藤鈴呼 2016年10月3日20時49分から2017年1月22日14時51分まで ---------------------------- [自由詩]朱鷺が咲く/藤鈴呼[2016年10月3日20時49分] ぷかぷかと 心地よさそうに浮かぶ オレンジ色の果実で 今日が 冬至だと 思い出した はしゃぐ 子供達 横目で 眺めているのが 分かるけれど こちらは 痛みと 格闘している 最中だから 無碍にも 出来ない 相手を する気も ない そのくらいの 空気感 奥まった位置で ひっそりと 鼻を近づける 御婦人 貴女の集う 台所に いつもある アレでは ないのですね スーパーでは ゆずコーナー 「今日 売り切らないと 潰される運命ですから 勿体ない」 とでも 言うかのような 叩き売り状態 実際に 長細い棒で 叩く仕草ばかりがオツなオッサンは 移動中 突然の雪で スコップを探している 最中なのです などと 言う みっともない 痛みなどない 笑顔しか知らぬ 若い唇が にやりと動く度 本気で 叩きたい衝動に 駆られますが 大丈夫 ここは 大分大きな浮力が 働いていますので よもやかたたたかまじとは思いますけれども そんな 突然の アクシデントにも 対応 可能なのです  そう 呟くかのような 角度に 翼が ゆっくりと 広がる 飛沫を 上げて タイヤが 行き過ぎる 角度で 全てを みつめているかのように ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]「憂夢」/藤鈴呼[2016年10月5日10時20分] ゆったりと 眺める 枕元に ひとつ あたたかな あなた いつかの 夢の如くに ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°゜ ---------------------------- [自由詩]冬空君臨/藤鈴呼[2016年10月12日9時00分] 震える身体を温めたいと 寄り添った枝が 乾いた空気を纏ったまま パチリと音を鳴らす 窓を叩く 霰との 二重奏 本当は 枝切り鋏も 加わったから  三重奏なのだけれども 認めたくないのと 赤く流れる液体を  白い布で拭きとる仕草が哀しくて  瞳を逸らす 逸らされたままの 木の実が  コロンと 所在なさげに 微笑んで  その 寂しそうな 揺れ具合に  ぽろんと流れた 涙 一つ この 雪の奥に 閉じ込めたまま  新しい ハミングを 重ねた 御寂しお見舞い申し上げます そんな言葉が 存在するものと  熨斗を眺めながら 呟けば 否 と 空から  天使が舞い降りたふう ゆっくりと ささやかな 音を借りて  ここが 楽園なのだと 言わんばかりに  かさこそと 肌を くすぐるから  ふわりと 口角が 上がるのです 上を向いた 蕾が  未だ未だ 咲く気配なぞ 見せぬのに  何処かしら 安心できるのは 必ずや 咲く筈だと 断言できる程の 力強さに 囲まれているからなのです 切っ先鋭い刃を以てしても  二度と 途切れぬ 関係のように 出来るならば 流すのは 赤い液体のみならず  同じ色ならば 糸で包まれて 生きたいのです 揺れる雲の角度が  どんな風に 描かれたとしても  この 桜の悪戯を 笑って 受け留められるようにと ゆっくりと 眺める 冬空を包む 枯れ枝の隙間に 次の春を 探すみたいに ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]すりおろしりんご/藤鈴呼[2016年10月16日14時48分] 赤かった皮のことなんて なかったような角度で スリオロサレル リンゴの身になって御覧なさい 決して実になってはイケマセン まして見に行ってはいけませんよと言われると 覗き見したくなるのは 人の常でも有りますが 我慢なさいと おっかあが おっしゃったので 頷きたかったのだけれども 肺が痛くて 声が出ない 会話の途中で 遮るような 車窓から 手を振る子供達の 笑顔を見るにつけ 虚しくなるけれど 大丈夫 ここには 温かな液体が 存在するのですから 今すぐ 飲み干してしまおうと 独り言 杯を重ねる度に 肺の痛みなど まるで なかったかの ようになる 鶏の皮の ポン酢和えが オススメですと 店員の進言に従って 進めば 落とし穴 はるか 向こう側まで 見えるかのような穴には 注意した方が 懸命 それならば マンホールに 片足突っ込んで 笑われていた方が 良いものか 迷う時 一瞬にして 肌の色は 赤く 染まる 酔っ払いの 合図 忘れていた 皮の色が 見事に蘇る こんなに リアルな テカテカは 自然界では お目見えしませんと 店員の小言に 付き合わされちゃあ たまらないと 身をよじり 見ないように しているのだけれども 耳を かっぽじって 良く聞けと 言わんばかりに 銀色のボールを 出されるから ヨウジを 手にして しまうのです ふよふよと浮く  塩漬けにされた 甘かった林檎が 少しだけ  そっけなく しぼんだふうで お前は そんな筈じゃあ なかっただろう  もっと 輝いていた筈だろうと 嘆く声だけが 響くから 反響するような 窓と言う窓を 全て 閉じた後で カーテンを引く ミュートしてしまえ 全てを すりおろしてしまえ 果実を コソギ落としてしまいたいのは 脂肪の事実 死亡させるには 期間限定の現実 ぷんわりと 甘い香りを放つ 餅ばかりが 待ち遠しいけれど 空腹にまかせて かっこんだら きっと 後悔を するんだからって お天道様が ゆっくりと 微笑むのです ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]何もないところから始めよう/藤鈴呼[2016年10月26日20時56分] 冷たいコンクリート 吹き荒ぶ風 何処か心地良いのは 温もりを 信じられるから 何処か心許ないのは 温もりを 信じきれぬから それでも 切れぬ糸を 紡ぎ続けたら 何かの文字が 出来上がる ワタクシが 一つの筆で 目一杯に 肢体くねらせ 時に 蛙転びをして 笑われたって いいや モノクロームの砂の上 白と黒と  誰かが運んだ 瓶ビール その欠片 緑色の硝子 不思議な色合いの 貝殻 全てを 繋ぎ合わせ ネックレスを 作るの 飾る首の文様が 幾重にも 皺くちゃになるまで ネックレスを つくるの ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]大地の広場/藤鈴呼[2016年10月28日20時18分] 喉元でクグモッテいる言葉を 噛み砕いてみないか ヨダレを垂らした狼が 遠吠えを繰り返す 夜が好きで 闇がキライで 狭い処は 何故か安心できるからと 膝を抱えて眠る その態勢は 心配事を抱えている証拠だよと 夢の中で 狐が笑う 精一杯 背骨をS字に折り曲げて  垂直の文字を 描くように 髪の毛 全てを 束ねて  カラーリングなど 必要ないのと 自ら溶いた炭で 掻きつける 硯の窪み方が 大きすぎて 転がってしまうかのよう 和紙の厚みが 足りないから 裸足で駆け抜けるには 危険すぎる道 芝生の上ならば 安全だろうか 隅っこで 地面を 蹴り上げながら  少しでも多く 泥を掻き出す仕草をしながら 大きなスコップを 探す ここには筆がないから 大きな文字を 描くには 身体を 魚のように くねらすしか 仕様がないのだけれど ここには墨がないから 見やすい言葉を 表現するには 改行を増やすしか 致し方 ないのだけれど 春の息吹の中で 身体が筆になるような気持ちを 連想しながら ガリガリに磨いた 鉛筆の芯を 今度こそ 折り曲げないようにと 運ぶ 吹きすさぶ風の中に  温もりを感じられる 不思議 蕾の息遣いが  暖かく感じられるのかも しれないと 希望だけは 忘れずに 次の 一言を 探しながら ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]その場所/藤鈴呼[2016年10月30日1時55分] 強制的に 何かをしなければならない 空間が或る 沢山のポール 敷き詰められたアスファルト コツコツと響くのは ヒール音 それとも 誰かが バラ撒いた 小銭の音 ジャラ銭と呼んだら 以前 笑われた 一つの事象に対する感覚は 千差万別で 誰かに どう 思われようと 構わない そう 強行な鋼を張り付けて見ても 良く眺めてみれば 貼り付けた鎧は 糊が濡れれば  簡単に 剥がれ落ちて しまうのです ほんの少し 掠れた ツライ と 豪語するには 古びたような声色に 振り返ってみれば 薄手のマントが ひらひらと 翻るかのよう そうか 重い存在感が ないからなのね 昔の偉人がプリントされたTシャツならば 幾らも街中を闊歩しているのに その 半切ればかりが 反抗的だから 三つ折りにするのが面倒で そのまま入れられる ポチ袋を探す ポチ そう 呼ばれれば 白いワンコを 連想するよ タマ そう 呼んでみたいけれど 茶のニャンコは 何処かへ 消えたよ 町中が 薄ら笑いを浮かべてるんじゃなくて 今が 夕刻なだけ もう少し 光差す場所まで 歩ければね 後光が差す色合いに 包まれるかも知れないのに 歯がゆくて ハシタナクテ この 右腕を 差し出す どうか 噛んでみて下さい あなたの歯型が 活きている 証 ある時はフリマ ある時は就活  色々なイベントに使われる スペースですから  たまに スポーツをする場所にも なるのかな それならば ゴール設定してみよう この競技は 手でボールを触ったら イケマセンだとか ドリブルの秒数が 決まっていますだとか ゴールの代わりに 手カゴなんですとか 色んなルールに縛られたら 縦横無尽に走り出せないから ねえ 一つだけ 教えて 先ずは脳内燃焼  それで昇天してしまわぬように  焦点を合わせることが肝心ですねぇ  そうしないと 筋肉痛になる前に  燃焼グッズ痛になって 商店ばかりに 散財してしまう羽目に なりかねないからさ このシューズ 足に しっくりと 喰い込んで いますか 余計な一歩は  踏み出したく ないんです ちょっと 地団駄踏んで 遊んでみるからさ ねえ 一つだけ 教えて ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]コタンコロカムイ/藤鈴呼[2016年11月2日9時05分] 冬の寒い夜も 夏の暑い昼も 春のうららかな昼寝のハンモックも 秋のさみしげな落ち葉のじゅうたんも あなたと二人で作り上げた ダイヤモンドダストが光る頃 十字を切って行き過ぎる渡り鳥 彼等 白鳥よりも 大きな羽根を広げたら 畳のようだって 笑われたわ 我等は留鳥 全てを流暢に見渡す必要が有るのです お供は犬 いえ 家来とか言う次元の話では ないの 同志なんです 本当は 気まぐれな猫も好きだけれど 此の際 仕方がない 切っ先 鋭い瞳で 世の中を 眺める内に ちょっと 斜め見る癖も ついたけれど 煌めく紫が 厳かに揺れる夜が 何よりも 似合うのでしょう 縞も マーブルも 丸め込んだ ゴールドアイズ 今宵も キラリと 響くよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]大福の中身/藤鈴呼[2016年11月3日12時24分] や〜らかい あんころもちに 例えられる ふわふわ頬は 幾つまで ぷにぷにの頬を つまむ仕草が 可愛らしいけれど 指は案外と イカツイ この厳つさは 沢山の苦悩を 握りしめて来た所為だ 本来ならば 潰したい ところなのだけれど むにゅっ と かわいらしくもない角度で 餡子ではない物体が 飛び出して来たら きっと ビビるから 美微とした ちょこっとの 優しい存在を求めて ほおばるのだけれど いつだって 笑顔 残せるとは 限んないから 頬を張られることのない春を 願うだけ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]葬列/藤鈴呼[2016年11月6日11時36分] 七色を越えて どれだけのカラフルを かき集めても 足らないくらい あなたで 溢れてた 町の外れの コンビナート しなびた階段 幾重にも伸びた 冬枯れの 枝の先に 天使が 巣食う その 終の棲家は ハンモックで揺られ 木漏れ日で 彩られ 星明りで 耀いた 切り取られた空間の奥に モノクロの十字架 青い海や 拾う泡が 二度と 訪れない場所へ 去って行く 伸ばした手が 隙間風の中で 霞んで 消えた ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]猫しばたくの/藤鈴呼[2016年11月10日13時26分] 何処かで 見たことのある パッケージ 朧な記憶が 初夢と 重なる 御御籤は 大吉 二つも 会ったんだから 大丈夫 一つは 年賀状に 括り付けられた アレ 可愛らしい キティーちゃんの シール 一つは 自ら 赴いた神社で 100円コインで ゲットしたもの 嗚呼 だけど 嬉しさも 二倍なら 護符の力も 早凪ぐだろう 華やいだ 神殿を 肥えれば 次は 餅つき祭り ねえねえ こっちに おいでなさい と 手招いてばかりの猫が 仰向けのまま 微笑んでいる ゴロンと 喉を 鳴らす角度で マツゲばかりが 可愛らしく 瞬いているから しばたけ しばたけ と ツゲの植木の中で 呟くの ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]バスローブ/藤鈴呼[2016年11月15日1時16分] ネグリジェじゃなくて ガウンじゃなくて なんだっけ バスローブを 思い出すのに こんなに 時間が かかったよ その間にも ふわふわ もこもこ 夢の中で 幾つもの 雲が 咲く 楽しそうに 描いてるよ 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コーヒーに 変身することは ない 強いて 言うなれば 二人の相性が 最高などと 言うことで それは 味わった瞬間が なければ 分からないこと キラキラと揺れる この 白い粒は ゴミではないので 安心してくださいと  銀紙の表に 小さな文字で 描いても 誰も 読めないんだからね ただ 分かるのは 香ばしい 雰囲気 それだけで ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]空の道/藤鈴呼[2016年12月4日9時18分] アスファルトは灰色だと 思い込んでいたから 思わず目を疑った  冬の道 煌めくならば  銀色だったり するのだろう 今朝のように 真白の雪に  覆われていたり 今 タイヤが 踏み締めている  道はどうだ まるで 空を  漂っているかの ようだ 正面に見据える 太陽光が  眩い 時間帯 溶けた雪が 水溜まりになって  空を 映す 対向車との間に 浮かぶ雲  いや 残る雪も この 不思議な感覚を  増長させる わたし いま  そらを あるいて いるの ねえ くもさん  あなたは どこへ いくの 完全な 映し鏡とは 行かぬ具合が 妙に 心地良い 湖面に映る 空のような 雰囲気ならば 何度か 体験しているけれど 明らかな 路面であるのに 逃げ水を 眺めるくらいの距離まで 全てが 鈍色の空 嗚呼 翡翠が 落ちている と 思ったら 映り込んだ 青信号 零れたヒスイを ゆっくりと 踏み締めて 前に 進む 幸せの意志を 包み込むような 柔らかさを 得る 美しい ルビーの趣を 連想する 今度は 赤信号 ルビーは 追い越せない 必ず 一度は 止まるんだもの この上を 素通りすることは  許されないの 新たに 出現する 翡翠を もう一度 越える 太陽を 背にしてみれば もう 茶色の道 カラカラに 乾いた アスファルトは 何の 変哲も ない 嗚呼 いつも通りだね 一瞬だけの しあわせ体験 ハンドル 握りながら シャッター 切れなかったから 代わりに 言の葉で 記憶を 閉じ込めた 冬の 軌跡に ありがとう ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]銀のライト/藤鈴呼[2016年12月8日2時00分] これこれこんな風な ツライ出来事を乗り越えて 今の自分が在るんです 晴れやかに笑う姿 囲む フラッシュライト 何処かで 昔・昔から 平穏無事な生活は 正確に 区別されていて その 性格形成に於いても 難事件を超越した賜物だと 絶賛される事はあっても 逆はない 不可思議な 現実 それが 事実 自室に閉じこもって キラリと光る 銀色の物体を ゆらりと流れる瞳で 流れながら 静かな一粒を 落とす そんな 姿でしか 自らを 表現できない 例えば 零れるのは 白色灯 未だ LEDなんて  御洒落な表現すらも 知らなかった頃の お話 白昼夢に 埋もれて 人魚姫が 本当に 辿り着くのかと 波間を凝視してみても 懲らしめられるのは 岩場に打ち付ける ワカメたち ふよふよ と 楽しそうに 浮かんでいるのが 気に喰わない らしいんです いずれ 喰われる 運命なのにね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]待ち時間/藤鈴呼[2016年12月10日9時31分] こうやって 温いお湯だと コーヒーは 上手く 染まらない 色合いだけならば  完璧なのだけれども どうも 味が ついて 来ないのです 追う身だった 頃は 良かった 目の前に  楽しい存在が ブラ下がっていて そう 丁度 馬が 追い駆ける  人参のような 存在 それは 風に揺れて  色んな表情を 魅せて くれたし 眺めて居る だけでも とても 愉しかった 今では とても  グルメになって しまって と言っても 世の中に 横行している  グルメ雑誌や 番組のような 洒落っぷりは 何処にも  見受けられないのだけれど デキャンタ そう 呼ぶ度に ガラスの中で 何かが パキリ と  音を 立てる 温い湯を 熱湯にするのは  簡単で 熱い 祈りを捧げても 超能力者でも ないどころか マジシャンの 心得もないので 恐らく 無理であろうが 美しい 銀色のヤカンに 温い湯を入れて ほんの ちょっとの時間 コンロに置けば それは 沸々と  燃え上がるのです 我が 心のように 自由に 揺蕩う角度は ちょっとばかり 恐ろしくも 有りますが 良いでしょう 次の 一杯が 飲み干すには 丁度良い  温さに なるまで 温かな 机上で ちょっとダケ  放置 してみましょうよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]車の名前/藤鈴呼[2016年12月12日20時16分] ジャガーと言う名前を聞いて  思い出したのは 真夏の スウッとする  清々しさ それは  青い空に似合う 白い雲や 緑の山に 隠れるように  林立している 枝の隙間から見える  清流などでは なく 底に住む  蚊達の洗礼 処に寄り  虻は ブトと 呼ばれるらしい ここいらでは うるる そんな名前の 空気清浄器が  かつて 存在したこと 美しい 女優の  涼しげな 笑顔とともに 懐かしい記憶が 襲って来る 綺麗な 蘇りは 最早 期待 出来ないだろう 此れだけ 永い時間が  経過したのだ これ誰? などと 額の隙間に  数え切れぬ位の 縦縞を  刻む結果に なることぐらい 既に 承知している それでも  白い雪の 美しさだけは 健在で その結果は 賢明なのであった 清々しい 言い替えれば 冷たいばかりの笑顔には 引き攣った 氷柱が似合う 切っ先が 緩めば 滴り落ちる瞬間に 涙かと 勘違いをも  されそうだが 蛇のような カメレオンのような 蟷螂みたいな もしかしたら 麒麟みたいな 良く 分からないけれど  そんなシステムが 存在したでしょう ブラックアイスバーンを  ものともせず 止まってくれる  ABSみたいな名前を 間違って ABCと 呼び間違えたとて 元を知らぬ相手にとっては  全て 喜劇でしか ないんです 格好良い 留まり方なんて  知らなくったって 良いから 駐車場の 枠組みの中に  そっと おさまって みる この 白い死角に 囲まれた場所が 我の 居場所で有ると 言わんばかりに ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]帽子屋/藤鈴呼[2016年12月17日1時59分] 銀座の マルコポーロ 錆び付いた デキャンタは 合鐵製 オリジナリティーが 大事です 素材を包む リボンの角度が 一判 色合いは 此の際どうでも 良いのです などと言ったら  冷たい瞳で 睨まれた 馬鹿馬鹿しい位に 恐れ多い程に  拘り貫いた キャラクター あなたが 隠したいのは 頭髪か その中身か 見えぬ脳味噌の形を 連想しながら そっと 呟く 目の前に 白子を置いて いいえ 違うのです その素材 あなたも 御存知でしょう? 首を傾げる角度で ゆっくりと あなたが 停まった そのまま ここに 留まっている 幾つになるまで そうする? あなたが 被りたいのは 猫か 虎か 本当は どちらでも ないこと あなたは 知ってる ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]たいていのことは/藤鈴呼[2016年12月18日14時21分] 胸が ギューッ と 苦しくなったりすると 恋をしたのかって 思っていた そんな時代が  ゆっくりと されど  確実に 過ぎ去り こんな 事態に なりました 例えば 布団の中で 丸まって眠る 瞬間に 足の指を ピコピコと 動かす癖が いつの間にか 伝染してみたり 明け放った窓から もう 午后で有ることを知って 驚いたり 顔を 見合わせたままの角度で 爆笑した後で 豊齢線を 冷やしたいと 本気で 願っていたり 私達は 決して もやもやなど していないと 互いの 表情で 感じ取るのでしょう あなたが 決して TVを点けない時間帯に そのドラマの再放送が 流れてる あの時 涙しながら 眺めた記憶 また 締め付けられる 今度は スキー靴よりも 強力な 角度で 指の甲に うっすらと 赤い染みが 残っているのです すり傷や 切り傷が 当たり前だった時代 揺れる ブランコが 愛おしかった あの日の空を ゆっくりと 思い出しながら 呟くのです たいていのことは きっと どうにか なるさ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]泥棒猫/藤鈴呼[2016年12月23日9時53分] 袋もんずら、と言う言葉を 知っていますか ふくろごと、と言う 意味なんだそうです 昔は 良く 風呂敷を 多用して いました 白地に 緑 あれ もしかしたら 逆だったかも 知れません それは 時折 ギャグのように 私達の 隙間を 駆け抜けて行く 一陣の 風のように 縫い目 細やかに 視界を 染めるのです 歯科医、と言う 呼び名よりも 歯医者さん、の方が 解りやすいよ それは 訓読みだからね 眼医者さん、と言う 呼び名は どうも 聞きなれないね 眼科って 言われるよりは 分かりやすい気も するのだけれども その風呂敷は 昔ながらの 泥棒結びが 似合う柄 模様の呼び名は 解りませんが 誰しもが 一度は 眺めたことの 有る色 ただ ただ 袋の中身 それだけが 分からないのです ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]コトコト/藤鈴呼[2017年1月12日11時59分] カレーのルウを  必ず2箱 使用します 一度も 使ったことのない それは 若干 緊張 するんです 世の中に  所謂「不味いルゥ」は 存在しないのだと 信じて 来ました 少し前 本気で不味いルゥに 出会ってからは ちょっとダケ 警戒して いるのです 人参がなくても 煮込むことが 出来る食材 豚肉に ちょっと芽の出かかった ジャガイモに 玉ねぎ 昔っから 涙の出る時間帯は 決まっていて ああ そろそろヤバイなあと 思う頃に 流れ始めるのならば 何ら 問題は ないのですが 世の中は  そうは問屋が 大根卸みたいな感じで グルグルと 廻り続けて行くのですから 例えば 鍋の中の 具のように そして 割り入れた ルゥは 元々の箱が  若干 違ったとて 何ら 関係は 無いのです そんな 問題は なかったかのように 仲良く 煮込まれて いきます クツクツ 美味しそうな 音を 立てながら ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]彩の中/藤鈴呼[2017年1月13日20時23分] 自意識を 自覚しているか 客観的な意見を 取り入れられるか そんな 葛藤をする 瞬間に 脳内カラフル花が 咲き乱れるのかも しれません そんな 彩の中では 漆黒の闇 なんて表現をされると ちょっと 落ち着かざるを得ないような錯覚をも 生まれますけれども 果たしてどうなのでしょう 何となく 漆黒も闇も 同じような世界観だよ、などと 分かったようなことを 言いながら  口笛を 吹いてみても ツイと 圧されたなら 別の色が 直ぐに 顔を出して来そうな 危機感にも 包まれている風景が 浮かぶのです。 ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]雪兎/藤鈴呼[2017年1月20日22時39分] お前は白い犬ではないと 呪文の如く 唱え始めた 連なる氷柱  垂れ下がっている屋根の角度まで  あと どれくらい 走り始めたタイヤを 歯止めするかのように 馬の轡型に並ぶ 葉の絨毯を 眺めつ進む どう眺めても リードしか 繋げなかったであろう 早朝の陽射しは ハンパない程に 眩しいから サンバイザーを 真横に建て付けて その内 正面に戻すからサと 楯突くのです ゆっくりと作業しないと 頭上に落ちるから  注意散漫のままでは ひんやりした感覚に 苛まれますよ、 と 和尚 和の心を以てして この難問が 解けますか  などと 問う 質問者と 回答者の 比例分配 ここに 雪粒ひとつ また 二つ どうしてだろう 段々と 兎に見えて来た ウサギ年に貰った 雪兎シールが 未だ残っているから 早めに使わないと イケナイのに 手紙を出す相手が いないのです 空いた隙間に埋め込まれた 瞳は 南天 ではないのだけれども 空虚な面持ちで 静かに呟く その音が つー と 響くようで  いたしかたない ぎゅっと 握り潰す訳にも いきませんので 恐る恐る 歩を進める 真横に視線を 感じながらも ゆっくりとした テイストだけ 味あわせていて ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- [自由詩]クツクツ/藤鈴呼[2017年1月21日7時53分] 飛び出しそうな 苛立ちを 必死で 喰い留めるのは 御玉の役目 大きな柄杓が 有ったなら  全ての苦しみを 救い上げることが  出来るのに そう願って 空を見上げたら  当たり前のように 北斗七星 引っくり返った角度が  何時だって 格好悪いと  悪態 吐いていた 筈なのに その夜は 涙が 出た 御玉は ドロドロになった カレーを  必死で 救い上げてる 今日は 人参がない って  言ったじゃない ヒステリックな声が 響く 彩りは 何よりも 大事なのよ 私達は カラフルな世界に  棲んでいるのだから そんな 怖い顔して  凄んだって 駄目 太刀打ち出来ない ジャガイモの隙間に  今しがた 芽吹いたばかりの桜を 詰め込んで ここで 越冬する 小さな虫たちに  見せてあげたい 切り取った 空の光は 北極星 もっと 北へ行けば  もっと 北風に 当たることが 出来るから 柔らかな バナナも  カッチンコッチンに 冷たく 固く なってしまって 北極点よりも 問題点が 難解過ぎて  ちょっと 理解するのに 時間が掛かっているの 溜まったストレスを 自由に開放するために  甘い チョコレートを食べて 折り合えぬ 会話ごと 鍋で 溶かしてしまうより  仕方ないんだもの こんな 雪の日は  足跡も 直ぐに 消えてしまうわ 革靴の コツコツと響く音を  聞いていたいのに アスファルトも  まるで なかったかのように  埋もれてしまうから 私は また  ここで 丸くなって 眠るのね ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°  ---------------------------- [自由詩]煮込みうどんが出来上がるまで/藤鈴呼[2017年1月22日14時51分] あつあつ の うどん はふはふ と たべる ほおばる 舌が 火傷しそうな程の 熱で 溢れてる 仲良く 煮込まれたいと 欲しているかは 知らないが 分厚い 蒲鉾は 君の 唇 太くて長い 御饂飩は 私の 良し 意思 薄弱だ なんて 千切る歯を立てて 笑う グツグツと 煮える姿 泡の向こうに 煮え切らぬ表情の アイツ アツイほどの アイツの想い 握りしめた まま 握り潰せも せず オセロのように 引っくり返したり とっくり返したり 徳利を探したりしながら 時を待つ 松の上に留まる朱鷺が見られるのは きっと こんな季節 北風なんて なんのその だって 白と赤 あたたかな 鶏色は 幾つまで経っても  健在なのですよ ★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・° ---------------------------- (ファイルの終わり)