つめきり 2006年8月1日16時40分から2008年4月17日18時36分まで ---------------------------- [未詩・独白]サナトリウムの憂鬱 /つめきり[2006年8月1日16時40分] そして、 めまぐるしい呼吸に ふさがれる 漂白された個室  あなたは白と孤独を分けいる  つながりは水平線のほつれを装って 回廊の花びらを屋内に引き延ばし いちまい 一枚 見た プロペラの  欠けた三枚の旋回が わたしの義手を ねじれのまま括 、った あの海の滞空の崖から つかむ 軌道は 5枚のスペリングに ひとしい 感染に名づけられた 揺レ 扉  飛沫の消失  に   存在上の 赤・青を、見ている   ---------------------------- [未詩・独白]ねんど/つめきり[2006年8月10日18時44分] 溢水の、細胞ははがれやすさに  幾度となく   さざ波は ついて はなれ  たい 鶴がいなくなった あとと、折紙 錯綜するりんかい線が と  自由自在に満たされた溢水の頭上 絵 帆が 上空を描く  何層も 吻合部を、押して 大海の分圧を逃れ      る      肋骨ががい骨を 外し こぼれ た 歯  立ちあがる弧尾を追って  たたかう」さかな 通過する 外灯、を ねじれたまま空中てんかいし また足下に青が転 ガり 転びまた     泳ぐ、さざ波ごとに 揺レる体表 まとわりつくたくさんの眼に 光    、が  ひしめく もう<無い  見せきれない   鱗が 前後 創傷「が くらい深海のやわらかい孤独 四つにおりたたみ とう  とう  ただ飲みこんだ未知の泡沫ご とにあぶれ た ---------------------------- [自由詩]雨/つめきり[2006年9月14日23時15分] 孤独を繕う句読点を無造作に並べて 線でつなぎとめただけの街 意味のない言葉は 空白を満たし ちからなく溢れた (思いのほか冷たい。) それから 未消化の確執のように 近づいて 近づいて 蒸散した 僕は消滅だと言った けど違ってた 昨日、淡い線に同調する 雨の成分を見た 空席のバスが通り過ぎていく 一瞬 摩擦熱がおきた 成分と車窓を 見比べて 漠然とした気持ちのままそれを願った 傘はいらなかった 僕一人に同調する 言葉も 水分もない ただ わずかな希望がこぼれた瞬間 僕らは、熱を感じる (思いのほか冷たい。) 明日も、雨 ---------------------------- [未詩・独白]サーカス/つめきり[2006年10月23日2時56分] 電気をつける前に、浴槽にはカメがいた あおじろい水、むっとする匂い 消しましたが、 ところどころ壁のちかく漂白された穴が ぽつんと空いて 男が立っていると影は嘘になり 外へ庭へ、スカートをはぐ、 ふりをして 何層もの、扉にへばりつく、カーテンのすそを切った 、ノックしてとどく風 難解だらけに ひびく 屑 みだれまみれた半角 (だれか) 今までつつまれていた胎児が 泳ぎをわすれ  いきつぐ前の、のどもとをかすめる カメがいなくなる、庭には裂く爪 ありませんが 水と、口切れるはっぱ あらかじめ ひらり、 ぶらっくほーる、だと くちぐちに 唾、吐いて ---------------------------- [自由詩]静止連想/つめきり[2006年10月27日18時45分] (静かなるもののかげりに 文字は ばらばらになって ぎこちない句読点をうつのをやめた) とぎれとぎれ斜陽誓詞をよみあかす  きょうゆう の後の 接続を どこにも連ねることが できない 聖なる行進の 間隙を埋めるための ことばは きっと あるはずなのに  点在した 秩序が、等号でむすばれない数を ばらばらにすると 方位さえ わすれて しまう ぼくらに あたえられた光は 空席にしかなく  くだける かけらには 脆さと同じくらいの  面影にたつ   かなしみしか うつらない たったひとりの 失脚によって くずれてしまう 直列の叙述が 離散した衝動になって かなしみに 未分化のまま だれにも 悟られないでいるの かもしれない 空前の みゃくらくをほどいた 低空飛行で致命傷をのがれる リアリズムに すれすれで 接した気がした ぼくに 0・3mの高度が片手で ふれる 感触に予感が ほとばしる 無双の行き来の絶後 墜落した事実が かげになる 淡さを 無傷として 静止する かたわら 夢からさめた ---------------------------- [未詩・独白]アプガースコア/つめきり[2006年11月7日4時56分]            母が泣くので           腹から   ときどき           こぼれた                 、咲かない裂かない               花/ 熟れた異端は地平線をちらちら               姉妹を犯したまま       ひっかけて   違いのない容姿を          閉じ                にじむまで 小さいと靴が赤い大きいと                はがれてしまう             薔薇の右足が平等に壊れ(左足/)             対称?                 反するならべに、焦がす直前 地べたは ひかり            夕方の放物線を             越えてしまう            体位は、        ひらがな  の/ 容姿               体の傷を、ばらばら に          舐めあって          双胎の/はじまりは         臍帯の          よじれに           小さな列と 不整脈は           円形を追いこみ    ひびき           充ちぬ眼を、半濁するそれら           人々 の体位に           交じって ---------------------------- [短歌]雨二唄エバ/つめきり[2006年12月19日23時12分] 「名乗れば」 と   あおざめて、絶つ 色黒の 文みゃく馳す空 やけに音なく ---------------------------- [自由詩]青を折る/つめきり[2007年1月20日13時09分] 街の境界で 2才児が、 空を裂いていた。人々のさまざまな傘が壊れだし 小さなハミング ひびきにとらわれる、成長痛 からだの隅々で、こんなに軋むとは 思わなかったね 次から次へと間違いを正していく内側の黒さ ビニル 黒 赤 膿、凛として美しい他人の癖を見つめる 傘が歩道橋の下で くるくると回る赤は赤を塗り、ビニルは無機質を 澱ませ さりげない舌打ちの 空っぽの口腔の ささくれ だれかが見ていると電線の2本目が痛んでいて 胸でとぎれない裂傷、しめつける回送の けっして骨は骨を砕かない、つなぎとめ 青を遮る、見えなくなる人々の 2才児の目の位置を、点々とつたってくる 溢れたら  青をつたって降りてくる。わすれていたらさりげない  見ちがえた空を後頭部から、眺める ねんまくの層が、余りきった広場の指の方でとぎれて 成層圏が、砕けた 前から後ろへ順序よくあふれる空席のベンチの膿 手のひらを眺めていると 関節の隅々まで 裂け目だった ---------------------------- [自由詩]低空飛行/つめきり[2007年3月17日23時03分] 屋上にいると からだはんぶんずつ消えていきそう ゆうしてっせんが空をてっぺんから だめにする、僕のあしもとのおもみがなくなり、飛んでいく鳥の骨を抜きとってしまった、 「ひる」口にできない。つたうひびき、くちばしから内臓まで乾かしてしまうあの風がと どまる瞬間の、「あめ」いくつもの針をさしだすが、つめたく。みずから足先から大腿へ、 だしぬかれた あの滞空を貫通して成層圏をはためかせると   僕がふらふらする 、言えなかった。 「ネジがとれていてよかった」 。つきまとう真昼の夢はオイルをのみこめないくらいせつなくして、そのけだるい眠気が 僕のしなやかさをくりかえしくりかえし離陸させているのだろう ネジは埋めこまれてい ない。 なめらかに翳した傷の凹凸 消えそうな僕の手で 幾度となく 顔の輪郭で翳っている亜麻色の髪の、うつくしいあなたを首を5cmくらいななめにかし げると、なないろにみえてしまうからこの胸をくすぶる。    切りすぎた前髪に  花粉のさきっぽ が誘われて旋回する どこまでも見ていたいけれどしだいに濁音が、 滑走路を削る   去勢されたおくゆきは 空っぽの教室をなめらかに落としこむだけ 、プロペラが2枚だけ空からはみだして。 限りない視野 旋回しようと、手足をばたつかせているけれど、 みうしうなったもの すべてじゃなく、そう。僕が、みえなくした。ふらつくときはいつ も平衡かんかくだったから そのまま手足がそなわっても、僕たち少しも飛べなかった。 みうしなっていく それが浮つくひびきにも似ていて、噛み合わない空気に巻き込まれ 軋む音は聞こえない 墜落でなくしたパズルがひとつだけ、みつからないんだ、うなばらを、めぐる夢から覚めると いつも 、浮かばれる、事実が 単調な作用をつづける、 プロペラの外枠線が書いて消してまどわせる この足場をすくって、こぼしたくない、 あめふりのはじまりに、数え切れないくちびるのふるえをゆだねる ぼんやりとしたおもみ、 その高度で見つけた机に伏して、ちかづくとはじまる沈殿。みずくさのあるうすぐらい僕 の部屋、そのおもみで一枚がはがれた、すぐには、落下が始まらないけれど ほら、こぼ したくない 募ったもの落ちていく川べり公園の成層圏 墜落しないまま くりかえす、水位から水位へ ゆうしてっせんで 錆び付いた 青 くぐもる 歪みない空だったから、僕はぶんみゃくを馳せる。公園のベンチに ひとり 果てしないから にごりがない (こぼしたくない) 夢を見ていた ---------------------------- [自由詩]生育暦/つめきり[2008年4月17日18時36分] 「なにも着ていないの? ひとつ あまらせているから、きみにあげる。」 待ちに待った、台風の日です。 家に上げたら、育つのにどのくらいかかるの か、あと数秒で折れてしまいそうなきみが傘 で部屋を汚しに来る。わたしが傘を脱がせる と、ふるえてないていた、 頬に触れると、 塩分の味がする。からだはちいさくて水の味 を知らないであろう。手を上げて、届かない あめ粒をくちびるに、あててあげた。 わるい天気に感染して、病んでいるばさばさ のくさばなが、きみを見ていっきに わらいだすから 日が落ちても、きみはまだ玄関にかくれてい る。人工の光はきしきしするからそんなとこ ろにいないでよ、と笑いかけた。暗いあいだ は、しょくぶつも見てない。きみは「うん」 と言って部屋に、入ってきた。 あめにぬれただけじゃないの、たがいにちが う冷蔵庫のなかで結露した。わたしたち ひとつとりだしたグレープフルーツのはんぶ んずつをフォークで、すくってたべる、晴れ た日には、きみに生育暦を教わった、糖分で 育ったわたしは、陽光に焦がれるたびに去勢 される肌の色を気にして、「黒いのよ」と言っ た。きみが白いのは、ははに似ているのだと 言った。短く切った前髪は、ははが千切った のだとくりかえした。わたしは、髪が伸びる のもわすれて、顔を隠してあげたくなった。 きょうも天気は、生育暦に隠蔽され、わたし は部屋で眠る夢を見た。 きみは柑橘の薄皮を、爪できれいに剥いて、 分け合った種の最後のひと粒をたべない。 退化していくさまざまな機能を食べずに 腹の奥で響かせ ハミング 積まれない音と昔を、重ねて歌った 花の種を埋めた。みどりも、いずれあかる いいろに隠される。 その影が消失したら、目の色が薄くなる。 午後がながくなって 温室では、朝を保って、息を吸い込んだ。 育つこと それなりの濃度を血液のなかに流 して、  夏は待つ春よりも真昼が長いのだ、 わたしたち早熟で、結露が腹からこぼれて薄 くなっていった わたしには影があるが きみと同じ濃度に したくて影ふみをしている。「ぼく」と言っ て、こぼれだしても何の味もしない。きみが 拡声器で、しゃべるとわたしのははに似てい る。似ているというのは、大袈裟だった。お んなのこのはなしかたは、大袈裟だから と ころどころを弱毒してしまう。 腐った果肉を剥いで皮をフオークで貫通した 。 火照る爪が粒と粒のあいだ 浸透して空 、いつまも口の中に拡がる 窓を開けたり閉じたりして、きみが来るのを 待っているあいだ ぼくたちはあたためられるだけあたためられ て暑いにもかかわらず巻かれたマフラアのよ うなものを、ぐるぐるほどき ながら眠ってしまう きみが着るはずのないレースの下着を、わた しが脱がせて。ちいさな靴も靴下も とてもちぐはぐで わたしのものじゃない ただ、この部屋に脱ぎすてられている。         「ねえ、眠れない」         だれかいるの、         (これが、きみがいる         ただひとつのしるしな         ので わたしたちは、         はしゃぐ         みんな台風に、飛ばさ         れてしまったのだと、         聞いてしんだふりをす         る。すると聞         こえた。きみのははは         かわいそうに災害で、         しんだのだ。きみの声         の低音域が、眠りに落         ちる前の瞬間をとらえ         ていて心地がいい。) ---------------------------- (ファイルの終わり)