藤鈴呼 2016年11月6日11時36分から2017年2月22日11時42分まで ---------------------------- [自由詩]葬列/藤鈴呼[2016年11月6日11時36分] 七色を越えて どれだけのカラフルを かき集めても 足らないくらい あなたで 溢れてた 町の外れの コンビナート しなびた階段 幾重にも伸びた 冬枯れの 枝の先に 天使が 巣食う その 終の棲家は ハンモックで揺られ 木漏れ日で 彩られ 星明りで 耀いた 切り取られた空間の奥に モノクロの十字架 青い海や 拾う泡が 二度と 訪れない場所へ 去って行く 伸ばした手が 隙間風の中で 霞んで 消えた ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]猫しばたくの/藤鈴呼[2016年11月10日13時26分] 何処かで 見たことのある パッケージ 朧な記憶が 初夢と 重なる 御御籤は 大吉 二つも 会ったんだから 大丈夫 一つは 年賀状に 括り付けられた アレ 可愛らしい キティーちゃんの シール 一つは 自ら 赴いた神社で 100円コインで ゲットしたもの 嗚呼 だけど 嬉しさも 二倍なら 護符の力も 早凪ぐだろう 華やいだ 神殿を 肥えれば 次は 餅つき祭り ねえねえ こっちに おいでなさい と 手招いてばかりの猫が 仰向けのまま 微笑んでいる ゴロンと 喉を 鳴らす角度で マツゲばかりが 可愛らしく 瞬いているから しばたけ しばたけ と ツゲの植木の中で 呟くの ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]バスローブ/藤鈴呼[2016年11月15日1時16分] ネグリジェじゃなくて ガウンじゃなくて なんだっけ バスローブを 思い出すのに こんなに 時間が かかったよ その間にも ふわふわ もこもこ 夢の中で 幾つもの 雲が 咲く 楽しそうに 描いてるよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]マイクロファイバー/藤鈴呼[2016年11月18日10時37分] ちゃぽりんと 浸かる湯の色 むらさきに 染まり我先 愛するを知る 思い出したんだ 一番 好きな色 見渡せば すこぅしずつは 染まってる フワフワの タオル マイクロファイバー製 柔らかくしたい肌には もってこい ティッシュの箱 いつも 5色だったから 争奪戦だった ジェリー・ビーンズ 今では 薄でのヤツが 流行っているから たまに 原色でしか 見られない 色 そして デジカメ パシャリ レンズの向こう側は いつだって 笑顔なのだけれど 下を向いた 瞬間 素に 戻ってない? 粗雑な 相槌を ゆっくりと 繰り返すみたいに 主観ばかり 入ってない? 朱肉に込めた 一字 著しく 違ってく どんな 辞書を 引いたって 応えは 出ない 出ないよ だって 君の欲しい 答えが 書いて有るのは 辞書じゃなくて 世界地図だから その 何処かを 注視 していてね シグナルの色が あと 何度 瞬いたら 出逢えるかな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]鰤を振る光景/藤鈴呼[2016年11月20日9時55分] とろみをつけたくて 片栗粉を 探したけれど こないだ 捨てたこと 思い出した 透明な タッパーに入れて 護りは 完璧な 筈だったのに 心の隙間に ちょっとした恋が 埋まっている みたいに そして その鯉が 少しずつ 濃度を増して 飛び跳ねる みたいにね 透け透けの シースルーが似合う夏には 細かった 腕も 少しずつ 筋肉質になって 逞しく 変わるよ それは 妄想 だけど 泥沼に 足を 掬われないようにって 必死で 長靴を 探す しゃぽしゃぽの雨だけならば こんなにも 軽い歩幅が 轍に 挟まれて ちょっと 苦しい ブリブリした 君に ちょっかい 出したくて 「さっき 食べたじゃん!」って 威張ってみたら 間違えた 数時間前に 焼いたのは 鯖だったの サバサバと 行きたいね ポニーテールが 似合うくらいの 角度で ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]ケダモノの実/藤鈴呼[2016年11月23日22時27分] ガリッと ゴキッと ケタタマシイ音を鳴らす 人齧りで ゴリラも ドキッと 引っ繰り返り 今来た道を 踵返して舞い戻りそうな 勢いで あなたが 舞う ちら・ほら・ちらら 世の中は 始まりの合図 Eyesばかりに 埋もれてないで もっと 下界を 見渡しなさいと 天使が言えば ふわり 天女が 舞い踊る 日本舞踊に 似合うのはね  きっと扇子 あなたの センスが 大問題と 水晶の 果てなく透明な球を 眺めるけれど 何処か 可笑しい この傷 昔から あったっけ? そうだったっけ? なんかね ちょっと 目の前が 霞むような 気がするの それ ひぶんしょうじゃない? ヒブンショウ? そう。蚊が跳び回るような  不愉快な感覚が するでしょう? うんうん だから 飛蚊症 ああ でもね  ちょっと 疲れてるって感じだから 憑かれてる、って感覚とは  ちょっと 違うの なら大丈夫 あなたは きっと 大丈夫だよ カリッ あの時 悪魔に見えた ケダモノの実 名前からして  近付き難かったのだけれど こんな 冬の澄んだ青空に  似合うくらい 干したての 煎餅蒲団が  一瞬で ふわっと 舞い上がっちゃうくらいに ジューシーなの そう リンゴのようにね 凛として いるのよ リンとして 活きるのよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]蒼パール/藤鈴呼[2016年11月25日8時55分] ずっと ずっと  走り続けて 止まらない そんな あなたに  似合う車は なんでしょね 内緒の話は あのねのね〜  なんて 可愛らしい少女の 口笛まで  響きそうな 刻 そうね 情熱なら  真っ赤でしょう だぁれ? 青色で モチベーションを 上げるだなんて そんなの 嘘っ子よ 良い子は 早く  御家に 帰らないと いけないの 早くしないと 永遠に 還れなくなって しまうのよ 自らの 姿に 元々は 鉄屑を 寄せ集めたもの  なぁんて 夢のない お話 ひけらかして ないで ちゃんと ブーンと 走りそうな愛車(ヤツ) 見極めてヨ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]泥仕合/藤鈴呼[2016年11月26日14時36分] カラカラの うずまき 音が出る直前に ジュワッと上がる 湯気ばかりを 連想する カピカピの クチビルが パキパキと 今にも ヒビワレテ しまいそうだけれども ぬめっとした 舌で 軽く 拭う そうすると 泥のように眠った 昼間の悪夢をも 払拭してくれそうな 鈍色の雑巾を 絞る瞬間を 思い出せる そのまま もう少しだけ 歩を進める 風は 吹かないから 少なくとも 部屋の中では 吹き溜まりの 空気感だけが ゆっくりと 存在していて 揺蕩う流れなど まるで なかったかのように 小さな角度で 頬をくすぐる 茶色の 輪っか 犬の 首輪のような 大きさのそれを 胸に 抱きしめる 粉雪だから 平気 大きな傘も差さずに 誰に 襲われても 太刀打ち出来る様に 床と並行に 持つ ぎゅっと握りしめた掌から ゆっくりと 滲み出すのは いつか ワタクシの肌を温めていた 赤色の 液体 それは ワインでもなく 血液と呼ばれる 個体でもない ささくれだった指先やら かじかんだ指の横側なんかに 惑わされぬように 指先で 三角を作り上げ その スペースから 見上げた空が 目に 痛かった ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]カカオ/藤鈴呼[2016年12月1日21時31分] おはようございます と言うと こんにちは が戻って来る それならば まだ イイ 許せる範囲内ですよ などと 上から目線で 豪語した後で 深い 溜息を 吐く それは 深い 深海の底で 見つけられた チョコレート 外側は L字型になっていて 何処までも 伸びるのです アーモンド入りならば 形は 丸でしょう なんて なんて 体たらく もっと 想像力を 働かせて ごらんなさい このチョコレートは 三角にだって 四角にだって 変身するのです 水のように 流れ 雲のように 戸惑いながら 固形物となる 瞬間 原材料の カカオを 一瞬でも 思い出して 貰えましたか もらえましたか 世の中は 甘い言葉で 溢れてる それは まるで チョコレートのよう 言い間違えても 皆が知っているから 大丈夫 誰の認識の中でも チョコレートが コーヒーに 変身することは ない 強いて 言うなれば 二人の相性が 最高などと 言うことで それは 味わった瞬間が なければ 分からないこと キラキラと揺れる この 白い粒は ゴミではないので 安心してくださいと  銀紙の表に 小さな文字で 描いても 誰も 読めないんだからね ただ 分かるのは 香ばしい 雰囲気 それだけで ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]空の道/藤鈴呼[2016年12月4日9時18分] アスファルトは灰色だと 思い込んでいたから 思わず目を疑った  冬の道 煌めくならば  銀色だったり するのだろう 今朝のように 真白の雪に  覆われていたり 今 タイヤが 踏み締めている  道はどうだ まるで 空を  漂っているかの ようだ 正面に見据える 太陽光が  眩い 時間帯 溶けた雪が 水溜まりになって  空を 映す 対向車との間に 浮かぶ雲  いや 残る雪も この 不思議な感覚を  増長させる わたし いま  そらを あるいて いるの ねえ くもさん  あなたは どこへ いくの 完全な 映し鏡とは 行かぬ具合が 妙に 心地良い 湖面に映る 空のような 雰囲気ならば 何度か 体験しているけれど 明らかな 路面であるのに 逃げ水を 眺めるくらいの距離まで 全てが 鈍色の空 嗚呼 翡翠が 落ちている と 思ったら 映り込んだ 青信号 零れたヒスイを ゆっくりと 踏み締めて 前に 進む 幸せの意志を 包み込むような 柔らかさを 得る 美しい ルビーの趣を 連想する 今度は 赤信号 ルビーは 追い越せない 必ず 一度は 止まるんだもの この上を 素通りすることは  許されないの 新たに 出現する 翡翠を もう一度 越える 太陽を 背にしてみれば もう 茶色の道 カラカラに 乾いた アスファルトは 何の 変哲も ない 嗚呼 いつも通りだね 一瞬だけの しあわせ体験 ハンドル 握りながら シャッター 切れなかったから 代わりに 言の葉で 記憶を 閉じ込めた 冬の 軌跡に ありがとう ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]銀のライト/藤鈴呼[2016年12月8日2時00分] これこれこんな風な ツライ出来事を乗り越えて 今の自分が在るんです 晴れやかに笑う姿 囲む フラッシュライト 何処かで 昔・昔から 平穏無事な生活は 正確に 区別されていて その 性格形成に於いても 難事件を超越した賜物だと 絶賛される事はあっても 逆はない 不可思議な 現実 それが 事実 自室に閉じこもって キラリと光る 銀色の物体を ゆらりと流れる瞳で 流れながら 静かな一粒を 落とす そんな 姿でしか 自らを 表現できない 例えば 零れるのは 白色灯 未だ LEDなんて  御洒落な表現すらも 知らなかった頃の お話 白昼夢に 埋もれて 人魚姫が 本当に 辿り着くのかと 波間を凝視してみても 懲らしめられるのは 岩場に打ち付ける ワカメたち ふよふよ と 楽しそうに 浮かんでいるのが 気に喰わない らしいんです いずれ 喰われる 運命なのにね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]待ち時間/藤鈴呼[2016年12月10日9時31分] こうやって 温いお湯だと コーヒーは 上手く 染まらない 色合いだけならば  完璧なのだけれども どうも 味が ついて 来ないのです 追う身だった 頃は 良かった 目の前に  楽しい存在が ブラ下がっていて そう 丁度 馬が 追い駆ける  人参のような 存在 それは 風に揺れて  色んな表情を 魅せて くれたし 眺めて居る だけでも とても 愉しかった 今では とても  グルメになって しまって と言っても 世の中に 横行している  グルメ雑誌や 番組のような 洒落っぷりは 何処にも  見受けられないのだけれど デキャンタ そう 呼ぶ度に ガラスの中で 何かが パキリ と  音を 立てる 温い湯を 熱湯にするのは  簡単で 熱い 祈りを捧げても 超能力者でも ないどころか マジシャンの 心得もないので 恐らく 無理であろうが 美しい 銀色のヤカンに 温い湯を入れて ほんの ちょっとの時間 コンロに置けば それは 沸々と  燃え上がるのです 我が 心のように 自由に 揺蕩う角度は ちょっとばかり 恐ろしくも 有りますが 良いでしょう 次の 一杯が 飲み干すには 丁度良い  温さに なるまで 温かな 机上で ちょっとダケ  放置 してみましょうよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]車の名前/藤鈴呼[2016年12月12日20時16分] ジャガーと言う名前を聞いて  思い出したのは 真夏の スウッとする  清々しさ それは  青い空に似合う 白い雲や 緑の山に 隠れるように  林立している 枝の隙間から見える  清流などでは なく 底に住む  蚊達の洗礼 処に寄り  虻は ブトと 呼ばれるらしい ここいらでは うるる そんな名前の 空気清浄器が  かつて 存在したこと 美しい 女優の  涼しげな 笑顔とともに 懐かしい記憶が 襲って来る 綺麗な 蘇りは 最早 期待 出来ないだろう 此れだけ 永い時間が  経過したのだ これ誰? などと 額の隙間に  数え切れぬ位の 縦縞を  刻む結果に なることぐらい 既に 承知している それでも  白い雪の 美しさだけは 健在で その結果は 賢明なのであった 清々しい 言い替えれば 冷たいばかりの笑顔には 引き攣った 氷柱が似合う 切っ先が 緩めば 滴り落ちる瞬間に 涙かと 勘違いをも  されそうだが 蛇のような カメレオンのような 蟷螂みたいな もしかしたら 麒麟みたいな 良く 分からないけれど  そんなシステムが 存在したでしょう ブラックアイスバーンを  ものともせず 止まってくれる  ABSみたいな名前を 間違って ABCと 呼び間違えたとて 元を知らぬ相手にとっては  全て 喜劇でしか ないんです 格好良い 留まり方なんて  知らなくったって 良いから 駐車場の 枠組みの中に  そっと おさまって みる この 白い死角に 囲まれた場所が 我の 居場所で有ると 言わんばかりに ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]帽子屋/藤鈴呼[2016年12月17日1時59分] 銀座の マルコポーロ 錆び付いた デキャンタは 合鐵製 オリジナリティーが 大事です 素材を包む リボンの角度が 一判 色合いは 此の際どうでも 良いのです などと言ったら  冷たい瞳で 睨まれた 馬鹿馬鹿しい位に 恐れ多い程に  拘り貫いた キャラクター あなたが 隠したいのは 頭髪か その中身か 見えぬ脳味噌の形を 連想しながら そっと 呟く 目の前に 白子を置いて いいえ 違うのです その素材 あなたも 御存知でしょう? 首を傾げる角度で ゆっくりと あなたが 停まった そのまま ここに 留まっている 幾つになるまで そうする? あなたが 被りたいのは 猫か 虎か 本当は どちらでも ないこと あなたは 知ってる ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]たいていのことは/藤鈴呼[2016年12月18日14時21分] 胸が ギューッ と 苦しくなったりすると 恋をしたのかって 思っていた そんな時代が  ゆっくりと されど  確実に 過ぎ去り こんな 事態に なりました 例えば 布団の中で 丸まって眠る 瞬間に 足の指を ピコピコと 動かす癖が いつの間にか 伝染してみたり 明け放った窓から もう 午后で有ることを知って 驚いたり 顔を 見合わせたままの角度で 爆笑した後で 豊齢線を 冷やしたいと 本気で 願っていたり 私達は 決して もやもやなど していないと 互いの 表情で 感じ取るのでしょう あなたが 決して TVを点けない時間帯に そのドラマの再放送が 流れてる あの時 涙しながら 眺めた記憶 また 締め付けられる 今度は スキー靴よりも 強力な 角度で 指の甲に うっすらと 赤い染みが 残っているのです すり傷や 切り傷が 当たり前だった時代 揺れる ブランコが 愛おしかった あの日の空を ゆっくりと 思い出しながら 呟くのです たいていのことは きっと どうにか なるさ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]泥棒猫/藤鈴呼[2016年12月23日9時53分] 袋もんずら、と言う言葉を 知っていますか ふくろごと、と言う 意味なんだそうです 昔は 良く 風呂敷を 多用して いました 白地に 緑 あれ もしかしたら 逆だったかも 知れません それは 時折 ギャグのように 私達の 隙間を 駆け抜けて行く 一陣の 風のように 縫い目 細やかに 視界を 染めるのです 歯科医、と言う 呼び名よりも 歯医者さん、の方が 解りやすいよ それは 訓読みだからね 眼医者さん、と言う 呼び名は どうも 聞きなれないね 眼科って 言われるよりは 分かりやすい気も するのだけれども その風呂敷は 昔ながらの 泥棒結びが 似合う柄 模様の呼び名は 解りませんが 誰しもが 一度は 眺めたことの 有る色 ただ ただ 袋の中身 それだけが 分からないのです ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]コトコト/藤鈴呼[2017年1月12日11時59分] カレーのルウを  必ず2箱 使用します 一度も 使ったことのない それは 若干 緊張 するんです 世の中に  所謂「不味いルゥ」は 存在しないのだと 信じて 来ました 少し前 本気で不味いルゥに 出会ってからは ちょっとダケ 警戒して いるのです 人参がなくても 煮込むことが 出来る食材 豚肉に ちょっと芽の出かかった ジャガイモに 玉ねぎ 昔っから 涙の出る時間帯は 決まっていて ああ そろそろヤバイなあと 思う頃に 流れ始めるのならば 何ら 問題は ないのですが 世の中は  そうは問屋が 大根卸みたいな感じで グルグルと 廻り続けて行くのですから 例えば 鍋の中の 具のように そして 割り入れた ルゥは 元々の箱が  若干 違ったとて 何ら 関係は 無いのです そんな 問題は なかったかのように 仲良く 煮込まれて いきます クツクツ 美味しそうな 音を 立てながら ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]彩の中/藤鈴呼[2017年1月13日20時23分] 自意識を 自覚しているか 客観的な意見を 取り入れられるか そんな 葛藤をする 瞬間に 脳内カラフル花が 咲き乱れるのかも しれません そんな 彩の中では 漆黒の闇 なんて表現をされると ちょっと 落ち着かざるを得ないような錯覚をも 生まれますけれども 果たしてどうなのでしょう 何となく 漆黒も闇も 同じような世界観だよ、などと 分かったようなことを 言いながら  口笛を 吹いてみても ツイと 圧されたなら 別の色が 直ぐに 顔を出して来そうな 危機感にも 包まれている風景が 浮かぶのです。 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]雪兎/藤鈴呼[2017年1月20日22時39分] お前は白い犬ではないと 呪文の如く 唱え始めた 連なる氷柱  垂れ下がっている屋根の角度まで  あと どれくらい 走り始めたタイヤを 歯止めするかのように 馬の轡型に並ぶ 葉の絨毯を 眺めつ進む どう眺めても リードしか 繋げなかったであろう 早朝の陽射しは ハンパない程に 眩しいから サンバイザーを 真横に建て付けて その内 正面に戻すからサと 楯突くのです ゆっくりと作業しないと 頭上に落ちるから  注意散漫のままでは ひんやりした感覚に 苛まれますよ、 と 和尚 和の心を以てして この難問が 解けますか  などと 問う 質問者と 回答者の 比例分配 ここに 雪粒ひとつ また 二つ どうしてだろう 段々と 兎に見えて来た ウサギ年に貰った 雪兎シールが 未だ残っているから 早めに使わないと イケナイのに 手紙を出す相手が いないのです 空いた隙間に埋め込まれた 瞳は 南天 ではないのだけれども 空虚な面持ちで 静かに呟く その音が つー と 響くようで  いたしかたない ぎゅっと 握り潰す訳にも いきませんので 恐る恐る 歩を進める 真横に視線を 感じながらも ゆっくりとした テイストだけ 味あわせていて ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]クツクツ/藤鈴呼[2017年1月21日7時53分] 飛び出しそうな 苛立ちを 必死で 喰い留めるのは 御玉の役目 大きな柄杓が 有ったなら  全ての苦しみを 救い上げることが  出来るのに そう願って 空を見上げたら  当たり前のように 北斗七星 引っくり返った角度が  何時だって 格好悪いと  悪態 吐いていた 筈なのに その夜は 涙が 出た 御玉は ドロドロになった カレーを  必死で 救い上げてる 今日は 人参がない って  言ったじゃない ヒステリックな声が 響く 彩りは 何よりも 大事なのよ 私達は カラフルな世界に  棲んでいるのだから そんな 怖い顔して  凄んだって 駄目 太刀打ち出来ない ジャガイモの隙間に  今しがた 芽吹いたばかりの桜を 詰め込んで ここで 越冬する 小さな虫たちに  見せてあげたい 切り取った 空の光は 北極星 もっと 北へ行けば  もっと 北風に 当たることが 出来るから 柔らかな バナナも  カッチンコッチンに 冷たく 固く なってしまって 北極点よりも 問題点が 難解過ぎて  ちょっと 理解するのに 時間が掛かっているの 溜まったストレスを 自由に開放するために  甘い チョコレートを食べて 折り合えぬ 会話ごと 鍋で 溶かしてしまうより  仕方ないんだもの こんな 雪の日は  足跡も 直ぐに 消えてしまうわ 革靴の コツコツと響く音を  聞いていたいのに アスファルトも  まるで なかったかのように  埋もれてしまうから 私は また  ここで 丸くなって 眠るのね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°  ---------------------------- [自由詩]煮込みうどんが出来上がるまで/藤鈴呼[2017年1月22日14時51分] あつあつ の うどん はふはふ と たべる ほおばる 舌が 火傷しそうな程の 熱で 溢れてる 仲良く 煮込まれたいと 欲しているかは 知らないが 分厚い 蒲鉾は 君の 唇 太くて長い 御饂飩は 私の 良し 意思 薄弱だ なんて 千切る歯を立てて 笑う グツグツと 煮える姿 泡の向こうに 煮え切らぬ表情の アイツ アツイほどの アイツの想い 握りしめた まま 握り潰せも せず オセロのように 引っくり返したり とっくり返したり 徳利を探したりしながら 時を待つ 松の上に留まる朱鷺が見られるのは きっと こんな季節 北風なんて なんのその だって 白と赤 あたたかな 鶏色は 幾つまで経っても  健在なのですよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]夢の世界で/藤鈴呼[2017年1月31日7時50分] 哂う 山茶花 唇の色合いを 秤にかけて 軽く 溜息 笹で 囲われた 冬の風景が 気に入らないと 嘆く 雪の 白さも 空の 藍さも 自らの 青さに 変わるだけ 竹藪は 何時までも 続かない スッと 角度を 変えれば 見たことも無い 美しさに 出逢えるのでしょう 夢の世界に 還れると 安心しておいで 一つだけ 気を付けるならば 葉の切っ先 柔らかな お餅みたいに膨らむ 君の頬を 傷つける 予感がするから 要注意 余寒お見舞い申し上げぬ間に 消えた桜に 問いかける 花びらの色が ちょっと 濃ゆすぎたのですね キミは わらう ゆっくりと 歯を見せた 中心部分が いやに黄色くて 目を伏せた ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]金平糖/藤鈴呼[2017年2月1日1時56分] ゆっさ ゆっさと 揺れる竹 先に飾られた 幾つもの願い 海と陸とを繋ぐ 小路を抜けて 浪の花を そっと 眺めてる かわいらしい こんぺいとう あまい ちいさな つぶだから 犬歯で 噛み砕いたり 臼歯で 磨り潰したり しないようにって 注意を していたの 岸壁に 打ち寄せる 細かな形を 連想しながら 温かな部屋で 寛ぐ瞬間 ほんの少しの 罪悪感を 覚えます それが 何に向けてで 有るのか 上手く 説明 出来るほど 想いは まとまって いないのだけれど ちょっとした 瞬間に ほろりと流れた涙を 冷たい 北風の所為にする 余裕くらいは あるみたい 箱を 開けるのが 何時だって 楽しみだった ひな祭りの 季節には ぼんぼりが お決まりで あの ぽおとした 薄明りが 何て いじらしいのだろうと 幼心に 感じていた 手前に置かれた 平行四辺形は とても 固くて プラスチック製だから 余り 心を 奪われなかった 筈なのに 今では 箱の中に あの 色合いを 見つけ出すと 嬉しくなって しまう いつかの あられと 勘違い 白 桃 黄緑 この 三色だけで 生きて行ける 気がしていたの だから こんぺいとうの中に 黄色が 混ざっていた 瞬間は 本当に 狼狽えた 驚いて 口が開いて 止まらなかったけれど その唇に 沿うように 甘い 金平糖のような 波の花が 転がり込んだから 全て 許されるような 錯覚を 憶えた 今だって 夢の中で あの 刺々しいけれども 甘い 感触を 憶えているわ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]フリーダイヤル/藤鈴呼[2017年2月1日23時24分] 黄金の名器で在るかの如くに 煌びやかだけを 見せびらかしてる 白いレースのカーテンが 似合うような 部屋の奥で リリリン♪と オンプマークまで つけたがる クセ 氷の隙間で 犇めき合う 身を寄せ合うなら この季節に 似合う おしくらまんじゅう それは 決して 冷凍庫に隠した 雪見だいふくとは  違う 柔らかさ むにゅっとした ムキュッとした 不思議な音と 僅かの彩 豊かな胸よりも もっと  包容力のある カーテンの隙間から 木漏れ日が 差して 何かの舞う 気配がする 音は 聞こえない 音は 見えない もし 見えたとしても レースの模様で 阻まれて しまうから 隠されて しまうのだから ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]灰樹花/藤鈴呼[2017年2月3日10時41分] 何処から生まれて 誰と つるんで どんな習性を持つのか 環境の 所為だけにして 味わえぬ日々を 噛み砕くように ぬめぬめのスープに 割り入れた 鶏ガラの素 素材は 木野子 舞茸の中国名は 何と 読むのか 知らぬけれど 灰の樹の花と 描くのです ぬくぬくと 炬燵の上で 例えば 暖炉を鳴らすような パチパチと言う音 これが 一番 最高なのだけれど 天婦羅は  油が飛び散るから 熱いね 気持ちが 厚過ぎて 測れなくなった時 中から 出て来るように 心臓を 突きたいけれど 駄目なの 気持ちって 心臓の 中には いないから それじゃあ 脳味噌みたいな 白子鍋なら イケるかって? そういうハナシ スリムになって いくんです まいたけスープで この身ごと 磨り潰して 噛み砕いて 自らも 崩れ落ちる 手前で 留まる ナラ カシ シイ ブナ 呼び方は 沢山ある ただ お気に入りの心材に 身を寄せて あたたまる 胞子のように いつかの 夢を 飛ばす ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]キラキラ/藤鈴呼[2017年2月11日0時47分] 最近の 日の出時刻を 知らぬから 未だ 明けきらぬ どころか 明ける 気配すらも 見せぬ塩梅の 暗き空を 見つめながら 車 走らせた タイヤは従順で もう これ以上ないって程の音量で コーンと啼いた後 時計回りに 動き始めた 真横から 動画として 眺めるならば 逆回転しているかのようにも 思える トリックアートの世界ならば お得意分野でしょう? などと 笑う あなたの上げている足の下に 本当は 台座など 存在しないのです ガチャリと音がして 隣の住人の 気配を知る その頃になり 漸く世の中は 耀さを 取り戻したけれど カーテンの内に 引き籠る身としては 確認する術が ないのです 何となく 耳に残る 階段音を 耳障りと取るのか 何時も通りの 時計の針のように 気になるけれども なかったものとして 脳内で 消し去るかは ワタクシに 委ねられていて その結果を 提出する レポート用紙すらも 朝刊に 挟み忘れた チラシのように 存在を 隠したかに 見えた  だからかな ふと目についた三日月の  切っ先の鋭さ以上に その長さが 気になって 斜め下で 可愛らしく光る  キラキラの星が ちょっとだけ 可哀相に 思えたの 踵を返す もう一度 振り返った瞬間  廻り逢えたのなら この心に 収めてみるのも  良いんじゃないかって 瞳だけでは 足りないのだと  ぼやきながら カメラ一つも 残っていない  大きなポケットばかりを まさぐるのです 空気に触れた 掌が 段々と 温もりを 取戻し 私は ほんの少しだけ 指先の 冷たさを 忘れられました ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]紅の裏切り者/藤鈴呼[2017年2月15日23時26分] 流れた血の意味を考える 原因ならば幾つも有る 素手で硝子を強く持ったからだ 悔しくて握りしめた拳の先に 切っ先の鋭い物体が飛び出していたからだ 或いは その涙の色が 部屋の赤玉に 呼応したのかも 知れぬ 時が流れて 言う事が転がる相手を本気で恨むのは 実に下らないことだと考えた それは 時間の無駄だから 時計の針ごと 排除してしまおうと 鼓動が聞こえぬ角度に 枕を持ち替える あの日見た夢には 可愛らしさの欠片も存在していなかったから 驚くくらい冷静に瞳を閉じた瞬間を 思い出してしまうくらい 酷く青い雪が 視界を染めていたけれど 振り返る余裕すら なかったのだと 気付く 残り物を平らげないと 次の皿は 出て来ないのです スプーンとフォークが煌めいて 日光をも反射すると 何かと健康的な錯覚は受けますが 錯覚は どこまで進んでも 幻覚 幻惑は どこまで嘆いても 味覚には 叶わないのです そのイメージを作り上げる為に 嗅覚を働かせてみましたが アンテナ一本立てるのを どうやら忘れてしまったみたい 微々たる力を振り絞って 叫びます その電話番号は ワタクシのものだけど ダイヤル式の黒電話は もう我が家には ないんだってこと 今日も 何かしらの音が響き 私は呼気荒く 叫ぶ代わりに この子機を 握りしめる ハイハットが合わさる角度で拍手をすると スッと傷跡が 消えてしまうかのような幻想 それだけを 握りしめながら ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]眠る前に/藤鈴呼[2017年2月16日20時58分] 見上げる蛍光灯 ぶら下がる 何か 宙ぶらりんの想いも 飲みこむような夜が じわり じわり だけど 確実に 一日一回  廻って 来るよ その時刻になったら 地球の裏側に ジャンプしたい 固い アスファルト 思い切り 踏みしめて 軽く 地団太 今日の 喧嘩 示談にするには 暖かな 蛍光灯が 欠かせない パチリ 点けて 夜に 消しても 悔しいこと だらけなら パチリ 睫毛は 開いた ままだから そんな風に 心の眸 いつも オープンで 活きられたら いいな ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]夕暮れの あんドーナツ/藤鈴呼[2017年2月17日9時57分] 砂糖をまぶしただけでは飽き足らない ただの揚げでも駄目だ それは 魚くさいどころか 水くさいくらいの 懐かしさに 満ちていて 目を閉じても 浮かんで来る程 青空に 近い 雲のような 存在だった 中身なら 出来るだけ 詰まっているのが 望みだろう 頭だって 然り だけど 口ずさめば ハミングだと 認められる わけでは ない そういうことばかり 口走っては 窘められた 手で制されてしまえば 向こう岸へ 渡ることなど 出来ないから すり抜けようとして 空間を 探す 長いばかりの 葦の 向こう側 そっと伸ばすは 左足 どうして? うん、私、右利きだから 何時だって 逃げられるように 右側は 残して置くの 自分の 一番 近い場所 それは 真下 でもね、踏み出さないと、歩けないこと 知って いるから 水溜りの冷たさが 指先に浸透して  仕方が無いの 長靴だから ゴム製だから どんなに長いジッパーのついた靴底よりも 安心できるって 靴屋さんは 教えてくれたのに 一歩ちゃぷりと漬けただけで こんなにも 痺れるのよ ココロがね コトンって 音を立てて 崩れ落ちるような 感覚 ねえ あなたに 解るかな そう言いながら頬張る あんドーナツが やけに 甘かった ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]素手/藤鈴呼[2017年2月22日11時42分] 何処まで 走りたいですか と 問いかけて どこまでも と 応える 最初は 同じなのだけれども 頷く頬の角度から 冷たい影が 伸びているようで ずっと 見つめていたら 風邪を引いた ウイルスなんて 目に見えないんだから 大丈夫だって 水で薄めた洗剤を ぽつぽつと 押す 容器の中で  それらは 固まり尽くしている 割り箸で 突くと 今迄 仲良かった 粒ぞろいの洗剤たちが イヤイヤと 首を振りながら ゆっくりと 離れて行くのです いや 違うでしょう もっと こう 固形なんだから 例えば そう スライムみたいな・・・ 言いかけて 止まる 吸盤に 吸いつく瞬間のように 彼等が 集まり始めたからだ ダッシュボードの上で 影が動く 右下がりなんだから 左側に 移動する訳はないのに 窓に残る 雨粒とは 反対方向に 動く そういうことならば 話は 早いのですが 何度も通り過ぎた シグナルの色が とうに 分からなくなるくらいの 暗闇 普通ならば その方が クッキリ ハッキリ する筈なのに いつもの あなたの 相槌みたいに ゆるやかな ペースで 苛立ちを 加速させる スライムみたいな 色の ちょっと 腐りかけている かつては シャキッとしていた葉を かき集めるのに 素手で 充分だ ゴム手袋なんて 今は 必要ないよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- (ファイルの終わり)