ともちゃん9さい 2009年9月19日15時13分から2017年4月10日8時53分まで ---------------------------- [自由詩]浮気症/ともちゃん9さい[2009年9月19日15時13分] 殺される前に殺せ ほんとにやるのか やわらかい生活 はねっかえるからむずかしいんだよ 敷布団は固めがよい 腰によい 君が隣に寝ているはずなのに ちがう人の顔に見える 友だちの顔 ずっと見ていたら 君の顔に戻った 浮気症 どっからが 中野のおっきい本屋さんで聞いてみよう どっからなのかって 手をつなぐっていやらしいから浮気 見つめあうっていやらしいから浮気 いやらしいことは全部浮気なんです精神性です 大変だ あふれているじゃないですか 通じ合わなくてもですか 通じ合うなんてことはありえません むずかしい系のことですか たとえばあなたとわたしは通じ合っていないんですか 中野のおっきい本屋さんで 通じ合ったかもな店員さんはノートパソコンをいじっている 浮気をしてしまった 家に帰って君が得意料理をつくって いっしょに食べておいしいねって テレビのチャンネルぜんぶ変えてつまんないねって youtubeでミシェルゴンドリー見てやっぱりいいねって かまってちゃん見て刺激受けて 君は1階でギター弾いて わたしは2階で何か書いて 一日が終わる 殺される前に殺せ ほんとにやるのか ゆるみきった生活 はねっかえらないからむずかしいんだよ 敷布団は固めがよい 腰によい 夜中 目が覚めて 君が隣に寝ていて ちゃんと君の顔に見える ---------------------------- [自由詩]お父さん/ともちゃん9さい[2009年9月20日12時37分] ブルーレットおくだけが落とす ブルーレットみたいな色の汚れが 必死にこびりついている 待っている次の人が お母さんも含まれている列 お父さんも含まれている列 お母さんにたくさん会える気がするが 実はお父さんかもしれない お父さんの家が近いから お父さんは内緒で わたしに会うとき内緒で わるもの 離婚しただけなのに りこんちょうていとかもして 離婚しただけなのに どうして奥さんに内緒にするの 奥さんはしっかりものだから きっとわたしを受け入れてくれるはず 前の人との子どもだって よくある話 お父さんが死んだら 教えてくれる人がいないのだ お葬式にいけないのだ そういうことでときどき泣く 結婚式とかどうでもいいのだ お葬式にいけないなんて わたしは娘だ わたしはあなたの娘だ 新宿でさようならは もう二度と会えないさようならだ お父さんは泣きそうな顔している だから振り向いちゃいけない 顔が似ているということで お互い最低な性格ですね わたしもどっかでこれでいいとおもっている ---------------------------- [自由詩]ジョン/ともちゃん9さい[2009年9月25日11時27分] 左手くすりゆび おじいさんとおばあさん とれない なんごう 思い出をかたる いいこにしてるのに いやなことばっかり かみさまは宅録に夢中 ビートルズのカバーに夢中 セカイヘイワ ジョンカンペキ ざらざらのおしり 手入れがずさん 年を取った 重力をなくして 宇宙旅行 まださき 宇宙旅行 顔がむくむ 左手くすりゆび おじいさんとおばあさん とれない とれない 思い出をかたる しずかに いいこにしてるのに かなしいことがつづく かみさまはDIYに夢中 犬小屋づくりに夢中 ワンワンワンワン ジョン待ってろよ ざらざらのかかと 手入れがずさん もう若くない 重力をわすれて 宇宙旅行 いつかね 宇宙旅行 君といけるかな 笑ってばっかり 泣いたら夜がキラキラきれい ---------------------------- [自由詩]親父と恋/ともちゃん9さい[2010年10月8日9時08分] ゆるめのローションたらした指 耳の中 かきまわす音 骨の音 今日 小さな失敗して 心折れて 昔の男との思い出の曲聴いて 立ち直ってやる OLだから 知らずに口ずさむ彼氏に 胸痛めたい そんなかわいいかわいい自傷行為さえ あれば 明日の準備 オフィスとカジュアルの魔物 とどこおりなく 時給1200円 交通費なし あわてない あわてない 朝までぐっすり おはようお父さん 離婚して 再婚しちゃったから お父さんのお葬式にたぶん参加できないわたしが 手紙を書いています 住所を知らないから 出せないんだけど 今はインターネットだから インターネットしちゃえば届くかな お父さんが死んだら 教えてくれる人がいないのだ お葬式にいけないのだ そういうことでときどき泣くのは気持ちいい りゆうなんてどうでもいいのだ 結婚式とかどうでもいいのだ お葬式にいけないなんて わたしは娘だ わたしはあなたの娘だ お父さんの家が近いから お父さんの家が近いから お父さんは内緒で わたしに会うとき内緒で わるもの 離婚しただけなのに りこんちょうていとかもして 離婚しただけなのに どうして奥さんに内緒にするの 奥さんはしっかりものだから きっとわたしを受け入れてくれるはず 前の人との子どもだって よくある話 新宿でさようならは もう二度と会えないさようならだ お父さんは泣きそうな顔している だから振り向いちゃいけない 顔が似ているということで お互い最低な性格ですね わたしもどっかでこれでいいとおもっています 手紙を書いています 住所を知らないから 出せないんだけど 今はインターネットだから インターネットしちゃえば届くかな お母さんにお父さん似だと言われるたび恋をしていた お母さんよりもお父さんが好きになった お父さんが「わかってくれる」と思っていた 休憩中にパスタを食べる 2歳半までしか暮らさなかったお父さんの得意料理と わたしの好物の一致とか ユニクロかぶった苦笑いさ はははははは 今日も 小さな失敗して 心折れて 彼氏とユーチューブで見つけた曲聴いて 立ち直ってやる バイトだから 口ずさむ彼氏に 子猫愛でる気持ち そんなかわいいかわいい愛情さえ あれば 明日の準備 オフィスとカジュアルの魔物 とどこおりなく 時給1200円 交通費なし あわてない あわてない 朝までぐっすり ---------------------------- [自由詩]冬にお鍋したい/ともちゃん9さい[2010年11月12日16時37分] 塩 しょうゆ みそ ちゃんこ キムチ カレー 豆乳 水入れて昆布ひたして カキの洗い方どうだっけ? 野菜は水から? お魚お肉は沸騰してから? 春菊はすぐだから食べる直前 あったかい食べ物は人を救う 料理の鉄人の道場六三郎 鶴ちゃんのおでんネタと ひょうきん族のエンディングテーマ なつかしんで としがばれて なつかしい もっと なつかしくなりたい あったかい食べ物は人を救う 甘酒 豚汁 石原軍団が炊き出しがんばるのを 最近みない なつかしんで としがばれて なつかしい もっと もっと なつかしくなりたい 冬にお鍋したいんだ 窓がくもって 顔がほてって おなかいっぱい食べて 他愛ないおしゃべりとテレビが 家族みたいで なつかしくって たのしい 窓に指で絵を描く ゆきだるまの絵を描く おしゃべりがつづいてる 指先がつめたくってきもちいい 酔ったいきおいで 蚕糸の森公園行って グラウンドが広くて あったかい食べ物に救われて 生まれて死ぬまで回転する球にはりついているって わかんないけど 冬の空気は 星がたくさん見えて すきなうた 「東京の空の星は  見えないと聞かされていたけど  見えないこともないんだな」 って口ずさみたくなる 冬のお鍋は 窓がくもって 顔がほてって おなかいっぱい食べて 他愛ないおしゃべりとテレビが 家族みたいで そんな思い出ないのに なつかしくって たのしい いつだって 土曜日の夜みたいで たのしい ---------------------------- [自由詩]青空/ともちゃん9さい[2010年11月12日22時47分] 若かったころひとりで たいていひとりで ひとりはひまなので 余計なことばかり気になって 寝転んで涙 耳に入ったまま起き上がって 肌がきれいな 童顔男子にひとめぼれ それから 毎日 晴れていた 布団をほす 洗濯機をまわす 掃除機をかける 花を買う たたみに寝ころがる 詩に書かない 代わりにカメラ 何枚でもカメラ ぜんぶ青空がうつりこんでる 男子と夜 線路沿いをあるいた 今冴えているから 両思いをびりびり感じまくってる 今冴えているから 君の考えてることぜんぶわかってる と 今冴えているから が すべて 大事 それだけ それしか びりびり びりびり そして 終わったんだけど だって 雨が降るから 雨ならまだいい くもりのしろに頭がおかしくなってしまいそう 布団おもたい 洗濯物たまる 掃除機めんどう 花かれる たたみしめってる 詩に書いてしまう カメラほこりかぶって カメラの中にだけ青空がある それだけ それしか びりびり びりびり すこし年をとって 毎日 天気はちがうけれど 特別冴えていないし びりびり びりびり しないけれど ひとりじゃない 寝転んで涙 耳に入ったりしない けれどときどき 夜ささやく言葉とまなざし あるくスピード オリジナリティあふれるカラオケ 先に寝てしまうこと おもしろすぎるメールの返信 自転車ふたり乗り 返してない本とCD 眠らなかった朝と空気 おいしい洋食屋さん 音楽のまほう じょうずな散歩 今も読みつづけてる小説 書けないこといっぱい そして青空 毎日青空 晴れてばっかりだった はずはないのに 青空の写真なんて はじめからないのに 思い出して きっと君はとっくにわすれてて 思い出はわたしだけのものだ 君よりも ずっと ずっと いとおしい 青空 みたいな青だ ---------------------------- [自由詩]t o m o f a n/ともちゃん9さい[2012年2月11日2時40分] 欲求不満熟女料理のタグはカレーライス エヴァーノートウェブクリッパー同期して 外れやすそうな蝶つがいのようだ 僕ら じゃがいもとにんじんとたまねぎとお肉を キリリしイタメルルしニララして おおおおお 獣だな 言わせてみせる つくれぽして 言わせてみせる ビーバップ・みのるが好きだ! あとアイホン超はかどるよー!!!! 生まれて初めて女であることの意味をフリックしてみる セー○○○ あん時言ったろ 真っ赤なお江戸に三味線弾いて鳴いたこねこのおなかシルシル 汁まみれ ビックリマンチョン シールまみれ ああ川の流れのように 10代の少女は ずっとずぶぬれ 色がこい 3.11 59 26535 89793 23846 26433 83279 50288 ふわふわおっパイーパイッ体操 やわらかアスファルト 黒いグーグルマップで拡大できないふるさとの景色 夕暮れ 君の料理がうまくなる (はっかないお味〜) 夕暮れ 母の帰りが遅くなる (ひらっひらのお洋服〜) ながめているだけで参加できないゆめめ 死んだ人が生きている人に話しかけるみたいに からだがすける 5年ぶりのとなりのトトロは あの停留所のシーンばかり繰り返し お父さんが帰ってくる直前で メイは眠気を訴える おじゃまたくしを金魚鉢にいれて楽しめば 年末大掃除に干からびたカエルが見つかるよ つまりこれは片づけの魔法かな? お風呂場のタイルをこなごなにくだいて そうかわたしは怒っていたのかとおもう 足のうらが気持ち悪い波打ち際のスイカ割りと センチメンタルバーカ 女性は毎月、血まで取り替える レッツメイクラブ☆ 取り替えるのは顔だけにしな もっともっと言ってほしい 愛が声に満ちていると 素直にすれば満たされる 欲求不満熟女料理が エヴァーノートウェブクリッパー同期して 外れやすそうな蝶つがいのようだ 僕ら おおおおお 獣だな 心臓の音が近くなる 近くなる 暮らしのリトミック 相手の口を食べると 唾液の甘いにおいに窒息して なまぬるい午後がやわらかいシルシルにシルむ 名まえを呼んで ゆっくりしゃべっても いいんだよね いいんだよねはもういいんだよねはもういいんだよね こわばらなくて 教科書の表紙のうすい紙めくれ インスタグラム 色あせた かげでフジロックと呼ばれていたことを思い出す ともちゃんはファンタジー 少し手ごたえのあるものを刺し続けたい ずちゅずちゅ ぬっぷぬっぷ 小指のしわと砂嵐とじょー上質紙のくしゃり陰影 宇宙のしみ かみの みぞ コーラス重ねて色んな音うずまいてあまる語尾と息づかいが好きだ 時間の上に重なる時間の上に重なる音 少しずつずれて 電話してるときのメモの絵みたいな筆圧ぐるぐる重なる音 人のこころは簡単にきえる 人は人のこころを持たねばならぬと、くるしみ保とうとする くるしい と にがい つらい と からい まな と かな 北斗晶 と ジャガー横田 イチロー と トムヨーク どっちでもいー!!!! ともちゃんのファンタジー 夢がないけど、生きてていいすか ともちゃんはファンタジー 目的がなくなっても、だまるな 女性は毎月、血まで取り替える レッツメイクラブ☆ 取り替えるのは顔だけにしな もっともっと言ってほしい 愛が声に満ちていると 素直にすれば満たされる 欲求不満熟女料理が エヴァーノートウェブクリッパー同期して 外れやすそうな蝶つがいのようだ 僕ら おおおおお 獣だな 心臓の音が近くなる 近くなる 暮らしのリトミック 相手の口を食べると 唾液の甘いにおいに窒息して なまぬるい午後がやわらかいシルシルにシルむ 名まえを呼んで ゆっくりしゃべっても いいんだよね いいんだよねはもういいんだよねはもういいんだよね こわばらなくて 教科書の表紙のうすい紙めくれ インスタグラム 色あせた かげでフジロックと呼ばれていたことを思い出す ともちゃんのファンタジー 夢がないけど、生きてていいすか ともちゃんはファンタジー 目的がなくなっても、だまるな ともちゃんのファンタジー まだ死にたくないんだ! ---------------------------- [自由詩]石川浩司 さま/ともちゃん9さい[2012年7月8日13時03分] 石川さんとわたし 耳の長い女子高生だった 長い信号待ちをしていた 黄色い旗をふったら黄色い電車やってきて 風街をふきとばしはじめたので 涼やかなおはじきお口に入れて後輩に電話した あかずの踏切りかもしれなかった どっちでもよかった 高2の美術の時間はまだ受験じゃないから ピーターバラカン似の先生がおでこをぴくぴくさせながら 好きな絵を描いていいと言った たまの「犬の約束」が出たばかりで 最高傑作だとおもっていた 特に「ガウディさん」から「あくびの途中で」の流れが 次の頁の必然としかいいようのない秀逸さで でっかいCDラジカセで聴くたびにていねいに鳥肌をたてていた だからそれで絵を描くことにした 「ガウディさん」の絵を描くことにした でもひどい雨が突然落ちてきて 後輩と電話で話した内容は 「ムーンライダーズって解散したんですよねー」って 1992年に言い放ったため、正しい情報の提供である だから君はどっかにいるんだけど わたしの前にまだ君はいないから 海に出かける約束をしていないから 犬がくわえてっちゃうことはない みんなカラフルな傘をさした タッチはそのころはまっていた佐々木マキ氏の影響うけまくりだったが はじめて先生がほめてくれた 色づかいをほめてくれた デッサンも油絵もだめだったわたしをはじめてほめてくれた 後輩の同級生は吹奏楽部の顧問とできているらしい わたしは美術準備室に入れなかった どっちでもよかった みんなカラフルな傘をさした 描いた絵は中学の恩師にあげた どっちでもよかった 「耳の長い男信号待ちしている  黄色い旗をふったら黄色い戦車やってきて  町を壊しはじめたので  ドイツのコインを入れて彼女に電話した    でもひどい雨が突然落ちてきて  みんなカラフルな傘をさしたので  海にでかける約束は  犬がくわえていっちゃった」 今もときどき音がドンシャリ流れていねいに鳥肌たてる ともちゃん9さい より 2012年7月3日(火) 石川浩司生誕祭 〜ゴーインに51歳!〜 吉祥寺Manda-La2 お客さん参加型「バースデイプレゼントコンテスト」にて朗読したもの ---------------------------- [自由詩]家族旅行の計画/ともちゃん9さい[2012年10月29日12時07分] ソファーで寝転がり落ち込むお母さんをはげます 休日の午後 海外のビールを飲んでいる 夏休みだとおもう 地下鉄にひとりで乗れなかった ないしょで飼ってるのに 賃貸の壁でつめをとぐねこ ばあちゃんがじゃがいもを煮てくれる バターしょうゆで食べる 吉本新喜劇をみる 花に水をあげられなくて ぜんぶ枯れた居間がかわいている お母さんは誰かとときどき物をとりに家に帰るとき 枯れた花をみる 誰かが枯れた花をぜんぶすてたらいい そんな仕事じゃないのにみかねて枯れた花をぜんぶすてたらいい ばあちゃんは家に帰れない ばあちゃんは病院で死ぬ ばあちゃんが病院で生きている 旅行の計画をたてる こたつでずっとテレビをみて こたつのまわりをちらかして 夜中になって お母さんが帰ってきて 寝たふりをしたら かるくけられた 音楽がいつかおわるみたいにおわる 病院で死にたくないな そうだけど ばあちゃんもそうだったら困る 若い人が死ぬときはなつエネルギーが病室もれだして廊下ながれてる 死にたい コンビニ帰りの坂でつぶやく 帰ってふとんでころがって泣く 泣いたまま電話しない ぐだぐだのまま助けてもらおうとしない ちゃんとシャワー浴びてカメラへいきぐらいで弱音はきたい お母さんに弱音はかない お母さんの子どもみたいな嘘をきく ばあちゃん電話に出られない 旅行の計画をたてる ライジングサンとぶつけたりとか落ち込まないような計画をたてる ---------------------------- [自由詩]センチメンタルバーカ(仮)/ともちゃん9さい[2012年10月29日12時09分] 親のいうことをきかないと死んじゃうからたいへんだ きょうは花火大会 火薬のにおいをかぐために ずらずら歩いて 親においつくために必死に歩いて きれいだなあ花火 ゆがんだドラえもんきれいだなあ 音がでかくてきもちいいなあ みんな死んじゃえってぼくは言いました 金魚、ぱくぱく、ぱくぱく きょうはまだでした 世界が平和にオリンピック開会式 ポールマッカートニーがあついからとろけてた 泣けた この歌に君がぜんぶはいってるって ながした涙ぜんぶ耳のなか はいったまんま 眠って目がさめて青のじこく麦茶なまぬるい 毎日にはもううんざり 机の上はいつも汚れている 泣いても捨てられたものは戻ってこない 愛されているんだって心から思わないけれど この人は愛しているからこういうことをするんだなあってわかってる 寝るかよもう 寝るもんか! センチメンタルバーカ 波打ち際で派手なスイカ割りをしよう 君の恋人が死んだ かつての海の日に 高すぎる ちょっと泳いだだけで怒られるバイト 笑うのはぼくのため 親のいうことをきかないと死んじゃうからたいへんだ きょうは花火大会 火薬のにおいをかぐために ずらずら歩いて 親においつくために必死に歩いて きれいだなあ花火 ゆがんだドラえもんきれいだなあ 音がでかくてきもちいいなあ かえていきたい 友だちの名まえを呼んで ゆっくりしゃべっても いいんだよね いいんだよねはもういいんだよねはもういいんだよね こわばらなくて 簡単に約束をやぶるのに わたしがやぶったらすごい怒られる わるい予感と祈りと神様じゃなくて仏 ぽとぽと、ぽとぽと 菊の花にかこまれた 旅じゃなかった 生きてるけど会えない人がいっぱい きょうみんな死んじゃえってまだ言ってません あとどのくらい生きられるかわからない 友だちができたことはぼくもできるの 空を飛ぶ方法を知らなかったの 言葉にしなかった知ってることは これからも言葉にしないままだ ぜんぶの音がきこえるひとりぼっち みんなのことがわかるひとりぼっち バスタブでおぼれるひとりぼっち 笑うのはぼくのため みにくいけど生きてる きこえてる?友だちのこえ 親のいうことをきかないと死んじゃうからたいへんだ きょうは花火大会 火薬のにおいをかぐために ずらずら歩いて 親においつくために必死に歩いて きれいだなあ花火 ゆがんだドラえもんきれいだなあ 音がでかくてきもちいいなあ 愛されているんだって心から思わないけれど この人は愛しているからこういうことをするんだなあってわかってる けどいつも笑いかけてくれるからちゃんと笑える ほめてくれるからほめられるとうれしい (ママ、パパ、じいちゃん、ばあちゃん) 毎日よくできたセンサーにおいしいをのせています ---------------------------- [自由詩]ちがあかビーバップ/ともちゃん9さい[2012年11月27日5時14分] ビーバップ・みのるが好きだ。 ビーバップ・みのるはAV監督だ。 ビーバップ・みのるはすこし しゃくれている。 ビーバップ・みのるの声が好きだ。 ビーバップ・みのるはドMだから 自分のしてほしいことをするからドSがうまい。 うまいというかひどい。 わたしはドMなのでドSがうまいビーバップ・みのるが好きだ。 第3回、D-1クライマックス公開オーディションで、 エントリーナンバー11番、大沢佑香は、 小さな声で ビーバップ・みのる監督を指名した。 ビーバップ・みのる監督は大沢佑香を 誰もいないところに連れていった。 ACアダプタのにおいじゅうまんした部屋で ひみつを共有したい 教科書の顔をリアルに面白くすることばかりに夢中で 君とぼくがちがうってことに気づいていない ビ 一個取って。 間 ビ 一個取れよ。 大 これ食べるんですか。 ビ 大きい声で言え。 大 これ ビ これ食べんだよ。 間 ビ なんか、俺、ひねくれちゃったから、   でもすごい好きになりたいんだよ。ん、   でも、さ、○○してもらってもね、俺嬉しくないんだよ。   なんかうまく伝えられないんだけど、   あの多分ね、俺、他の子面接したとしてもね、   みんな○○してくれると思うよ。   人によっては●●もいいよって子、いるよ。   でもね、この俺の◎◎ついたさ、   このカツサンドさ、誰も食ってくんないと思うんだよ。 大 ん ビ でも食ってくれたら、俺が嬉しいの。 大 そっか ビ 大沢佑香だから俺は食ってほしい。 大 そっか ビ でも食えなかったらいいよ別に。 中略 大 そっか ビ それは自分で選べよ。 ビ カメラ見てろよ。 ビ でかい声で言えよ。 ビ 食べろよ。 ぼくらは夕暮れ チョコレートを食べすぎた 赤いランドセル 黒いランドセル へんなランドセル 長い影 おうちに帰る歌 べろんべろんにのびて 絶対音感ちがって 耳を切る 血がち ぼた ぼたぼた ハムスターがかたくなる しろい金魚がぷかぷか浮いている 花びんの水がくさくなる アリをつぶすあしうらの感触 カブトムシにむしがわく つめのあいだの土がとれない きもちが ACアダプタのにおいじゅうまんした部屋で ひみつを共有したい 教科書の顔をリアルに面白くすることばかりに夢中で 君とぼくがちがうってことに気づいていない ビ なんか、俺、ひねくれちゃったから、   でもすごい好きになりたいんだよ。ん、   でも、さ、○○してもらってもね、俺嬉しくないんだよ。   なんかうまく伝えられないんだけど、   あの多分ね、俺、他の子面接したとしてもね、   みんな○○してくれると思うよ。   人によっては●●もいいよって子、いるよ。   でもね、この俺の◎◎ついたさ、   このカツサンドさ、誰も食ってくんないと思うんだよ。 大 ん ビ でも食ってくれたら、俺が嬉しいの。 大 そっか ビ 大沢佑香だから俺は食ってほしい。 大 そっか ビ でも食えなかったらいいよ別に。 中略 大 そっか ビ それは自分で選べよ。 間 ビ カメラ見てろよ。 間 大 じゃ食べます。 ビ でかい声で言えよ。 大 食べます。 ビ 食べろよ。 中略 ビ きらいになった? 大 (首を振る) ビ きらいになってない?なんで   こんなことする奴いやだろ。 大 え、なんか、せっかくの愛情表現だから、受け止めようかなと思って。 わたしはこれを見て泣いた。 わたしはこれを見て泣くくらい何かがかけている。 わたしはこれを見て泣くくらい何かがあふれている。 わたしはこれを見て泣くくらいへんたいだ。 つまりわたしはこれくらいの愛情表現を簡単に受け止められるような人間になりたい。 それはつまりこれくらいの愛情表現を簡単に受け止めてほしいということだ。 これくらいの愛情表現。 わたしは、ビーバップみのるになりたいし、大沢佑香になりたくて、 きっと、君とぼくはちっともちがわないんだ。 わたしはそれがちがっても、ほんとうの愛がいやらしいことの中にあると信じている。 お父さんの雑誌に書いてあったことがしたい きもちわるいことがしたい カエルのかいぼうがしたい ずっと君と遊んでいたい 血が赤い ずっと君と遊んでいたい ぼくらの夕暮れ 君の家を知らない ぼくは夕暮れ 君の夕暮れを知らない 教科書の顔をリアルに面白くすることばかりに夢中で くっつけた机の上だけの世界で 君の夕暮れ見つけて 君とぼくの夕暮れくっつけただけの世界で ぼくら夕暮れになって ACアダプタのにおいじゅうまんした部屋で ひみつを共有したい 知らない君の家からピアノの音がして べろんべろんにのびて絶対音感ちがって 耳を切った君のきりくち血が出なくてきれいな きれいな 君がみえる ---------------------------- [自由詩]男の子ばかばか/ともちゃん9さい[2013年2月21日19時55分] ある意味かわいいので、きょうも3さいながく生きちゃった 結果は死んでみないとわからない 葬式でかけてくれが口ぐせ エンディングテーマが表面張力あふれてるコップの水の映像がきれい のどがなる夏はまださき 墓場までもっていくひみつをわすれちゃうから ドロップボックスで管理 ばれて悔やまれてエゴサーチのアルファベット3文字を うしろからのぞく半透明がわたし やがて自然にかえるやさしい素材でできている はらきりがない世の中 「もはや平和ではない」とロックしたいのにポエム書いている ペットのヤモリに「笑っていいとも!」とは名づけなかった メスなのにタモリちゃん だから平和ではないんだよ ぱっと見わからない細かい傷がついていて低評価つくのがわたし ノークレームノーリターン 地下鉄のいたずらな爆風 篠崎愛の生地になりたい 「きみのことすきなんだ」っていったくらいたしかな濃密なバブル LUSHの前とおりすぎて鼻 そんなつよいものじゃない放置したばけつじゃない手あれぱっくりわれじゃない バイトつらい 目をとじなくても思い出の曲がり角の地方銀行浮かんできえる となりのラーメン屋さんでにんにくラーメンたべようね あしたやすみうれしい 新宿西口のむずかしいところで泣きじゃくる大人がわたしのししゅう 階段かけあがれば友だちが声をからしてうたってる まだ死なないでねしゃべってね ここまで生きたから(できたから)シールはっつけてとくいげうれしいね まだ死なないでしゃべってね この際生きているか死んでいるかなんてどっちでもいいからいっぱいしゃべろうね 一致は気にしなくていい 鏡とツイッターをみない一日は午後の庭のひかりのはやさですぎる わたしから荷物がとどく 夜ねむれない ひかりつづけるのは手の中じゃなくて顔 きみが泣いちゃったときの気持ちでわたしも泣けたらいいのに 貧血治してくれてありがとうあなた おもたい鉄のフライパンでつくるやさいいため 関係ないとわらう 目の前の壁がレースのカーテンのよう むこうがわがあるから 能年玲奈になりますようにと毎晩おほしさまに願って 朝体重をはかりしるしをつける きみのくちびるずっとなめてたい 一致したい ゆびでなぞる ゆびで そんな思い出はない きみが泣いちゃったときの気持ちでわたしも泣けたらいいのに もう傷つきたいな つらくても傷つきたいな やっぱり傷つきたいな せつない男の子ばっかり せつない男の子ばか 胸ぺったんこTシャツ男の子ばか ある評論家がへどを吐く色づかいの思い出なんかない ---------------------------- [自由詩]ノートとじる猿/ともちゃん9さい[2013年4月14日16時08分] さわれないものばかり好きだ 息をするだけで腕ぶんぶんふりまわしてるみたいで ここあけといてください ごめんなさい 10年前のノートひらいた めがねくもるクソ精神科医がまぶしすぎるガチ躁状態患者に嫉妬して テテテ テトロピン処方してるの 知ってるよ ワルツのリズムで知ってるよ ナースステーションの前ならんで アーンして ごっくんして れろれろするまで 食後が終わらない そして何人死んだかわからない機能的ベッドに からだがくいこんでいく お母さんみたいな看護師さんに「検査です」と無理やりはがされて 「テトロピン嫌です」 って言ったつもりだけど言えてるのかわからない 階段の踊り場で頭ぶつけて 少し戻った意識の窓に空が青かった 季節がわからない 家族は朝ごはんを食べた まだ砂場かもしれない 夜に網かかる子どもたちのための 砂場なのかもしれない 数時間で100万円使ったり バイトの人に露骨に無視されはじめたり 友だちのしゃべる速度がおそすぎたり ノートパソコンの液晶こわれてたり やさしくしてくれるのは意外な人ばかり 家族も恋人も友だちも思い出の私が本当の私だってこわくて泣いているから電話できない ひくい声の子どもと手をつないでお手洗いにいく 「シロツメクサありがとう」 「アカツメクサあまいんだよ」 10年前のノートとじる 押し花つくる 子どもにあげたい さわれないものばかり好きだ 息をするだけで腕ぶんぶんふりまわしてるみたいで あいてるドアから失礼しますよ このままでいたかった すごいいたかった あちこちいたかった 泣いていた 時計が動かなくても バイトが動いてしまう テレビがはじまってしまう 友だちの窓の朝が見たい 違いにはっとして きっと 今までの意味がわかってしまう 泣いてしまいたい 夕暮れが地面にすこしずつすこしずつとける日をみた 写真にとれなかった 終わる季節と終わってた恋を ゆっくりあたためたミルクに溶かして牛をわすれたまま飲み干した ちゃんと考えたらたいていのことはこわい のどがつっかえる 牛と戦争と女性と国とお肉と原発とお魚だけじゃない おはしをつけた瞬間ぜんぶ食べなくちゃごはんの時間は終わらない 君は 苦労のない穴に手をのばしてからみついた甘い汁ぺろぺろなめるお猿さんなのかい 誰かじゃない 興味ぶかいおもちゃとお人間との違いを見分ける訓練受けただけでした だからとっておきの笑顔、テレビにむかってしてるよ スカート のぞかない 夏が来る はずだから 次は、 やっぱりさわれない恋がしたい さわれない人を好きでいたい それでも そうであっても あのころの私が泣いているのをながめている あのころの私を助けてくれた友だちと今は連絡取れないけどわすれない あのころの私を無視したけど今はやさしい友だちとなかよくおしゃべりする 私が全部悪くて無視した友だちの顔をながめている 死にたいと知りたいが似ているから 落ちた花びらあつめて あつめてぜんぶ食べました くしゃみして 葉桜の空をしめった手でかくす ※テトロピン 絲山秋子「逃亡くそたわけ」より引用 ---------------------------- [自由詩]パンダベアアンドオルカ、だっこ!/ともちゃん9さい[2015年11月15日20時09分] 柔軟剤こっからうち、パジャマ安心だっこ、おかあさん! おうちかえりたくて、こどもびょういんぬけだしたきみは、からだがよわいから、 夜の海あわだって、手、ひっぱられておぼれてしんじゃって、 砂まみれそぼそぼのからだぬけだして、うかんでへんなたかさで、ふかんでみてる。 ここが天国じゃないのなら、毎日かしこい人しかこたえられないまちがいさがしなので、 いたみと、めと、ずっと、きいていたい音楽をいっこずつとめて、 そういう映画の世界観のなかでとっくにつづけてるのかもしれないね。 黒板のつめの音うそつきってくるしみを、明日すてるぬいぐるみにぜんぶ食べさせたい。 モノラルがかたまる、しゃがんだ線香花火のたまの回転の表面、地球のはじまりがみたい。 まだない海がみたい。 カスタネットで遺書きざむきみのリズム、左右にふりわけられたかべの音楽、 ぜんぜんさびしくないお別れ会がとどこおりなくすすむ。 環七のかれた花のよこでうかんでるきみとの共有がなくなって、タンバリンがはじまる。 すきでもきらいでもないって顔の写真ばかりたまるのやめたい。 なみおりたにおりわかんないぐちゃぐちゃ、チャイムたすかって、昼休み、 あたらしい恋のかるい靴ではしる恋をまだしらない。 一年中夏をだきしめて、海がちかい街のにおいをかぎわけている。 ひたいはえぎわひっつくおでこぺとぺとのきみ、おかあさんの背中あつい視線でみつめてる。 いえのねこがみてる窓のそと、 不純物まう海のいろの空のいろ、ねあせで目が覚める真夜中からあつめたいろ、 横からみる、つよいまなざしレンズの、とうめいとふくらみ。とじこめられてる。みたいな、 誰がいちばんかわいそう、誰がいちばんかわいそうかわいい。 雪にかわる。 とおくとおく、もこもこのきみがみえるよ。 上手に説明できないたすけて、さらさらつもるのぜんぶ食べたい。 冬に夏なつかしむおろか、パンダベアアンドオルカ、 しぬまでかわいいっていわれたいよ、かなわない、のかな。 背がひくくなりたいってそんなにねがったかな。 背がたかくてかわいくないから先生にいっぱいおこられた。 背がひくくてかわいいきみをいじめたって、おこったおばあさん先生とっくにしんでる。 背がひくくてかわいいおばあさんになりたいみたいな、まだなにもしていないわたしを、 音楽はきみのきょうき、数年後にいたいきょうりゅう、なんだ、きづけなくて、きずけなくて、 だれかにみえてるわたしはきっと、セキセイインコころした顔してるから、 ヤモリちぎれる夢ばかりみるから、きらわれたくない、きみにきらわれたくない、 かわいくない、かわいそう、かわいい。 だっこ、 だっこユアセルフだっこ、 すぐ死ぬんだったら泣けるよ。 死んでるんだったら泣けるよ。 ---------------------------- [自由詩]16になりたい/ともちゃん9さい[2015年11月22日13時19分] いつか終わる いつか終わるに当てはまるすべて はうとぅぷれいざ楽器 つまるところすべてにあてはまるすべて まだ泣かないで 「叫び」の「b」のはつおんが窓を振動させ誰かを怒らせないなら 「叫ぶ」でしょう きょうの君の一日の名前 関連づいた君の一日の一部 そうぞうとそうぞうとそうぞうしいぞうのぞう YO ぼくらのおんがく えら あしのうら 家族 スーパーマーケットのポップ タオルケットくるくる ザ・ポップXTC 糖質と統失と それはホップ 宅配が去る 新聞配達が去る きこえない周波数に変換されて犬が吠える 叶うかもしれない期待のままずっと叶わないことを願ってるんだ いますぐ振動しない電車でゆけるtooくにゆこう そんで降りないで帰ってきて 食べないで帰る ひとりの時間がたくさんあって思い出してしあわせを感じる時間が長い 君のまつげの上でねむる夢をみたよ いつの日からか もはや名前を忘れてしまったたったひとりの男に手紙を書き続けているが つきあげながら「いくよ」と叫んだ息だけは覚えていて くしゃくしゃの連続のねむる直前にできた紙に書いた これをうけとって くしゃ 一通目だよ お笑い芸人の張ったカンバスがはじく水 水の速度で沈む砂浜のあしのうらの感触 触感は古書店のアルバイトの休憩室の水 水をはったせんめんきのうら うらをとるミュージシャン 16になりたい あの人はサンプラーで何度でも それだけでいった どうしても 関連づけて 16になりたい すばらしいな 感触がまざりあって わかりあえない すばらしいな かなしくない ぜんぜんかなしくない ぜんぜん、ぜんぜんかなしくない 君が好き、どこへ帰ろう つめたくて泳げない海も 山がみえる街も 今もある 得意料理 レシピはカウントされない びしょびしょのエプロン あぶらまみれの手で鍵盤をさわる ン、ラン、 弦がさびる キュル、 キックの奥でスネア スネアの奥でハット 9本マイク立てて 9999回録音したドラムの音源をクリック音の渦ワンクリックで全削除して シーンの音がした よくよくきくとACアダプタの音で テレビの裏にいつもいる子どものすう息に似ていた リズミカル ン、ラン ン、ラン、ン、ラン、ン、ラン 水没して 乾く季節をすきであるために 洗濯機を毎日まわして 柔軟剤のにおいで家族の気配をつくってます 水と切り花とコントと恋と夏が終わる 恋も夏もまたくるそして数えられる ---------------------------- [自由詩]夜間飛行/ともちゃん9さい[2015年12月7日11時50分] 隣のゆるいおばさんが貸してくれたレディコミに男と女がえがかれて 9歳で知った それは海に骨をまく話 ぼくが死んだら海に骨をまいてくれという話 言いながら 抱き合う話 あの歌手が歌った歌を聴いて骨の音を知った 録音とミックスを上手にすると ヘッドフォンでこんなにも近い音が あなたのすべてを知ってしまった においだけ知らない そんな気持ち 死んだ人の話 生きている人の話 変わらなくて 死んだ人の声 生きている人の声 ヘッドフォンでこんなにも 近づいて さわる以外のことは全部した みたいだこの4分3秒の間に たいていのことが片づく あなたはやさしくしまって 掃除機をかけるために わらって やさしくしまってしまう ねむるまえの夜間飛行の 手を離す前 はじめてママがいなかった 泣かないで 暗くなっても電気をつけずに 玄関のドアの開く前の足音と心臓の音が 枕から聞こえる 犬のようだ 生まれる前 抱き合っていた 男と女から生まれた 誰かのために生きれない わたしとあなたが抱き合って 期限が近づく ああ 水の中の肌のよう タクシーで あなたが待つ場所に向かった それはあのドラマを記憶しただけ ママと夜と向かった、流れて ずっと続けばいいのにって うずめて奥のくらやみと音を聴いた 目が覚めてママがいなかった 泣かないでねむるまぶたで感じる 子どもがきらいだったのにちゃんと子どもだった とくいげに わかっているつもりでぜんぜんわかってなくて 子どもだった 恥じるけどちゃんと大人になった ママよりも年を取って 中抜けしただけ 流れて なにもかもずっと続いてる 子の手を取る ---------------------------- [自由詩]友だちのねこはどこ?/ともちゃん9さい[2016年8月11日17時14分] 黒い、毛の長いねこを飼っていた みんなもらわれて のこった一匹は 白くないしオスじゃなかったけど 玄関に出てきて見上げた ママに「飼おうよ」って言った 味付け海苔がだいすきで わたしもおやつにしてたし ねこも喜ぶからよくあげた だからはやくしんじゃったのかもしれないけど そういう時代だった 高い絨毯の裏がしっかりしてるとか ブランドの折りたたみ傘とか ビールしか売ってなくて 果汁30パーセントで そういう時代だった 小学生だし新築のマンションだったし ねこが5階から落ちた 子猫だったから 家の中を探していたら ピンポンが鳴って 1階の人が 無傷のねこを届けてくれた 何がそんなにかなしかったんだろう 泣いてると 鳴いたり じっとそばにいたりした ねむるねこのおなかに耳をあて ちょっと重みをかける ころころころころころころころころ 家族みんなさびしかったときに 一人暮らしをはじめたばあちゃんのアパートで ねこはやせてった 「みみにゃんがしんじゃうかも」って 電話がきて バイト先で泣いて シュレッダーかけながら泣いて 早退していいよって言われて 会いに行ったら ねこは立ち上がって もうしなくていいのにって おしっこをいろんなとこにして 賃貸の壁を爪とぎして 毛玉を吐いて そのほうがましだと思った ねこがしんで 友だちが娘を産んで 遊びにいって 娘がわたしの背中に寄っかかって 絵本を読みはじめた 声を出さずに 娘が静かに絵本を読んでいる ねむるねこのおなかに耳をあて ちょっと重みをかける ころころころころころころころころ ---------------------------- [自由詩]釧路/ともちゃん9さい[2017年4月10日8時53分] 二階の窓からみてる 箱にとらののらねこがうずまってねてる ちいさい海が砂時計のまんなかみたいにきらきらしてる 沢で茶色いのらいぬがしんだときく もう少し毎日の学習を解いていたい 晩ごはんによばれて 宗八の焼いたのと 煮物と 大根と人参をほそくきった味噌汁と 甘い玉子焼きと たくあんと ごはんを食べる 石炭で沸かした風呂に入る 布団の中で 手を顔に見立てて 物語をつくって いつのまにか寝る ---------------------------- (ファイルの終わり)