雄太 2005年8月1日17時22分から2010年6月15日23時43分まで ---------------------------- [自由詩]ツーツーツー/雄太[2005年8月1日17時22分] 温もりを重ねあえればそれは優しく愛しい痛み いたわりが静かに染みて祈るように繰り返す 時々僕を邪魔するこびりついた劣等感と 不意に君を襲う耐え切れない寂しさも 悲しみを乗せた最終電車のホームで 焦燥感を訴える誰かの横顔の様だ おざなりのベンチが歌っている あの日の情景を思い出さぬ様 風がやんで僕等も病んだと 自嘲気味な愛情も遊戯で 求めていたのは遠い夢 手に入れたのは誤差 だけど悪くないと 彼も歌っていた 以心伝心何て それは嘘だ 受話器を 置いて 叫ぶ 愛 ---------------------------- [短歌]とおりあめ/雄太[2005年8月2日16時40分] 優しさが 爪弾かれるも 泡沫と       振り向きもせず 貴方は泣いて   静寂に身を寄せながら 綴りゆく          独白が刹那 雨音に消ゆ ---------------------------- [自由詩]パズル/雄太[2005年8月3日9時08分] 哀愁を漂わせるあなたにキスを し  っ    ん  ラ げ  て    で  イ ないていたのかな? そ 表  た      れ 情けない程に言い訳 は で         ともだち? 笑顔を忘れた僕の最果て  り う    ぶ    もっとゆめを あ    ん    慈  く な    全終了  し た    部    む に    嘘付きを尊べと彼は言った 嘲るべき僕だ っ  き   葉 笑    っ と  傷   は  を    た 愛  の   も        よ  弔   う 降り積もる雪よりも白い景色を見たの      の 重      え      夜にいとしさもはかなくきえて               い          だけどもう聞こえない ---------------------------- [自由詩]部屋/雄太[2005年8月4日15時04分] 高層マンションの最上階 は怖いから二階くらいで 見下ろした街の姿は微妙 見上げた空は狭苦しくて 賃貸マンションの低層階 が寂しいから屋上へ昇る 見下ろした街に漂う哀愁 見上げた空に何故か郷愁 ルームキーは返却します だからココロを返してよ 返してよ返してよ返して 此処は刹那通りニ番地角 寂れた街角ボロアパート ようこそ夢破れた場所へ 分譲マンションの出入口 に立ち尽くし見上げた空 走り抜けた非常階段の先 屋上で流した涙のその訳 その訳を、君は知らない その訳を、君が知らない その訳を知らないでいて どうか、知らないでいて ---------------------------- [未詩・独白]無罪ドキュメント/雄太[2005年8月9日15時45分] こんにちはおひさしぶりです おげんきですかわたしはまだ あのひからとくにかわりなく しあわせにくらしております こんばんはおひさしぶりです きょうもあつくてたいへんで それでもつらくはないんです えぇわたしはしあわせですよ さようならまたきてください ぜったいまたきてくださいね いつまでもいつまでもずっと おまちしていますからだから おはようございますあさです はじめましてこんにちはあら はじめましてじゃないですか えぇわたしはしあわせですよ しあわせにくらしております こんばんはおひさしぶりです わたしはしあわせにくらして しあわせにくらしております えぇわたしはしあわせですよ はじめましてこんにちはあら はじめましえじゃないですか こんにちはおひさしぶりです きょうはさむくてたいへんで それでもつらくはないんです さようならまたきてください ぜったいまたきてくださいね いつまでもいつまでもずっと おまちしていますからだから だからだかだだだかからだか いつまでもずっとおまちして ---------------------------- [自由詩]おちてくるのです/雄太[2005年8月12日9時57分] おちてくるのです おちてくるのです きっとあのおそろしいまでのあおが わたしをおしつぶそうとするのです うみはあのいろをうつすのです そしてやがてあかくそまりゆき まっくらやみとなってすべてを なにもかもすべてをのみこんで ああ おちてくるのです ああ やってくるのです わたしのうえにふりそそぐのです すべてをおしつぶそうとしている わたしのうえにふりそそぐのです おちてくるのです ---------------------------- [自由詩]継続/雄太[2005年8月16日15時14分] 空が終わりかけている 月が想いを失っている 星が笑いかけている 罪を思い出している 誰かが腐りかけている 雪に埋もれて眠ってる 明日が来ないと知っている 昨日が終われないでいる 闇が手招きしている 光に目が眩んでいる 人々は行き交っている 大地にひれ伏している 始まれないままでいる 終われないことを嘆いてる 罪を思い出している 罰を与えられたいと 願っていたのに まだ終われないでいる ---------------------------- [未詩・独白]さくら さくら/雄太[2005年8月18日11時45分] 声色を憎んで 鮮やかに失えば 月明かりの下 子猫が呼んでる 子守唄を奏で 艶やかな貴女は あの日に繋いだ その手切り落とす (さくら さくら) 夜毎に咲くは (さくら さくら) 赤く塗れた花 言葉を殺めて 浅はかに踊れば あれからの日々が 裏腹に嘲笑(わら)う (さくら さくら) 夜毎に咲くは (さくら さくら) 赤く塗れて (さくら さくら) 散り枯れ逝くも (さくら さくら) 世迷言 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ご覧の通り(?)歌詞です。 歌は↓から聴けます。 http://ameblo.jp/radiation/entry-10003521917.html ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]オッドアイ或いはヘテロクロミア/雄太[2005年8月22日9時35分]  左右で異なる色をした君の瞳が好きだった。その目に映る世界は一体どんなものなのだろうかと考えてみるのも好きだった。とても楽しい時間があの時は確かに存在していた気がする。  いまとなってはもう、うまく思い出すことは出来ない。  何がいけなかったのか、知りはしない。ただ、君は現れ、やがて去っていった。ただそれだけの事だ。あの瞳が好きだった。気まぐれなその性格が愛しかった。小さなその身体で、その心で、そしてその瞳で、何を見、考えていたんだろう。それを知ることは結局なかった。  あれから結構な時間が流れ、いま僕は幸せに暮らしている。結局君の見ていた世界を見ることは、知ることは出来ないままだけれど、それでも僕は幸せに暮らしている。君が、君も、どうか、幸せだったなら、そうなら、いい、と思う。  少しでも君の世界がわかるかもしれないと、左右で異なる色のコンタクトを入れてみた。青と、銀。君とは違う色だろう。ただ、それもすぐにやめてしまった。どうやら僕には根本的に合わないみたいだったから。  左右で異なる瞳を持っていた君は、僕の前に現れ、そして、去っていった。  気まぐれな君がどうかその後幸せな道を歩んでくれていることを、願ってやまない。  あの、瞳を、愛していた。 ---------------------------- [自由詩]やさしいうた/雄太[2005年12月16日14時12分] あいのうたをうたおう さみしさをわすれよう きみのうたをうたおう いとしさをこのむねに あいのうたをうたおう よろこびをかみしめて きみのうたをうたおう やさしさをてのひらに こころさやさやおどる いのりふわふわまわる きみはそっとほほえむ ぜんぶぜんぶだいすき あいのうたをうたおう きみのうたをうたおう あしたをいきるために きょうをだきしめよう おもいさやさやそよぐ ねがいきらきらわらう きみがそっとほほえむ だからぜんぶだいすき ぜんぶぜんぶだいすき        そこにぼくがなくても ---------------------------- [自由詩]やさしいうた-Another-/雄太[2005年12月17日12時18分] きみがゆらゆらとおちてくる そらははらはらとわらってる ぼくがふらふらとおどったら つきはきらきらとほほえんだ みずにぷかぷかとうかんでる ゆきにすやすやとしずんでる ぼくはつらつらとかたってる きみがにこにことしてくれる なんだかそんなことにわらう ぜんぶそれだけでいいような とてもあたたかなきもちです それがなによりのおくりもの きみがゆらゆらとおちてくる ぼくはそれをただみつめてる きみがきらきらとおどってる ぼくのからからをみたしてく なぜだかそんなことでわらう みんながそうならいいのにね そんなやわらかなきもちなら もうすこしくらいはあしたも しあわせになれるきがしたよ しあわせになれるきがしたよ そんなふうにおもったんだよ そんなふうにおもってたんだ ほんとうにそうならよかった そうならよかったのになのに ---------------------------- [自由詩]曇りのち雨時々僕/雄太[2005年12月20日15時58分] それはありふれたサヨナラだったから 僕もありがちな言葉でお涙頂戴演舞劇 そんなくたびれたスーツを脱いだなら もうちょっとくらいは笑えたのかなぁ 通勤電車は満員だから息苦しいらしい 電信電話が音信不通で仲良しバイバイ にっちもさっちも君は身勝手に笑って パラソル広げてビルの屋上からダイブ ブレーキの壊れた自転車を立ち漕げば どっか目に見えない場所に行けるかな 君とドラマティックに雨の中のお別れ だからどうかネクタイで首を絞めてよ 転げまわるように泣いて笑った夏の後 秋をすっ飛ばして冬が来たらだなんて それでも相変わらず満員電車は暑いね だからどうか爪を立てて鳴いてってば そしてありふれたサヨナラを終えたら ゴミ捨て場に座り込んでにゃぁぁって ついでにくたびれたスーツを脱いだら あとちょっとくらいは笑えたのかなぁ 脚本演出主演から何もかも全部君だね 踊り続けていた僕もそろそろ糸を切る パラソル広げてビルの屋上からダイブ だからどうかネクタイで首を絞めてよ せめて最後にネクタイで首を絞めてよ ---------------------------- [自由詩]春・遥か/雄太[2006年1月17日15時01分] (各連を斜め読みすると幸せになれるかもしれません) 伝言ゲームでサヨナラを 会えない予感に移ろう空と 惚れた腫れたの延々ループ 重ねあいたい心より身体 愛より君の唇を頂戴 どうか最期は世界の果てで 言えないんじゃなく言わないんだと 枯葉落ちるのを待ちわびていた 未来よりも残酷な過去へ もう帰り道すら見つからない 孤独な夢も笑っていたさ 心中穏やかな殺意で満ちる ただ伝えようとした言葉は嘘で 終わった夜が素敵過ぎたから また果たせない約束を交わす はるになったらあえたらいいね しずかなそらでいっしょにねよう もうなにもこわがらなくていい ぼくらのみらいはそこにある いっしょにわらってすごしていこう なのにまだ なのに未だに 終わらない冬に温もりを探してる ---------------------------- [自由詩]海/雄太[2006年1月18日17時30分] その腕に抱かれて眠るでしょう その胸に包まれて眠るでしょう 穏やかな未来の為祈るでしょう 深い愛情のなかで笑うでしょう 知らない道の中で誰かに出会い 長い旅路の果て始まるでしょう 終わらない日常の果てにいつか 辿り着いた場所で眠るでしょう 今はこの腕のなかで眠りなさい 今はこの胸のなかで眠りなさい いつかあなたは私を旅立つけど この場所を忘れてしまわぬよう 私もそうして生きてきたように 今はただ私のなかで眠りなさい いつかあなたも旅立つでしょう 私から知らない何処か遠くへと そして何を得て失うのでしょう それは楽しく辛い旅路でしょう それでもきっといつか辿り着く その場所で笑い眠るのでしょう 出来れば忘れないでほしいけど せめてその時に思い出せるよう 今はこの腕のなかで眠りなさい 今はこの胸のなかで眠りなさい 私もそうして生きてきたように 今はただ私のなかで眠りなさい 今はただ私のなかで眠りなさい あなたの帰る場所は此処にある 出来れば忘れてしまわぬように せめてその時に思い出せるよう 今はただこの場所で眠りなさい 今はただ私のなかで眠りなさい 穏やかな未来を夢に眠りなさい 深い愛情のなかで笑えるように ---------------------------- [自由詩]8mm/雄太[2006年1月29日21時19分] 君が泣けばいい君が泣けばいい きみがないたらいいんだ はらはらとそれはばらばらと からからとそしてくらりくらり ぱたん 僕と泣けばいい僕と泣けばいい ぼくじゃなくたっていいんだ もしかしたら僕じゃないほうがいいんだ ゆらゆらとそんなぼろぼろの ふわふわでそしてぐらりぱたり ぽつん そんな夢でいいそれは夢でいい ゆめだけでもかまわなかったんだ じーーーーーーーー       ぷ つ ん 。 ---------------------------- [自由詩]ふわり/雄太[2006年5月21日20時11分] 答えを伝えきれないまま 約束は坂道を下ってゆく 薄桃色したあなたの夢は 風に吹かれて宙を舞った 遥か春はまだ風と歌って 気付かぬままに通り過ぎ 身を置いた生温い空と夜 上り坂がやけに優しくて やがて訪れた木漏れ日と 少しだけ肌寒い縁側に猫 白い空から降る世界なら 遠い昔から未来だったか 答えは風に吹かれたまま 思い出が坂道を下ってく 想いも風に吹かれたまま 追憶と坂道を下ってゆく 薄紅色したふたりの夢が ふわり舞い上がり落ちた ---------------------------- [自由詩]楽園に行こう/雄太[2006年8月14日11時27分] 何も知らないままあなたは 私 ゆっくりと腐食してゆく から 見違えてしまうほどの あなた 優しい気配を蒔いて 贈り物を 落ちた手のひらと ひとつだけ 開いた瞳孔だけ 帰れない時間 私が食べるよ 戻らない身体を そしてまた 腐敗してゆくのは 繰り返す 想いなんかじゃない 熟れた 辿り着けなかった場所 弱い 手のひらから零れ落ちた 私 食べきれなかった罪の果実 ---------------------------- [自由詩]おいでませ/雄太[2006年8月30日14時17分] さぁさ僕らの動物園へ おいでませおいでませ 野生を放つ夜の楽園へ 今宵はあなたをご招待 ほぅらこちらが入口で 一度入れば出られない 此処では皆がただの獣 おいでませおいでませ 壁を簡単に飛び越えて 世俗と断絶なさいませ 老いも若きも同じこと どうぞお楽しみ下さい 纏った糸を脱ぎ捨てて あなたも私もただの獣 あちらこちらの唸り声 快楽自堕落秘密の花園 さぁさ僕らの動物園へ 理性の裏でおいでませ よりどりみどり快楽園 今宵ひととき踊りませ おいでませおいでませ 決して見つからぬよう おいでませおいでませ 秘密の僕らの動物園へ 園を出たなら帰りませ 帰れるのなら帰りませ 遥か遠ざかる現世へと 帰られるなら帰りませ おいでませおいでませ そしていつしか檻の中 野生は野生を裁かれて そしていつしか檻の中 おいでませおいでませ ---------------------------- [自由詩]紅い意図/雄太[2008年10月19日22時10分] 花が咲く夜に唄は途絶えて 変わらずの奥底に怯えては 憶測の旅が不惑の夢に落つ 目覚めの明かりに眩暈して 水辺の香りに絶えたのは誰 食んだのは震える袖と小指 くるりくるり硝子細工の肌 触れたなら割れてしまうわ 吐息は暖かく気色悪い水面 纏う布切れは風に舞い泳ぐ もろい涙が溢れ零れ割れた 花が散る夜に唄が響いたら 口付けた遥か遠い夜の記憶 くるりくるり硝子細工の肌 花が咲く夜に唄は途絶えて 花が咲く夜に唄が途絶えて ---------------------------- [自由詩]枷/雄太[2010年4月14日23時46分] さようなら僕は君を見失う 責任転嫁にも慣れたころに 手を振った君は笑顔だった さようなら君が僕に告げる 夕方過ぎに飲んだコーヒー 零れた雫なら染みになった 色々なものを急ぎすぎては いつの間にか手遅れになる さようならもう見えないね 溢れ出る液体は意味もなく 混乱だけを教えてくれるよ さようならもう見ないよね さようなら僕は君に告げる 喪失過程を歌にしてみても 君は皮肉な笑顔を浮かべる さようなら君も僕を見失う 深夜零時を過ぎた辺りから 交わらないことに気づいた ---------------------------- [自由詩]人恋語り/雄太[2010年4月20日0時02分] 願わくは人肌くらいの風に吹かれて 草木の匂いに包まれながら眠りたい 願わくはあなたの体温を感じながら 未来など夢見ないようにしていたい 出会えばやがて別れることも必然と それでも温もりは偽りではないから 春の風は優しく人肌によく似ている だからこんなにも穏やかに涙を誘う 春の風が激しく吹いて何を揺らして その姿はやはり人肌によく似ている ---------------------------- [自由詩]かぞえうた/雄太[2010年5月6日23時06分] ひとつ、指を折る  ふたり、目を閉じて   見えぬ、ものを抱く 夜は、闇を呼ぶ  いつか、捕まえる   無縁の、愛を歌う 名を、呼べぬままに  やがて、時は止まる   ここの、深い場所で     遠い、約束が消える ひとつ、ふたつ、みっつ よっつ、いつつ、むっつ ななつ、やっつ、ここの、つ、とお ---------------------------- [自由詩]他界/雄太[2010年5月27日23時17分] 温かい、他界 高い高い そこに込められた思い さよなら、さようなら いまは別の世界へ さよなら、さようなら また会えるまで 亡くなることはあっても 無くなるわけじゃないと 温かい、他界 高い高い そらへ、そらへ さよなら、さようなら いまは別の世界で さよなら、さようなら そこに込められた思い ---------------------------- [自由詩]亡骸を/雄太[2010年6月15日23時43分] 雨音から始まって 月の影に夢を見た 風の音がやむ夜に 咲いた色は薄紅で 狂気の朝に狂喜を 最も美しいものは 死後の世界の花束 拒絶の嘘を知って 別離への指切りと 晴れ晴れとした顔 亡骸を抱き締めて 落とした +++++++++++++++++ 斜め、です。 雨の音色に 最後の 別れを 落とした ---------------------------- (ファイルの終わり)