藤沢 2014年12月17日14時08分から2018年9月30日15時25分まで ---------------------------- [自由詩]宇宙を盗撮/藤沢[2014年12月17日14時08分] 薄い雲が空を覆う秋。 少女のそれが頭を覆う秋。 イヤホンの内側から耳を攻めてくる。 猫よりも愛らしい声が聞こえたからつい詰め寄る。 風に背中を押され勇気をもらい対価を渡す。 山は染まり透明な空気をさらに透明に魅せる。 耐えきれない今日に耐えて自暴自棄。 振り回すのは斧みたいな飴粒、砂糖菓子の弾丸。 失うものも無い夜。 失ってばかりの流れ星。 冷めることのない、から冷めて数年。 うなされる悪夢。 思い出される遠き日に位置付けた思い。 そっと閉じるアルバム、目蓋。 他人の断片で作り上げた一人分の身体を持った自分。 他人の受け売り。 他人の受け売りを売って生活を舵取り。 一人で過ごす流星群の夜。 頭上で死んでいく姿。 ミサイル。 他人と他人の干渉に干渉。 微笑み返す時、八重歯が光って流星群。 宇宙を盗撮する。 それもすごい角度から。 素早く、そしてさらに誰にも気付かれないように。 社会から目を閉ざされたとしても今ならばきっと。 宇宙を見たかった。 下から、あるいは。 ---------------------------- [自由詩]夏歌を聴く/藤沢[2014年12月23日23時53分] 音楽雑誌の裏表紙で好きな音を探した。 新しい知識と歌詞で心は満たされた。 ヒットチャートにヒップホップ。 数十年の時を超えて帰ってくるらしい流行。 自分自身を水中に沈めるラジオごっこ。 アンテナで探る手探りの数字。 数十年の時を超えて愛されたいから分割で断片を残す。 口で言えばいいのに、を遠回しに伝える。 黙って駅のホームで背中を押してあげる。 笑って白線の内側から追い出してあげる。 突っ込んで突っ込んで突っ込んで。 懐かしの紙芝居めくるように音楽早送り。 飛ばしたり繰り返したり慌ただしい指の動きが鬱陶しい。 海が青いですね、今日は星が降るのです、を変換。 そんな機能付の自分じゃない。 心臓は血液だけを吐き出してそこに本物の心臓はない。 脳は無駄なことを考えてその引き出しには鍵がかかる。 神経の通らない爪や髪は当てにしない。 君が好きな季節の歌を聴く。 君が好きな歩道の脇道を行く。 ---------------------------- [自由詩]言葉/藤沢[2015年3月7日4時12分] 今まで積み上げた下書きを削除して虚無に浸っては液晶と対話する日々。 言葉の神様が彼の頭上に水滴を落としたのだ。 時間は輪っかじゃない。 だから自分は先頭に立てない。 地球は丸いが平等に重力をかけるわけじゃない。 だからフラフラとまた浮いた頭でスキップするんだ。 街路灯の無い夜道に溶かされる感覚に似ている。 あの時自分を変えた言葉はもう既に存在し消えた。 言葉は発せられた時その人のものとなり、 他人の受け売りで溢れタバコの煙よりも軽い。 トキメキと仲良くしたい大人の玩具箱の中で眠ろう。 中学生の夏は長く短い。 電車を乗り継いで数十分の旅の先の映画館。 そこで見た映画の名前も思い出せない店員が放った言葉が此の期に及んで座右の銘になるとは。 思いもよらない衝撃波が今もたまに通り鳥肌が立つ。 気がつくと身体は大きくなった。 街路灯の無い夜道は狭すぎる。 ---------------------------- [自由詩]10月8日と/藤沢[2016年10月8日22時33分] 夏が終わるのは 予感や第六感なんて大それたものじゃなくて ただカレンダーを見て感じでいた。 そして空を見て知っていた。 行けたら行く って言ってた君は来ない。 何度も何度も グラスの中のクリームソーダを掻き回して たまに口をつけて ただひたすら 待っていた。 衝動買いでまたやっちゃった。 あーやだ 自慰行為よりも切ない。 後悔と虚無は 本日のオススメ ミルフィーユ よりも 重なり甘く 重く かったるくて きっと きっと 上手くいかない。 捨てたい捨てたい バーゲンセール のように 不条理に手を出したあれもこれも。 とりあえず興味ないならミュートして 口パクで広がる夢 愛してるって言われたって勘違いしたい。 日々に点数をつけて ゆっくりと消費し続ける生活は きっと長くは続かないのだろう。 ---------------------------- [自由詩]花火と恋と生と死を/藤沢[2016年10月19日23時37分] 花火と恋と生と死を 一つのものとして例えるあいつのこと忘れたわけじゃないよ。 ただ、もう、そこにはいないし いや、もともとあいつはここに相応しくなかった。 古びた喫茶店で 生と死について語るあいつは いったい何度屋上から飛び降りたのだろう。 自慰行為の話はしてくれたじゃん。 恥ずかしげもなかったじゃん。 自傷行為が気持ちいいって もしあの時教えてくれてたら 私はあなたをもう少し愛せたのか。 かすり傷一つじゃ死なないからって 猫に引っ掻かれた腕にゆっくりと触れた。 光って 落ちて 消えて 天や地に還って 魂は誰かの心の中で研ぎ澄まされてる。 初恋のあいつが私に浴びせた罵倒と 中学生の時に見た映画のフレーズを 座右の銘にして生きていく。 量産型のアイデンティティを胸に 今日も名札を着けて 大勢の中の一人として生きていく。 ---------------------------- [自由詩]女の走り書き/藤沢[2018年4月24日16時26分] くそみたいな歌に共感して 歌詞を3回繰り返したよ 電車の中だけど他人しかいないし つまんない顔してもばれないどころか 悪いとこばっか引っかかって 余計に落ち込みベッドに沈む こういうことに弱くなりたい あと一つだけボタンを押したい 感性ははんぶんこしないで 私は知らないでいい あなたも知らないで 少しずつ食われて行くよ何もかも ださいポップが気持ちいいね 君の声はよく通る町の隅から隅まで あっさり味のあれ食べたいね 伝わらないように言ってる分かって分かって 僕らを壊すのは僕の夢だ叶えてくれないか 爆弾を抱えたい 雨の匂いが染み付いた髪の毛を揺らして ぬるい世界に包まれて心地いいなんてださい 夜はもっと特別だった 未だに収まるの事ない、酔い、余韻 言葉とか 仕草に期待して見てる私 シカトすんだ 最終電車が行っちゃうから その前に挨拶くらいはしなきゃね 大事なことも特別なことも言えないままで 行っちゃうのはなんかずるいね ハンドメイドのお守り 嫉妬 叱咤 白線の内側の内側の内側から 人混みまで 今の自分に対する不満とか 将来に対する不安とか ありきたりで誰もが考えることを考える 生産性もない 週休2日の安定より わざと君とシフト合わすバイトのが楽しい ネクタイ緩めてないで私の一言くらいに耳を貸して 適当なこと正しいみたいに意味ないしもう黙ってて 人生の罠なんてどこにあるか分からないよね 明日バイバイだったらそうじゃんだってそう 毎日映画、新しいのと古いのひとつづつ観る生活 ---------------------------- [自由詩]散らばった彼らへの考察/藤沢[2018年4月25日21時41分] 最近、分からないことが多くなった。 とても抽象的で、 曖昧なことに限って、 深く、 夜の私を、 もっともっと、 ベッドに沈めようとする。 毎週火曜は血液検査の日。 鳩の目が赤いと不安になる。 正しいことって実は少ないんじゃないの? 考えれば考えるほど 人生は白と黒しかないように思えてきて いくつも 屁理屈を重ねている。 子供の声が煩いなんて 怒ってたあいつの事は どんな神経してんだよ 怒ってたあいつの事は ちょっとちょっとだけ わかってあげる今なら 昼前に目覚め昼過ぎに 立って夜中に彼に返信 バス、降り損なって、 40000円払わなきゃって夢見て 私もうバスに乗らない。 行き先のない話、好き 地図、嫌い 海と花束、好き 写真、嫌い 言葉にしろとか すべて曝け出してとか 言わなきゃ伝わんないとか、 もしもこの世に言葉が なんて言ってたあいつの 背中押す言葉に手を伸ばす人がいる。 ---------------------------- [自由詩]思想と愛/藤沢[2018年4月27日18時37分] 宗教に救われるならそれはそれであり。 私はあのバンドを崇拝しよう。 いつまで続くか分からんが、 好きに理由をつけて愛してあげる。 夜が窓ガラスに反射して この世界は広がっていくのです。 死を意識するのが怖いか、青年 それは素敵よ だって 今よりもずっとみんなが優しいもの。 ---------------------------- [自由詩]バスター/藤沢[2018年5月6日17時49分] 初恋の人 今更 夢に出てこなくっても。 今時とびっきりの美人より どこにでもいる ちょっと可愛い女の子の方が人気だから、って嫌味ですか? 嫌いな人の好きな人は好きで 好きな人の嫌いな人は嫌いなんだって女って。 あの女のこと嫌いな女なんて1人もいないでしょ? な 女は任せなさい。 嫌いになってあげる。 長谷川町子みたいな人生。 頭ん中に家族がいて友達がいてご近所さんがいる。 飛んでいった号外。 偽物の女子高生は画面の中で小刻みに震えた。 恥ずかしがらないで。 もっと素直に。 声出していいんだよ。 そんな言葉 他人のお前に言われてたまるか。 若い女には可愛いをあげる。 歳をとると美しくなるんだと。 でも そのスカートの方がお前らより何千倍美しい。 ---------------------------- [自由詩]海の向こう/藤沢[2018年5月7日17時58分] 歯医者で名前を呼ばれるくらいの スピードで人は死んでるらしい。 赤ん坊は泣きじゃくる。 声が枯れる恐ろしさ知らないのね。 砂を集めても宇宙にはなれないらしい。 君の夢の中で僕は死んでるらしい。 近所の老人ホームから呻き声聞こえた。 テレビじゃ ライオンの檻 みたいに海の向こうの こと偉い人が馬鹿に するんだ知らないくせに 知らないくせに。 嫌いだったビールが飲めるようになった時、 急に君を受け付けなくなった。 細い指で僕を拡散するんだろう。 ルーティーンだと思ってたけど馬鹿らしいね。 家族の形が変わっても愛情は未だ伝わらないもんだ。 生活の形が変わっても生き方はほとんど同じさ。 掌に収まるくらい しか奪っちゃだめ って決まりがあればなあ。 愛も命も取り合いにならず 空も海も誰のものでもなく。 ---------------------------- [自由詩]華になった女/藤沢[2018年5月13日22時27分] きっとお互いを忘れたくなくて 2人なら行けるって思ったんでしょ。 理解されないとか 期待されないとか 愚痴も全部 君を呼び出すための口実で 錆び付いたテレビ 三角座りで見てる。 ストロー噛みながら君のこと待つよ。 止まない雨は無いって言うけれど、 雨が止まないうちに私が消えたらどうしよう。 街灯と自販機しか無いね。 光に群がって同じ歌を歌って。 窓ガラスに映る黒い自分 額と額くっつけて 振動で馬鹿になる。 世の中はこんなに狭く無いはず なのに私はゴミみたいに小さい事に 追い詰められたり 一生を無駄にするような絶望を繰り返す。 昔好きだった人が今何してるかとか 気になってしょうがないのは 今の自分がしょうもない証拠で 甘い歌 歌ってくれたって 君は私を車から引きずり下ろす。 どうせなら悪口言われる前に フリーウェイだって飛び降りていこうよ。 追いかけない君も知ってるし そんな君の瞳の先も知ってるし 君が一言じゃ言えないと言った感情も 私からしたら他人事なわけであって だからこそ一言で表すなんて余裕なもんで それが悲しいなんて感情 知らないし伝わらないでしょ。 ---------------------------- [自由詩]サボテンさえ枯らすような生活を送っている/藤沢[2018年5月21日0時24分] 10代で死にたいって言ってたお前 幸せそうでふざけんなよ あの子が全部 うまくいくの 知ってるから そんな奇跡を願ってる自分が嫌い 近況報告でマウントし続ける お前の背中は広すぎるから せめて押し潰れてしまえと思う 好きな人が影響を受けたもの 全部知って全部好きになりたい 8月の上に寝そべって時の流れさえ止めてしまいたい 好きな事ばかりして生きている人など いないと言うことは重々承知で まぁ楽しくやってるよ って言えるあの人が羨ましいのは許して 私のこと忘れた人のこと私は一生涯覚えてますので 頭が良くて 常識があって 無神経で 優しい人がいいな 本当の名前は知りたくないよね 箱の中で笑ってる人 嘘でもいいから手の内見せてね 安心したいの安心して眠りたいのさ ---------------------------- [自由詩]いっしょくた/藤沢[2018年6月6日19時33分] 何度絶望の朝を迎えても つまらないと言いながらも 夕方のサイレンが鳴るの。 夜が長いせいで朝を迎えても なんだか嬉しくも無いの何も無いの。 夢中で切った使い捨てカメラのシャッター。 現像に出す前にいつも恥ずかしい写真 撮って宝箱に仕舞ってしまうから。 何も無かった事にしよう。 出会わなかった事にしよう。 夢の中の雑踏ですれ違ったくらいの たわいもない話さえも出来ない関係に戻ろう。 最後が喧嘩別れじゃないのが寂しいね。 悪口が言いたい なのに私の周りはどうも正しい。 間違ったこと言ってる奴 勘違いしてる奴 頭ごなしに全否定して 世界で一番偉い人になったかのような孤独を味わいたい。 間違ってないのに傷つけることになっちゃう。 本の帯 破って捨てた。 お前の脳味噌に侵食されてたまるか。 君の 感動作 は浅い。 芥川龍之介の 芥 がゴミって意味らしくて そんなこと考えてたのって思ったけど 本名らしくて 貴方を決めつけてごめんなさい。 体温を測ってあげる。 貴方次第で私が軽くなる。 予言は基本当たんない。 占いに行ったって元彼の悪口ばかり。 人の一生は愛されるか愛されないかで決まるっぽい。 試験 諦めます でエゴサーチして仲間を探す今日と明日。 社会に向かないプライドの高さと自信の無さ。 資格も経験も無いです ではなく 私には資格が無くて 価値も無い。 嘘で塗り固めて 嘘に甘やかされて虚無。 ---------------------------- [自由詩]夏と神話/藤沢[2018年7月16日15時13分] 読売新聞じゃ愛は買えないな。 あの人に会いに行きたい。 今からでも遅くはない。 だけど 自分がもっと薄くなってしまうから。 正しいことばっか言ったって世界は愛せないだろう。 歌舞伎町のコンビニで捕らえられた鹿。 逃げ込んだ狭い路地、ゴミ箱に突っ込んで。 夏は暑いから冬に感じる孤独が無くていい。 あの時から3年が経っても残念だって怒られるかな。 あなたが眠りについても私はメールも電話も待ったよ。 あなたが私の抜け殻を愛していた事は知ってけど。 強いから大丈夫だろうって最後まで私を過信してたね。 私だって何もわからずに何もわからないくせにって唾を吐いた。 マフラーをきつく首に絡めて私はいつものコンビニで偶然少女漫画立ち読みしてるふりしてたの。 コーヒくらいなら奢ってやるよに甘い方がいいなんて言えなくて我慢して少しずつ飲んでいた。 スカートの皺や前髪のズレが気になって不機嫌になるなんてださいよね。 夏のせいにできるうちは華。 大人のくせに半パンで騒いでんじゃねえよ。 もしかしてその恋終わってますか。 今年最初の花火も見逃した。 いつまでたってもあなたと見た花火を最後の花火にしたくて見逃した。 ---------------------------- [自由詩]所詮銀河/藤沢[2018年9月30日15時25分] 少しずつ部屋を綺麗にしよう すぐに消えてしまっても 誰にも迷惑もかけられないし 悪口はもうやめにしよう 気持ちが離れて行くのは 言葉にしなくても分かることでしょう 宇宙の壁も 世界の始まりの朝も 単純なことすらわからなくなって 雨の日の電車で見かける君にしか興味ないよ。 昼間に上がった体温 落ちずに今にいたり ここ数日はヘマばかりして 誰も認めてくれなくて 認めてくれなくてもいいのに自我もなくて 今日、月を見たこと 誰かに言いたいのに言えない。 幸せになりたいよりも 幸せにしたいが勝ったから 私は負けたし私は勝った。 上っ面だけ良くて本当は見下してて 心の中でマウント取ってる自分とは違う。 マウントを取られるために馬鹿を演じる。 誰の近況も気にならなくなった。 表向きの綺麗事で成り立っていて 慣れっこになってしまうとボロが出て 本音や本気を知りたいって言われたって タバコの煙に顔をしかめる。 過去の自分いわく それは受け売りの迷子で なおかつ受け売りの迷路で 認められたくて仕方ないから 今日だってめいいっぱい顔を近づける。 何かに救われた気がして 何かが始まった気がして 必死に手を伸ばすこともなく 枕に顔を埋めながら夢に逃げる。 あんたの言うこと全部わかるし共感できる ってそんな私必要ですか? 将来が不安すぎて泣いた。 ヒールの高い靴を履いて つま先を痛めるような感覚。 夏生まれの君が 私の気持ち分からないでしょう 海は本当に好きだった 日差しが強いの少し苦手だった ---------------------------- (ファイルの終わり)