ゆうと 2010年7月12日19時14分から2010年11月26日0時31分まで ---------------------------- [自由詩]はじけとぶ なつのよる/ゆうと[2010年7月12日19時14分] おなかがへったら たべればいいよ そこにパンケーキがあるでしょ あそびたいな まだ あそびたりないんだ かえったらすぐ ふとんにダイブしちゃうくらい それでもまだ あしたがこなくなっちゃうくらい もえつきたいなあ ゆうひがしずんでもまだ あそんでたいなあ ちょっとくらい むちゃしても ゆるされちゃったりしないかなあ おまつりさわぎがおわっても せんこうはなびがおわっても かとりせんこうがなくなっても せんぷうきがとまっちゃっても まだまだじょのくち これからでしょ? たのしいのは いまからでしょ? さびしくなるのはきらいなの さびしくならないくらい いっしょに あそぼうよ さいごまで ゆめがさめないように いのってよ ねむっても おきても ゆめだったなんていわないで もう あさはこなくていいから しばらくこなくていいから あそびつかれて なんにもできなくなるくらい あそんでもいいって だれか いってくれないかな だれか いっしょにあそんでくれて だれか ゆるしてはくれないかな そしたらひとりで なかなくてすむのになあ こんな なつのよるには どこかのだれかと どこかとおくへ しらないところへ いってみたいな おなかがへったら パンケーキがあるから まだまだあそぼう たべたらあそぼう あそびたりないよ こんな なつのよるだから ---------------------------- [自由詩]知人/ゆうと[2010年7月12日19時16分] 悪いことはしてないよ だけどいい子じゃないよ 道案内はするけれど その先のことは知らないよ 決まってる分 しあわせになって 決まってる分 泣くなんて 最初と最後が決まってるなんて つまんないなあ そんな人生 迷ってもぼくのせいじゃない まちがってもぼくは悪くない あたまわるいなんてそんな あなたにぼくのスペックは わからないでしょ わかるはずないよ ぼくもあなたを知らない ぼくは死んでから生まれた ぼくは生まれなくても死んだし ぼくは死ななくても生まれたの そんなの誰が決めたの ビッグバンなんて誰が見たのさ 誰も知らないでしょ あたまおかしいのはお互い様さ 知らないほうがいいことばかり 必要な分だけもらって いらないものは捨てる 部屋片付けてる暇がないのは ぼくはまだ満たされてないから 散らかった隅々にまでひろがる 悪い子もいい子もぼくの知り合い ---------------------------- [自由詩]シフォンケーキ惑星/ゆうと[2010年7月13日23時50分] ぜんぜんすごくないんだぼく さすがになんにもできないんだ こうなっちゃうと 地球を逆にまわさなきゃ 反対側にうつって 誰もいない月の上に立って 本当のことを ただただ本当のことだけを叫びたい 凪いでいる いまにも落っこちそうな地球 とんでく? やめとく? すきにして いい? ふわふわ ふわふわしてるんだ あたまのなか ほんとうはこんなのいやなんだけどね そういいながら いまにも変われなさそう 地球がひっくり返れば ぼくは無敵になれるのに きっとぜったいそうなのに ただただぼくはこの場所で 突っ立っていることしかできない ほんのり甘い香りにつつまれて どうにかなっちゃいそうなんだ いっそどうにかなっちゃえばいい ぼくにはどうにもできないから いっそどうにかなっちゃえばいい のに ---------------------------- [自由詩]ちいさなあかりがあるところ/ゆうと[2010年7月16日2時24分] わたしいなくなりたい とおい夜空にきえたい きれいじゃなくていい 光ってなくていいから 今すぐいなくなりたい 裸足で走ってとびたい 誰にも知られずに 誰もいないところへ 影ができないくらい真っ暗で あたりいちめん真っ黒だったら きっとこわくなっちゃうだろうな だからここにいるんだろうな 自分の手のひらが見えるくらいの ちいさなあかりがあるところ 眠るときにも呼吸できるなら きっとなんにも心配ない きっといつかはうまくいく ---------------------------- [自由詩]お天気屋さん/ゆうと[2010年7月26日20時13分] くもり のち はれ のち くもり のち あめ のち はれ のち あめ のち くもり のち くもり のち はれ のち くもり のち はれ ---------------------------- [自由詩]アイスクリームは溶けてしまうよ/ゆうと[2010年8月2日21時39分] 死んだふりばかりうまくなって 世渡り上手になれなくて からっぽの冷蔵庫みたいな心をもって 誰も愛すことができない僕は たまに必要とされることが たまごを割る時みたいにうれしい ---------------------------- [自由詩]掃除機は嘘を吐かない/ゆうと[2010年8月2日21時41分] 大好きな君が クッキーを食べこぼしたから 掃除機をかけたら 君まで吸い込んでしまった 僕は慌てて、中身を空けて ゴミを引っ張り出したけど 君は出てこなかった 全部ゴミを出したのに 君は出てこなかった 困った僕は とりあえず手を洗ってから もう一度君を探すことにして 洗面所へ向かった そしてリビングに戻ると 君はふつうの顔をして またクッキーを食べていた どこに行ってたの?と聞いたら 掃除機の中、と答えて 掃除機の中で何してたの?と聞いたら ちょっと調べもの、と答えた 気にしないで、なんて微笑んで 次の日僕らは別れた 理由を聞いたら あなたとは暮らせないから、という答えだった 掃除機の中を見ればわかるの、と からりとした声で言った 僕は一体、君が何者なのか わかりきる前に 大好きなままの君は 僕の前から姿を消してしまった ---------------------------- [自由詩]blindness_parade/ゆうと[2010年8月5日1時30分] 目が覚めないまま 右手でなにかを壊して 痛いのはわかるから 少しだけ泣いて 張り詰めていた 糸がゆるんで 気楽になって笑う (殺される?) 背中についた不安は消せない 赦されない? いつかは 笑い声は止むよ (殺される?) 雨みたいに降って 夜明けみたいにおさまる 忘れた頃にやってくる パレードに手を引かれて 光に目を潰され 闇に姿を消される パレードは手を振って さよならをうたう (殺される、) 微笑んで 微笑んで 罪は重くなっていったとしても 微笑んで 微笑んで 結局たどり着く場所が同じなら 微笑んで 微笑んで さよならをうたおう (微笑んで、) 悪いのは全部僕さ 悪いのは全部僕の所為にして 罪なら最後に祓おう 約束するよ 約束するから (微笑んで、) (微笑んで、) (殺されて、) (さよなら。) ---------------------------- [自由詩]shiro/ゆうと[2010年8月6日0時19分] まっしろい かべに まっしろい まどがあって まどのそとも まっしろだったら ちゃんと まどはみえるかな * ぼくのはだが まっしろで ぼくのふくが まっしろだったら ひとみだけが みえるのかな それともそれも みすごしちゃうかな * まっしろな ワンピースに まっしろな すなはまで きみはダンスを しているけれど ぼくには よくみえていない めをこすると たまにみえる むぎわらぼうしが とんでみえる きれいだなって かもめがないてる まっしろだけど かもめはないてる しんぞうが どくどくと なみうつおとだけが しずかにみえる * たいようが まっしろで つきも まっしろで ぼくも きみも まっしろだったら ほんとうの あいが みえたかも しれないね * よけいなものは みえなくて ひつようなものだけ みえたなら ぼくはこんな まっしろなせかいで まよったりは しないんだろうな * まっしろな カーテンが かぜにゆられて つつみこむ みえかくれする はなみたいに くすくすわらう やさしいにおい ---------------------------- [自由詩]ファンタジー、ぼく/ゆうと[2010年8月9日19時24分] それでいいの、 それでいいの、 それでいいの、 ちがう、 ちがうけど、 それでいいの、 それでいいよ、 まちがってないよ、 それでいいんだよ、 ただしいよ、 そんなこと、 だれがいったの、 だれってだれなの、 だれでもいいの、 うそでもいいの、 だまされたいの、 ばかいわないで、 ほんとうのことを、 しっている、 じぶんを、 しんじないの? ファンタジーに、 だまされたら、 だめだよ、 せいかいは、 ぼくのとなりで、 ねむっている、 。 ---------------------------- [自由詩]解放/ゆうと[2010年8月12日18時17分] 静かの中に身を投じる。 こんがらがっていた糸が、まっすぐになってゆく。 なにもむずかしいことを考えることはない。 自然と一本の線になるのだ。 頭を空にする。ひとつの空間にする。 ここは部屋で、窓もドアもある。 なにも不自由なく、ぼくはただここにいる。 そんなイメージをうかべる。 そして放つ。 ぼくらはとてもわかりやすく、一本の線でできている。 ほどよい力加減で、ピンと張った糸のように。 こんがらがったぼくらもみんな、最初は一本の線だった。 それとおなじように こんがらがったぼくらもみんな、最後は一本の線となるのだ。 ---------------------------- [自由詩]きまぐれ/ゆうぐれ/ゆうと[2010年8月13日19時40分] どっからどこまでがぼくで どっからどこまでがわたしで どっからどこまでがじぶんなんだろう どっからどこまでがきみで どっからどこまでがあなたで どっからどこまでがあのひとなんだろう かっちりしたものは苦手だな でもゆるすぎてもだめかな なにをどうしたいのといわれても すきなことをしたいだけさ 理由なんてないよ 山登りをするひとが 山がそこにあるから と こたえるのにあこがれて 旅をしたくなったけど 散歩するだけで終わってしまった みじかいみじかい 夕暮れの旅 ---------------------------- [自由詩]瞳孔/ゆうと[2010年8月21日2時57分] かなしくなって夜明け まぶしくなって朝 いらないいらないいらないよ もう二度と目覚めなくていいよ 本当のこと言ってるのに 聞き返さないでよ 通じない言葉同士で 会話しよう これはいけないことだろう これはいけないことだろう わかっているのに足つっこむ わかっているのに手が触れる おかしなものを見ていたの? 話すことなんてないんだった すっからかんの脳みそで 言葉をいくら紡いだって すっからかんの心の中は なんにも満たされないんだよ そればかりか穴が開いて 穴だらけになって 夜眠れなくなってしまうんだ ---------------------------- [自由詩]真夏の雪/ゆうと[2010年9月3日17時15分] どうして真夏に雪が降ったらいけないのかわからないけどいけないらしいんだ。 そんなことを考えてたらぼくってそれに似ているかも、なんて思った。 いけないのはぼく。異常なのはぼく。わがままなのもぼく。 いつか刑務所に入るかもしれない身柄なのに野放しにしているこの世界はやさしいんだろう。 この世から排除されたほうがいい要素は誰だって持っているにちがいない。 それでもぼくは誰からも嫌われない人に会ってみたい。 理由はなんであれ、途方もなく安心したい。 それが無理だとわかりながら、今日もどこかで唾を吐き付けられていたとしても、ぼくはそれを受け入れるしかないんだ。 いつかお墓に入る時は、みんなと川の字になって眠りたいな。孤独を忘れてしまいたい。太陽のにおいがする布団で眠るみたいにさ。 ---------------------------- [自由詩]□/ゆうと[2010年9月22日2時57分] きみは、完璧すぎた。 だからきみは死をはかった。 きみは、完璧すぎた。 いらないものなどなかったし、ほしいものだってなかった。 きみは、完璧すぎた。 穴を掘り穴を掘り穴を掘りつづけても、出てこなかった。 きみは、完璧すぎた。 とちくるったダンスがとくいで、それはそれはうつくしかった。 きみは、完璧すぎた。 だからぼくには必要不可欠で、だからみんなこぼれていった。 きみは、完璧すぎた。 きれいをふりまいて、それだけのことで、みんなその気になって、ひとりのこらずころしてゆく。 さいごは自分もころすといっていたけれど。 ぼくはそんなことを知るよちもなく、何番目かのこいびとになり、おろかに死をまつことになった。 みんな地獄へゆく。きみが降ってくるのを待ってる。 ばかばかしくおもえてくるかい。 みんなみんなそうじゃないのかい。 いつかは死ぬことになるし、それをわかったつもりで、真っ暗闇のなか、希望がみたいんじゃないのかい。 生きるってそういうことじゃないの。 きみは、完璧すぎたから、きっとそれをしらない。 そしていつまでも死なない。 きみは、完璧すぎたから、いらなかった。いらなかったんだよ。 だからまっさきにきみが死んだんだ。 地獄で待ってるね、なんてわらって。 ぼくを地獄へ突き落とすように。 ぼくがころすまえにきみはしんだんだ。 ---------------------------- [自由詩]圏外アンダーグラウンド/ゆうと[2010年9月22日3時00分] 海へ いきたいと いったら つれていって くれたかな 月が みたいと いったら 雲を かきわけて みせて くれたの? そこまで しないよ そこまで しないって ねえ そうなら いなくなってよ 嘘 そばにいて ほしい さっき 鍵 わたし わすれて しまったの わたし わすれたの さっき さっきのこと だけど もう とりかえしの つかない ところへ あなたは いって しまったのね もう かえって こないように なにも おもいださないように ヘッドフォンで ふさいで 携帯電話を すてたら ばいばい ---------------------------- [自由詩]献立/ゆうと[2010年9月29日2時45分] あしたは なにを たべようか きめかねて いるから きみがきめて いいよ ---------------------------- [自由詩]こまやかなぼくら/ゆうと[2010年10月4日17時42分] 物語を読み終わったあと 夢うつつに思いを馳せる 形のないものをふちどる 魔法みたいなことができる まぶたの裏では鮮明に 雨が降り 夜が来て 風が吹き 夕暮れを迎える 知らないことを知った気分 思ったよりこまやかなぼくら ---------------------------- [自由詩]2×2=/ゆうと[2010年10月12日17時39分] わかったようなこと いえないけど きみを救う手立ては いくらでもあった気がするんだよ ぼくはなんにも しらないけど きみを救う手立ては まだのこっている気がするんだよ きみの闇を覗いたら まっくらで ぼくの闇を覗いても まっくらだけど きみとぼくの闇を 一緒に覗いてみたら ちがう気がするんだよ すこしでも 光を見る目が増えるから 光を見る力が増える気がするんだよ たしかにぼくは視力が悪いし たしかにぼくは無力だけど 力になりたいって思うし そう思う人は きっとぼくだけじゃないんだよ ぼくはなんにも しらないから わかったようなこと いえないけど きみを救う手立ては いくらでもある気がするんだよ まだ ぜんぶ使い切ってないから いくらでも試してみようよ それでもだめっていうなら 最終手段はぼくに託してよ ---------------------------- [自由詩]ぽつぽつ/ゆうと[2010年10月25日20時37分] しってた この空気 この色 のど飴がとけてる いつのまにか ぼくら季節をまたいだね あした、またあしたと 進んでいくはずなのに 後ろ歩き 逆回り ただトランプをきるだけの簡単なお仕事をしながら 生きていくのはたやすいことじゃない おかねをもらえるのは結構なことだけど おかね以外をもらえるのもなかなかいい たまに暗がりを見つけるとそこに入り込んで きりかぶに腰をおろすみたく落ち着いてみる ここには電気や電波はとおっていなくとも感じることはできた ぼくらはであえた またひとつ、またひとつと ぼくらは季節をまたいで とけたのど飴を舌でとかしながら あたらしい色や空気をさがしていく 青信号になったらわたろう それまではじっと待とう そんなふうにして日常をつくって すれちがっては すりあわせてる ---------------------------- [自由詩]手/ゆうと[2010年11月1日1時38分] わすれものをとりにきました。 でも、ありませんでした。 ぼくはわすれたものがなかったことにして、そっとこころにしまいました。 おとしものをひろいました。 もちぬしをさがしましたが、みつかりませんでした。 ぼくはおとしものをもうおとさないように、そっとポケットにしまいました。 たまにおもいだします。 どうか、そのきもちがあたたかでありますようにと、 ぼくは、そっとねがうのです。 ---------------------------- [自由詩]おうちへかえろう/ゆうと[2010年11月7日0時27分] 「さあさあ皆さん、そろそろ冬眠ですよ」 その声をきいて、ぼくたちは数センチ浮いた。 つまり都会っ子の「なつやすみですよ」と同じ意味をもつ言葉なのだ。 家に帰ったときの「おかえりなさい」と同義語でもあるのだ。 あったかいごはんと、あったかい布団と、あったかい、、、なにか、 やさしさみたいなものがあるところなのだ。 家とは、そういうものであってほしいのだ。 ぼくたちはつめたい風をきって走る。 みんなちりぢりになっていく。 はいた息が空にのぼって、おおきなしろいかたまりになり、 いつしかゆきになって、ぼくたちは街に舞い降りる。 待ちのぞんでいた夜だ。 ちかちかと星はおどる。 たのしいのはこれから。 いつだってそうおもっていた。 だからぼくたちはポケットから手を出して歩き、走るのだ。 つめたいほうがいいこともあるんだ、あったかいことにすぐ気がつく。 ねむりの浅い日々をこえて、ぼくたちはほんとうのねむりにつこうとしている。 人生とは、ほんのすこしまえのはなしを、ずうっとながいあいだ語りつづけていくことなのだ。 しかし、しらないうちに家についていることがよくあるように、ぼくたちはそのことをよくわかっていないのだ。 ---------------------------- [自由詩]橙/ゆうと[2010年11月8日17時44分] はれわたるそら とじているぼく いまだけは しんとして とりのなきごえをきいていたい たいよう どこからきたんだい ぼくのことをしっているのかい てらすかおは おだやかにめをほそめる あしたのきみは なにいろだい すんとしたくうき じょうずにすいこめば みるみるひらいていく よるのまくあけだ さあさ タイミングをうしなうまえに ぼくらかなでよう ごせんふのうえにおっことしてきた ばらばらなこいしを ひとつずつ ひろいあつめるように さあさ ぼくらかなでよう いしけり はなうた しながら あるいた かえりみちは さびしくなかった ---------------------------- [自由詩]ifif/ゆうと[2010年11月8日17時46分] たべた? たべたよ なんだ、そうなんだ そう? そうだよ (( ―ツ、ツツ――… )) おかえり、人間社会! 殴られても笑ってろ! ひざまずいてみろ! できないなら、そうか、 じゃあ追放だな (( ―ツ、ツ、ツ――… )) ありがとうございました いらっしゃいませ しつれいします てすとてすとてすと…でした (( ―ツツ、ツ――… )) あなたはだれ? しらないの? はじめましてでしょ? そうだけど、 はじめまして ちがうだろ じゃあなに? ぼくをしらないの? …しらない うそだ、じゃあいままでどうやって―― (( ―ツ、―ツ――… )) こんにちはの練習をしよう こんにちは、こんにちは さようならの練習をしよう さようなら、さようなら ありがとうの練習をしよう ありがとう、ありがとう もういちど練習しよう こんにちは、さようなら、ありがとう もういちどさようならを言おう さようなら (( ―、ッ―――――… )) [[ ―カ―ッ、ト――! ]] これは本番だよ だれにだまされてたの? よく見てごらん これから上映されるのは すべてノンフィクション ――。 ――もしもし? ――、もしもし ――あ、 ――やっとつながった。 ---------------------------- [自由詩]なだらかな日/ゆうと[2010年11月11日15時17分] ひとつずつ蹴り飛ばしていく あした、あした いつか穴に落ちる なんだ、もう日が暮れる 五十音のなかで 朝が“あ”でよかった 夜が“よ”でよかった 昼がまんなかでよかった いくつかくりかえすうちに いくつかくりかえすうちに 朝にみた夢は おぼえてないな さっきまではちゃんと おぼえてた気がするんだけど 昼にみた夢は まだおぼえてる でも色と ぼんやりとした景色だけ 夜にみた夢は 夜になると思い出す 点と点を結ぶように 糸が垂れ下がってる 蝶結びがうまくできないよ それは今も 不細工な蝶 玉留めがうまくできなくても すぐにボタンは落ちないよ 噛み合わせが悪くても 食べれるし 笑顔にもなる ひらひらと するすると ぱくぱくと きらきらと くりかえすうちに くりかえすうちに ひとつずつ拾い集めていく きのう、きょう いつか生まれ変わる さっきまで夜だったのに あたらしくなった 日がのぼる ---------------------------- [自由詩]カ ラ フ ル/ゆうと[2010年11月14日2時16分] 「苦しくなるのをやめにしないかい?」 「、そうだな」 「ところでこんな話があるんだ」 「なに?」 「忘れてないだろ、ほら、あれだよ」 「楽しい話?」 「そうさ、今日だってあったろ?」 「……そう、だね」 「思い出してみて」 「…うん」 やってみるよ、なんて言ったあと、ぼくらは笑顔になってた。 ほらこれあげる、なんて飴玉もらったから、すぐ口に入れた。 出演と演出って言葉すごく似てるけど、 それは人生になぞらえると同一人物になるからなんだ。 ---------------------------- [自由詩]せせらぎ/ゆうと[2010年11月16日19時10分] 僕は時刻表を忘れたけど 家に取りに戻ってる時間がなかったので そのまま歩いたら 案の定バスは行ってしまって 遠い彼方へ行ってしまったので 僕はそこで足を止めたんです。 たんぽぽがきれいでした。 夕陽がきれいでした。 雲が浮かんでました。 ただそれだけでした。 誰も僕を歓迎していないことくらいわかってる。 しかし僕はありがとうを欠かさなかったので 皆徐々に体温を取り戻していきました。 世界にはするすると水が流れ ふわりと風が髪を揺らし やわらかににこりと笑った 君がやってくるのを感じました。 僕はいつもひとりでいたけど お花見したいねなんて言うから 僕はびっくりしてしまって 手にすこし電流がはしって ぽかんと口を開けていたい気分だったけど 目が覚めました。 バスは橋をわたります。 じょうずにじょうずにわたります。 いつか描きたいと思っていました。 あかるい絵の具を使える日がきました。 水を得た魚のように きらきらと空気を吸い込んで きらきらと光を浴び きらきらとおよぎました。 僕の世界はあの頃より遥かにあたたかくなったのです。 バスを見送って途方に暮れたときよりも 時間はまわり、あかるくなったのです。 そうして きらきらという音だけが 夕暮れの空にのぼっていき 夜には流れ星となって ぽしゃんと川へ落ちていきました。 それを 僕たちは目をこすりながら見ていました。 とてもきれいな夜でした。 ---------------------------- [自由詩]まっしろな未来/ゆうと[2010年11月20日1時58分] 手のひらをひろげてもなにも返ってこない。 わるいことばかりおこる気がするけれど そんなことはない。 どうしてこんなことばかりおぼえてしまうんだろう、 どうしてたいせつなことをわすれてしまうんだろう。 わすれたくないから、何度も反芻する。 いいことだけをポケットにしまって あたたかくしておきたい。 つらくなったらポケットに手をつっこんで まだ大丈夫だと思いたい。 いつかちゃんとたいせつなひとの手を ぎゅっと握りしめたい。 いつかちゃんとたいせつなひとを 抱きしめてたいせつにしたい。 ただそれだけ、ただそれだけなのに ぼくらは求めすぎてシンプルになりきれない。 どうしてこんなことになってしまったかなあ、と くるくるくるくるしている。 そんなことより前を見てしあわせを感じたい。 ただもうそれはシンプルに ばかみたいに希望を信じてたあの頃みたく ただひたすらに歩きたい。 明るいのか暗いのかもわからない、ただまっしろな未来に すこしずつ、けれどもしっかりと、色を描いてゆきたいんだ。 ---------------------------- [自由詩]ただしい宇宙のつくりかた/ゆうと[2010年11月21日0時04分] ボクの脳みそ スパークして 飛び散る ボクの脳みそ シャッフルして 彼方へ まぶたの裏でパチパチしているのはなんだ soda? 気分悪くなった? それならそうとクスリ飲みなよ またはsoda. 透明な液体が宇宙に注がれた ボクはそれを見かねて飛び立った スペードのかたちをしたロケットはどこまでも ボクの知らない世界へ連れていってくれたのさ えいびいしいを習いました それをならべて遊んでるうちに 帰れなくなっちゃった なのに気づかないから まだえいびいしいをやってる えいびいしいをつづけてる えいびいしい つづけ えいびいしい に つづけ えいびいしい から えいびいしい おわりなき えいびいしい 緊急事態発生! 緊急事態発生! 至急着陸せよ! 至急着陸せよ! そんなの無理だ! ここには惑星がひとつもない! ボクの脳みそ パニックして 消える ボクの脳みそ カオスになって 戻る まぶたの奥でジリジリしてるのはなんだ soda, 目の前のスクリーン 真っ黒なのにサイケデリック soda! 透明な液体が宇宙に放たれた ボクはその瞬間に飛び降りた ハートのかたちをしたロケットはどこか (( ココハドコ? ワタシハダレ? )) ボクの知らない世界を教えてくれるのさ えいびいしい えいびいしい ボクはまだえいびいしいの段階で ボクはまだえいびいしいの段階で えくすわいぜっとを 知ってしまったんだ 知ってしまったんだ えくすわいぜっと 踏み  は   ず し       た、 おわりなき えいびいしい ---------------------------- [自由詩]血潮/ゆうと[2010年11月26日0時31分] なにがあってもきみしかいない いま、ぼくの生涯がつくられている かたちを変えてゆく まだあたらしいいきもの きみはその、ひとりで ひとりきりなのに てのひらふたつもっていた それが気になっただけだった すこし目をとじたうちに 消えてしまってもよかった きみは、ひとりで ひとつの心臓をもっていた 液体がながれる音 耳をすますたびにきこえた ぼくも、ひとりで ひとつの心臓をもっていた とても自由だった それでもあたたかな てのひらふたつもっていた それだけのことだった なにをもって、きみというのだろう しかし なにがあっても、きみしかいない それだけはたしかだった ぼくの核心をついたのは ただそれだけの真実だった ---------------------------- (ファイルの終わり)