ゆうと 2010年12月22日18時01分から2011年8月2日16時30分まで ---------------------------- [自由詩]週末中日/ゆうと[2010年12月22日18時01分] あたたかな日曜日 きょう、きょうですよ 今日は水曜日 やわらかな時間 曲がりくねって ねり歩く 徒歩十分は 時に徒歩一時間にもなる みちしるべはどこにもなく 太陽はどこかにおっこちた さようなら こんばんは こんばんは おはようございます 今日もはじまる 本当の笑顔はどこかにおっことした ここではないどこか ほかではないだれか わたし、あなた、わたし、わたし 答えはでている すでに―― 今日が日曜日でないくらい知っていたけど日曜日がよかったんだ水曜日じゃなくて。 ---------------------------- [自由詩]ちかぢか電球きれるだろう/ゆうと[2011年1月17日18時52分] みえなくなって、また、ちか、っと、みえそうで、まばたき、みえない、ぱち、ちか、ぱち、ぱち、しずか、うるさい、しずか、しずか、だまる、とめる、しずか、しーん、せいじゃく、ちんもく、あれだれもいない、あれぼくは?、だれもいない、だれも、ぼくも?、ぼくもいない、いつのまに、あれ、ぱち、ぱち、つかない、みえない、あれ、ぱち、ち、あれ、れ、みえない、なにも、みんな、いない、もしか、ころしてしまった?、ぼくはもしかして、ぼくは、まさか、ぼくも?、なにを、おもって、なにも、かんがえず、に、そんな、かんたんに、ぼくは、むずかしいことを、してしまったのかい、いつのまに、いつのまにそんなちからを、そんなことを?、なんだ、うそか、うそじゃ、ないの、か、そうか、そんなかんたんに、むずかしいことをしてしまったのかい、ぼくは、なにもかんがえずに、できたのかい、そんなことができたなら、なにをおもっても、よかったのに、な、ぼくは、そんなこともかんがえずに、ああ、そうか、そう、あっというまだな、こんなすぐに、ね、ぼく、なにしてたんだろう、なんでもしたかった、なんでもできた、しってたのに、しってたから、つらくてね、そんなのいいわけだよ、うん、そうだ、もう、あっというまだね、いっぷん、いちじかん、いちにち、いちねん、ぼくはそうしてとしをとり、わすれていく、かんたんにむずかしいことをやってのけるようになり、そして、あっというまにね、ぽかんと、くちをあけて、あくびみたいな、それくらいだったんだ、あくびみたいに、だれにもおしえられていないのにしっていたんだ、それが、あくびだってことも、しっていて、それで、あくびをしたんだ、ほんとうにかんたんなことだったよ、ほんとうに、ぼくはなにしてるんだろうなんて、おもわなくてすむように、まばたきをやめたよ、にどとひらかなかったよ、もうそれだけで、それだけでねえ、むずかしいことなんてなかった、ぼくはそれだけをあたまにいれておけばよかったんだ、なんだ、みんなおとなになりたがって、なんだそんなかんたんなことをぼくはわすれてしまったんだ、こわいこわいね、こわいけどすてきだね、だからもうこわくないね、ないね、ぼくはもう、 ---------------------------- [自由詩]リキッド・アクアリウム/ゆうと[2011年1月17日18時54分] 群青にどっぷり、ひたひたになるまで 冷やされて、ゼリー状になるまで 僕ら懲りずに傷つける あきらめる 和解 そしてまた、 ---------------------------- [自由詩]たまにある日/或る夜/ゆうと[2011年1月17日18時55分] 君が眠っている頃に、僕は泣いてる。声を殺して。 ここはあたたかだから、心配はいらないよ。 ひとりだからわかるよ。ありがとう。だから夜は好きだ。 明日になったら平気だよ。もう大丈夫。きっと笑える。 ---------------------------- [自由詩]Sad Chord/ゆうと[2011年1月19日1時44分] 悲しい旋律が好きなんだ。希望じゃ救われないんだ。 絶望の淵に立っているのも希望と呼べるだろうか。 流星が沼に落っこちた。後追いはしなかった。 スケートリンクの下で今日も一戦交える。 見ていないから好きなことをしていいよと言われたけれどスパイがどこかに隠れていてもおかしくない。 翌日記者会見を開いた。ユーストリームで生中継したが視聴者はゼロ。 よくよく考えてみれば部屋にひとりだった。コードで人と繋がれるわけがない。 寝ても覚めても夢の中にいるような心地は、ポエマーなら夢心地と片付けるかもしれないが睡眠薬を盛られていたのかもしれない。 そういえばあのレストランでのオムライスはおいしかった。どうりで。合点がいく。 水を一口も飲まなかったのが敗因だったかもしれない。 だけどその直前に頓服薬を飲んでいたので、万が一水と見せかけてのアルコールだった場合危険なのでやめておいたのだ。 勇敢な判断だと思った。常々思っていたことだったけれど、後々思い返すとすべてが恥ずかしくなることだった。 年齢に泥を塗ることはいい。汚くなることに生き甲斐を感じなければ人はいずれ死ぬ。 早くからそれに気づいた人は瞳の奥のほうに色がないという。正真正銘の黒だ。 それにあこがれた。 そうしてこの沼、いや絶望の淵に辿り着いたのだけど、どうだろう。 ユーストリームをご覧の皆さん、黒いですか。色はありますか。どうですか。 あ、コメントが。 >「見ていないから好きなことをしていいよ」 自作自演乙。w xyz. ---------------------------- [自由詩]あそぶかねほしさ/ゆうと[2011年1月27日18時58分] だいじ、大事だよ、ちいさなこと全部、響くよ、心になくならない傷が増えて、増えてね、似通っていく、将来のきみ、ぼくの行く末。 ---------------------------- [自由詩]Ennui/Film/ゆうと[2011年2月15日17時41分] 白い庭,近くにある,すぐそこの,犬と,たべる実,無音と罵声,いつもより饒舌なきみ,少女の顔をして,次から次へと映像をみてゆく,退屈な冗談とたまにあるビビッド,こえてゆく壁と脳みそと値段,なくなったものはうつくしいのでみんなそれに群がる,あつくるしい夏が終わってそろそろ夏がくるころ,上書き保存名付けて保存コピーアンドペーストいわゆるパクリです,ひとびとは革命をみたがってる,あわよくば自分がなんて,ひととはちがうなにかをもってる,すぐ不安がるくせに,銀紙に包まれた液体がそれを象徴している,犬が寝返りをうった,ちいさな実がおちた,白い庭のその先で,待ち伏せしているのはだれ,手を振っているのはだれ,独り言が上手なぼくは一枚上手だった,こえてゆく少女,幼ききみの目をすてる,効きますかそれは,とても強力なので,死なないように注意してくださいね,ぼくにはむりだった,死なないなんてこと,できなかった,白い庭にうめられた骨の数々,いまはやさしくてらしてる,あしたには花咲くだろう根っこの渦に巻き込まれて,静かにじっとしている,とおいぼくのひとりごと ---------------------------- [自由詩]mizu.umi/ゆうと[2011年2月21日1時40分] みずうみを およぐ 底から数センチ上、 ひとたまりも なく ひとは 笑うかもしれない ぼくは無力 だと ぼくも 知っていたから あきれることも なく ただ 光を 見つめる 降ってくるものも あるし それを 酸素として いま、生きているけれど ほんとうのことは 知っている いつか 取りにいかなければ ならないこと ぼくを 呼んでいること でも ぼくは みずうみを およぐ まだ 鱗は 剥がれきって いないから 鳥にも なれないし 人間にも なれないよ だけど、 いつか という 時がくることを ぼくは 知っている から それまで みずうみを およぐ ぼくにできることが いま していること だとしたら 息ができる まだ 息ができている いいな いいな それが いいな いいな いいな それで いいな ぼくは くちぐちに いう ほんとう、だね 鱗がひかった ああ、そうか これも 光だ ぼくにしか みえない 涙 ひかっているね、世界 まだ、大丈夫 だね きっと ---------------------------- [自由詩]Endless Goodbye/ゆうと[2011年2月25日17時54分] こうやっていつも春は来る 嫌いになったわけじゃない 彼女はどこへいったのだろう 途絶えた連絡は 繋ごうとしないから 切れていく 忘れたふりしていていいよ 笑っているなら それで そうやっていつも春が来る ワンピースが好きだったね 春が好きだと言ってたね 好きだと思えなくてごめんね 僕は違ったんだ 彼女に罪はない 僕にも罪はない 変わっていくし 変わらないでいる いつもどこかしら 違っている 正確じゃない算数を いくらやっても解けないよ どこで間違えたのかもわからない ただ数字が増えていって 僕は やめたくなったよ ただ今は すこしだけ願いたい 今夜すこしだけ泣きたい それだけの気持ちで 風は吹いていく 終わりじゃないさよならを繰り返して 終わりのないさよならを ひとつひとつやめていく ---------------------------- [自由詩]さいしょでさいごの晩餐で/ゆうと[2011年3月2日20時33分] さいしょにたべたのだれ? さいごにたべたのなに? ぼくをぼくあつかいする、ひとびとはてなれてる。 すとろべりーはすきじゃないといったらおこられる。うそはよくないと。 だからぼくはおれんじをほおばった。かじゅうひゃくぱーせんと、ぱーふぇくと。 さて。ぼくをぼくだときめつけたひとびと、おれんじよりさきにすとろべりーをわたした。 ぼくがさいごにたべたのはすとろべりーだった。 そして、おれんじをさいしょにたべたあのひとは、ぼくに、こういった。 「きみはまちがっているね。」 ぼくはわらったふりをして、わからないでいるつもりだったけど、のどにつかえたすとろべりーが、まよなか、ぼくをころしにきたんだ。 くりかえすことば、 きみはまちがっているねきみはまちがっているねきみはまちがっているね、、、 ああそうか、おれんじをさきにたべていれば、こんなことにはならなかった。 あのひとの、いうことを、きいておけばよかった。 それはせいろんだったかもしれないけど、ぼくはぼくをえらんだ、えらびたかったから、ぼくはすとろべりーときょうはんしゃになったんだ。 まんげつのよる、ころしにいくつもりだったけど、そのころぼくはねむっていた。 とびちるあまつぶが、まどがらすをたたいて、ぼくはめざめて、このものがたりはおわるのだった。 ---------------------------- [自由詩]青の他人/ゆうと[2011年3月8日19時23分] 携帯電話 充電器持って 逃げ惑ってる 逃げ惑ってる アンテナの立たないところで ひとり立つよろこびを 踏みしめて 踏みにじって 街の雑踏に消える 樹海は一体どんなところ 樹海は一体どんなところ 十回聞いても返ってこない 返事のないところ 大体さ、携帯なんて 持ってたって あんまり意味なくて 連絡する人なんて 決まっているし 寂しさを埋める 道具じゃないんだ むしろ副作用がきつくて 夜眠れないでいるよ 今夜ももう飽きた きれいな世界が見たいな どこかへ行ってしまいたいな 結局どこへも行けなくて 布団の中 夢に消えてくの 何回聞いても 忘れてしまう 何回言っても 忘れてしまう そんなたいしたことない話 くだらないことだけ覚えてる 世界はずっとずっと広くてね、 今死ぬよりもいいところ 知ってる人は知らない人 探しに行くほうが きっと絶対楽しい ---------------------------- [自由詩]わるくない/ゆうと[2011年3月13日23時19分] だれもわるくない だれもわるくないから すこし胸を撫で下ろす それはつらいことでもあるけど やさしくありたいと願う 泣かなくていいんだよ 泣いてもいいんだよ それはあかるいことでもあるだろう なにがあってもきみがすきだ かわらない事実は ゆるぎない希望 ---------------------------- [自由詩]星のなまえ/ゆうと[2011年3月18日20時14分] ぼくをなんて呼ぶ ぼくをなんて呼ぶ かなしいと呼ぶ うれしいと呼ぶ ぼくを嫌いになってくれていいよ、なんて ぜったいに言わない 思ってもないこと言うなんてダサい 大事なところでうそつくほど かっこわるいことはないよ ぼくをなんて呼ぶ ぼくをなんて呼ぶ 最初はなまえなんてなかった みんなみんな そうなんだ ぼくを見つけた人が なまえをつけてくれた かなしいのだって うれしいのだって きらきらしてる たからものさ きらびやかに ぼくは、ぼくを祝いました ありがとう ありがとう ぼくは笑顔でいいました 涙は見せないつもりです 舞台をおりてからにするつもりです ぼくが最高にうれしかったのは きみがあたらしいハンカチをくれたことでした ---------------------------- [自由詩]ミルクセーキ/ゆうと[2011年3月19日20時50分] きみは まさか、 さかなじゃないかと思ったんだ 背骨が あばらが 見たことのあるような かたちをしていたから コンタクトレンズをはずした いつもと違う世界だといった きみが見ている世界をうたがってはいけない、 うそがすべり落ちそうになった だって真実が見えるひとには ぼくは見えないからだ きみの白くて細い腕のなかには 白い骨があるのだという ぼくには見えていないけれど 白い骨があるのだという どうして見えないのにあるんだろうね、 ぼくはたしかめるように きみの手首を折った 白いブレスレットをあげよう、 なくさないようにしまって 大事そうなポケットはあたたか きみは笑っている きみは笑っている ぼくは、 こんなにも大事なきみのなかにさえ 愛を感じなくて じわり、 抱きしめた するすると腕は巻きついて 二度とぼくは自由になれなかった いくつか過ぎ去ったあとの 遠い、春の日だった ---------------------------- [自由詩]満月をたべる/ゆうと[2011年3月19日20時53分] 隠し持ったナイフを、見せびらかす夜。 似合わない僕は、おぼつかない歌を。 君のためのうそを、全部失くしたころに。 ただよう、淡いシャンプーの香り。 (もうすぐ飛ぶ、飛べるだろう。ね) ほら、満月だ。ホットケーキを焼こうか。 ---------------------------- [自由詩]ゆぐむ/ゆうと[2011年3月19日20時56分] 椅子が揺れてる じつに不安定な 音に沈む いつの間にここにきたの ぼくの居場所なのに不思議だね 他人行儀に笑ってる 夢をなくしたの 誰がこわしたの うらまないで うらまないで 目隠ししているのは一体誰の手 どうして、 その先でぼくは口をつぐんだ つつしまなければいけない オブラートが時と共に溶けてゆく   ( どうして       その手でぼくをすくってくれなかったの、 ) 目がさめると悪夢ばかり見るんだ ぼくをのみこんだまま 凝り固まった赤いゼリー あなたの発明は冴えていて あなたの決断は冴えていたよ 有罪のあなたは無罪になり 無罪のぼくは有罪になった 無実は事実になり そして真実になった ぼくをだましたんだ これはあやまりだと何度言っても聞く耳をもたなかった 子どもの声は大人に届かない あきらめたら忘れられるかい ちがうだろう、 / この行き場のない罪は 誰が背負ってゆくんだろう ああ、きみか きみなんだ ほんとうに、 / ごめんね ぼくを許してね あのひとの代わりに ぼくを責めてね つつんでいたオブラートが アルミニウムに変わる ぼくをのみこんだまま 凝り固まった青いゼリー 今日も空は明るい ---------------------------- [自由詩]TomorroW LighT/ゆうと[2011年3月21日16時19分] きみがあるいて渡る歩道は せまくて車は通れなかった 体温をうしなった右手は冷たく あたたかい血をわけあたえたかった 今日はもうかえさないよ やさしい瞳で言った 深海のような濃い色で うずくまって眠った あたらしい は いつからはじめたらいいのだろう だれも合図をおくらない 信号は消えていた 途絶えた命をいつかは葬る 途切れ途切れになる希望 雲隠れしたの 煙に巻いたの どちらともなくすりぬけた 逃げ足はいつでも速い かけっこの優等生だった ?明日もしぼくに会えるならなにを伝えたいか考えておいて? 日記帳にはしおりを挟んでおいた 履歴書はえんぴつで書いた だってテストなのに 消しゴムだけが許可されて ボールペンだけはじかれるなんて おかしいよ いつだって まちがいは許されるはずだ 大人びて見える 子どもは胎内に 保存していた食べものを渡す 手つきはまるでロボットみたい かきこむ速度は保たれて むせかえるほどの耳鳴りに吐き気がした なぜだれもとめなかったのだろう あのとき時計をとめていれば 壁から落ちた秒針だけが 迷子になるはずなかったのに 許されないのだろうか まちがいは 永遠にまちがいなのだろうか サインペンで色紙を書く だれかがぼくを訪れる 心待ちにした日々を ---------------------------- [自由詩]あやとり/ゆうと[2011年3月21日16時21分] 雨が降っているなかで、きみとのやりとり浮 き上がる。水色の紐であやとり、つないでい る細い声。たしかにきこえた澄んだ心の内側 で響く、エナジー。明日には見失うなら今す べてを捨てて飛び立とう、さらに。誰もいな いところでこぼすコップの水はひろがりをみ せた、地図。たどり着くころには涙を海に葬 ろう、約束だよ。約束だよ、まだそばにいて。 ひっぱってくれる引力を頼りにぼくらは前に 進むのだから、忘れないでね約束だよ。約束 だよ、まだいなくならないで。水色の紐あげ るからまたぼくを思い出してね、なくさない でね裏切らないから。 ---------------------------- [自由詩]ビールのにおい/ゆうと[2011年3月23日14時58分] 酔ってしまいそうなころ 大人になれない僕を思う いつしか離れたことにも慣れて きっと君も忘れるだろう 風吹き草木も眠る夜 踏み出した一歩先で 逃げ出してしまう影 もうひとりを追いかけた 明日が来るまで 僕は一睡もできない 空気中にただよう ぬるい春のにおい 目立たないところで ゆっくり芽をひらく 集まる人たちの 乾杯の声がした 散ったら風にのり 君に会いに行こう ---------------------------- [自由詩]あのこはひかりをもっている/ゆうと[2011年3月23日14時59分] 電気が流れた ついでに光も 目に見えるものは 心を放っている 地球から出て少しした頃に 出会ったあの娘は今 スキップをしながら 街を歩いている 悲しみは消えないし どうしようもなく悲しみだし それは真実だけど 悲しみだけじゃないことを 忘れたらいけないよ 悲しみだけじゃ生きてゆけない 誰もがほしい喜びは 希望という光になって あの娘のもとに届くのだ そうしてあの娘は街を歩き 人々に分け与えるのだ 格好よいことではなく 偽善でもなく無理やりでもなく 当たり前のことをふつうにやっている あの娘はやさしいわけじゃなくて やさしくされたいだけなんだ、と みんなの笑顔を見たがって ただそれだけのことで あの娘の存在は輝いていた 悲しみは消えないし 喜びだけじゃやってゆけないし 面倒になったものだ でもだからこそ 当たり前が大事で あの娘が大事なのだ みんなそうだった やさしいのが好きだった ---------------------------- [自由詩]a_ca_ri_./ゆうと[2011年3月31日23時15分] 粉々になっていく夜。 くだかれていくね、 散り散りになる朝。 そうして舞う昼、 さらさらという音。 照らされる夕暮れ。 消えるひとつの灯り。 ---------------------------- [自由詩]ゆめのなかのこども/ゆうと[2011年3月31日23時16分] きみはぼくのこども ぼくはきみのこども こどもあつかいしてね こどもあつかいしてね ばかってわらってね えらいってほめてね おとなになんなきゃいけないなら こどもあつかいしてね こどもあつかいしてね さびしいときはだきしめて たのしいときはてをつなごう きみもぼくもね わらってるのがすきだよ おとなになってもね ちゃんとないてわらうんだよ ---------------------------- [自由詩]カイト/ゆうと[2011年4月18日0時47分] かなり笑って消えたがる 揺さぶられる白い朝 あんなに狭い空はもう どこか彼方へいってしまった 約束を破った搭乗券は 僕の尻尾を掴む 本当ならここにいてはいけない いていいはずがない 伏し目がちの長い睫毛が 危ぶむ世界を救うと知らずに 今日の朝はとてもきれいだね 風が埃を拭き取った 息を吸い込むまでに どこまで行けるだろうか いつまで続けるのだろうか さよならを 言いすぎた 口が渇き 水を欲しがる ありがとう 言い換える 撃ち落とす 甘い心臓 今日の朝はとてもきれいだね 誰のおかげか知らないけれど 誰が生き残ってもいいように やさしい 死がまどろんでいる 今 撃ち落とす甘い心臓 帰り道にありがとう 忘れない 忘れないでいて 僕はまだここにいる ---------------------------- [自由詩]NEWS/ゆうと[2011年4月27日13時45分] どうしようもなく悲しい世界になってしまったなあ、 つらいことばかりが浮き彫りになっていく。 ニュースキャスターは落ち着いた口調で教えてくれる、 世界の終わりに合図はない。サイレンは鳴らないよ。 愛というのは人間が作り出したやさしさのかたまりで、 ほんとうは存在しないものなんだ。 ごく自然に空気中に漂い僕らを取り巻いているけれど、 ほんとうは存在しないものなんだ。 誰かが流した涙を飲んだのかな、 寂しさが鳴り止まない。 体温が奪われていくようだ、 夜に吸い込まれていく。 眠れなくなった。朝が来なくなった。たぶん忘れたんだ。僕を。君を。この街を。この国を。この地球を。世界を。 不安がる君にかける言葉が見当たらない。何もできない。僕はただ存在しているだけ。 誰かの代わりにはなれないけれど、誰もいないことにはならない。 それでもよければ喜んで。僕でもよければ喜んで。君さえよければ喜んで。 僕はただ存在している。 * 愛は、ほんとうは存在しないものなんだ。 もし存在するのなら、こんなに悲しい世界はない。 それでも夢を見たがった。愚かな人間の魔法。 希望があるならそれに縋りつきたい。嘘でも騙されていたい。 そう思うほど僕らは疲弊しているのかもしれない。 愛は、本来ならば存在しないものだとしても、 それでいいじゃないか。 目にみえないことすらみえなくなったら、おしまいだよ。 ほんとうの悲しい世界なんて見たくない。知りたくない。 世界の終わりに合図がないように、僕が死ぬ時の合図もない。 ――みえないことすらみえなくなったらおしまいだよ、 ――誰もそれを伝えないから、みえないところで死んでいくんだ。 * ただただ、僕は存在している。 僕は存在しつづけている。 ニュースにならないみえないところで、 あなたが生きてることを願う。 ---------------------------- [自由詩]ただの青さ/ゆうと[2011年5月6日20時40分] 見えないどこかで 血をわかちあって 自ら肢体を埋葬する様が 今日の君を物語っていた 冷たい肌に触れる うすい膜に包まれている 心髄は? 心髄は? 無重力の彼方 枯れた夢の持ち主 声が出なくなって 何日かした後に言った おいしいという言葉 目に浮かぶ青は 空でも海でもなく ただうつくしいだけの 青だった 心髄は? 心髄は? 君がわかるところにあるよ 君だけが知っているところに 理由は求めなくていい ただの青さ 無意味でいいよ 最初からそうだった 惑星をかち割る 君は何を壊す? もうやめておこうか こんな夢は ---------------------------- [自由詩]プラスチックのダイヤモンド/ゆうと[2011年5月22日23時18分] 苦しくなったね 言葉がでなくて 誰のせいでもなく 死んでゆくのだ --- ラ、ララ ララララーララ --- なんで おしゃれ するの きみは かわいく ないのにね --- ト音記号がうずをまく --- こまかくかみくだいて ぼくをとかしていってくれないか ゆっくり ゆっくりと 秒針にさからって --- 五線譜のうえ --- あくまでの ぼくだ ゆるぎないものはたしかに持って 地面にむかって声をだす 完全な球体ですから とどくのです はこぶのです --- とうめいな数字 --- あそんだほうがいい あそびはできるだけしなさいと そうじゃなきゃ そうならなくちゃ こわれていってしまうから --- なみうつおと --- うらぎらないでね うらぎらないから もう二度と 手放さないから 隠し事はしないでね 手を握っていてね ---------------------------- [自由詩]コンクリートと靴の音/ゆうと[2011年5月22日23時20分] 雨の日の地下室で 僕らはコーヒーを飲んだ 君はホットで 僕はアイス 隣の二人の会話が大きい いまならおどろかないから ひみつの話をしよう たわいないひとことに 僕がもうひとこと 君がもうひとこと くりかえすうちに サンドイッチができあがったね しっとりとした雨に しゃきっとした君の傘は似合う 君のコーヒーはぬるくなって 僕のコーヒーはうすくなって 隣の二人がいなくなっても 僕らはまだそこにいたね 時間の流れなんて 時計を見なければわからないから いいように いいように 都合のいいように 流れていったね 遅くなっても明るくなった 僕らのまちは夏をむかえる 春だったんだなとぽつり 受け取った紙は うちに帰ってまた見るよ 僕はもうすこし 君は足早に 反対方向へ 雨の上がったまちをてらす 緑がそっと揺れている ---------------------------- [自由詩]シロツメクサ/ゆうと[2011年6月24日17時08分] あたらしくなったすべて ここで はじまっていく いまは いまだから とりあえず わすれよう めのまえに ひろがる こうけいが すべてなら どうだい むかっていくあした やってくるきのう わすれたくないことは おしえておいて ひみつにするのも いいね みるみると のみこまれて やがて めをひらく しろいせかい あたたかく つつまれて まぶしく わらいたい わらいあいたいね ひとりじゃなく てをにぎろう ---------------------------- [自由詩]エクリチュールの星/ゆうと[2011年6月24日17時32分] 灯ったら と思ったら なんでかな すぐ消えた ここでお別れ 夕方五時の鐘 最後にひとつ 一番星をプレゼント たいしたことなくてごめんね できることがすくなくても いつも 想っているよ 灯ったら と思ったら なんでかな すぐ消えた 思い出したけど あれは 流れ星だった そういえば いつも想っているよ ---------------------------- [自由詩]アップルジュース/ゆうと[2011年8月2日16時30分] なくしたもの ここじゃないどこかで 落としてきたもの きっと大事だったもの ああ いつになったら 涙はかたちになるかなぁ アップルジュース 飲みたいね アップルジュース おいしいね 忘れていたけど 思い出した 夜が明けないことを願った 悪魔と呼ばれても 嘘はつけないよ 本気じゃないけど ただ君という人が たまに恋しくなるんだ アップルジュース 飲みたいね アップルジュース おいしいね 忘れていたけど 思い出した 忘れていたけど 思い出したよ ---------------------------- (ファイルの終わり)