ゆうと 2009年4月13日23時02分から2010年7月5日20時49分まで ---------------------------- [自由詩]夕立待ち/ゆうと[2009年4月13日23時02分] 濡れたアスファルトに まぶしい太陽 蒸発する匂い 恋しい 恋しい 夜の虫 お祭りが終わって 少しだけ冷めた 熱がおこす ちょっとした過ち 冷静を気取って 実は体内温度38℃ それは 夏の それは 夏の それは 夏、 焦がれる季節だ ---------------------------- [自由詩]あおくない地球/ゆうと[2009年4月18日18時50分] ここには なにも ないから 花を 摘んで 帰ろう 意味は なくていい 理由も なくていい そばにある 海はとおく 星々と 同じように 呼吸をしている カラスが鳴いているから 夕方 スズメが鳴いているから 朝だよ あおい地球が あるのなら あおくない地球も きっとあるね ---------------------------- [自由詩]ひとりごっこ/ゆうと[2009年4月23日12時44分] ぼくが夜に眠る理由は 寂しさ以外のなにものでもない。 人間じゃなくなれば 人間じゃなくなれば きっとぼくは眠らない。 うさぎは寂しいわけじゃない、 ましてや死ぬわけでもない。 だけどみんな孤独だ。 みんなみんなひとりぼっちだ。 寂しさを感じるかどうか、 いま、ぼくの右手に 携帯電話があったなら、 どうするかっていう話で 電話番号を知らないことに気づいたのは、 ついさっきのことだった。 寂しくなったら なにもかもが終わる。 朝がやってくることを みんな理屈じゃ語れない。 夜はとても酸素が少ないから 雨が降ればいい。 今度 理由がなくても 会おう。 ---------------------------- [自由詩]てのひら/ゆうと[2009年5月2日2時38分] さっきから 同じ音 同じ声 同じ言葉 きこえるかい、 きこえるんだ。 嫌気がさしたりしないかい 光は射したりしないかい それはないな、 ないな。 知らないふりも 知ってるふりも 笑ったふりも 泣いたふりも 平気なふりも 道化師になっても 上手になったら、 だめだよ。 てのひらのなか、 すべてをみせてよ。 ぼくにだけでいいよ。 みせられるすべてを。 ---------------------------- [自由詩]管/ゆうと[2009年5月2日21時40分] たぶんなんにもなくたって、 生きてゆけるのさ。 本当はね、 本来はね。 だけどぼくは、 なくせないのさ。 生きてゆくために、さ。 生きやすく首を絞めている。 それは、 それは自分の手。 ---------------------------- [自由詩]ノンアルコール・カクテル/ゆうと[2009年5月3日2時27分] シロップに 涙を溶かして ノンアルコール カクテル作ろう 夜を飾る星 三日月の船 誰にも似つかない 孤独のアクセント 君はまだ 夜更かし少年 なんにもないから 夜が好き 透き通る ガラス越しの風は いつまで待っても 明日を連れては来ないから 僕はぼんやりと 真っ白な メリーゴーランドの 電飾を見ている ---------------------------- [自由詩]水のようだ/ゆうと[2009年5月4日10時38分] 空を描いてクイックターン、 ビルとビルの狭間で きみはとてもしなやかに うつくしく、 透明だけど色がある ゴーグルはすきじゃない、 ただよっているさかなは 酸素がなくても息ができる 都会の人は違うな 社会人は違うな 排気ガスの海で、 ぼくがおぼれて死ぬ前に プールのにおいがする、 きみの髪がなびく 空気に触れる、 ぼくは触れている よみがえる記憶は まるで 永遠のよう 水のようだ ---------------------------- [自由詩]ことばのひびき/ゆうと[2009年5月15日1時48分] なんで ここに いるのか わからない まま ぼくは わらって ないて つかれて ねる ゆれうごく ここは エスカレーター? エレベーター? ジェットコースター なら しっているけど エスカレーター と エレベーター の くべつがつかないころをおもいだした あのころは あさがお と あじさい の ちがいがわからなかったけど いまなら わかるよ とても にてるね にているよねって そう ぼくもおもうよ ---------------------------- [自由詩]かげむしゃ/ゆうと[2009年5月15日1時49分] せかいは まわっている かんたんに ごくまれに とまる いっしゅんだけ だけど それはだれもしらないから せかいはまわりつづけるのだ あたりまえのように しったかぶりのかおしてね しらんぷりがとてもうまい きみはだれかににているね ---------------------------- [自由詩]よるのアンブレラ/ゆうと[2009年6月7日2時45分] ゆめのなかに すいこまれて なみだはとけてしまったよ、 ぼくは ぼくという かたちをなさないまま、 さめない げんじつに にげつづけることはできず、 いつかは だれしもが みをほろぼす ように、 ひとっこひとり のこさずに ぺろりと のみこんでしまう、 よるのアンブレラ ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]逆光/ゆうと[2009年6月12日1時53分] よるがおわるまえに、きみといちどはなそう。 * ここは、おいてけぼりのいばしょであって、 しかしながら、いつかはみんなでてゆくのだ。 ふしぎなことにね、なきがおがとくいだったやつでも、 いつかはわらって、てをふるのだ。 それはとてもまぶしい。 ここへくるとき、だれもがやみをせおっている。 ぼくがここへきたときには、あしもとしかみえなかった。 うしろはとてもあかるいから、ぼくのめのまえはまっくろで、 ゆれうごく、じぶんのかげばかりをみていた。 それはみんなおなじようで、ぼくのつぎにきたやつも、 ぼくのあとにきたやつはみんな、あしもとばかりをみていた。 なぜって、あしには おもたいおもりがついていたからだ。 それは、いますぐにでも、あしくびがちぎれてしまいそうなほどだ。 けれど、ここへくることは、そうむずかしいことではなかった。 * はじめてきたのは、よるだった。 なんにんか、ひとがいるのがわかる。 いろんなこえがする。 ひくいこえ、たかいこえ、おおきいこえ、ちいさなこえ。 もしかしたら、きこえないこえ。 なんどめかのよるをむかえたころ、 ぼくはようやく、ここにいるひとの かおがわかった。 なんにんいるのかも、わかった。 けれど、かぞえているうちに、 だれかはいなくなり、まただれか しらないやつがくるのだ。 だからけっきょく、あいまいなすうちでしかないが、 そのころぼくと ことばをかわしていたのは、 4人、ぼくをあわせて5人くらいだった。 いれかわりがはげしいけれど、たいていそれくらいのにんずうで、 たあいもない はなしをしていた。 すきなたべものはなんだ、とか、 ちきゅうがもし まるくなかったら、とか、 いろんなはなしをした。 トランプをすることもあったし、かんたんなゲームをすることもあった。 けれど、だれも だれかをひていすることはなかった。 ゲームでまけたやつを いじめることなんかしないし、 かったやつだって、てんぐになったりしなかった。 それはだれもが、じぶんじしんを ひていしていたからだ。 * いつしかぼくは、ふるかぶになった。 まわりのやつらは、みんなぼくよりあとにきたやつだ。 ぼくはそのころにはもう、あしのおもりのことなんかわすれて、 そらをみあげることができる、よゆうすらあった。 あした、ここをでてゆこう。 そうおもったひのよる、あたらしくはいってきたやつがいた。 そいつも みんなとおなじように、 あしについたおもりをずるずるとひきずり、したばかりみていた。 しばらくのあいだ、ぼくはほかのやつらと はなしをしていたが、 そいつはいつまでもずっと つったっているもんだから、 ぼくは すわりなよ といった。 そいつはなにもいわず、そのばにすわった。 すわるというより、うずくまる というかんじだった。 ああそういえば、ぼくもこんなかんじだったっけ なんて、 ここをでてゆくときめた、いまになっておもいだした。 そのとき、どうしていたっけ とかんがえて、 そういや やさしそうなこえのひとと、はなしをしたのをおぼえている。 * そのころのぼくには、そのひとのかおをみることができなくて、 なまえをきくことすら できなかった。 ずいぶんたったころに、ぼくよりもまえにいたやつと そのひとのはなしをした。 そのひとは ぼくがきたひのつぎのあさ、ここをでていったそうだ。 そのはなしをきいて、ああそうか なんて、 ぼくはみょうに なっとくしたんだった。 そのひとと、なにをはなしたか なんて、 すっかりわすれてしまったけれど、 やさしげなこえに なきそうになって、 さいごに あくしゅをしたのだった。 ぼくは かおをあげられなかったけれど、 そのてはとてもあたたかく、あんしんして、 ぼくはしずかになきながら ねむりについたんだ。 * ぼくは、その あたらしくきたばかりのやつと、はなしをすることにした。 あさになったら ここをでてゆくときめていたから、 できたことなのだろうと、いまになってはおもう。 なにをはなすか なんて、 なにもきめていなかったけど、 それでもぼくは くちをひらいた。 「よるがおわるまえに、きみといちどはなそう。」 * これが、さいしょでさいごであるかもしれない。 だけど、 ぼくはさいごに 「またね」 といって、 あくしゅをしてから、ここをでたんだ。 ---------------------------- [自由詩]指先/ゆうと[2009年6月21日0時44分] ツキが、 ツキがいないから ぼくは今日ここで 闇にとけるんだ。 わからないことは、 知っているつもり。 うそだけは、 吐いてもゴミにならない。 すてられない。 あおい、あおい地球。 まわっているのはね、 ぼくじゃなく世界。 世界というのは、 ぼくじゃない誰かと、 ぼくひとりのこと。 ぼくの心臓が ちゃんとここにあるのならば、 触れたい。 ほんとうは、 さわりたい。 みえるものにも、 みえないものにも。 ツキが、 ツキが戻ってくるまで ぼくはここにいるよ。 だから、 いつでも戻ってきて それで いいよ。 いなくなっても、 さびしくなっても、 たとえ泣いてもね。 ぼくは待っているし、 ぼくの帰る場所は いつだって、 変わらないんだ。 それは そこ、 ツキのみえるところさ。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]左胸にブローチを/ゆうと[2009年6月22日2時16分] ぼくには、会いたい人がいっぱいいる。 それってすごく、しあわせなことじゃないかな。 また会える人、もう会えない人、いつか会える人。 その、みんなに会いたい。 こんなことを考えている、夜。 胸が苦しくなるのはきっと、 思い出をぎゅっと握っているからだ。 しあわせって、逃げてしまうものだと、ぼくは考える。 しあわせは、感じるものだから。 だけど、宝物は、逃げないね。きっと。 左胸にブローチを、つけるみたいに。 宝物は、物だから。 それは、新しいのでも昔のでも、きっときれいなブローチだ。 いつもきれいであってほしいから、ぼくはピカピカに磨いていたい。 そしてそれはきっと、自分自身を磨くことでもあるだろう。 この左胸のブローチは、ぼくに生きる力をくれる。 血のようなもので、心臓みたいなもの。 たぶん絶対消えないから、とてもたいせつにしていたい。 このブローチは、かけがえのない、ぼくにとっての宝物。 ---------------------------- [自由詩]神様レンタルサービス/ゆうと[2009年7月3日15時32分] ねえ、 大丈夫じゃない 君は今、 どうしてる? * 神様なんて 便利なものだ 好きな時に 利用すればいい 無料でレンタル 但し 使用後には 対価が必要 それが何かは 僕は知らない * ねえ、 大丈夫じゃない 声が出ない 音が出ない でも、 聞こえてる? * 「神様レンタルサービス、はじめました」 そんな看板が 風で吹き飛ぶのを見た 夢の中 * 今更だけど、 僕 やばい? ---------------------------- [自由詩]bleach./ゆうと[2009年7月4日4時47分] 炭酸水がほしい夜明け ひんやりとした空気 窓から入り込む光 うすくなっていく、あお きっと今だけ 今は、 誰のものでもないはず ---------------------------- [自由詩]ジュブナイル/ゆうと[2009年8月12日14時28分] 窓からどこかの海の匂い 裸足の記憶 真夏の少女 炭酸みたいな少年 君は忘れた 僕を忘れた 僕は忘れた 僕を忘れた 太陽をたべた夕立 生ぬるい風 熱くなる空 自転車で旅をしたい 行く宛のない僕ら 僕は忘れた 君を忘れた 君は忘れた 君を忘れた 見つかるはずなんてなかった 最初からいなかった 見つかるわけないんだった それでも探していた、あの日 ---------------------------- [自由詩]屋上ナイフ/ゆうと[2009年10月15日22時07分] ほんとうにすぐ、 いちばんだいすきなものだって すてられてしまうんだ わかっていたんだ だからこわいの ぼくはぼくをすきになれない きらいになれるじゆうがこわい きみもいつだってしねるだろ ぼくはいつだってころせるじゅんびをしているし いつだってしねるんだ ただ、しぬのはいつだってきみだ ころすのはいつだってぼくだ そういうのがせかいなら じぶんなんてものはじつにたやすい ぼくは いつまでたってもいなくなれないし いつまでたっても、しねないんだ だからといって それがなんだ わからないんだ ぼくにはぼくが せかいであることでしかない。 ---------------------------- [自由詩]ナイトメア/ゆうと[2009年11月23日0時15分] まっすぐゆけない あるけない ななめ15°にみえるけしきは いつかのじごくえみたいなハロウィン つかれたのはいいわけ うそはつきたくないけど ほんとうのことをいえば さいていなじぶんになるの (わかっているのにね、) おんなじいばらをふんでいる かわらずいばらをふんでいる きずだらけになったって いきているにはかわりない ちまみれになったとしても いきているにはかわりない (しんでいるみたいね、) ギロチンのまえにたっている いつかのじごくえみたいなハロウィン ---------------------------- [自由詩]めがねかけようぜ/ゆうと[2009年11月23日0時16分] なんで泣いてんの 泣いてないなら笑えよ まあそんなのはいいから とりあえずめがねかけようぜ 長すぎる前髪が カーテンみたいになって 太陽の光隠してる はさみ持ってバスルーム! 突撃するならめがねかけようぜ 宿題置いてきた ずっと放課後だからチャイムは鳴らない 忘れるようにして眠ってた うつぶせは体によくない だからさっさとめがねかけようぜ 出掛けるなら今日だ 明日じゃだめだ 雨が降っても今日だ 決めてみたんだ いつ何が起こるかわからないから 財布は置いていこう 携帯は捨てよう 誰も追いかけてこないのは 誰もいないように見えるだけ わかってんなら話が早い そのまんまでいい、めがねかけようぜ ---------------------------- [自由詩]段ボールから猫/ゆうと[2009年11月23日0時16分] テイブルの下に ひきっぱなしの布団 みかん転がり落ちてるよ 段ボールから猫 なんもないのはわかってるんだ ポンコツ話も聞き飽きただろ こっちもうんざりしてるから 冷蔵庫にはたまごとミルク ところでせんそうはよくないとおもうんだ 意味がないから言ってみた ただそれだけなんだ みんな、ぜんぶ、すべて どれもこれも、見渡すかぎり 今のぼくのガラクタさ すり寄ってきて するりと逃げる 段ボールには猫 ---------------------------- [自由詩]みえない星/ゆうと[2010年3月16日14時30分] ぼくはね、いろんな 色をもってる。 だれにでも あって、他ひとつとして ないやつをね。 ゆずれないんだ。そう、だから ぼくは すがたを けして みせるのさ。 あれは まぼろし だったんだね と、 みんなに おもわせるんだ。 なぜかって? それは そのほうが たのしい からさ。 だますわけじゃ なくってね。 みんな たのしいことが すきだろう? ね。 そういうことは、いがいと たくさん あるものだよ。 ただ、それが みえないって、だけでさ。 ---------------------------- [自由詩]すっからかん/ゆうと[2010年3月16日14時33分] いみのない はなしをする ぺちゃくちゃ ぺちゃくちゃ おわりのない はなしだから とてもくちがかわく ぼくは すっからかん はなすことがないんだ つたえることも あまりない ただ、ぼくがぼくとしているには きみがひつよう だから つめたい アイスティーをそそぎこむ いくつかのよるを ぼくらはかわしてきたけれど ねむらないでほしいときって だれにでもあるだろう? ストローでかきまぜる からからと おとがする アイスティーはなくなって また、ぼくは アイスティーをそそぎこむ ---------------------------- [自由詩]夜凪/ゆうと[2010年3月16日14時36分] なつかしい気持ちになって それでも変わんなくて やさしい気持ちになって 涙がにじんで胸にしみこむ さびしいね、 さびしいねって 今日はなんだか思うんだよ 今だけは やさしい音だけで 世界は満ちてゆく 朝になれば スクリーンに 光が映し出されて ストーリーは動き出す それまで、目をつむっていよう ねむろう ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]フレンチスリーブ/ゆうと[2010年4月8日17時29分] 春って、五感をなくしても、わかるような気がするって、 ずっと前から思っているけど、 ほんとうに、まぶしいんだ。 いたるところで生命がうまれてる。 みえるところでも、みえないところでも、 あたらしくはじまっている。 使い古しの繰り返し なのだけど、 なにかが減っていったり、なにかが増えていったりしている。 君の二の腕の脂肪かなんかが、それを象徴していて、 去年の君のほうが細かったとか、夏のほうが黒かったとか、 使い古しの繰り返し の皮膚なのだけど、あたらしくなっている。 ボディソープを変えたら、いつかブリキの肌になるかもしれない。 世の中がそういうふうに動いたら、僕ら必要なくなっちゃうかもしれない。 それでも春にうまれてくるのは、ただつまんないものだけじゃないんだ。 タンポポのわたげみたいに、遠いところから、 おもしろいものとか、ふしぎなものを、はこんできたりする。 だから風が強いんじゃないかな。 そうじゃなかったら強い風なんて、まるで意味がないもの。 僕にとって春は、 まぶたを閉じていても、ぱちぱち音がしているように、 不安と希望が飛び交っていて、 あたらしい憂鬱が、きらきらとはじけてる。 なんていうかそういう感じ。 絶望的なのにみんな笑っていて、残酷なのにうつくしい。 なんていうか、そういう感じで、桜は咲いて、散っていくのが、僕にはわかる。 桜はやっぱりピンクなんだって、曇った日のほうがよくわかるように、 そういうところが、他とはちがう、春なんだなって思うんだ。 ---------------------------- [自由詩]なまえをひとつ/ゆうと[2010年4月8日17時34分] きみの なまえ なに? なんの なまえ なの? それは、 いい においが するの? さわりごこち いいの? どんな おとが するの? おいしい ものなの? あったかいの? ひかってるの? ぜんぶ きみのものに しよう だきしめて はなさないで おこう たからものは たくさんあるけど ぜんぶで ひとつ なんだ あれも これも どれも これも ぜんぶ あわさって ひとつ なんだ かけがえのない たからもの なんだ ---------------------------- [自由詩]世界がすばらしい理由/ゆうと[2010年6月14日1時10分] ただそれだけのことなのに、 ただそれだけのことが、 ちっぽけなんだけど、 それがもうすべて。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]それでいて世界は素晴らしい/ゆうと[2010年6月14日1時41分] わたしにしかわかりえない気持ちを抱えたまま、 なぜだか泣きそうだ。 誰もわかりやしないのに、 わかってほしい気持ちがあって、 それでもさりげないやさしさが、 ここにはきっとあるから、 それだけでわたしはじゅうぶんにみたされる。 * それぞれに幸せがちゃんと用意されていて、 それぞれに幸せ感じながら生きていて、 それはそれでいて幸せだなと思った。 わたしの幸せも誰かとまた違うもので、 それがひとつひとつ組み合わさって世界はできていて、 それでいて素晴らしいと思った。 * みんなちがっているから、 ひとりぼっちにはならない。 世界の決まり事はたくさんあるけど、 あたたかい手のひらを誰もが持っているから、 つなげる。つながる。 そして、 生きていくことにつながっていく。 ---------------------------- [自由詩]せんぷうきダンス/ゆうと[2010年6月22日22時22分] くるくるくるくる せんぷうきのまえでおどる くるくるくるくる せんぷうきのなかでおどる くるくるくるくるしていたら あたまおかしくなっちゃった めだまおかしくなっちゃった くるくるくるくるしていたら だいじなことをなんだかわすれた くるくるくるくるしていたら こころがおかしくなっちゃった からだがおかしくなっちゃった くるくるくるくるしていたら しあわせなのか そうじゃないのか わかんなくなっちゃった くるくるくるくる もらったものをふりまいて くるくるくるくる ひろったものをばらまいて なんにもなくなっちゃったけど だいじなことは ぼくであること ぼくがだれだかわかんなくっても まぎれもないぼくがいること くるくるくるくる せんぷうきまわる くるくるくるくる せんぷうきおどる ---------------------------- [自由詩]ショートケーキ地獄/ゆうと[2010年7月5日19時38分] しゅーるってなんですか おいしそうなしょーとけーき? しゅーるってなんですか まっかないちごのこと? しゅーるってなんですか ぎんいろふぉーくのさきっちょ? しゅーるってなんですか ほっぺについてるなまくりーむ? しゅーるってなんですか ざらざらなべろでなめたんでしょ? しゅーるってなんですか しゅーるってなんなんですか あのこはたべたの ぺろりとたべたの たいらげたのよ しょーとけーきのほーるまるごと ---------------------------- [自由詩]さかなたべるねこ/ゆうと[2010年7月5日20時49分] 誰にも迷惑かけないで 当たり障りのない方向で 車内の携帯電話は捨てて 社内の恋愛報道はスプレーで駆除 噂する奴等は 永遠に改心しないから ガムテープで止めちゃって ぐるぐる巻きにしちゃって 触れるのも嫌だから アルコールで消毒 それでも社会の中で呼吸してんのね 腐っていかない? それでも社会の外で手招きしてる 声に呼ばれてる すごく当たり前のこと言って 真っ暗なステージの 真紅のカーテンの裏に 仕込んであるスイッチ押したの ヘッドホン大音量 誰も気にしてない 誰も気にしてない ヘッドホン大音量 自分気にしすぎ 気にしすぎだから ヘッドホン大音量 誰も見ちゃいない 誰もしゃべってない ヘッドホン大音量 誰も聞いちゃいないし 誰もあんたを知らないから 安心しろ そこはもう 任せとけばいいって 勝手にしろ 誰にも何にも 自分の助けになんないから これは リセットボタンじゃなかった ダイナマイトでもなかった ざらざらな心に触れる 体温だけあれば あとは何も 何も 社会の外から 猫撫で声で呼ばれてる 社会の中では 逆撫でるような不穏な空気 プラグが抜けたら世界が終わるよ ---------------------------- (ファイルの終わり)