服部 剛 2014年8月14日20時21分から2015年2月7日18時30分まで ---------------------------- [自由詩]地球ノ時間  /服部 剛[2014年8月14日20時21分] 太陽は常に西の空へと往きますが この地球上に立っていると まるで停まっているようです 花はゆっくり開いてゆきますが 開花はまるで、魔法です 孤児を育てる里親さんは、言いました 「親の愛を知らずに、過ごしてから  我が家に来た子は皆ゆっくり育ちます」 僕の息子は染色体が、一本多くて 3才になっても歩きませんが 家に帰ると足に抱きついて 疲れた心も、癒されます ほんとうに大事なものは 夢も、人も、植物も (地球ノ時間)で育ちます 今も確かに――回っている この青い惑星(ほし)の上で   ---------------------------- [自由詩]笛を吹くひと  /服部 剛[2014年8月23日23時15分] 公園広場の人だかりに囲まれて 学ラン姿の少年は、笛を吹く。 指をぴろぴろ躍らせて 黒い瞳は魚(うお)のよう。 楽しいメロディ奏でつつ 耳はだんぼに開いてる。 身も心も空っぽにして。 音楽の神様が背後で振っている あの透明の指揮棒が 風を、切る たまたま遠くから聴こえた、君の音(ね)に 足を止めた大人の僕も、日々の動作で 魚の目になり (無心の時)を泳ぎたい   ---------------------------- [自由詩]遍在する顔 /服部 剛[2014年8月30日20時04分] 或るロシア画家の 画集をぱらぱら、捲っていたら 苦悩する女の肖像画に 薄っすら滲む イエスの顔があらわれた 神や仏はいつも隠れている 画家の描く、キャンバスに 彫刻家のほる、木の内に 今、僕が書いている この詩の余白や 机の木目や 窓外に鳴く鈴虫の叢(くさむら)にも   ---------------------------- [自由詩]旅人の靴  /服部 剛[2014年8月30日20時22分] 2013年・2月に行われた 渋谷Bunkamuraで 美術館の入口に、足を踏み入れ ぬうと目の前に現れたのは 1760年頃描かれた 白隠禅師の自画像で ぎょろり開いた目玉は、僕に云う (今もわしは、ここにおる) 巨きい絵を仰いだまんま 立ちすくむ僕の前に ひょいと 生きてた頃に履いていた 片方の靴を手に、差し出して   ---------------------------- [自由詩]夜の池/服部 剛[2014年9月17日20時17分] 丸い月を映す池の、水面(みなも)はゆれ   草の露に宿る月も、風にゆれ    僕が苦手と思っていた あの人の瞳の奥にも もしや 僕に似た心象の水面に、ゆれる 月のひかり   ---------------------------- [自由詩]燃える男/服部 剛[2014年9月17日20時39分] 白球は時に、燃えている。 ふいに巡ってきた 体調不良選手の、代役出場。 3回表、2アウトランナー2塁のピンチ。 1年中ぱっとしなかった、彼の 守るレフトの後方に 打者の打った白球が 虹を描いて、飛んでくる 斜め後ろに走りつつ、 だんだん大きくなる球をめがけて、飛ぶ! さし出す…グラブ! 何万人もの拍手が一斉に響く 東京ドームの外野席で 僕も立ちあがり 100メートル先で脈うつ、彼に 届くよう拍手して、叫ぶ 「やのけんじ〜…!」 3回表、ベイスターズの攻撃を終えて マウンドからベンチへ戻る、後輩投手は くるり ふり返り、一礼する。 ぱん と手を重ねて彼はベンチの奥へ、入っていった ジャイアンツカラーのオレンジの血液が流れる 僕の両目に白球は炎と燃えて… フェンス越しに遠のいていった、彼の ユニフォームに透けて 白球はめんらめら…燃えていた。   ---------------------------- [自由詩]机上のワインー珈琲店・エルにてー  /服部 剛[2014年10月5日21時26分] 遠藤文学講座の後に、皆で語らう この店で僕は、受洗を決意した。 この店で僕は、息子の障がいに泣き崩れた。 四ツ谷の地下の珈琲店・エルは 奇遇にも 遠藤先生の命日である、今日 四十五年の歴史に、幕を下ろす。 人それぞれの想い出達を そっと宝箱に仕舞うように 生涯、僕は忘れない。 この店で分け合った数々の痛み   幼い頃の原爆で 母を亡くした娘が大人になるまでの 哀しい物語 若い娘を病で亡くした、暗闇を 打ち明けた母親の頬に伝う ひとすじの涙   生涯、僕は忘れない。 在りし日の遠藤先生が 体の無い姿で、ふらり この店を訪れるように 待ち侘びて… 今日も机に置いた 献杯のワイングラスを   ---------------------------- [自由詩]盲目のひと/服部 剛[2014年10月5日21時42分] 朝の信号は、青になり 盲目のひとは白いステッキで 前方をとんとん、叩きながら 今日も横断歩道を渡ってゆく 日々の道程(みちのり)を歩く 惑い無き後ろ姿は 人混みに吸い込まれ 段々…小さくなってゆく 模範解答の無い人生に 心配事はつきもので 不安を膨らませれば果てしない この世界で 私は毎朝、目を凝らす。 ゆっくりでも確かな道を とんとん、進む あの白いステッキに   ---------------------------- [自由詩]夜の来訪者/服部 剛[2014年10月22日22時48分] 昨年、天寿を全うし、肉体の衣服を脱いだ 山波言太郎先生の御魂に捧ぐ手紙を綴り 我が家の神棚に、お供えした。 妻が蝋燭に、火を点けた。 少しして、じいぃ・・・と言って 火は、消えた。   ――風も無いのに、不思議ねぇ・・・ ――山波先生、いるのだろうか・・・ その夜、書斎で本を読み いつしか瞼は、重くなり 山波先生に (日本が平和でありますように) と一言祈り、眠りに落ちた。 ふいに目覚めた、午前三時。 (誰もいないのに、誰かいる・・・) ひと時の後、眠ったが 朝起きてからも、忘れ得ぬ 夢か現か(あのひと時)       透きとおる面影で立っていた 異界からの来訪者   ---------------------------- [自由詩]茶碗のゆげ/服部 剛[2014年10月22日22時53分] 一つの苗を手にした、僕は じぃ…っと屈み 水面(みなも)に手首を突っこんで 柔い土に、苗を植える どんなに風が吹こうとも どんなに雨が降ろうとも どんなに陽が照ろうとも いたずらな童子が 裸足のまんまで踏み荒らそうと 翌朝、のこのこ僕はやってきて 再びひとつの笛を、手に じぃ……と屈み 震える手で、苗を植える (いつの日か――必ずや) 暖かい灯のともる とある家庭の夕餉にて 父と母のまなざしをそそがれる 幼子の楓(かえで)の両手に包む、茶碗から しゅるしゅるゆげを、昇らせる 絵画の情景を――夢にみて   ---------------------------- [自由詩]雨の合唱/服部 剛[2014年10月22日23時07分] 無数の雨達はアスファルトに、跳ね 世界を覆う ざわめきを鼓膜に残して 私は夢から、目を覚ます。 布団から身を起こし、のびをする 朝のひと時。 夢の中で、瞬く間に 姿を消す雨達と 地球という仮の棲家で 儚い一生を生きる人々 降りしきる、雨達も 夜空に囁く、星達も 人の姿の比喩である。   布団から抜け出し、立ち上がる 朝のひと時。 不思議な夢に降っていた 雨の合唱は体内にざわめくまま 何の変哲も無い 今日が始まる。   ---------------------------- [自由詩]洗濯日和  /服部 剛[2014年10月28日19時58分] 母ちゃんが、洗濯物の皺をのばして 竿に衣服を干している。 実家を離れて久しい 娘についての深い悩みを ひと時、忘れて。 日にましろく照らされた タオルを 丹念に、のばして。 僕は、幼い頃の姉と 笑ったり泣いたり ケンカした部屋の 窓枠から いのるように、見る。   息子の里帰りに 背すじを少し、のばした 初老の母ちゃんを。   ---------------------------- [自由詩]霧の時代/服部 剛[2014年10月28日20時25分] きみは、掴まねばならない その手をまっすぐ、明日へのばして 耳を澄ませば――確かに聴こえる 言葉ではない、不思議な呼び声 黙したまま私達を待つ 二十一世紀の霧の向こうの、朧(おぼろ)な灯 長い間、血の気の失せていた 胸に、脈打つ音よ、蘇れ 世の中の饐(す)えた冷気に 悴(かじか)んでいた掌よ、ゆっくり開け あの日――世で掴むべき夢の為に きみの産声は天まで、轟(とどろ)いた   やがて霧の幕は開かれ 刷新されるべく、この世界で   ---------------------------- [自由詩]草ノ声ー知覧にてー/服部 剛[2014年11月6日23時53分] 知覧の草は、さやさや…哂(わら)う 川のせせらぐままに、身を揺らし 昔――ここから近い滑走路で 戦闘機に乗り、飛び立って 眼下に広がるいちめんの 海の彼方へ  お母さん…! 敵艦に突っ込む いまはのきわの絶唱で 粉々に砕け散った者達の御霊(みたま)は あの日から姿を変えて 時には柔いみどりの草となり 時には風として吹き渡り 川辺の岩に腰かける 旅人の我が影に 何やらしきりに囁くように 知覧の草はさやさや…哂う   ---------------------------- [自由詩]日向の道ー武家屋敷にてー/服部 剛[2014年11月6日23時58分] 雲は、風の吹くままに 落葉は、川の流れるままに 我もまた 自らに内蔵された方位磁針の、指すままに 旅の鞄を背負い 腰かけ石から立ち上がる 我が影は 更なる一歩を日向へと、踏み出さん 風に袖をふるわせて 川のせせらぎに背を押され 方位磁針の、指すままに 何処までも明日へ伸びゆく 石畳の道を   ---------------------------- [自由詩]どんぐり君/服部 剛[2014年11月9日22時26分] 机に置いた 一人のどんぐりが ランプに照らされ、光ってる 胸に心があるように 誰かが云った (どんぐりの背くらべ)である中の 彼こそが 何かを識っているように   ---------------------------- [自由詩]朝の日記/服部 剛[2014年11月9日22時56分] 染色体の一本多い、3才の周が 初めて言葉を発した 「それ…」 僕は身を乗り出して、聴き直す 「え、なに?」 目が覚めた――(なんだ、夢か…) 布団からひょっこり顔を出して 周はまだ、寝息を立てている もう少しで周は 布団からむっくり身を起こし 小さい両手で、のびをする時間だ   (いつになったら喋るのやら…) ふだんは妻にも、口にしない その言葉に蓋をして 心の中で言い直す (彼には彼の、道がある…) 布団からひょっこり出る ぬいぐるみのような周の寝顔を じぃ…とみつめる、朝のひと時 待つ――という秘儀を想いつつ 今日の出勤の為にのびをする、僕は 窓越しに 朝のひかりを浴びて 布団から立ち上がる   ---------------------------- [自由詩]夜の信号/服部 剛[2014年11月28日23時21分] 夜の人気無い交差点で 暗闇の赤信号の中 ひかりの人が立っている。 ゆるぎない姿勢で こちらに何か、云いたげな 未知の国から訪れた旅人のように。 かれは 赤い世界に包まれた 情熱の使者 信号の中から、こちらへ とこ…とこ…闇を歩み出し 白い梯子の横断歩道を、渡ろうと 息を呑み 明日を待つ――この胸に 不思議な足音が、入っていった   ---------------------------- [自由詩]旅の列車にて/服部 剛[2014年11月28日23時23分] 平日の空いた車内に腰かけて 「記憶のつくり方」という本を開いたら 詩人の長田弘さんが、見知らぬ町を旅していた。 喫茶店に腰を下ろした詩人は ふぅ…と溜息をひとつ、吐き出し 哀しい歴史を帯びたルクセンブルクの 素朴な珈琲カップの柄を愛でながら ずず…と啜る。 列車の中で読書して すっかり旅人気分の僕は 昨日の喫茶店で啜った 珈琲の苦みを、味わっていたろうか。  急ぎすぎちゃあいないか?  深呼吸はしているか?  瞳は曇ってないか? そんな内面への問いに、耳を澄ましてい たら 車内に一瞬――夕陽が射した。   ---------------------------- [自由詩]笛の音  /服部 剛[2014年12月23日23時55分] 遠い旅路に目を凝らせば 吹雪の風によろめきながらも なんとか歩いている奴の姿が 幻のようにぼやけて、見える。 (ああ、あれは幼い頃のよちよちの、 思春期の頃のぼろぼろの、年老いた 日々のへとへとの、私の冴えない姿 じゃないか…) ――何処からだろう そんな冴えない背中にさえも 時折 叱咤激励するような、笛の音    (ぴぴーい!) 怒号の風の鳴り止まぬ 吹雪の道に紛れて響く、笛の音は ずぼり…ずぼり…足跡を掘り進む 彼の背中を、押している。   ---------------------------- [自由詩]透明人間の声援(エール)  /服部 剛[2014年12月24日0時00分] どしゃぶりの雨の中 透けたシャツの後ろ姿のまま 途方に暮れた君が、突ったっている 僕は時空を越えて未来から訪れた 透明人間の旅人だから 声をかけることすらできないけれど 誰よりも親しめる友として (音の無い声)をそっと、囁こう なぁ友よ、たとえ 命懸けの恋が破れたって 生まれたての夢が挫けたって いいじゃないか… 君という物語は まだまだ 巻き物の如く 未来に向かって何処までものびてゆくだろう 99人にNOと言われたって ひしゃげた姿勢のまんまじゃ、駄目さ もしかしたら 100人目の誰かさんが (あなたの色はすばらしい!)って 絶賛するかもしれないのが この世の舞台の法則だから 透明人間の僕には、視える 雨の路面を越えて何処までも つらなる君の足跡と あの夜明けの空が   ---------------------------- [自由詩]糸/服部 剛[2014年12月30日23時59分] 頬をなでていった、風を 振り返った遠い背後の道で 独りの樹は嬉しそうに、葉をゆらし 無数のみどりの掌は こちらに合図している この足もとに伸びる人影が、口を開く (見エナイ世界)を呟くように ――どうやら全ては互いに   引き合っているらしい   人も、花も、真昼の月も   過去や未来の筋書きも そうして 私から、あなたから、この世へ 蜘蛛の巣状に張り巡らされる 不思議な糸 今日もそよ風に、たゆたう   ---------------------------- [自由詩]露天風呂  /服部 剛[2015年1月3日20時43分] ぼこぼこぼこ…泡の沸き立つ 黒い温泉に浸かる人々は 防水テレビの中を走る 箱根駅伝のランナー達に、目を細める 正月休みのひと時に 白いタオルを頭にのせて 自らの今年一年に、重ねるように (この温泉から車で10分の  国道1号線を  先程ランナー達は通過したばかり…)   ざばーん 威勢のいい爺さんが 浮き出るあばらを汗で光らせ (全身から白い湯気を昇らせ) 颯爽(さっそう)と、風呂を跨いで ぴしゃぴしゃと裸身のままに去ってゆく… 新年の日に照らされた 横顔で、僕は湯に浸かり 今年一年の物語に 想いを巡らせ、瞳を閉じた   ---------------------------- [自由詩]太刀洗の道/服部 剛[2015年1月4日22時32分] はらはらと、風に揺られて 前方に、無数の枯葉等は舞い 鎌倉の湿った土に降りつもり… 旅人はぬめり、ぬめり 幾世代もの黒ずんだ枯葉等を 踏み締めてゆく 両側の 崖と崖を削った、一本道の切通(きりどおし) 時折、背負った荷を下ろし 岩壁に浮く 顔の無い仏に、頭を垂れる 道の傍らを流れる   太刀洗(たちあらい)の水の囁きに 耳を澄ます、旅人は 荷を背負い ふたたび歩き出すだろう 夕陽に照らされ降りつもる 枯葉等の呼ぶ、あの切通の奥へ   ---------------------------- [自由詩]新年の詩?鎌倉霊園にて?  /服部 剛[2015年1月4日23時58分] 左の墓石の下に、堀口大學の骨は永遠に眠り 右の墓石の下に、川端康成の骨は永遠に眠り 西方の山間に、今にも杏(あんず)の夕陽は沈み 新年の富士は琥珀に染まる姿を浮かべ 東方の空に、満ちようとする月は昇り 私は今、鎌倉霊園の丘の上にて 在りし日の詩人の声を、呟いた。 ――夕暮れの時はよい時 妻にかけた携帯電話越しに あーうーと 染色体の一本多い三才の息子が発する 言語未満の声 携帯電話をポケットにしまい   墓石の前に立ち 稲穂の姿で、合掌する。 ――日の本よ…   詩心(ししん)を豊かに育むような   杏の夕陽の国であれ   ---------------------------- [自由詩]マリアのまなざし/服部 剛[2015年1月14日22時53分] 深夜――薄闇の部屋に CDデッキの青い灯かりを、点けて 遠藤周作の母・郁が 遠い過去から唄う讃美歌を流した。 人より染色体が一本多い 三才の周は、高熱で寝こんでいるのに 一瞬――鈴の笑いを奏でた。 昔…「周ちゃん」と母に愛しく呼ばれた遠藤先生 今…「周ちゃん」と妻に優しく抱かれる我が息子 九十年の時を経て 物語の続きを夢見て眠る、周よ 薄闇の青い灯かりにぼんやり浮かぶ 机上のマリア像は 両手を広げ 君の明日をじっと――見守る。   ---------------------------- [自由詩]鳥の唄/服部 剛[2015年1月14日23時18分] どっちでもいいさ――右に転ぼうと、左に転 ぼうと、あの娘にフラれようと、はたまた結 ばれようと――全ては運命の掌がふったサイ コロの数に過ぎないのだから 右にゃあ右の風が吹き…左にゃあ左の道があ り…どの道遊べる大人になりゃあ、日々の場 面はいつかきっともっと熟れた味わいの想い 出という酒の肴になるだろう さぁ友よ、飲もう、酔おう、千鳥足のまま夜 の路地を往こう… 小さい日々を見下ろす鳥になり、空に翼を広 げれば――君はすでに、無重力の鳥になる。   ---------------------------- [自由詩]版画人生/服部 剛[2015年1月25日0時00分] 昔々…伯父さんの家に遊びにいくといつも、畳の 部屋に這いつくばって、すりすりすり…と無我の 境地の音を立て、何者かが憑り依った後ろ姿で、 すりすり…と和紙を摩る毎に段々…深みある旅人 の自画像が魔法のように浮かび上がって来たもの だ――僕の日常も、在りし日の伯父さんの爪の垢 を煎じて飲んで VISION が段々…現れるといい。  日々の旅路を夢中で、歩行する間に。     ---------------------------- [自由詩]一行詩/服部 剛[2015年2月7日18時20分] 財布の中の、野口英世と目が合った。   ---------------------------- [自由詩]滑稽な顔/服部 剛[2015年2月7日18時30分] 僕は崖の上に、立つ。 崖の上に立てば、あの風が吹く。 眼下の海の潮(うしお)を見れば 意気地無しの足は、すくむ。 すくむからこそ二本の足で、僕は立つ。 わなわなと生に震えながら。 への字にきっ…と、口を結んで。   ---------------------------- (ファイルの終わり)