komasen333 2014年7月4日17時54分から2014年10月30日13時11分まで ---------------------------- [自由詩]集段的 The end 系/komasen333[2014年7月4日17時54分] 君だけいればいい 僕だけいればいい 甘ったるい願望 渦巻いてしまう今日この頃 呑気に君だけのこと 考えていられればいいけれど 世界は二人だけのものではないから 色々あるよね 集団的自衛権は閣議決定で容認 抑止力は高まるって首相は記者会見 閣議決定での憲法解釈変更の妥当性は宙ぶらりん 限定的な集団的自衛権の目的や範囲は取っ散らかったまま 関心の強さは様々で 議論の経緯に関する知識はばらばらで 閣議決定による解釈変更に絞って賛否を述べている人もいれば 集団的自衛権の是非に絞って賛否を述べている人もいれば その両方に対して賛否を述べている人もいる。 議論はふわふわしたまま 閣議決定は終わり 関連法案の提出や国会論戦へと向かっていく。 選挙で選ばれた時の政権 どこまで決めてもいいのか 進めていいのかの捉え方は違ってきて。 決められない政治の中でも 決めるべきことを決めてくれる政治はあって。 どんどん決めてくれる政治の中でも 熟議を置き去りで決めすぎる政治もあって。 難しいさじ加減ではあるけれど 権力は一度走り出したら止まらないから。 時に驕りを自覚できなくなるから。 反対者は 憲法を瓦解させるような試みといい 賛成者は 憲法を是正する試みという噛み合わない議論。 為政者は 閣議決定での解釈変更に対する 観念的な批判に臆することなく 緊迫する国際情勢などに 現実的な対応をとる必要性を説く。 反対者は 憲法改正ではなく 閣議決定での解釈変更で済むという根拠 限定的な集団的自衛権の必要性や 将来的な歯止めに関する論理的説明を求める。 君だけいればいい 僕だけいればいい 甘ったるい願望 渦巻いてしまう今日この頃 呑気に 気ままに 君と自分だけのこと考えていられればいいけれど 世界は二人だけのものではないから 世界は国会だけのものではないから 世界は政権だけのものではないから 世界は誰のものでもないから 色々あるよね。 ---------------------------- [自由詩]永遠幻想も、永劫魔法も。/komasen333[2014年7月6日15時56分] いつになったら忘れられるのだろう。 あの恋を、この恋を。 いつまでも忘れられないのかな。 あの恋を、この恋を。 晴れやかな休日でも 「外に行こう」って気にはならないよ。 元気がないとかやりたいことがないとかそんなんじゃないけれど。 雨がしとしとの平日でも 「サボろう」って気にはならないよ。 無理をしてとか没頭してとかというわけでもないけれど。 離れない、鮮明な笑い声。 自分にはふさわしくないって 合わせることはできないって 決めつけて生きてきた。 戻れない景色の中で ついついあの頃の中に佇んで できなかったことしようとする自分がいる。 いつになったら忘れられるのだろう。 あの恋を、この恋を。 いつまでも忘れられないのかな。 あの恋を、この恋を。 もし いつか忘れられるとしても 何もかも忘れるって形にはならない気がする。 あの恋が この恋があったからこそと 感謝を大きく注いで歩んでいることを願うよ。 たとえ いつまでも忘れられないとしても そのことを理由に 立ち止まり続けるって形にはならない気がする。 あの恋が この恋があったからこそと 活力を大きく胸に燈して歩んでいることを祈るよ。 忘れたくても、忘れられないあの恋。 忘れたいけど、どこかで忘れてしまいたくないこの恋。 胸の中に宿っている 記憶の中を泳いでいる すべてはそう、あの恋がくれた幻想。 すべてはそう、この恋がくれた魔法。 一人でも 一人きりでも 寂しくならないようになっている幻想。 苦しく切なく虚しくならないようになっている魔法。 ---------------------------- [自由詩]空を飛び、海に潜り、夢に耽る。/komasen333[2014年7月9日14時22分] 空を飛ぶ夢。 空を飛ぶ夢。 空を飛ぶ夢。 最近よく見る。 海に潜る夢。 海に潜る夢。 海に潜る夢。 最近よく見る。 その輪郭と微笑み。 その輪郭と微笑み。 その輪郭と微笑み。 最近、薄れつつある。 叶えるよ、その日までに。 叶えるよ、その日までに。 叶えるよ、その日までに。 何としてでも。 つなぎたいよ、その日までに。 つなぎたいよ、その日までに。 つなぎたいよ、その日までに。 何としてでも。 いや、これも嘘臭いな。 物語臭が半端ないな。 ま、いっか。 やるだけやってみるよ、とことん。 間違いじゃない。 間違いじゃない。 間違いじゃない。 言い聞かせる、読み聞かせる。 間違いじゃない。 間違いじゃない。 間違いじゃない。 このまま進んでいけばいいってことにする。 間違いじゃない。 間違いじゃない。 間違いじゃない。 そのまま突き抜けていけばいいってことにする。 嘘でもいい。 嘘でもいい。 嘘でもいい。 幻想も悪くない。 幻想も悪くない。 幻想も悪くない。 とことん浸かってしまえば。 嘘も嘘らしくなくなる。 とこととん染まってしまえば 幻想も幻想らしくなくなる。 空を飛ぶ夢。 海に潜る夢。 その輪郭と微笑み。 嘘でもいい。 幻想も悪くない。 ---------------------------- [自由詩]さまざまサマ〜/komasen333[2014年7月14日16時53分] サマ〜 皆サマ〜 お母サマ〜 お父サマ〜 息子サマ〜 娘サマ〜 お客サマ〜 神サマ〜 よろしくサマ〜 扇風機サマ〜 かき氷サマ〜 夏休みサマ〜 サマータイムサマ〜 流しそうめんサマ〜 海水浴サマ〜 アバンチュールサマ〜 暑中お見舞いサマ〜 クールビズサマ〜 受験勉強サマ〜 バーベキューサマ〜 バカ騒ぎサマ〜 肝試しサマ〜 花火大会サマ〜 猛暑日ムシムシサマ〜 エアコンガンガンサマ〜 ミンミンうるさいサマ〜 開放サマ〜 失敗サマ〜 奔放サマ〜 内省サマ〜 大胆サマ〜 夕焼けサマ〜 喜びサマ〜 怒りサマ〜 哀しみサマ〜 楽しみサマ〜 冴えないサマ〜 イケイケサマ〜 とばっちりサマ〜 羽を伸ばしまくりサマ〜 板挟みサマ〜 なんだかんだで感動サマ〜 さまざまサマ〜 それぞれサマ〜 心置きなくサマ〜 ---------------------------- [自由詩]アンインストール オール オーバー パレスチナ&イスラエル/komasen333[2014年7月27日17時33分] 分断された悲劇 繰り返す応酬 反射する憎悪の悪夢 報復の名のもとに祭り上げられる犠牲者 物言わぬ亡骸をいいことに 物言えぬ霊魂をいいことに 報復の根拠とされる犠牲者 同質同量の被害と苦痛を与えるべきだと 感情に流される集合的過激 繰り返しても 何も解決の道筋に寄与しない 意識しながらも 轟音と過激に流されて止まない 新たな報復が 新たな憎悪を引き出し その憎悪がまた違う報復の引き金となる 個人的衝動を無理矢理でも束ねて 地域的連帯による報復に持ち込む暴論 集団的憤怒をいたずらに増幅させ 国家的連帯による報復に持ち込む暴論 歴史的背景という意地と意地の衝突でがんじがらめ 地理的背景という呪縛と呪縛の相克でがんじからめ 宗教的背景という口実と口実の慟哭でがんじからめ 経済に糸を引かれている自覚を薄め 軍事に傾斜していく安易 偏狭な愛に唆されている背景を見ず 軍事を研ぎ澄ます綱渡り アンインストール オールミサイル アンインストール オールマシンガン アンインストール オールヘイト アンインストール ハイパーナショナリズム アンインストール ハイパーキャピタリズム アンインストール ハイパーエゴイズム 唐突に 罪なき少年たちは誘拐されて殺された その報復で、別の罪なき少年たちが殺された 何の落ち度のない少年たちは 憎悪と報復の根拠として軽々しく扱われた その憎悪は あの憎悪は 双方の憎悪は ただの暴力でしかなかった その報復は あの報復は 双方の報復は ただの暴力でしかなかった ---------------------------- [自由詩]いずれ 燃え アルケー/komasen333[2014年8月10日2時08分] なくなる  なくなる  いずれ いなくなる いなくなる  いずれ ならば  悔いなく 悔いという悔いを焼べて 今という連続を燃やす 燃え  上がれ  才能 燃え  上がれ  努力 燃え  上がれ  思考 一ミリも残らぬように 一グラムも残らぬように 最後の最後に 最期の最期に 完全燃焼されているように 燃え  上がれ  経験 燃え  上がれ  想像 燃え  上がれ  思想 絶え間なく  絶え間なく  絶え間なく 果てしなく   果てしなく   果てしなく 燃え  上がれ  人生 燃え  上がれ  創造 燃え  上がれ  実存 潔く 眩しく 激しく 優しく 逞しく 美しく 芳しく 華々しく 清々しく 神々しく 切なく 泥臭く 狂おしく 素晴らしく 柔らかく 柔らかく 柔らかく ---------------------------- [自由詩]月9、リビング、キムタク2014。/komasen333[2014年8月11日15時12分] キムタク まだまだバリバリ? 最新の月9 まずまずの数字だって。 未だに それなりに一線ってのも中々の話。 ってか、よく考えるとたいしたもん。 何様な評論。 曖昧なまま彷徨ってきた中で 目移りばかり磨いてきた気がする。 それ以外は、目ぼしい成長も皆無自覚。 宙ぶらりんな 帰宅直後のリビング 何となくつけたテレビ あの頃より太った さすがに老けたキムタクが 堂々とあの人気作の続編をやっていた。 懐かしさが込み上げて ドラマの名場面とともに 当時の 若々しい 甘ったるい 痛々しい でも、頑張っていた自分が思い浮かんでくる。 キムタク 役柄も スタンスも あの頃のままな続篇。 静かに ぼ〜と見つめる 月9のリビング。 チューハイが 喉を刺すように染み渡り 「ターニングポイント」 って 言葉が駆け巡る。 ふいに、ふいに、不意に。 ---------------------------- [自由詩]69回目の夏におけるベルリンの壁のような隔たり/komasen333[2014年8月15日0時38分] 保守派の彼女は言った。 「先の戦争は敗戦。 戦略や戦術が間違っていた」 リベラルの彼氏は言った。 「先の戦争は終戦。 そもそも戦争すること自体が間違っていた」 先の戦争は 戦いに負けたことを意味すると同時に 戦いが終わったことを意味している。 一度も 「終戦」という用語を使わなかった彼女は 先の戦争の是非 様々な戦争の是非には全く言及しなかった。 最後の最後まで戦略論や戦術論だけを滔々と述べた。 一度も 「敗戦」という用語を使わなかった彼氏は 先の戦争の戦略や戦術の是非 様々な戦争の戦略や戦術の是非には全く言及しなかった。 最後の最後まで外交論や平和論を滔々と述べた。 議論は平行線を辿るどころか ベルリンの壁のように絶対的な隔たりで 双方が独り言を延々と繰り返しているかのようで。 どちらの言い分にも ある程度共感できる部分はあると思いつつ 議論とはとても呼べない乖離が気がかりだった。 「敗戦」という土俵 「終戦」という土俵 「戦略論」や「戦術論」という土俵 「外交論」や「平和論」という土俵が 交わるようで 肝心なところで交わっていかない。 完全に独立した土俵として 評価や価値が固定化して 歴史的観点の過剰分散と 各観点の超絶的な孤立が加速する縮図を見た気がした。 「先の戦争」と言いながら 共通土俵として語っているつもりが 全然交わらない主張を 全然交わらない評価を 全然交わらない価値を それぞれの観点で それぞれの箱庭で ただ述べるだけに終始しているだけではなかったか。 眼前に相手がいるにも関わらず 自説に向かって自説を語り 持論に向かって持論を語り 聞き手なき状況をリフレインしていただけではなかったか。 絞り込むべき議論の土俵が 優先的に語り合うべき議論の土俵が 未だに定まっていない気がした、69回目の8月。 ---------------------------- [自由詩]解き明かせない謎をくれた人/komasen333[2014年8月17日12時09分] 来世とか前世とか 全然信じていないよ。 これまでも、これからも。 あいにく科学的思考に夢中なものでね。 だけど、不思議だな。 君といると 君の言う「永遠」は とても心地よく思えたよ。 運命とか魂とか まったく信じていないよ。 これまでも、これからも。 あいにく合理主義に焦がれているものでね。 だけど、何でかな。 君といると 君の描く「永遠」は とても美しく見えたよ。 大きなものをくれた人。 大切な大切な解き明かせない謎をくれた人。 言葉を尽くしても尽くしても 少しも伝わらないような感覚しか生まれないけれど。 大きなものをくれた人。 大事な大事な遊び尽くせない謎をくれた人。 表現を重ねても重ねても 少しも返せないような感覚しか生まれないけれど。 恩返しはできなかったけれど 手紙らしい手紙を書くことはできなかったけれど 詩らしい詩を届けることはできなかったけれど。 最後だから 精一杯、伝えなくてはならないと。 精一杯、伝えなくてはならないと。 自然と柄にもなく。 最期のように 誠心誠意、ここに浮かんでくる想像をすべて 精神誠意、ここに残っている想像を一つ残らず。 最期のように 一生懸命、ここに流れてくる創造をすべて 一生懸命、ここに残っている創造を一つ残らず。 「精一杯」なんて何年ぶりに使うだろう。 「誠心誠意」なんて何歳以来だろう、使うの。 「一生懸命」なんて当分、使うことないって思っていたけれど。 大きなものをくれた人 大切な大切な解き明かせない謎をくれた人。 大きなものをくれた人 大事な大事な説明し尽くせない謎をくれた人。 大切な大切なあなたに伝わるように。 大事な大事なあなたに滲んでいくように。 最後だから 最期のように ラストソングのように 永遠に枯れないような感謝を。 無理なく、柄にもなく、詩の中に。 ---------------------------- [自由詩]ふくよかな球体 晴れやかな柔軟 果てなき白夜/komasen333[2014年8月22日13時01分] うねる 静かな炎は囁くように くねる 穏やかな波は叫ぶように 照り返す 白き光の渦 盛り返す 情動の深き熱 粘りつく透明なる泡沫 したたり落ちる蒼く儚い空 掠れる残響  こすれる色彩 夥しい回路は  刹那に急迫性を帯び  絶頂と不安を混ぜ合わせる 時間に許された  艶やかな一挙手一投足 空間に選ばれた  崇高なる光と色と熱の折衝 伸び上がる  限界など知らぬような目映さ 伸び上がる  重力など知らぬような鮮やかさ 溶けて 溶けて 落ちて 浮かんで 落ちて 浮かんで このままで そのままで このままを そのままを いつまでも どこまでも 滲む背徳  わけもなく背徳 迸る罪悪  子供じみた罪悪 記憶に埋め込まれてゆく  繊細な深奥な水源を遡るような物語の残像 拡張する球体 破裂する柔軟 ふくよかな晴れやかな浮遊 濡れながら乾かしていく  渇きながら濡らしていく 透明なまま  音響は抑揚を深めて 透明なまま  動きは上昇を極めて すべてが揃った瞬間  満ちる、遠のく、気づく 世界は孤独のためにあったのだと 世界は二人のためにあったのだと 世界は出会いのためにあったのだと 疑いもなく笑い合い  信じることだけに染まり  他者は自分となり  自分は他者となる  矛盾なく  論理と感性は結合し 歓声と功利は完成へ流れ出す ---------------------------- [自由詩]不完全な演繹と帰納/komasen333[2014年8月25日14時28分] 不意に訪れる 想像の揺らめきを その揺らめきを逃さぬように 不意に落ちる 創造の煌めきを この煌めきを逃さぬように 来る日も来る日も その瞬間を信じ、淡々と続けていく 生きている意味など あろうがなかろうが どちらでも 生かされている価値など あろうがなかろうが どうでも 繋いでいく  生きていくことの醍醐味を 伝えていく  生かされていくことの醍醐味を 意識して 積極的に 繋いでいくだけで 無意識に 開放的に 伝えていくだけで 孤独でも 暗黒でも 包まれている気がする。 きっと無意識に 受け取ってきたのだろう。 繋がれてきた感情や感性を 純粋に楽しいと思えるように。 常に孤独でも 常に暗黒でも 許されている気がする。 たぶん自然と 受け取ってきたのだろう。 伝えられてきた思考や思想を。 純粋に嬉しいと思えるように。 そんな楽観? こんな単純? まあまあ。 機能するならば。 演繹法としては 帰納法としては 不完全だとしても。 ---------------------------- [自由詩]まみれた言い訳 と 巡らした予防線/komasen333[2014年8月26日8時30分] つまり君は 言い訳に言い訳を重ねて やらないことを選び続けているだけ。 つまり僕は 予防線に予防線を張って やらないことを選び続けているだけ。 とってつけた崇高な理想論 どんなに堆く積み上げても理想は理想のまま。 選びとらなきゃ、能動的な精神。 選びとらなきゃ、積極的な姿勢。 何も変わらないよ。何も変えられないよ。 命 せっかくある命 なんとかこうして続いている命を 活かすために今日があるとするなら 活かすために今という瞬間があるとするなら その心で この心で どこまでも羽ばたいてみよう。 這いつくばりながらでも 羽ばたいているとはとてもいえない様でも。 イメージするところから ポジティブなイメージを広げるところから 一歩踏み出す 一歩踏み出せ ちっぽけでいい  少しずつでいい 美しくなくていい 凄くなくていい 素晴らしくなくていい 描いたように動いてみればいい 動きながら描いてしまえばいい 誰も禁じていない 何も禁じていない 自分で自分を飼い慣らしているだけ 誰も塞いでいない 何も塞いでいない 自分で自分に言い訳を重ねているだけ 自分で自分に予防線を張っているだけ 言い訳にまみれた自分に慣れているだけ 予防線を巡らした自分に酔いしれているだけ ---------------------------- [自由詩]「行方不明者の捜索が続く現場で、声を上げて泣き崩れる女性」と題された報道写真/komasen333[2014年8月29日14時53分] 「家族、身近な人 土砂にのまれ…」 2014/8/22 朝刊 中日新聞 -------------------------------------------------------------------------------- 慌てて駆け出してきた黄色いサンダル 泥にまみれたぐしゃぐしゃな全景 黄色い立ち入り禁止線 境界線の向こうで 捜索や片づけに奮闘するヘルメットの数々 その手前で長い髪を垂らし、しゃがみ込んだまま 止めどない涙と収まらない心象 うつむき、悲哀に染まるばかり なんて言葉をかければいいのか こんな時、なんて言葉をかければいいのか どの選択肢も心もとなく 浮かんでは消え 浮かんでは消え 寄り添えない 包み込めない無力さにうちひしがれる 言葉が降ってこない 言葉が湧いてこない 言葉が詩にならない こんな時に限って 無難な当たり障りのない 言っても言わなくても どちらでもいいような言葉しか 顔も知らない 名前も知らない 瓦礫の前でしゃがみこむ女性 その姿を写した報道写真 丸まった背中にかけたい言葉は その背中にかけるべき毛布のような詩は 考えても考えてもまとまらない 今はまだ 思い浮かぶ言葉のすべてが嘘臭い どうしようもないくらい、しっくりとこない。 ---------------------------- [自由詩]漆の国のお伽噺 〜生誕百年 ?橋節郎展?漆芸美の可能性を求めて/豊田市美術館/2014.8.31〜/komasen333[2014年9月1日14時55分] 暗いようで ちっとも暗くない漆黒 夢心に 無心に ああでもこうでもない躍動 思考を試行に結びつけ 必死に一つ一つを形に成就 シンプルな中に 複雑化を落とし込んでゆくシンプル 静寂は深みを帯びて 黄金は滑らかに泳いで 漆黒が控え目に煌めいて この世のようで あの世のようで その世のようで 黄金と漆黒は、時空を混ぜ合わせたようで 絵本めいた世界 物語めいた現実 黒き湖畔に寄せる風はやさしく次元を変える 見えない波が鼓動に溶けて 聞こえない音が五感に沈んで すべては すべては すべては ほどなく  無理なく  一新という脱皮を経て ---------------------------- [自由詩]黒き時代の人質は絶対なる抽象 〜ジャン・フォートリエ展/豊田市美術館/2014.8.31〜/komasen333[2014年9月1日14時57分] ゆらめいている 終始つきまとう残響と残夢 輪郭は掴めず 確信は程遠く 核心は色濃く屹立 囚われた時代と 奪われた世界を代弁するかのように 無言の抽象が語りかける 限りなく即物的に縁取られた人物 限りなく琥珀や化石みたく閉じ込められた物体 読み取ることを拒むかのように 読み取る必然性を無化するように 絶対的な独立を漂わせ 深淵な孤立感を醸し出す 感じる前に考えざるを得ない しかし、考え始めた途端に感じざるを得ない 余白が重力と質量で溢れ返り 抽象が精密と饒舌を比喩している なんと逆説的で なんと自然なことか 曖昧はただの曖昧ではなく あいまいにまで迷い込み やがては愛埋にまで近似 沈黙は金を越え 静寂は銀に輝き 孤立は美に染まる ラフな裸婦は挑発するでもなく 精気な生気を漂わせるでもなく 遠征軍の秘めたる厭世を内包するでもなく ただの裸で 乱雑に時を捲り 乱暴に空を裂き ふくよかな絶対解と絶対疑を滲ませる ---------------------------- [自由詩]思考と試行と志向のアクセル/komasen333[2014年9月5日16時07分] 思考ブレーキ 取っ払っていいよ 試行ブレーキ ぶっ壊していいよ 志向ブレーキ ぶっ飛ばしていいよ いらない いらない こんな思考ブレーキ いらない いらない そんな試行ブレーキ いらない いらない あんな志向ブレーキ 踏み出せ  強く強く 思考アクセル 踏み込め  深く深く 試行アクセル 踏み鳴らせ 激しく激しく 志向アクセル 俺が俺を縛って何になる? お前はお前を縛って何がしたい? 邪魔くさい欲望に決別を 邪魔くさい短絡に告別を 思考アクセル 思考アクセル 行くぞ 試行アクセル 試行アクセル 勢いよく 志向アクセル 志向アクセル 全壊で、全開で、全快で ---------------------------- [自由詩]小金色の大海/komasen333[2014年9月20日14時01分] 笑顔とセットで カンパ〜イ くたびれた喉に 小金色の大海が沁み渡る 都会のど真ん中 無味乾燥なオフィスを抜け出し しわくちゃな今日にお疲れ様 まっしろな明日に景気づけ、景気づけ もくもくと 煙までおいしいバーベキュー キラキラと 照明までおいしい色んな屋台 くたびれ加減は様々でも ほろ酔いがすべてを受け止め 屋上からの夜景が主役たちを引き立てる 何もかも 忘れるわけにはいかない 何もかも 忘れられるほど甘くはない 上司、部下、同僚 肩書きまで  キレイさっぱり 脱ぐことはできない だけど 同じ夜に 同じとこで 食って、飲んで、話せば 「明日もなんとかなるだろう」と   単細胞は   息を吹き返すシステム ---------------------------- [自由詩]秋になっても渡り鳥は渡らなかった。/komasen333[2014年10月3日13時59分] 終わりを予感したのだろうか。 秋になっても渡り鳥は渡っていこうとしなかった。 9月を過ぎると思い出すよ。 あの頃のあの君を。 響いてくれ、響かないでくれ 繰り返してばかりいたあまのじゃく。 届いてくれ、届かないでくれ 素直になることができなかったぶっきらぼう。 あの頃のあの君にもう一度会えたら あの頃のあの君ともう一度話せたら 叶わないことを思い浮かべる10月の始め。 変わりゆく街並みの中で 自分だけが変われていないような虚無感。 移りゆく人並みの中で 自分だけが止まっているような寂寥感。 あの頃のあの君が年々眩しくなっていくから厄介。 あの頃のあの僕が年々濃くなっていくから厄介。 後に残ったのは大きな大きな後悔だけだった。 予感していたんじゃないのか? うっすらとこんな後悔に包まれること。 なのにこうして決めてきた こうやって繰り返してきた その積み重ねが今じゃないのか? どうなんだ、自分よ。 始まりを諦めたのだろうか。 秋になっても渡らなかった渡り鳥は 結局、渡ることなく冬を越えた。 ---------------------------- [自由詩]ハンバーガーもフライドポテトも食べないまま。/komasen333[2014年10月7日13時15分] ハンバーガーを食べたかったけど フライドポテトにしようとして フライドポテトを買おうとしたけど 何も買わなかった。 結局 そんなことを くり返していくだけの気がする。 ハンバーガーを食べたくて フライドポテトも食べたくて その両方を買ったけれど 少しも食べなかった。 結局 そんなことを くり返していくだけの気がする。 どんなに暇でも どんなに忙しくても どんなに嬉しくても どんなに悲しくても どんなに楽しくても どんなに寂しくても どんなに夢中でも どんなに悩んでいても この虚しさを忘れたくない。 この虚しさを手放したくない。 この虚しさを思い続け この虚しさを抱え続け この虚しさを考え続けていきたい。 ---------------------------- [川柳]したたかに/komasen333[2014年10月18日12時53分] したたかに 引き分け狙い ボールキープ ---------------------------- [川柳]裏返し/komasen333[2014年10月22日11時05分] 裏返し 国内産か 確かめる ---------------------------- [川柳]安全を/komasen333[2014年10月23日16時07分] 安全を 担保できない 審査とは ---------------------------- [川柳]解釈を/komasen333[2014年10月24日13時36分] 解釈を 広げに広げ どこへゆく ---------------------------- [自由詩]世代、時代、あっそう。/komasen333[2014年10月25日14時26分] 「世代が変わった」と 言われればそれまでだけど 何だかしっくりと来ません。 納得できません。 「時代が変わった」と 言えば説明がつくとでも? 誰かさんの受け売り  さもオリジナルであるかのように 述べるノベルはありゃしない。 壊れた。 と思っていたもの、まだ健在だったとの報。 崩れた。 と思っていたこと、まだ現役だったとの報。 思い通りにいかぬ人生  だからこそ面白い と、割り切れるほど、未だ悟っておりません。 思い通りにいかぬ世界  だからこそ続けられる と、分けられるほど、未だ片づいておりません。 ---------------------------- [自由詩]いいねって思わないけど「いいね」/komasen333[2014年10月25日23時31分] いいねって 思ってなくても 「いいね」を押したね。 いいねって 思ってなくても 「いいね」を押せるね。 嫌だねって 思ってたけど 「いいね」を押したね。 嫌だねって 思ってたけど 「いいね」を押せたね。 「いいね」を押しつつ 本音では「嫌だね」 「いいね」を押しつつ 本音では「イマイチだね」 「いいね」を押しつつ 本音では「ふつうだね」 「いいね」を押しつつ 本音では「どうでもいいね」 いいねって意味で もう「いいね」を押してないね。 純粋に いいねって思って 最後に 「いいね」を押したのは いつのことだろうね。 ---------------------------- [川柳]熟議なき/komasen333[2014年10月26日15時38分] 熟議なき 決める政治は 淡々と ---------------------------- [自由詩]She thought シーソー思想。/komasen333[2014年10月26日15時57分] 吹きつける風に 打ちつける雨に 降り注ぐ雹に 痛みを覚えると同時に 優しさを感受する。 〜巡りめぐる因果〜 間接に直接に そう把捉することで落ち着かせる心象。 割りきれぬことに抗うでもなく 分かち合えぬことを嘆くでもなく 思考を諦め試行に逃げるでもなく 唐突な不条理の煌めきと 可能性の間隙を抱きしめる その都度しっかりと抱きしめる。 多少の無理、痛々しくとも心地よく。 多少の虚無、際限なくとも見目麗しく。 立ち止まっているようでも 東西南北、歩はやむことなく。 崩れ落ちているようでも 古今東西、色はやむことなく。 闇の中で見出される光よ 光の中で導かれていく闇よ 向かうは同一。 手段は違えど、 目的は違えど、 価値は違えど、 思想は違えど、 身体は違えど、 心象は違えど、 空間は違えど、 時間は違えど、向かうは同一。 美しく狂おしく目映く儚く、向かうは同一。 ---------------------------- [川柳]権力の/komasen333[2014年10月28日13時06分] 権力の 価値より堕落 目立つ秋 ---------------------------- [自由詩]「いいね」を「お気に入り」して「リツイート」して「シェア」した。/komasen333[2014年10月29日15時24分] さあ、今日は何回「いいね」を押しただろう。 さあ、今日は何個「いいね」をもらっただろう。 さあ、今日は何回「お気に入り」を押しただろう。 さあ、今日は何個「お気に入り」をもらっただろう。 ああ。楽しいな。 ああ。寂しいな。 さあ、今日は何回「リツイート」を押しただろう。 さあ、今日は何個「リツイート」をもらっただろう。 さあ、今日は何回「シェア」を押しただろう。 さあ、今日は何個「シェア」をもらっただろう。 ああ。苦しいな。 ああ。嬉しいな。 自分で自分に「いいね」は押せないから 自分で自分に「お気に入り」は押せないから 自分で自分に「リツイート」は押せないから 自分で自分に「シェア」は押せないから 自分から自分に「いいね」はもらえないから 自分から自分に「お気に入り」はもらえないから 自分から自分に「リツイート」はもらえないから 自分から自分に「シェア」はもらえないから 「いいね」を気にしながら 「お気に入り」を気にしながら 「リツイート」を気にしながら 「シェア」を気にしながら 「いいね」の数に振り回されながら 「お気に入り」の数に振り回されながら 「リツイート」の数に振り回されながら 「シェア」の数に振り回されながら ああ。楽しいな。 ああ。寂しいな。 ああ。苦しいな。 ああ。嬉しいな。 ああ。虚しいな。 ああ。繰り返しだな。 ああ。繰り返していくんだな。 ---------------------------- [川柳]「脱法」を/komasen333[2014年10月30日13時11分] 「脱法」を 「危険」に変えて 取り締まる ---------------------------- (ファイルの終わり)