ゆうと 2007年9月22日20時22分から2008年2月1日0時47分まで ---------------------------- [未詩・独白]轟音/ゆうと[2007年9月22日20時22分] 見えない影がゆらゆら揺れる 死に掛けの外灯が僕を照らす 骨だけになった傘が飛ぶ テレビがうるさい うるさいと言う人がうるさい 文句を言うくらいなら 黙っていられないなら 死んでくれてもいいんだよ 死んだほうがいいんだよ って ずっと前から耳元で 誰かが囁いているんだ うるさいうるさいうるさい 静かにしている人がうるさい わかってるよ 僕がうるさいんだ テレビなんかじゃない ごめんなさい 誰に謝ろう ごめんなさい 死ねない ---------------------------- [自由詩]スローテンポ/ゆうと[2007年9月23日19時54分] 音がたりない 音がたりないよ 音がたりないんだ はやくはやくはやく きみみたいになれないぼくを どうか許して、かみさま 願いが叶いますように、なんて ちょっと図々しすぎないかなあ 星がひとつ飛んだよ 音がたりない 音がたりないよ 音がたりないんだ はやくはやくはやく ぼくらはゆっくり年を取ろう 死ぬまでにいくつか約束をしよう ねえ、まだこれは本気じゃない ほんとはもっとすごいんだ、きっと 星がまた飛んだよ やさしさがせつなさに変わる夜に すこし泣こう そしてまた笑おう 怖いものなんてないさ 音がたりない 音がたりないよ 音がたりないんだ はやくはやくはやく きみに会いたい ---------------------------- [自由詩]伸びた爪/ゆうと[2007年9月29日0時26分] きみを傷つけてみたかった やさしくなって、ね ---------------------------- [自由詩]かぜのゆめ/ゆうと[2007年9月30日23時15分] ぼくはやくそくをやぶってはしった うそつきのきみのまちへ いきがきれるほどに さめないでよ ねつ ぼくはかぜになるんだ さめないでよ ゆめ ぼくはヒーローになるのさ きんもくせいのかおりが ぼくにささやく はやくおいで はやくおいで ぼくはやくそくをやぶってはしった きみにあいたい きみにあいたい なら、あいにいこう むりなんかじゃないさ (ふゆのまえのひ、なつのつぎのひ) ---------------------------- [自由詩]リコシェ/ゆうと[2007年10月3日17時15分] ひらたいいしをえらんで すいめんにむかってなげた とんで とんで とんで しずんだ しばらくのあいだ ぼーっとしてた いぬがとおりかかって わん、とほえたから ぼくはげんじつにもどって また、いしをなげました ---------------------------- [自由詩]屋上映画/ゆうと[2007年10月4日18時12分] 屋上では映画がひっきりなしに流れている でも誰もいない わたしひとりしかいない 屋上から見る景色の半分は空で 誰かが火をつけたみたいに スクリーンは赤く燃え上がる こつり、と靴の音がして わたしは振り向くと そこにはあの日の君がいた 君は真顔でわたしを見ている わたしは少し笑ってみせた すると突然雨が降り出し わたしの目からも涙がこぼれた それはどしゃぶりの雨で 服はびしょぬれになり 顔もぐしゃぐしゃになった でも君だけはなぜか雨に濡れずに まだそこに立っていた 君は何も言わない わたしは何か言おうと思ったけど 言葉が見つからなくて黙った そしてふっと雨は止み 空は黒く塗りつぶされていた 無数の星がまたたいている もし流れ星が流れたら 君は何をお願いするんだろう そんなことを考えていたら 君はわたしに近づいてきた 君は何も言わない わたしも何も言わない わたしは思考回路をめぐらせて 言いたいことを探していた そしてしばらくすると、見つかった 思わず、あっ、と口にしそうになった でも、こんなことを言ってどうするんだろう そう思ったけど 沈黙に耐え切れず、あの、と言って 君の瞳を見て言った 好きです その言葉に君は、少しだけ微笑んで ありがとう、とだけ言った そして君は、振り返り、出入り口のほうへ歩いていく だんだんと影が薄くなり、風が吹くと消えてしまった わたしは大声で泣くと 頭ががんがんと痛くなり その場でうずくまった 目が覚めた時 そこは自宅のベッドの中で わたしは頭に冷たいタオルを乗せていた そして、涙を流していた 夢だったんじゃないか、夢だったような気がする それでもうれしかった、でも少しかなしかった わたしはまたしばらく泣いて、眠りに就いた 屋上では映画がひっきりなしに流れている 今日も、明日も ---------------------------- [自由詩]夜行の銀河/ゆうと[2007年10月7日11時05分] 夜の街は 冷たい 君の手を 拾って 僕は行く 遠く 銀河へ 寂しくはないよ 寂しいから行くのさ 寂しいところへ 寂しくないように 遠く 銀河で 星が 駆け抜ける 僕はそれを 掴むために 少しだけ 背伸びをした ---------------------------- [自由詩]やさしくなれたらいいな/ゆうと[2007年10月12日18時28分] きみが泣くときと ぼくが泣くときが 一緒だったらいいなって それだけ ・ 約束なんて守らなくていいよ だからいつでも会いに来てよ 星が見えない夜でも 雨が止まない朝でも ぼくはいつも待ってる ・ なみだが海へたどりついたとき ぼくはさかなになれてるだろうか ・ ぼくはここにいて きみもここにいる かなしいことなんて、なにひとつない そのせいかな、涙が止まらない ・ あいしてるよとつぶやくだけで すべてがうそになってしまう そんな世界はもういらない ・ やさしくなれたらいいな これから、すこしでも やさしくなれたらいい うん、ぼくは やさしくなるよ ---------------------------- [自由詩]創書日和「酒」/ゆうと[2007年10月13日1時23分] 僕ら ちっとも大人になれやしない これっぽっちのアルコール においだけで ふわふわと 漂っていた ただ酔っていた ---------------------------- [未詩・独白]シャングリラの魔物/ゆうと[2007年10月16日15時58分] あなたが死んでしまうとき ぼくはここに残るよ とけない魔法に包まれて 束縛された心で泣くよ あいしてる あいしてる それは嘘なんかじゃなかった ---------------------------- [未詩・独白]透明になって/ゆうと[2007年10月16日15時59分] いつか 消えるときが来るなら 雪みたいに 消えたいな 水になって 風になって 透明になって ずっと 君のそばに居続けたい ---------------------------- [未詩・独白]流れ星ならとうの昔に消えたよ/ゆうと[2007年10月16日16時16分] かなしみはいつもひとりぼっちだ だからかなしくなると、さびしくなる なんだか変な幻想が、ぼくの頭で回転しはじめる 届かない 届かない 届かないなら なぜ願う? 流れ星 あっという間に 消えちゃった すべてから嫌われて、すべてを嫌いになった 頭だけはやけに正常で、心は崩壊寸前だ 愛してほしいなんて思わないよ 優しくしてほしいなんて思ってないよ だからどうか幸せになって ぼくのいないところでいいから こんなときだけ嘘っぽい 「あいしてる」を信じたい ねえ、それだけが希望なんだ 届かない 届かない 届かないなら なぜ願う? 流れ星 あっという間に 消えちゃった なんてひどい幻想 ---------------------------- [自由詩]みずうみ/ゆうと[2007年10月29日19時37分] 水底に 沈んで 息を 潜めている 君を 想って 死ぬのも 悪くない だけど 僕が望んでいるものは それじゃないってこと つないでいた手をはなす 少し舞ったあと 消えた 透明な月日 地球は回る 風が君をさらってく やさしげな影だけ残して 少しだけ 雨が降った まぶたの裏のまぼろし ひかりが降り注ぐ 君のすべてを消して ---------------------------- [自由詩]世界のゴミ/ゆうと[2007年11月1日17時48分] ぼくはやわらかなベッドでねむる おわりをまつように ナイフをてにしても できることなどないように ぼくがここにいるいみは ひとかけらもない むだばかりがふえていく にさんかたんそをはいている いきをとめても しんぞうはとまらない みみをふさぐと よくきこえる うるさいくらいのこどう にげて にげて にげて にげきるまで にげつづけたい きみがいみをなくすくらい きぼうがいみをなくすくらい はかいしてくれないか ---------------------------- [自由詩]雪解け水/ゆうと[2007年11月2日19時26分] ぱらぱらと くずれていく ゆきのはへん ぼくをめがけて ふってくる まつげのうえに のっかって しばらくしたら なみだにかわった やくそくは やぶったけど ぼくはまだ きみがすきだよ ごめんね ごめんね ぼくはまだ きみがすきだよ とうめいなこえは かぜにかわって きみにとどくはず きみにとどくはず ---------------------------- [自由詩]しんみり/ゆうと[2007年11月6日20時14分] いまとても しんみりしたい かなしいうたをきいて むねがくるしくなって きみをおもいだして なみだをながしたりしてみたい いまとても しんみりしたい ひとりぼっちになって まどをあけて おとにみみをすませて かぜといっしょにねむってみたい いまとても しんみりしたい ゆうひがしずんで くらくなるそらを あかりがついて ほしがでるよるを このめでみたい いまとても しんみりしたい とうめいなかんじょうが こころをうめつくすように なにもかもわすれさって ゆっくりときをすごしてみたい いまとても しんみりしたい だれのものでもないぼくを じゆうのなかでかいほうしたい それでもきみがしんじつと くちがさけてもいえるなら ぼくはさよならをいわない いまとても しんみりしたい つらぬきとおしたうそが ほんとうになるというのなら ぼくはめをつむる すべてがひとつになるように そうしてぼくはしのう きみをゆめでみたあのよるに そうしてぼくはしのう さいしょでさいごのやくそくだ ---------------------------- [自由詩]迷い星/ゆうと[2007年11月7日19時04分] さまよっている 無数の 点のような光 つなぐ 糸も簡単にほどいた 前に進んでも 後ろへ下がる エスカレーター逆走中 あなたの心に迫る拳銃 打ち落としてあげる 埋葬されても 死にきれない 心はどこかで 浮遊している あなたは今 どこにいる? 僕はまだ ここにいるよ ずっとずっと 消えない 忘れない いくつもの約束 お守りになって 揺れている さまよっている 無数の 点のような光 つなぐ 糸も簡単に紡いだ 心はどこかでつながっている 心のどこかでつながっている 黒く塗りつぶされた宇宙には いくつもの命が刻まれている ---------------------------- [未詩・独白]衣替え/ゆうと[2007年11月10日0時37分] いつだってそこには かび臭い歌が転がっている いとしくて やさしくて ぼくはまだ 泣くこともできない さびしくなりたい すこし さびしくなりたいんだ 枯れずに散った 雪の花 ひとつひとつ 体温で しんでいくんだ ころしてしまうんだ ぼくは、 かなしくなってもいい? すこし かなしくなりたいんだ ぼくは排気ガスを吸って生きているよ あなたに会うために ぼくは、 ころしてでも生きなければならない そのための理由は 随分前に褪せてしまったけど まださよならは言わなくていいよね? もうしばらく生きていたいんだ 泣くための理由 さがして さがして 生きていく 醜い心 まだ心臓は動いている すこしだけ夜更かしをする せつなく流れていく時間 ぼくにはもったいないくらい うまく言葉にできない気持ちを どうにかかたちにしようと思う だからどうにか聞き取って あなたの心に届きますように 衣替えをするくらい 寒くなったね 息を白くしながら あなたを待っている人がいるんだ ---------------------------- [自由詩]創書日和「指」/ゆうと[2007年11月12日20時31分] 太陽を覆う 指と指の隙間から 光がこぼれる 影ができるその横では 光がつくりだされている 指先からつくりだされる何か それが魔法だったらなって 思っただけさ ---------------------------- [自由詩]泡/ゆうと[2007年11月12日22時26分] 洗剤のにおいがしてる 君のこころをくりぬく ヘッドフォンをして 世界の音を閉ざす いくつもの色 パレットに取り出して さあ何を作ろうか 時間が過ぎていく サイレンサーつけたまま 駆け抜けていく風 僕は置いてけぼり 今日が終わるのを待っている 平穏に 誰も死ななければいいって思ってる 本音はいつだって無理なこと 天才でなければ ヒーローになれない なんて そんなことはないさ そんなことはないだろ? 時間が過ぎていく サイレンサーつけたまま 駆け抜けていく風 僕は置いてけぼり 無意味な時間 無意味な言葉 舞っている埃 どうせ僕なんて そんなものだろう だからひとつひとつ 拾い集めるのさ 地球に水をさしたのは 他でもない神様 ---------------------------- [自由詩]右利きの左手と左利きの右手/ゆうと[2007年11月20日15時50分] 伝えるためには 伝えるための 言葉が必要で それにぼくたちは とても不器用で ---------------------------- [自由詩]君の羽/ゆうと[2007年12月6日20時46分] 冬のあたたかな日 つめたい花が咲く 君はひとりで黙々と 空の写真を撮っていた 君の背中には羽がある そんなことに気づいた 夕方になると 影を踏みながら 石を蹴りながら 帰った 星が鳴らす音をききながら 眠りに落ちるのを待った 君の羽を思い出すと 心が少しだけふるえた ---------------------------- [自由詩]とぶ/ゆうと[2007年12月23日0時30分] ぼくがしってる かぎりあるきみと ぼくがしらない かぎりないきみ ねえ それを うちゅうにたとえたら りっぱなしじんだというのなら ぼくはそれをえらばない ぼくがしってる かぎりあるきみと ぼくがしらない かぎりないきみ ひとりでいかないで って ぼくはおいてけぼり ないてはいないよ なきそうなだけだよ ぼくがしってる かぎりあるきみと ぼくがしらない かぎりないきみ おとなになるにはまだはやくて こどもになるにはもうおそい つかずはなれずのかんけいがいい なんて ぼくはくちにしてないから ねえ だから いつでもあいにきて いつでもあいにいくから いつでもあいにきていいよ ぼくがしってる かぎりあるきみと ぼくがしらない かぎりないきみ きみにあいたいって うまくいえない いくつものりゆうが ぼくのまえを はばむ めがくらむ あ イエロー ん ここはゆめのなかだ ! ---------------------------- [自由詩]恋煩い/ゆうと[2007年12月24日0時13分] なにか、きみ ずっとまえからあなたをすきでいる、みたいなかおしてる どうしよう こいをしてるおんなのこほどつよいものはないな ---------------------------- [自由詩]ほしがたクッキー/ゆうと[2007年12月24日0時47分] あのひのにおい あめのにおい きみがこわれたんじゃない ないたのはぼくだ ビニールのかさ ふりまわして とんだんだっけ いっしゅんだけ ぼうふういきのなかでは せんたくきがまわるおと それでぼくらはきれいになって おひさまにあたって いいにおいになる あのひのにおい あめのにおい みずたまりふんで きみとおどるのさ ビニールのかさ ふりまわして とんだんだっけ いっしゅんだけ ---------------------------- [自由詩]白夜/ゆうと[2008年1月18日22時30分] アンプにつないで音ならす。 マイクにつないで声をだす。 浮遊感、たいせつにして。 周りの声、ヘッドフォンでふさいで。 よる、虚無、あした、錯覚。 よるは、虚無、で あした、は、目を閉じたまま。 同じ日々をくりかえしている。 進んだあとは戻って、戻ったあとは進んで。 手に入れたものは失った。 そこにあったものは何か。 錯覚。 指を動かす。 触れる、君の肌。 感じる、冷たさ。 僕は狂っている。 さまよう、星。 蹴散らす。 爆音にただ酔っていたい。 爆音に漂っていたい。 外では 雨が涙みたいに降ってる。 部屋では 涙が雨みたいに降ってる。 ---------------------------- [自由詩]コンセプト/ゆうと[2008年1月23日18時14分] 返信のないメールってただの独り言みたいだ 後ろ歩きしてみないか 何かにぶつかればはじけるかもよ 目の前で覚醒してるやつがいる すげー すげー って 何が? ぼく固体 動かないまんま 動かないまんま きみ液体 ゆるりゆるり 移動する ぼく固体 動かないまんま 動かないまんま きみ液体 ふわりふわり 蒸発する アイアムつまらない人間 でもおもしろいことは好きだよ なんて ね 黄緑と紫 サイケデリックってこんな感じ? 流れ込む シンセサイザーの音ってどんな? しゅわしゅわしゅわしゅわ 炭酸みたいにぱちぱちぱち 拍手喝采? ちょっと違うな 口笛でだまされた ★ ☆ ★ ☆ さすらいだ! 再生 巻き戻し 早送り 再生 おちていく おちていく おちていく 果てまで あした あさって しあさって 次の次の そのまた次の こと 彼(または彼女)はなんでも知っている そう すべてを知っているのだ 明日雪が降ることも そうでないことも 世界が終わる そのタイミングも 絶妙 ? アイアムくだらない人間 嫌なことはしたくない なんて うん ほんとう 君の声が最終回を告げる 振り向けばフラッシュバック --- スナック - スナック - スナップ - スポット --- 一回しか言わないからよく聞いてね 二度と書けない文章を書くってのはどうだい ---------------------------- [自由詩]ぼくはかなしみと戯れる/ゆうと[2008年1月27日0時45分] ぼくはかなしみと戯れる 踊り狂って つかれた でもなみだはかれない さあ ワンツースリー 夜なのに太陽が出ている あかるい とてもしずかだ ぼくは声をおしころす こんな声 きかれたらいけない 小鳥を起こしてしまったら 朝が来てしまう まだだめだよ まだ 朝になっちゃだめだよ だまっていればうつくしいだろうよ そりゃあ みずうみに浮かぶ白鳥さ そんなふうにはぼくはなれない うん そうだよ こどもだよ 笑えばいいよ ぼくはそんなおとなにはなりたくないから ぼくはかなしみと戯れる 泣いて泣いて つかれた でもなみだはかれない さあ ワンツースリー ---------------------------- [自由詩]スロウダウン/ゆうと[2008年1月28日23時10分] スロウダウン スロウダウンして 一日が終わる スロウダウン スロウダウンしよう 怖くないさ スロウダウン スロウダウンして 夜明けを待つ スロウダウン スロウダウンしよう 目を伏せないで スロウダウン スロウダウンして 音楽を聴こう スロウダウン スロウダウンしよう 僕につかまって スロウダウン スロウダウン スロウダウン スロウダウン 一日が終わる ---------------------------- [自由詩]創書日和「靴」/ゆうと[2008年2月1日0時47分] やる気なくしたの あなたのせいで そんなふうに言われるとは 思ってもみなかった あわくって 吐いて 捨てたけど まだ残ってて べったりと張り付いた 靴の裏を見たら ああなんてぼくはおろかだと 思い知らされたのでした ---------------------------- (ファイルの終わり)