くうに 2014年2月19日22時35分から2014年3月3日12時43分まで ---------------------------- [川柳]人生/くうに[2014年2月19日22時35分] 謂わば花 語らば蝶の どんぶり勘定 ---------------------------- [自由詩]気づき/くうに[2014年2月19日23時12分] それが しあわせだったの だろう 今思えば そうなのだろう 古ぼけた 絵本を開いて 思い出したり 捨てあぐねていた アルバムに 身ごと投影したり 手を握り 抱きしめたいにしえを 再現しようとしたり いつか 弾けて消える シャボンのように 儚く失う 七色の 時間 薄れて消えた シャボンの その 内側のしあわせ 漂わせて 喜んで 時の風が吹くままに 流されて ただそれだけに しあわせを 見出だしていた たどり着ける先が 本当はあるのに シャボンを吹く口元は 空気をいつも 吸って 空気をいつも 吐いているのに ---------------------------- [自由詩]冷奴/くうに[2014年2月20日23時43分] 冷奴のかけら 先細りな箸ですくおうと したら もっと小さなかけらに なって 皿の中に落っこちた そのかけらを すくおうとしたら もっともっと小さな かけらになって 皿の中に落っこちた もっともっと 小さくなったかけらを すくおうとしたけど 無理だった 小さく小さくなった かけらだけど たくさんに増えたから 僕は喜べばいいの? もう 先細りな箸では すくえないけど… 皿の中の 粉々なかけらたち ---------------------------- [自由詩]片隅/くうに[2014年2月27日23時39分] 片隅に花 飾られた花 精一杯咲いていても 根なし草 命短し 赤い花 愛でて綺麗だとは 儚すぎる 明日 色褪せれば 色鮮やかな 新しい赤い花が 根の無いままに 飾られる 片隅であるための 性 片隅の花 弱々しい花 精一杯咲いていても 根張り草 気付かれぬ 白い花 人知れずあるだけの 儚すぎる 明日 色鮮やかでも 色無きほの暗さに 溶け込むように 術なく佇む 片隅である故の 癖 ---------------------------- [自由詩]ゆとり/くうに[2014年3月3日12時43分] 幸せな散歩道 君と手を繋いで 春先の海風は 人魚の寝息のように 柔らかいから ふたりは 心地良い 心地良い 砂浜と遊び場を隔てる 防波堤につっ立って すべてを見渡した 緩やかに 緩やかで 他愛もないのは 海鳥に耳打ちされた 君の内緒話し 上目遣いに 僕にも耳打ちするけど 幸せな散歩道だから みんなに聞こえちゃうよ ほら もうみんな 知ってるみたい 君と同じ 自然な笑みを浮かべて 楽しそうだから 幸せな散歩道 海と 空と 穏やかな ふたりの時間が 僕らの 穏やかな時間が 絶え間なく 生まれている ---------------------------- (ファイルの終わり)