ゴースト(無月野青馬) 2015年8月2日23時17分から2016年10月28日21時27分まで ---------------------------- [自由詩]シャーベット/ゴースト(無月野青馬)[2015年8月2日23時17分] どんな風に 過ごしていればいいんだっけ どんな風に 過ごしていたいんだっけ 君と僕で シャーベット食べながら シャーベッツを聴いていたい こんなに疲れた夜 デモクラシーについて考えた夜 君と シャーベッツを聴いていたい ソニック・ユースでもいいけど ---------------------------- [自由詩]プレパレイション・マスク/ゴースト(無月野青馬)[2015年8月30日1時10分] 夜の空気が 皮膚を貫き 意識・無意識の壁を透過する時 生きていることを感じるんだ (みんなもそうだろう?) 夢幻を感じることで 生きていける (みんなもそうだろう?) 怪人二十面相が生き生きとしていたような夜の空気 夜の空気の中に 記憶は永久保管されていて 孤独ではないんだよ 君は何事にも狼狽えず 狼狽えないで 常に持論を用意する 君の論が好きな僕は 君の持論なら信じたい 君の持論をいつも読みたい 君の持論を僕は信じられる 君の持論は早く読みたい 何度も繰り返し読みたい 分かっているんだ みんなは君ほど 熱心に持論を用意しない それに、君は持論を公開する 論は熱だ 君は熱を解放して 解放した熱で飛ぶんだ (みんなはそれをしない) 夜空に浮かぶには 結局、どれだけの詩が必要なんだい? 仕組みを知っているから 君は本当は二十面相の子孫じゃないかと 僕には思えるんだ ---------------------------- [自由詩]3本の映画/ゴースト(無月野青馬)[2015年9月3日20時42分] 『崖の上のポニョ』も 『もののけ姫』も 『天空の城ラピュタ』も ポニョが宗介に受け入れられなかったら サンがアシタカに受け入れられなかったら パズーがシータに受け入れられなかったら 話は終わっていた それも だんだん問題が深刻化している パズーは人間の少年だったが ラピュタを目指し父親の汚名を注ぐことに執着する少年だった (友達はいるのかいないのか) サンは人間だったが 犬神の思想を引き継ぐ半獣半人の精神の持ち主だった ポニョは人面魚だった しかもブリュンヒルデという名を持ち魔法を使う謎の生命体だ サンとでさえ アシタカは交歓の完璧な一致を得たわけではない 場所の限定があった ポニョになると 元々が魚であり半魚人形態がある 種の違いがある それを乗り越えなければならない 映画の中では 宗介は初めから乗り越えていたように描写されていた気がする ともかく 宗介が受け入れ ポニョは人間になった 映画の登場人物の中では たぶん サンのことはアシタカしか 受け入れられないと思う ポニョのことを受け入れられる 異性は宗介しかいないと思う パズーの場合は 逆で 自分を変人扱いせず受け入れてくれたのがシータだったのだ あくまでも個人的な 勝手な解釈だけれど そういう特別な繋がりは 自ずと一本の繋がりに集約されていくのではないか というより 一本しか繋がらないのではないか 特別な相手がただ一人いてくれたら それでいい 特別な相手がただ一人いてくれたら どんな魔女狩りにも どんなレッテル貼りにも どんな理不尽にも 耐えていける どんな攻撃も効かない ずっと立っていられる 3本の映画を観る度に こんなことを思う ---------------------------- [自由詩]SOUND ONLY−灰色の使徒−/ゴースト(無月野青馬)[2015年9月27日17時50分] すべては過ぎ去り 竜をも見た、あれは、あまりにも巨大だ 濁流を 誰が止められるのか か細い腕を目一杯伸ばして 手乗り文鳥のケージを守ろうとしても 戻らない時、守れない1羽 輪が空中に浮かんでいるのに、如何なる障壁も本来的にはないんだと 灰色の使徒のサウンドオンリーは言うけれど どこに勝機があるのだろう 海を呑み込める怪物に勝てるヤツなんていないだろうに ニーソ履いた少女が がなりながら突っ込んで行く 雲間から覗いたら少女は眼帯をしていて デリケートそうなのに ニヒルな感じではないよ 妖怪でもないね ネットだけが希望ってタイプでもなさそうでね 粘土をいいものだと語り合えそうだったよ 夜が来る ルームメイトのいない教室 ついに、6日間の立ちん坊とさらば 場所が場所だった 啄木が置いてあった物置 キーボード立て置き 昨日から、 “僕たちは、全てが終わるべくして終わるんだと知る”“でも僕たちはひたすらに生き続けたかったのだ”“世界を終わらせたくなかったのだ” だって、7日目があるって信じたいだろう 海、水、図形、錨、料理、利発、机、演奏、浮かびません 嗚呼、こんな1人プレイ 意気地なく弱気になる ルームメイト見付からない 意気地なしはどうしたらいいのか 架空の使徒のサウンドに訊いてどうなるわけじゃないけれど、みんな、生きていたいんだ、切実に生き続けたいんだ、それだけなんだ 桜が満開になって 人は消えて行くよ 僕もそうだ すべては過ぎ去り 竜をも見た あれは、あまりにも巨大だ ---------------------------- [自由詩]hang on to miracle−花飾り−/ゴースト(無月野青馬)[2015年9月27日17時53分] 鋼鉄を蹴破るスピードとパワー 誰も持ってやしなくても 束になってかかれば 檻も破れるだろう 人が作ったものならば 人に壊せぬものはない そのような理屈で 竜殺しを任され 怖じ気づくけれど 君の瞳の価値は 竜殺しだけではないけれど 誰も言わないからって 僕が言う自信はない 君の瞳に映る竜を 僕が代わりに殺せたら 君の瞳に映る竜の 炎を僕が吹き消せたら でも 吹き消せないから 詩も音楽も映画も 夢物語なんだと気付く みんな、それに気付くべきなんだ 僕には竜は殺せない 竜の炎も消せない 君の役に立てない 何の為に生きているのか 誰も教えてくれない こればかりは 自分で見付けなければならない、らしい 鋼鉄を蹴破るスピードとパワー 誰も持ってやしなくても 束になってかかれば 檻も破れるだろう 人が作ったものならば 人に壊せぬものはない そういう理屈 理不尽じゃないか 2人しかいなくても束って言うんだろう 僕は やってやるぜとか やってみるさとか こういう時に思えない みんなもっと仲良く出来ないものかと思ってしまう みんなで地下に潜らないのかと思ってしまう 竜なんて殺さなくていい 竜殺しにならなくていい 偽りの遺言を書かなくていい 草がなければ草食動物は死に絶える 草食動物が死に絶えれば 肉食獣も死に絶える 竜も死に絶える 花飾りを着けて僕たちは 潜ってしまおう 地中深く潜って 人工太陽を作って ---------------------------- [自由詩]terminal karuma−沈潜−/ゴースト(無月野青馬)[2015年9月27日17時54分] 探して 下がって 食いしばって 体の、心の、底の底へ 天まで、地獄まで行き着くような 探究を、掘削を、するの 人と人ならざるものを分け隔てる、決定的な差とは何?息吹? 誰もが、おかしい、ありえないと、言っている みんな、苦虫を噛み潰したような顔と香りをして、圧倒されている 見えない攻撃、反撃は叶わない? 夢なら覚めてと何度も祈った 天使がいるなら、今すぐに、地上の混乱を止めて 悪魔が、笑っていられるなんて、理不尽、不愉快、理解不能です 太陽を今すぐ爆発させてくれてもいい みんなを解放することになる でも、現状は、現実は、誰にも、止められないし、止まらない 巻き戻らない 伸ばす手は、だから、天へは伸びない 未知なる地の底へと、伸びてしまうの ---------------------------- [自由詩]neo generator/ゴースト(無月野青馬)[2015年9月28日18時37分] 分かることは ワタシを無化は出来ないということ 確かなことは アナタを無化は出来ないということ どんな破滅が 起こり得ても ワタシもアナタも消えたりはしない サービスは止められても 魂は誰にも奪えない 斜面を滑り下るの 地雷源を越えて 廃墟に潜んだりしながら サバイバルするのよ、これから 最後に 海仁草の使い方を 教えておくわね もう大人を頼れないのよ だけど 挫けないで アナタには魂がまだあるから 魂さえ残っていたら 人は生きていける 無化なんて無化するのよ −・−・−・−・− 世界に、再び、子供が溢れたら どんな世界になるでしょうね 人類は、あと幾つの世紀を跨ぐでしょうね 希望は与えられるものじゃない 希望は自分達の手で生み出すものよ 魂さえあれば どこでだって生きていけるわ ---------------------------- [自由詩]桜と流れ星/ゴースト(無月野青馬)[2015年10月2日5時42分] 今日の日も 沈んでいった まだ 僕たちには日常があって まだ 僕たちの日は爆発しない それでも スライド カレイド いつか 二度と二度寝すら出来ない世界になってしまったりするから 今、出来るだけのことをしておきたい 今、出来るだけのことをしておきたい そう思わなくなってしまった時 僕たちは機械仕掛けになる 機械仕掛けの人形になってしまう 本当の話さ もう二度と 桜にも、流れ星にも、満月にも 感動なんてしなくなる そうなってしまわないために 僕たちは何かしなければ 僕たちはいつも震災の中だ 僕たちはいつも津波の中 僕たちはいつも破滅の中 僕たちはいつも爆心地の中を生きているんだ ---------------------------- [自由詩]君と空を飛ばないと死ねない/ゴースト(無月野青馬)[2015年10月29日19時15分] 言葉に乗って空を飛んでみたい 俺はいつだってそう思っているんだぜ 忌野清志郎の受け売りではなく これは俺自身の言葉 愛し合ってるかい でも コロシアッテルカイでも なくて 空を飛んでるかい 俺はこう訊いて回ろう 絶好機に絶好調なジェット気流が来るのさ 家電のコンセント抜き取れ 映画も消して 静寂の夜を得てみるのさ 闘争そのものの中に答えはなくて 絵本の中にあるものだったりした そんなことを考えていたら 閉じ込められていて 閉塞は果てしなくて 何もかもが冷たく見えていた 透明な檻の中で 思うのは君のことだけ 俺には君の記憶しかない 君以外の、人類史なんて作りモノだと思う 誰が本当のことを言っていたのかと思う そういうことは 飛んでみなきゃわからない 空を飛んでみなけりゃ わからないことだった 君を連れて飛びたい、本当に ゴルゴみたいには出来ないけど 清志郎よりはロックにやれるぜ 空を飛んでるかい 誰より高く 誰よりも多角的かい 気流を感じることは あらゆることに通じてる トリック・オア・トリート エロス・オア・タナトス ジェダイ・オア・シス 夜は黒クロワッサン 朝は赤パプリカ 昼は紫タマネギ 君の寝相は良いのさ、たぶん 俺はなかなか寝付けない 君と空を飛ばないと死ねない そう思っているから眠れない 可能性の問題じゃないんだ、たぶん 閉塞の一種なんだ、これも 崖の中を、谷と谷の間を、駆け抜けていく ポッド・レースのようなものなのさ アナキンはスカイウォーカー 空を飛ぶのが得意分野 俺はゴルゴみたいには出来ないけど 清志郎よりはロックに飛べるぜ ブービー賞でオーライ 愛し合ってるかい でも コロシアッテルカイでも なくて 空を飛んでるかい アナキン・スカイウォーカーと遭遇したら ホット・ドッグ食べたいね レースの後は腹減る シェイクあるかな、あの世界 コーラあるかな、あの世界 アナキンはコーラ好きかな 言葉に乗って空を飛んでみたい 俺はいつだってそう思っているんだぜ 忌野清志郎の受け売りではなく これは俺自身の言葉 君と空を飛ばないと死ねない そう思っているんだぜ 思うことは自由だろう 思うことは自由だろう ---------------------------- [自由詩]1./ゴースト(無月野青馬)[2015年11月15日1時57分] ワッペン 切片 雪片 ---------------------------- [自由詩]2./ゴースト(無月野青馬)[2015年11月15日1時59分] 東京をサンダル履きで駈けたい ---------------------------- [自由詩]3./ゴースト(無月野青馬)[2015年11月15日2時00分] アンドロメダ銀河にサンダル履きで行きたい ---------------------------- [自由詩]把葡龍/ゴースト(無月野青馬)[2016年1月9日2時00分] (自分用に) あしたの言葉を あなたの言葉を −・−・−・− 早めに (もう一人の自分に) 昨日の霊夢が 飲み下されないうちに 早めに ---------------------------- [自由詩]反時計回り/ゴースト(無月野青馬)[2016年1月24日22時21分] 時の揺らぎ 後から来たものが先になり先にいたものが後になる 風の凪がれ ミステリーサークルの中で営業している金魚すくい 何を表しているんだろう (営業しているとしたら) 四つ角のマネキン人形の五体を取り巻き光るチューブ 材質は何だろう (取り巻いていたとしたら) 草食動物でも肉を食べられると知ったのはいつだったか (日記風だとしたら) 季節の変わり目 内省的になり 黒い本を読む 適当なチラシでブックマーク 音楽が止んでいて、匂いも止んでいる、反時計回りの場所へ向かって 歩いて行くと思うが 何にでも効く魔法はないし 黒い林檎もない 貘はいる ---------------------------- [自由詩]ルナ/ゴースト(無月野青馬)[2016年1月24日23時59分] 人間は水 人間は石 人間の海馬 月とリング ヤン・シュヴァンクマイエル ヤン・シュヴァンクマイエル ヤン・シュヴァンクマイエル 3回唱えたら鴉 ---------------------------- [自由詩]マナ/ゴースト(無月野青馬)[2016年1月27日22時16分] 人間は星 人間は石 筐体人間 月とリンク TAKE ME HIGHER TAKE ME HIGHER TAKE ME HIGHER 3回唱えたら光 人間は羽 人間は石 人間へ紫を 月へピンクを わたし知ってる わたし知ってる わたし知ってる 3回唱えたら新世紀 ---------------------------- [短歌]電池パックの発熱と海抜3.5m/ゴースト(無月野青馬)[2016年3月18日0時52分] 電池パックの発熱と海抜3.5m ---------------------------- [短歌]液晶画面霞みゆく海抜3.5m/ゴースト(無月野青馬)[2016年3月18日1時39分] 液晶画面霞みゆく海抜3.5m ---------------------------- [自由詩]海抜/ゴースト(無月野青馬)[2016年3月21日2時44分] 電池パックは熱を発して止まず 液晶画面は霞んでゆくだけだった 海を意識する場所で ---------------------------- [自由詩]ブルー・ノスタルジー/ゴースト(無月野青馬)[2016年3月26日22時43分] 未来より 過去を考える 青い 意味を失った時間が流れていく 意味を失った感情が流れていく 継ぎ接ぎの体で 継ぎ接ぎの体で 水から出て行こう 火から出て行こう 幻聴を剥がして 何処かへ向かわなければならない気がしている 忘れていた夕日を見たり 見えなかった月を見たり するべきなんだと思う ---------------------------- [自由詩]PEACH MOON/ゴースト(無月野青馬)[2016年3月31日22時06分] 眠りに就こう どんな日だろうと 眠りに就こう 毛を刈られた羊の数だけ 眠りに就こう 3月の終わりを ピーチパイで飾り 残照を写す 今も時折 月は満ちなかった 月は無くなり 存在しなかった そう思えた (今も時折桃源郷を夢にみる) 眠りに就いた どんな日だろうと 眠りに就いた どんな日になろうと 眠れるだけ眠りたい 眠れるだけ眠ろう 桃源郷など幻だと知りながら ---------------------------- [自由詩]春/ゴースト(無月野青馬)[2016年5月1日21時39分] 春 春なのだから 少しずつでも詩を作る 忘れた頃に蘇るから ---------------------------- [自由詩]ドールハウスの/ゴースト(無月野青馬)[2016年7月11日1時23分] 星は地上に落ちてくる 宿る体を探しているのか 「僕」は 自分が 人形なのかどうか 知らなかった 街のイルミネーションは イミテーションとイミテーションなのか 知らなかった 「僕」は朝を向かえることばかり長けた 物語では 銀河に鉄道が走り 川の石はメルヘンを 春の日は破調を語る けれど 「僕」は 生きているようでいて死んでいるよう 起きているようでいて眠っているよう 自分の星を自分に入れられるのは自分しかいないのに 「僕」は人形のよう 星は落ち続けている 宿るべき体が見付からず イルミネーションとイミテーションとイミテーションのグラフィックへと 落ちて 割れているよう ---------------------------- [自由詩]白紙の季節/ゴースト(無月野青馬)[2016年8月31日19時31分] 何を求めていたのか 何を探していたのか 見えない 自分自身も見えない 詩に何かを求めたことが 間違いだったんじゃないか そういう風にも考えた 詩を好きだったから 見えなくなったんじゃないか そういう風にも考えた それに そもそも はじめから 本当は 何も求めていなかったし 何も探していなかったんじゃないか そういう風にも考えた 「風」は どこから来て どこへ行くのか 見えない そして ここは 途中 広いような狭いような 白いような黒いような そういう 途中 もしくは 白紙 そういうことは分かる 途中 で 考えることは山のよう そうして 考えていると 白紙 も だんだんと また 色付いていく 白紙の季節だった それは必要なものだった   自分自身を探す途中だった ---------------------------- [自由詩]プラズマイナス/ゴースト(無月野青馬)[2016年9月15日21時05分] 地球と月のように 井戸と蛙のように 瑠璃と玻璃のように 結び付いた時には 白と黒のように 覆水と盆のように 青天と霹靂のように 結び付いた時には ---------------------------- [短歌]夕陽に 気付かないほど 流星 気付かないほど 幻にしたくない/ゴースト(無月野青馬)[2016年10月5日22時55分] 夕陽に 気付かないほど 流星 気付かないほど 幻にしたくない ---------------------------- [自由詩]リビングデッド/ゴースト(無月野青馬)[2016年10月8日3時25分] リビングデッド ここはどこ? なに?この狭いところ? この狭さ 暗さ もしかして 棺桶? そのことに気付いてから どれくらい経ったかしら 暗い 暗くて 狭い棺桶の中 私は生きていたわ 自分でわかったの だけど 私の体が動かないの 私は体を動かせないの どうやら 体とは離れ離れになってしまったの 自分でわかったの 自分でわかったわ まるでゲヘナだわって 私 早く体を取り戻さなきゃいけない 一刻も早く 体を取り戻さなければならないの 私は本当はまだ生きている 私はまだ生きている! 私は生きているって伝えなきゃ 私が 私はまた歩きたいわ 自分の足で歩けるのよ 私は歩きたいわ 秋の落ち葉の道を だから早く! 早く出なければ こんな棺桶からは早く出なければ 土に還る前に 待って! 行かないで! 去らないで! 私は生きているの 私は生きているの! そうよ 私は生きている 私は生きているわ 私は生きているわ それなのに私 まだ自分の体と1つになれない でいる どうして? まだ体が遠くにある 目の前に寝ているはずの私の体が どうしてあんなに遠くにあるの? この私は幽体というわけなの? どうしたら戻れるの 目の前で寝ているはずの私に どうしたら戻れるの 私がいつ私から飛び出したかもわからないけど どうしたら戻れるの 覚えてないの! 覚えてないの! 私は私の葬送を覚えてないの! 誰もわかってなかった 私が生きていたってこと 誰も気付かなかった 私自身も気付かなかった 私 少しずつ 土に還ってしまうわ 土に還ってしまう それはイヤ! 誰も 気が付かないの? 私の鼓動に 皆で なにを語っていたの? 土の上から 私の鼓動に 待って! 行かないで! いますぐ土を掘り返して この棺桶の蓋を開けるのよ! そして 私を確かめるの! そして 棺桶の中から私を立たせるの そうしたらきっと私は戻れる そうしたらきっと私は私を取り戻せる だから 行かないで 戻ってきて土を掘り返して 戻ってきてこの棺桶を開けて ---------------------------- [自由詩]寂しい嵐/ゴースト(無月野青馬)[2016年10月19日2時34分] 寂しい嵐が吹き荒れた ごぅごぅと吹き荒れた 樹木は根こそぎ吹き飛んだ 樹木は根こそぎ吹き飛んだ 暴風に巻き上げられる木々 りんごのような実を落とす まだ成熟してしない実を りんごのような実を落とす 抉れる地面 棚引く事物 箒、塵取り用をなさぬ 激烈な時 嵐野の闇夜を行く 森を木々を守るため 若い樹木を守るため 彼等の元へひた走る けれど 一向に近付けない まるで目に見えないブロックが 行く手を遮っているかのように 反射しているかのように 森の木々は決壊に 巻き込まれて実を失う 若い樹木も結界に 巻き込まれて吹き飛んだ 寂しい嵐が吹き荒れた 森は神秘を失った 木々は真皮を失った 剥げてバラけて転がった 山火事の跡のようになった ---------------------------- [自由詩]寂しい嵐の翌朝/ゴースト(無月野青馬)[2016年10月19日2時49分] 嵐の翌朝 彼は うちひしがれて うずくまっていた 山の形さえ変えてしまったほどの寂しい嵐の翌朝 転がっている木 転がっている若い実 不確かな明日だ 不確かな昨日だ 続く道がない 続く道がなくなった 咲く花もない 咲かせる土もない そして 彼は感じていた 昨晩からずっと感じていた 樹木の亡霊が作り出す架空の森を ---------------------------- [自由詩]スローハロウィン・ローハロウィン/ゴースト(無月野青馬)[2016年10月28日21時27分] 秋になると 書きたいことが増えてくるんじゃなくて 秋にならないと 書けないことがある 季節は巡り 太陽も巡る 軌道を変えながらでも 巡ることは止まない カボチャにつきものの話でもあるのか? 「私」は考えている 季節は巡り ハロウィンも巡る カボチャは盗まれたり 被られたりしながら それでも 実りは止まない 蝋燭の灯が 揺れているから ランタンの瞳も 揺らめいている べつに泣いていないのに まるで泣いているみたいに 揺らめいて見える 秋になると 書きたいことが増えるんじゃなくて 秋にならないと 書けないことがある カボチャの馬車には 何の意味もなくて マジックにも 何の意味もなくて キャンディがあっても 何の意味もなくて ガイコツと蝋人形があるだけで良いと「私」は思ってしまう (火の玉が飛んでいたならなおさら良い) 「私」は思ってしまう カボチャを被っても カボチャの匂いしかしないと 被ってみたくなっても「私」は被らないと それで何かが変わるわけじゃない 何も変わらないカボチャを被っても 何も変わらない呪文を唱えても 何も変わらない秋空が見えても と「私」は思ってしまう スローなハロウィン ローなハロウィン 季節は巡って 太陽は巡って 軌道を変えながら巡って 「私」は仕方なく巡って 軌道を変えながら巡って ぐしゃぐしゃになっても カボチャは被らない カボチャを被っても カボチャの匂いしかしないし 何も変わらない ぐしゃぐしゃになっても カボチャは被らない ガイコツと蝋人形があるだけで良いと「私」は思ってしまう (火の玉が飛んでいたならなおさら良い) だから 「私」のハロウィンは スローでローなハロウィン スローでローなハロウィン スローでローなハロウィン でも 楽しくないわけじゃない 楽しめないわけじゃない ---------------------------- (ファイルの終わり)