞬間 冷たい朝 ぬくい昼  夜の温度は急上昇 風呂上りに加工する体温 布団でくるめば 幸せな気分に包まれる 少し 守られて いるような 錯覚を 抱きながら 紅葉の鼻先に 眉を顰める ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]なんでもパスタ/藤鈴呼[2018年3月25日7時18分] 色んな物を スライスしたら 小さな畑が 出来上がる 稲穂の実る この季節 小降りの霰 振り切って たわわな笑顔  生み出しました 温かな湯気 転がり始め シルバー達も 仲良しで チャリン チャリンと  鳴りました 満腹サイン 成りました 大きな私 作られましタ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ツリーの魅力/藤鈴呼[2018年3月28日6時38分] 空を見上げると 光達が 一番星に向かって 集約されている だからかな 三角形が 煌めく理由は そう 云いながらも 輪になって踊る 噴水の周りに集う影たちが 一瞬にして 立ち止まる わらわらと 一つ跳ぶ粒 はじけるシャワーのような葉が 色を失っていく 次にそまる 雪色に寄せて 希望だけを 蓄えている 艶のある瞳に映る 逆さまの景色を これほどまでに 美しいと感じられるのは 今が 冷たい夜だからでしょうか ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ブラックライトの儚さに/藤鈴呼[2018年3月28日22時19分] 名前を付ける前に 白さを失ったニキビ まるで 産まれた瞬間から そこに 佇んでいたかのような自然さに 節々が きしみをあげながらも 叫ぶことだけ 出来ないでいる 足元を見ると いつかのゼリーを 思い起こす ぬるま湯に 浸かった分だけ まるで 宝石のような色合いで 若干 綺麗にも思えてくるから 不思議だ 金属をつけた瞬間の ケロイド状に 剥けた肌に 猫を抱きしめ眠った夜の 裂けた鮮血を閉じ込めた肘に ブラックアウト ねえ 知ってる? 暗闇の中で飲む ソーダ水 ジントニックの向こう側に光る 白いセーター こぼれた八重歯の角度で 今日の気分が 分かるんですって ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]やまがら/藤鈴呼[2018年3月30日21時52分] 山雀の チュンチュクチュンと 近付きたるも いと愛し 竹を集めた細長箒で蜘蛛の巣取りをしようかと 少しずつ 近付いて行くと 可愛らしい音が響く どうやら鳥らしい 以前は その頬の色から  ホオジロかとも勘違いをしたが ヤマガラと言う名の鳥である様子 何羽もいる 我が近付いていることを察知せず 唯だ 餌を求めて ついばんでいる大地には 枯葉の残りや 小石が 散らばっている 静かな恋が生まれそうなほどの ときめき 山の一部になってしまいたいような雰囲気 足を止める ポケットからデジカメを取り出す 少しずつ 近付く鳥に 逃げるなよ と 静かに祈る やわらかな時を求めて ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]10年後の姿/藤鈴呼[2018年3月31日10時09分] 猫も杓子も地鶏が好きとは限らない 自撮りは得意な世代が増えた 手鏡を 机上に置いて 自らの 乱れチェックを したオケ部屋に 響く音量 大きな苦情 あの頃から 口紅なんて 忘れてサ 持ち歩くのは 色つきリップ リップサービス忘れない ディップサービスしたくない 笑顔 引き連れ 引き攣らず 意図は持たずに 横に弾く 邪さえも ハシタナク 歩く隙間に コーン揺れ 化かされキツネ 思い出す 灯りは左斜め上から照らして 視線は斜め45度でキメてパシャリ 一番若く見える方法なのよって 誰でも知ってる 遣い忘れた手鏡を  床と平行に置いて 覗きこんだら分かるわよ これが10年後の私 思わず閉口しても平気 確かめる頃には そんなこと きっと 忘れちゃってるわ ポップコーンとはまた違う 四角いクランチチョコレートを連想するの 空色のホワイト味は スッキリビター 味わっていると 森のくまさんも 一緒に踊ってくれそうな雰囲気 冬眠前に 仲直りして 楽しく笑い合いましょうよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]金魚の悩み/藤鈴呼[2018年4月4日18時32分] 惜しみなく埋める 余白に乾杯  赤とか白とか  少し墨のついた 筆を垂らした文字とか   幾何学模様から流れる 音符のような階段の先に 咲く未来  それが 来年と言う名の 時間帯なのですね うねる 鱗 ロコモコ丼の上から 黄色のソースが ゆっくりと漏れる ちーたらたら 流行の金管楽器 小脇に抱えて 甚振っても良いよ 弦は短く張ったまま 小さく降る頭 ヘッドヴァンの小刻みさ 繊細な精神 バイオレット色の バイオレンス パインの混じった オレンジジュース どれも 撹拌した 巻き返さない 巻き戻らない 何度 薪を代えても 焔は 小さなまま だから 冷たい心を 色濃く 映すのね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]黄色の薔薇/藤鈴呼[2018年4月6日12時12分] 夢を見るなら 楽しいのが良い 将来の夢も 眠る時の夢も 両方とも 微笑みが 返って来るような角度で 見上げてみたい 夢を観るなら 叶えられるくらいの 現実味も 欲しい 夢を抱くなら 両手いっぱい はちきれんばかりに覆う 大木のような存在であって欲しい そのまま両手を 空の方向まで立ち上げたら 虹の輪が 出来上がるから 例えば 叶わなかった 悔し涙で 誰よりも 素敵な虹を ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]幻想石/藤鈴呼[2018年4月8日13時45分] キラキラ光り出す存在 空に瞬く星 オリオンや北斗七星 カシオペアに ホッとする 一息ついた後で飲む 温かなココア マシュマロみたいな甘い泡に カラフルなチップが 散らしてあって 遊び心満載の ティーカップの中で メリーゴーランドで観たような馬が 今にも飛び出しそうな勢いで 吠える その声が 響きそうな頃合い 闇が訪れ 気温は低くなる 雨上がりの路は 艶やか 枝先で揺れる雫と どちらが美しいかと 競い始める ストローで 冷たい苺ジュースを飲む瞬間 色合いのまろやかさに気付けば ミルクを思い出せる メニューにはない隠し味も こうして 穏やかに流れる心に触れて 更に溶け出す 綺麗なモニュメントとなるから ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ボジョレヌーボー/藤鈴呼[2018年4月11日9時52分] 珍しく衝動買いした赤ワイン 電動オープナーの使い勝手が掴めなくて  旦那に丸投げ 最初 コルクが上手く取り出せなくて  四苦八苦 ボタンを押し続けて  最後まで一度 押し上げる必要があるのね と気付いて 問題解決 新し物好きだから 問題が起きるのね 喰わず嫌いのままならば 新鮮さは 感じられない いつまでも 昔の杵柄 気にしてサ 木に成らぬ実の行方を 目で追ってる どんなミキサーで撹拌しても 絞り立てのジュースには 叶わないのに さも斬新な味わいで あるかのように 心まで 楽しませる 気泡の奥に 一粒の夢 閉じ込めた 扉の外には フォークが待っている ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]えびカレー/藤鈴呼[2018年4月20日11時47分] 旦那作のディナー 最後の最後まで  迷惑と言う名の置き土産を残しつつ 後ろ髪を引かれて来た夜 不思議なスパイスを絡めたようなカレーの香りが 鼻先をかすめた 一仕事を終え 帰宅したならば エビの殻むきと 幻魚の下処理に翻弄される覚悟で 玄関を開けたから 余計に広がる有り難さ 口当たり良く まろやかな甘さは 箱に記載されている 中辛とは異なるようで 不思議な角度で頬を染めた感動も一入 天ぷら粉を散らしたゲンゲに一塩ふりかけて 涙の代わりに呑み込むは 小骨 途中で見つけた小さな吸盤 これ・・・ イカ? いや タコだよ ちょっと漏れた笑顔以上に頬が歪む 唇が歪むのは もう御免だ 心が凍てつくのは もっと御免だと 何度も運んだシルバーが 舌先の火照りを ゆっくりと 癒して往く ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]CATS/藤鈴呼[2018年4月21日11時01分] 沢山の猫たちが集まるカフェテラス 我が部屋では 時代遅れのラジカセや パソコン置き場になっているパイプ棚が 時に彼等の遊び場となる 引くと点いたり消えたりする電気コードも 座ると心地良いのだろう合皮製バッグも みんなみんな 絡めても飽きぬ最高の玩具 弄ぶことと 弄ばれることの違いを知ってか知らずか 鳥居のような漢字の意味など 感じる必要は無いのだと にゃあと鳴いてお終いなのか とにかく伸び過ぎた爪と毛の処理だけは確りと 抜かりないのは擦り寄る頬ばかり 放心状態でも 眠くても お腹が空いても ウザくても 相手をしてくれる人間は きっと 都合が良いのでしょう 段々と解って来るよね 尻尾を向けられる瞬間 ビー玉のような視線から 一体 何を感じろと お喋りは続く くっちゃべって ですからね べちゃくって では ないのです 会話は 食べられない 喰われることは あっても 魚には なれないから 肴になるのが 一番良いですよ いつかの誰かの続きを いつまでも 反芻している ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]葉小判/藤鈴呼[2018年4月24日9時45分] 零れ落ちそうな笑顔が光る瞬間はと言えば 心地良い香りが漏れ聞こえるような湯気と 煌めく想いが触れ合う瞬間 少しでも重さが増せば 支えきれずに 落ちるのでしょう ねえ 知ってる? 雪吊の方法 太い枝は 自ら雪を 支える力が在るからね 小枝こそ 吊らなければ イケナイのに 美しさに釣られて 本来の目的を 忘れてしまっちゃイケナイよ 放射線状に蠢くロープを  何度 手繰り寄せても 真実には届かないって 知ってる あの頂上までは  どうやったって 昇れやしない 安全ロープも 下で支えてくれる綿もなく ましてや 雨に濡れたもんでから ぺしゃんこになって しまうんだから 憶えておいてね 小判の活用方法 狐が相手ならば 何とかなるかも知れない 狸が寝ていたら 無賃乗車 出来るかもよ そのまま 終点まで 固いベンチに座ってさ ホームの端にある 白い椅子と 同じ角度で うっつら うっつら 居眠りしていたら 夢の先まで 辿りつけるのかもね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]紅葉ブランケット/藤鈴呼[2018年4月26日13時44分] 本日の糸魚川は風が強くてね 雨模様なのだけれども 粒が大きい ともすれば アラレにも見えそうな雰囲気だけど まだ透明 山側の庭園を出る瞬間に ふと息の白さに気付くみたいに 晩秋は穏やかな時の流れを 作り始める 枯葉は遊ぶ くるくる回る もう何度も そんな季節を通り過ぎた 秋に産まれた私は 何時までもオータムを抱きしめる どんなストールよりも愛おしい ブランケット代わりになるシートはやはり透明 流行りの模様は一切ついていないシンプル 看板がお辞儀をしているような車内 違うの 姿見なんです、と君 くるり振り返り ふわり残り香のよう 降り始めた粒を これ以上 振り払わずに済むように 傘も持たぬ両手を差し出して ここでお別れ 後ろから見送っているから サヨナラは言わない キラキラの光越しに いつかのワタクシが映る 湖面に描いた逆さまの枝よりも伸びた心で 次の春をも 包み込んで 生きるのでしょうね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]家出/藤鈴呼[2018年4月27日10時52分] 甘えた時代に 少し 気に喰わないことがあって 一度 飛び出す玄関と 覚悟の上での旅立ちは 随分と 意味合いが 違うね 門出の言葉を思い起こせば 何時の日も 正月飾りが浮かぶけれど 約束された未来など 何もないこと 部屋の隅では飽き足らなくて 押入れの隅で 蹲るのか 街角で吠えるのか 新たな住処を探すのかによっても 代わって来るから 変えられる人生と 還られぬ想い 植えつけた種が 幾歳を経て 大木に育ったとて 花は咲くまい ひらり 舞い落ちた胡蝶蘭は とても優雅で 一枚だけ 置き去りにされた鉢の上 少し 涙の染みを残して 彷徨っている ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]コルクのときめき/藤鈴呼[2018年5月2日9時41分] 温もりを下さい 体内に流れる血を感じたくて 赤ワインを空ける 表面張力の隙間から 記憶達が零れ始めて 切ない カーテンを開けたら レースの向こうに やわらかな日差しが広がる そんな連想とともに 微笑 称えた 揺れるブランコは いつまでも一人風 仲良く伝わる 横向きの丸太を 切ってしまったら シーソーみたいに 二人いないと 楽しめないなどと 決め付けないで ロゼ 夕闇を迎える少し前 虚ろな気分で飲み干す味に似て 嗚呼 その為に 存在するかのような 潮騒が 遠く 浅く 揺れた ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]グラスホッパー/藤鈴呼[2018年5月5日7時49分] いつものバーのカウンター そう聞いて 思い浮かべる色は 何時だって ブラックライト もう呑めなくなった ブラックルシアンと たまに見かける ホワイトルシアン 見付けたら テンションが上がるバッタ 別名 グラスホッパー 自分で作れば良いじゃないの ミントミルク いいや まだまだだ ウイスキーの甘さには 100年早い ウイスキーコークも10年位 飲んでいない? 唇を潤すのと 肺をゆっくり通過するのは ちょっとダケ 違うのかい? 猪突猛進 色んな臓器を突き抜けて 酔っ払いの向こう側へと走る その先には何が見えるか 夕闇 朝焼け 酔いどれの唱 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ぽっと/藤鈴呼[2018年5月5日20時22分] 陽だまりだなんて心地良さも 少なくなって行く季節 黒く映る大木に ラジウム色の蝶が留まる わずかに広げた羽根が 首を傾げる仕草にも似て 向こう側を照らす光は 希望と夢を詰め合わせた 少し早めの クリスマスケーキ 朱かった紅葉が 少しずつ黄褐色に変化する頃 思い出したのは 紅茶 突然に 飲みたくなって ポットの湯を ゆっくりと注ぐ ほんのりと浮き上がる香りは 愛おしさの シルシなのかもね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・: ---------------------------- [自由詩]刻み紫蘇の様に/藤鈴呼[2018年5月6日11時13分] 広がりのある空を演出するのは雲 一つ一つの流れが急で 視界が追い付かぬ瞬間も 心ばかりはゆっくりと携えて進む あと一歩で冬景色 その前に 踏み締めた足跡を 刻んでいきたいね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]これからも/藤鈴呼[2018年5月8日9時55分] ちょっと塞ぎこんでしまいそうな時に 思い出すのは 眠る場所があって 食べるものがあって  大切な存在があることは しあわせだ ということです しあわせって しあわせな瞬間には  実感しづらいものかも知れないし 失くして気付くものって意外と大きくて 通り過ぎてからでは後の祭りになりかねないけれど 今の私に出来ることは 目の前の人に 精一杯  伝えたいことを恥ずかしがらずに贈ることなんだな そんなことを思い出しながら これからも 進んで行けたら良いな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]笑いジワ/藤鈴呼[2018年5月9日9時03分] 口角を上げると 今がたとえ 悲しい瞬間であっても 脳が 楽しかった時の気分を思い出してくれる と聞いた時から 出来るだけ 笑顔でいたいなって 思うように なりました ただ 豊齢線が気になることも しばしばありて そんな時には マッサージなんかしてあげて また 新しい笑い皺が増えて そんな風に 笑顔を沢山つくりながら 楽しい角度の笑いジワの残る おばあちゃんに なりたいな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・: ---------------------------- [自由詩]ツリーのように/藤鈴呼[2018年5月15日20時05分] 月が真っ二つに割れた夜 空を仰いで これが下弦の月なんだよねと 呟いた 会話の中の匙加減は案外と難しく ヤベエ!と思った瞬間に 間違ってイイネ!ボタンを クリックしてしまったりする シマッタ!の冷や汗も凍る季節 寒気団が少しずつ踊り始める 山が在るから 吹きおろしの風が溜まり 濡れているから 着込んだレザーのジャケットも 意味を為さない ポツンと離れた星ひとつ 何て名前だっけえな 星座表をくるり動かすことが出来れば 確認できるのに 今 出来ることはと言えば 正座するくらい 膝の裏が しっとりと濡れて 痛いよと呟くから 組んだ足を 一度解いてやり直し 見上げたツリーのように 上手く編み込めたなら 最高なのにな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]そんなこと/藤鈴呼[2018年5月16日9時31分] 涙ってしょっぱいんだって  ふいに気付く瞬間ってあるよね ふいに、じゃあないね そう気付けるのは 涙が流れている時だものね まさに号泣と呼べるような瞬間には 涙の味も感じられないほど 息を吐く暇もないくらいに哭けてしまう そんなことも。 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]忘れて/藤鈴呼[2018年5月19日11時28分] 真夏は シャーベットが ありがたかった ザクザクの路面で そんな日々を 思い出す ギザギザの心は まるで 氷柱みたいに 心を 射抜くから 少し 温まる頃 陽光に充てて 安らいだ 時間 力を抜くのは夜と 決まっていた筈の 勝手に思い込んでいた ワタクシの心臓が トクン ゆるやかに 揺れた カタン 誰かの足音に ビクン もう 振り返る事も 忘れて ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]進行方向/藤鈴呼[2018年5月20日10時04分] 手が凍えると 少しでも 温めようとして 両手をこすりあわせる 身体が凍えた時に おしくらまんじゅうをした 子供時代を思い出す 足が震えたら 地団駄を踏んでみる 足元の氷が割れて 道が顔を出す これが進行方向 そう信じて歩行する 芳香 大好きな曲 その全てが 楽しく リフレインし始めて 終に 笑顔が隠せぬ程 幸せな気分に包まれる そんな季節感が イイ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]仄桃/藤鈴呼[2018年5月22日12時20分] 少しずつ 近付いて来る 大切な季節は 楽しみに しているのは 雪でもなく 撒き散らされた 愛でもなく あなたでした ふらふらと彷徨う町に イルミネーション 色合いが青いからと ブルーな心の言い訳を 重ねて 重ねて この雪のように どっかりと 積もった 哀しい気持ちを 払拭して くれるかのような 仄かな 桃色が差した頬が 一番 綺麗ね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]プチポエム/藤鈴呼[2018年5月25日11時28分] 小さな、と言う表現は 縮こまってしまいそうな印象も受けるけれど リトルマーメイド そう書けば 何だか 可愛らしさまで 浮かぶ ぷちっ と 可愛らしい透明模様を描いた円を 少しずつ 潰していくように 緩衝材よりは プチプチと呼んだ方が 可愛らしいね プリティー ちょっと 洒落たイメージ 可愛らしい 可哀相 色んな言葉を鏤めて 私なりの 世界を探す プッと 吹き出してしまいそうな 斬新さと ふっと 息を吐き出しながらの 安心感 双方がシーソーゲーム ゆれる めぐる また まわる ゆがむ は ごめんだ プールサイドで 佇む 傷に染みるから 本当は 濡らしたくなかった、と 裸足の爪先を見つめる 伸び放題で どんなペディキュアも ハシタナク映る頃 血豆が消えた 伸び過ぎて 良いこともあるね 例えば 猫のように 思い切り 両手伸ばしてみたら ちょっとは 楽に なれるのかもね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]みるくてぃー/藤鈴呼[2018年6月1日10時20分] ミルクが甘いのは 優しさが 詰まっているからかな ちょっと 胃が キリキリと痛む日も 何となく 柔らかなイメージで 喉を 潤して くれるから 赤ん坊を抱くと いつだって ミルクのにおい そう 代弁されるけれど 実際に 感じる機会は 意外と少ない いつも 毛嫌いしている  泣き声も 叫び声も 心の声を 上手く伝えられぬ その 代わりなのかも 知れない そう 云えなかった頃 私達は どうやって 濡れた頬を 乾かして いたのだろう 今は 想像することしか 出来ないけれど 大人になったから ではなく 目の前に ティッシュがあって 拭うと 涙が消えると 知ったから 活用できること そんな風に 一つ一つ 重ねて行けば 良いんだね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]うみねこたち/藤鈴呼[2018年6月2日9時30分] だらだらと流れる水が ダダ漏れするならば こんな瞬間 水滴が躍るのは イルミネーションの内側だけ 例えば 光に重なった 偽りの 文字の分だけ 想いは 重りに量られて 謀られた分だけ 透明に 近付く 角度が不明だ 反響した壁の向こう側に たわわに実る房がある ぽよんぽよんと音がすれば どんなテクニカルボールよりも 乗りこなせるバランスを 生み出せるのに だらだらと流れる粒は 今 固まって 小雨に代わった ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]虎の尾/藤鈴呼[2018年6月12日19時45分] 暗がりの中で揺れる存在感に やわらかさを ふわり足して 葦の穂と知る 呻くような叫びも 穏やかな笑顔も ここに 光 あればこそ 美しく 魅せるのでしょう されば 明順応の手前で 視界が悪いことにも脅えず 進みたくも なるものかな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- (ファイルの終わり)