藤鈴呼 2014年9月21日22時58分から2014年11月13日9時32分まで ---------------------------- [自由詩]ノムラ/藤鈴呼[2014年9月21日22時58分] 紅き屋根を 包むような松が まるで 人型のようで 目はどこだ 足は何処だと 探したく なりました 枝についた雪は 昼間のもの 夕方には あたたかな光で 御覧の通り 溶けてしまいました この枝 紅葉でして ノムラ と言う 種類なんですって。 ---------------------------- [自由詩]ピーマン/藤鈴呼[2014年9月22日20時30分] 茄子ならば ミートソースか ナポリタン あら 一句 できちゃった 紅いものは 心が ぬくたまります。 ぬっくい・ぬっくい♪ と にこちゃんまーくした 湯飲み茶わんを 連想するような。 暖かい缶コーヒーのことを ぬくたま まめこ汁 と呼んだ友人も いたなあ 茄子と言えば 茄子炒め 合せるのは ピーマン ピーマンと言えば 肉詰め 旦那は シイタケ嫌いなんだけれど 肉詰めならば 食べれるかも? なんて言う そんなら作っちゃろか?と 問うと あえて わざわざ オーダーするまでも無い と 口を 濁す ---------------------------- [自由詩]つぶし・まぶし/藤鈴呼[2014年9月23日23時12分] 苦虫を さらに 噛み潰し 要らぬ原稿 紙つぶし アタシャ いつでも 暇つぶし そろそろ 食べたい ひつまぶし ---------------------------- [自由詩]ひきにくげーむ/藤鈴呼[2014年9月25日0時20分] すり潰すのは リンゴに非ず 挽肉です 挽肉ならば ハンバーグ 何時から 始まったの 連想ゲーム やはり 食欲からは 離れられないの ---------------------------- [自由詩]窓際の破片/藤鈴呼[2014年9月25日21時42分] 反射鏡の こちら側から見た世界は 鋭角に 歪んで 鏡台に 腰掛けた私は 危うく 転がり落ちた 睫毛に描いた 何時かの思い出も 米粒に写経した 文字の如く 判別出来なくて 困りながら 歩き始めた 粉雪だらけの道 未来など 何処に有るのかと 存在すらも否定し 歪むテーブルを 見定めた翡翠と 紅き花びらに 酔いしれる 立て 今からお前の真実を 探しに出掛けるのだ そんなモノは 何処にも存在しないと 雪の中から 声がする 振り返っても 灯篭に照らされた朧月にしか 見えぬのだから 路頭に迷う筈だと  知っていた筈だろう 喰い留められなかった  破片ばかりが 今も ゆっくりと 漂う 凍ることも 忘れた ままで ---------------------------- [自由詩]もろこしうさぎ/藤鈴呼[2014年9月27日1時32分] 雪兎のような 色合いの 桃色カーテンに 透かした スカシた アイツの コトも 痛む 腿の 筋肉も ぷるる 震えるような 可愛らしさ 愛しさ 切なさ 痛さ? 小さな 小さな ゆきうさぎ てのひら に  ちょこんと 乗った そのまま 何処かに 連れ去って しまいたかったけれど キミは 動けないし 僕も 持ち逃げない そんな 悪いコトは 出来ないよ だけど ちょっとだけ… キスをした やわらかい 唇に 触れた瞬間 キミは 跡形も哭く 消え失せた 振られたような 気がした ---------------------------- [自由詩]算盤/藤鈴呼[2014年9月28日23時15分] パチ、パチ、パチ 誰かに 褒められる事も無く 育った パチ、パチ、パチ 数珠に似ているアレを 弾く 拍手喝采の 夢を描きながら 計算を 重ねた 数字には 強く 成ったけれど 計算高くは 慣れず ダイヤカットの 指輪よりも ソロバンカットの 数珠で 遊ぶ スワロフスキーなんて名前 知らなかった スワロスキーって 書いたら 板が 横に なりそうだった スワロフキーって 呼んだら 春の 新芽に 和えそうだった 会えたのは キラキラビーズ もう一度 暗算をする 安産の 代わりに 何度も 境内を グル、グル、グル 誰と 誰が グルだったのか 今も 分からない パチ、パチ、パチ 永遠に 続く音が 憎らしい けれど ねえ、わたし、 あの、じゅずみたいな、なにかを はじく、かわりに 裏返して ボード代わりに 板間で遊んでいた方が 倖せだった ---------------------------- [自由詩]俺/藤鈴呼[2014年9月30日19時15分] 耳を塞いだ台詞の奥で お前の言葉が 突き刺さる 誰に 何を 言われても 引き下がらぬ 姿は 格好 良いよ 俺も そんな風に 生きたいと 誓った 筈なのに 寝転んだ 芝の チクチクが 刻んだ 時の チクタクが 離れない 逆さまの 空を 眺めて 語り合ったろう? 平衡感覚を 失いながらも ブランコ 漕いだろう? それが 恋だろう? 濃い時間 だったろう? 振り解いた 腕の熱さが 忘れられない 俺 いつか ロックミュージシャンに なるよ 叶いもしなかった 唯一の 約束 海を見ながら 弾いた 幾つもの音と 言葉たち 誰の どんな 言葉にも 呼応せず 焦がれも せず 俺は お前のように 生きて いられているかな ---------------------------- [自由詩]金色の葉/藤鈴呼[2014年10月1日18時58分] きんいろの キミをみつけた みどりのなかで 神々しいほどの ほほえみ みえた 少し 恥ずかしそうに そして 誇らしそうに 太陽の 光を 目一杯 受けて きみは 耀いて 生た すじのような 繊細さと 虹のような 輪っかを 兼ね備えて 嬉しそうに それは もう 最高の 笑顔で ---------------------------- [自由詩]ランチタイム/藤鈴呼[2014年10月2日18時21分] 自らにも問いかけてしまいそうな、 でも 永遠に答えなんて出ないような 不思議な心情のまま 紡いだ言葉を 目玉焼きの中に 閉じこめて 黄味と ふたり ゆら・ゆらら 記憶の海に 沈めたら パクリ カリカリ ベーコンと 一緒に いただく ランチタイムに ---------------------------- [自由詩]ワオン/藤鈴呼[2014年10月3日17時52分] 忘れた と 出来ない は  全く違うね 最初から 才能が 開花されぬ 人間は 埋まっているだけだから 掘り出して あげれば 良いんだ ブランクが 有ったって 平気 もともと 「そのような感覚」 を 憶えて いるのだから 問題なのは 「どのような感覚」 か 分からない 輩だ 例えば 私は ピアノが弾けない キーボードを 叩くのとは 全くもって 勝手が違う モンだから 血の毛立って 躍起になって  勝手になって しまったら 音符ころころ 転がって  和音も ワオンと 泣いて しまうよ ---------------------------- [自由詩]ハガキの木/藤鈴呼[2014年10月5日13時01分]  多羅葉・たのもう・何の用 砂に描いた 愛の台詞 波が来る前に 読まないと あなたの心が 離れそう 大丈夫 タラヨウに 任せよう 葉の裏に 文字を 書くんだ カーボン紙みたいに ごしごし こすらないでネ ゆっくりと 丁寧に 持ち歩いてね わたしの こころ 覗いてみてね ---------------------------- [自由詩]愛のポスティング/藤鈴呼[2014年10月7日20時51分] 誰かが 誰かに寄せて描く 愛の言葉は 誰にも 馬鹿には 出来ない 無碍にも されたくは無い メッセージ ただ この夜を 共に 過ごすため そして 未来の夢を 抱き続けたいがため 滔々と 綴られる 心の鳴き声 縞模様の 鳥が 飛び立つ 鳴き声 一つも 残さずに 静かに 地を 点々と蹴る姿が 愛おし過ぎて 涙が出た 灯火の向こうに 絶望の畔に 緑の湖畔に 太陽と希望が 溢れ出したなら いいのにね ---------------------------- [自由詩]雪列車/藤鈴呼[2014年10月9日8時03分] バレンタインの夜 列車は 走り続けてた 妄想と 現実と 追憶の彼方に揺れて ガタタン ゴトトン あの頃よりも かなり重たくなった身体ごと 何処かに運んでくれそうな雰囲気 静かに流れる時間の中で 立ち止まって考える時みたいに 考えたいのだけれど 思考停止して 雪のような涙が ツイッと流れる瞬間みたいに どれが本当か 分からないけれど どれが嘘かも 分からないから 何を信じても 良いんだ そんな 気がした 見せて居なかった部分を 知られたからと言って もう一度 殻に戻る 必要なんて無くて ただ その  短かった時間の奥側から 取り出せば良い 昔の歌を 苛立っても 哀しんでも 戻って来ない タイムカプセルを 眺めながら トラウマなのだと 君が 言った 音も無く進むレールの向こうには とてもキレイな雪景色 だけど それは 幻想風景だって 知ってるよ ラッセル車を 総動員しても 何時間も 走り出せぬ 冬の線路を 僕は 知ってる 車窓が ホワイトアウトして なんにも 見えぬ ことも 其処には 美しい 過去の情景など 一切 存在しない 風の音だけが 響くんだ ---------------------------- [自由詩]過去の栄光/藤鈴呼[2014年10月10日0時39分] 気付かなかった だから 傷つかなかった ぼくは 気付かなかった きみが 苦しんで 苦しんで 苦しんで もがいて もがいて もがいていたこと 愉しんで 楽しくて 笑い続けていたのだと ずっと 信じていた だから二人は 高みに 行けなかったのかも 知れないね 思えば 君の語り口は いつだって あの頃の 言葉だったから 懐かしさと 虚しさの カクテルは 酔いしれるに 十分だった もっと 底辺から 世界を眺め見れば 角度の違う光景が 理解できただろうか 冷たい手は 暖かい心の 象徴だと思ってた 俊敏なのは 反応が良い 心地よさだったから 何も 問題は ないのだと 踏み入ることを 恐れた 君の 心の 行方を 今から 探しに 出掛けるよ ---------------------------- [自由詩]喪失/藤鈴呼[2014年10月11日7時00分] 君の居なくなった虚空を ふんわりとした雲が 流れてた 何故だか 涙は 出なかった 何故だかは ハッキリしている 「喪失」でも「消失」じゃあ ないからだ それでも 繋がっていた 蜘蛛の糸を辿れば 空へ届くのだと 信じて居た頃よりは 苦しくて 泡を食む 金魚のように 誰かの後を ついていきたいのだと まとわりつく 蜘蛛の糸のように 本当は どんな形にも 七変化する  雲の形を眺めて 笑いたかったのに 歪んだ隙間から見える 眩しげな瞳に 僕の姿だけが 映らなかったから それが 哀しくて 穴が開く程 見つめてた 穴なんて 開くもんかって 飽きる程 見つめてた 見つけて欲しくて 君に 明ける空を 見定めたくて 今感ずる 一つの喪失につられて 次々と 悲しみが 連ならぬようにと 祈る 幾ら 祈り続けても 本来 無駄なのだとは 知っているけれど 知らずに 生たいから 可愛らしい君の 面影ばかりが ちょこちょこと 脳裏を 埋め尽くす かわいいね けれど ちょっと かなしいね 平仮名で 表現したら ほんの少し 薄れる気がした 悲しみも 握り潰して 粒にして 歩き出さねば なるまい 今日は 白き粒も 見えない 雨水 だからかな 薄っぺらい 思いばかりを 浮かべた水溜りが ゆっくりと 広がって行く のっぺりと 続いて行く 空に 巻かれて 昨日の 蒼い空間を染めた 飛行機雲が すうっ と 哀しい気分を 切り裂いた 気がした ---------------------------- [自由詩]シアバタークリーム/藤鈴呼[2014年10月15日20時34分] 歩道橋の光が こんなに美しい原因を 二人で考えようか 白く見える 横断歩道の平行線と違わず 意見の相違を迎えず 会話し続けることは 意外と困難で 好きなのに 好きだから 伝わらないと 君は泣く 嘆きたいのは ボクの方だけれど 取りあえず 傾けた耳が くすぐったくなる角度で 君が 囁くから 僕は 笑うしか なくなって 物語のように 進まなくったって 仕方無い 交通渋滞を告げる 信号も 排気ガスばかり吐き続ける マフラー音も 遠くに 逃げて 僕は 君と 二人きり 誰にも ジャマさせない地点で ただただ 空に 近い場所で 愛を 語り合ったから 賑やかな町の灯りも 揺れ動く灯台も いつかの冬のキャンドルライトも 遠くに 遠くに 思えた 何を考えているか分からぬ 微妙な笑顔は  もう要らなくて 何を考えているのか分かり過ぎる  ハッキリ過ぎる口調も  胡散臭くて 余計に 潤いを消した肌に 刺さるようで クリームは 何処ですか カスタードじゃ ないやつ 甘くなくっても 良いから シアバター  うん きっと それが 丁度良い 滑らかなのを 一つ 下さいな ---------------------------- [自由詩]立派な事/藤鈴呼[2014年10月16日20時10分] 立派な事を 書いたって 無感動じゃ いけないね 立派な事を 言ったって 無行動じゃ 伝わらない こんなにも熱く こんなにも痛い 南部鉄器で沸かした湯の 飛沫が とても 元気良く 飛び跳ねること どうやって 伝えたら 良いんだろう ---------------------------- [自由詩]くるり くるりと ゆめごこち/藤鈴呼[2014年10月17日23時45分] 風車は大好き  道すがら 白い羽根を発見すると  ハンドル握る手が 歪むくらいに 嬉しくなっちゃって  視線を逸らしては 危険なんだけれども  くるくる クルル 廻る気持ちに  踊り出したく なっちゃうの  そうね 粋も甘いも ホントもウソも吸い取って  不思議な風に 変換させてはそよぐから  どんな扇子よりも センスの光る  大地の扇風機  矛盾も従順も 純粋とともに 対流させて  自然と人とまやかしを 静かに対話させて いくかのようで ---------------------------- [自由詩]いつくしみの丘/藤鈴呼[2014年10月20日5時16分] いつか ボクだけの とっときの場所へ 連れて行って あげる そこには コスモスみたいな もしかしたら チューリップのような はたまた スミレみたいな 可愛らしい花が 咲いていてね ちょうちょでもなく 鳥でもない 不思議な羽根の 持ち主が 水浴びしているんだ 芝生の色は 白 雪が 降っているからじゃあ ないよ とっても あたたかな  じゅうたんを 思い出せる ぽっかぽかの 丘なんだ そこで きみと 語り合うんだ 人間が どうして 出来上がったのかとか 未来は どんな風に 続いて行くのかとか そんなこと そんなとこ ---------------------------- [自由詩]閻魔台帳/藤鈴呼[2014年10月25日19時52分] 間違いは 誰にでも 有ること だから 私は 責めない 責めたくなる 自らの 気持ちも 気にしたくないと 抗う 心ごと シャットアウトして この窓には ブラインドなんて オシャレなシステムは 常備して いないんです ここまで書いて 窓と言う表現は ウィンドウの方が オシャレだったか はたまた おしゃんてぃーの方が 女性らしいのか 男性らしいのか 良く分からないのか と 悩む 悩みながら 眠り続けると 嫌な夢ばかりに 魘されますよ しっているけれど 閻魔様は マダマダ 健在で ワタクシメに 色んな システムを 教えて くださるの くださいな って 願った覚えなど 無いのにね ---------------------------- [自由詩]心の騒音/藤鈴呼[2014年10月27日18時38分] 物音に ビクリとする癖と 心臓が バクンとする音が 交互に揺れる 真夜中に どうか 迷わずに 生きろと 背を 押されているようだと 安心できるような 不安も有るけれど 安い思い出ばかり 抱えた訳じゃない これからは きっと きっと 愉しく 有るのだと 願いをこめて ---------------------------- [自由詩]伸びたマニキュア/藤鈴呼[2014年10月29日19時13分] 当たり前のように 元気だと 健康だと 誰かと誓い合うように 唱えた 譫言が 少しずつ 伝染を 重ねて 一枚じゃ 寒い ストッキングが 伸びて 伸びて 一度 破けても マニキュアで 補修 するように 手を伸ばす 目一杯  錯覚も 出来ない位 視野の 最大限まで 馬の瞳を以てしても 見渡せぬ程 大きな 思いを 抱きしめて ---------------------------- [自由詩]三つ編みの少女/藤鈴呼[2014年11月1日13時30分] 朝は 叫ぶ 大抵は 二度の 自己主張 一度目は 髪の毛を 引っ張り過ぎだと言って 二度目は 時間が 無いのだと 言って 編み込む 母の手を 煩わす 幼い頃は その 膝の上で 成長すると 少し 恥らいながらも 背を 魅せて 小さく 呟く 少女の成長と共に 黒く 長く 伸びた髪が 幾つもの形に 編み込まれていく様は 正に 圧巻 ゴムで結わえた 切っ先が 筆のように 誰かの頬に 文字を描く 誰かは 切っ先を 持ち手にして 馬の手綱代わりに 遊んだ 誰かは 大切な 存在のように そっと掴み やわらかいねと 呟いた 成長した 少女の髪は 振り向く度に 後ろの者を ビンタする 凶器へも 成り果てたけれど 少女は 密かに 狂喜乱舞 見よ 馨しい 我の 切っ先よ 何者にも 汚されては ならぬとばかりに 怪我されては 元も子も 無いのに 可能性を 考えることが 少女は 苦手で有ったから 浅く 緩く 微笑んだ ゴムばかりは キツク 結んで 唇と 共に 結んで 結わえて 結んで 強く きつく ---------------------------- [自由詩]盛り雪/藤鈴呼[2014年11月3日17時23分] この 幾つもの 冷たい雪の奥に 円みを帯びた いつかの思い出が きっと 詰まっているのでしょう 切っ先鋭い 刃のような言の葉 告げた方は 体よく忘れて 生るのです 継げられた者のみが 苦しみに 蹲るから 盛り雪 盛り土では 有りません 御存知ですか もりつち では 無いのですよ もりど と 読むのです 避けないで 下さいね 過ちは 責めぬと 何度も 申し上げて おりますでしょう 瞳を 上げて くださいな その上で 真実を 一粒ばかり わたくしに くださいませんでしょうか きらきら と またたいて いなくても 良いのですから 陽射しの向こうが 白すぎて 目の前の あなたが 暗く見える 思いが 暗いからでしょうか こちらがわの 会話が もしかして 五月蠅すぎますか そんな風に 耳を塞いで 何から 逃げて いるのです よもや 受け入れて いるのですか これ程までに 圧迫された 窓が 苦しいとも ヒモジイとも 発せず 淡々と 此処に 有るのです 担担麺が 運ばれて 来ましたよ ちょっと ピリ辛風味が 御愛嬌 あなた ムセナイデ くださいね もう 二度と あんな事 蒸し返しませんから あなたも わたしも ただ ただ ゆっくりと 積もる 雪玉を 見つめて行ければ それで 良いのです それで きっと ---------------------------- [自由詩]ドラマのセリフ /藤鈴呼[2014年11月5日21時38分] 妙に格好良くて  あんな風に なりたいな  こんなシーンに 生きたいな  そんな世界に 行きたいな  そう思えるようなドラマを  製作者も 観客も 求めるのでしょう  そこに 少しの ズレが生じる  出演陣と 自分達  僅かな 違い  設定と 現実の  擦り合わせ切れぬ 時間軸  それでも 憧れられる世界ならば  なんぼものもの  だけど 違うね  ドラマを眺めて  ふっと笑ってしまった瞬間に  考える  こんな感じの溜息は  嘲りなのか 諦めなのか  通り過ぎてしまった 気持ちなのかって  作り物過ぎて 身が入らなくても  時には 現実逃避できるから  楽しいのかも 知れません  大切な誰かとの 気持ちが  こんな風に すれ違うのならば  それは さみしいこと  人と人の心は  どちらも目に見えませんから  仕方がない  ある程度の 割り切りは  必要かも知れませんが  純粋に 想い合う心自体に  嘘は 無いのだと  信じたいのです ---------------------------- [自由詩]桜でんぶ/藤鈴呼[2014年11月6日19時14分] 桜でんぶと 言うけれど 紅梅の 色合いに 購買意欲も 募るよ なんて 韻を踏みつつ 踏み鳴らす 米粒畑に ちりばめた さくらでんぶが 笑います  うふふ あははで たのしいの  桃色は 華やかだけど 何となーく やはり  食物っぽい 色合いでは ないような 気もしてね。 緑黄色野菜の イメージが 強いのかなって。 ---------------------------- [自由詩]微妙な喩え・今じゃ・ほのぼのエピソード/藤鈴呼[2014年11月9日2時23分] 六枚目 座布団ふっかり包んだら   にっこり笑う 我ストラップ 二枚目とは 行かなくっても ねぇ  ちょこっと 格好つけて  お嫁に行って 欲しいのよって  眺める君は  どちらかと言うと 王子様  ラジオを 聴いていたら  そんな 夢物語  アニメでは ありがちだけれど  実際にゃあ 聞いたこと ないし  体験したことだって さらさらないよ って  そんな台詞に ニヤケつつ  大糸線を 眺めます  スライド寸前 パシャリ デジカメ  瞬時の動作で サラ・サララ  景色と共に 流れます  横糸残る 車体 眺めて ---------------------------- [自由詩]スライスした 小さな言葉/藤鈴呼[2014年11月12日1時59分] 文字には 心が現れると 言うからね 本当は 洗わなければ ならぬ様な 心模様にだけは なりたくなくて 紡ぐ 言の葉 あと幾つ 重ねたら あなたに 届くのかしら って 小さな 小さな 栞を 何度も 握りしめて もう これ以上 ないくらいに 薄く 伸ばしたら とっときの ピザみたいに 美味しく 仕上がるかしら スライスした 小さな言葉 それは 呟き 幾つも 幾つも 細かなチーズを乗せて 有耶無耶に 彩るの 例えば ピクルス色の 輪切りだとか サクラ色の 千切りに寄せて 誓い合うのね 近い会うのね 金太郎飴みたいに おんなじ模様ばかりが 見えたら 見得も無く 分かりやすい  言葉でしたでしょうか ---------------------------- [自由詩]芽吹きのドウダンツツジ/藤鈴呼[2014年11月13日9時32分] 淡い 蝋燭の如き光が ぽんやりと観えては 吐いた息を 吹き戻す風な 気球が ぽんやりと 上がる 錯覚の奥に 閉じ込めた紙に描かれた 素敵な言葉が 舞う 雪も舞う 何時の間にやら 季節は春 雨水 過ぎて尚 吹き続く 北風をも 払拭出来ぬまま 溜息を吐いた日々も 漸く 終わりを 告げるのだ 飛び立つ 蜂の姿が 見えた もう 遊んでいるよ 蕾のままの ドウダンツツジは 決して 枯れてなんか いないのです 結構な 遊び場じゃあ ないですか いいねえ 羽根たちは 雨水をも 払拭せんと している ねえ この棒のような 隙間の奥に 哀が 見えるのね 雪解けを 待たずして 忘れた内に 訪れた 啓蟄 その名の 如くに ---------------------------- (ファイルの終わり)