今野紀文 2015年4月3日11時10分から2015年4月3日11時10分まで ---------------------------- [自由詩]雑談/今野紀文[2015年4月3日11時10分] 「ねえ、あれ佐々木希?」 「うそ、そんなわけないしょ。」 「でも凄い似てない?」 「えー、似てないよ。橋本愛って感じ。」 「うん、誰?」 「寄生獣のヒロイン。」 「観てないわ。」 「じゃあ、あまちゃんの友だちの子。」 「あー!」 「わかった?」 「あんにんに似てる子だ。」 「誰?」 「入山杏奈ちゃん。」 「…誰?」 「AKB!」 「ああ、興味ないもん。」 「えー、橋本愛ちゃん好きなんだよね?」 「んー、まあまあ。」 「好きって言ってよ。」 「じゃあ好き。」 「じゃあ入山杏奈ちゃんも推そう!」 「やだよ。」 「…ほら、見て、これあんにん。」 「あー、かわいい。」 「だよね!」 「でも推さないよ。」 「なんでよ!」 「ベイビーレイズが好きだもん。」 「ちぇー、そっちかよ。あ、あれ佐々木希の彼氏?」 「橋本愛だよ。」 「橋本愛の彼氏?」 「ブスじゃん。」 「もったいないね。」 「どうやって落としたの、リアル電車男?」 「弟かもよ。」 「は、似てなさすぎ。」 「橋本愛が整形してるんだよ。」 「じゃあさ、弟が何回整形したら橋本愛になれる?」 「……百回くらい?」 「たぶん彼氏だよ。」 「パーソナルスペース埋まってるもんね。」 「この前の講義で習ったやつじゃん、それ。」 「早速使った!」 「いいなあ、ブスもデブも結婚できるのにうちらはできないんだね。」 「また始まったよ。でも渋谷区でパートナーシップ法が認められたんだよ。」 「知ってる。ここ北海道だよ。」 「よく北海道は東京より十年遅れてるって言うよね。」 「十年経ったら三十一歳だね。」 「適齢期じゃん。」 「新宿より渋谷が早いって意外だよね。」 「確かに。」 「十年後にはお互い、相手がいるといいね。」 「あたしは上京するけどね。」 「くそやろう。」 「一緒に行こうよ。」 「行かないよ。」 「なんで?」 「ゴキブリと再会したくないから。」 「ゴキブリと結婚どっちが重要なの!」 「ゴキブリかなあ。」 「ひどい。」 「三十一歳はまだ勉強してると思う。」 「早くしないと子供産めなくなっちゃうよ。」 「そういえば子供どうするの?」 「精子バンク?」 「誰の精子?」 「知らない人…。」 「嫌だよ。ジョディ・フォスターは友だちに提供して貰ったんだよ。」 「じゃあうちらもそうしよう。」 「無理! 男友達いないもん。作れないもん。」 「男嫌いだもんね。」 「努力はしてるよ。カウンセリングも行ってる。」 「うそ、初耳なんだけど。」 「十年後には男友達できてると思う? 精子くれって言えるくらい仲良くなってると思う?」 「わかんない…。彼女に産んで貰えば?」 「自分で産みたいもん。」 「じゃあ彼女の男友達に提供して貰いなよ。」 「そのときの彼女に男友達がいるかわかんないよ。」 「それを言ったら世の中わかんないことだらけだよ。」 「だから悩んでるんでしょや。」 「努力は必ず報われるってたかみなが言ってたから大丈夫!」 「報われたと思えなきゃ意味ないけどね。」 「ネガティブだな。」 「お腹減ってるせいだわ。あと何分待ち?」 「三十分だってさ。」 「札幌のくせに調子乗ってるわ。」 「十年も遅れてるのにね。」 「飴ちゃん食べる?」 「いい。パンケーキの甘さに感動したいから。」 「え、なんか哲学っぽい。」 ---------------------------- (ファイルの終わり)