水宮うみ 2020年5月10日9時13分から2020年7月8日17時54分まで ---------------------------- [自由詩]なかったかもしれない/水宮うみ[2020年5月10日9時13分] 在るかないかわからないから書いているのかもしれない。 ここに在ったかもしれない、なかったことになるかもしれない、 この場所を覚えていたくて言葉に変えている。 書くことは願いにすこし似ていた。 明日どうなるかわからないものを願うように、 ないものを言葉にしようとする。 なかったかもしれないある日。 わたしの目に映った、どこにも居ないかもしれない誰かが、 今でも星のように、きれいに光っている。 ---------------------------- [自由詩]回文かい?/水宮うみ[2020年5月12日18時09分] 大回転で意外だ (だいかいてんでいがいだ) 手巻きな文化祭さ、完膚無きまで (てまきなぶんかさいさ かんぷなきまで) 無の数字ジュース飲む (むのすうじじうすのむ) 逆回転で威嚇山羊 (ぎゃくかいてんでいかくやぎ) ひと笑う 逆さからワラワラカサカサ 裏は問い (ひとわらう さかさからわらわらかさかさ うらわとひ) 霊と数々のズカズカトイレ (れいとかずかずのずかずかといれ) テスト、漢文は半分かと捨て (てすと かんぶんははんぶんかとすて) 飼い慣らし歌詞四角く書く句か詩しか知らないか (かいならしかししかくくかくくかししかしらないか) 回転での鮭寿司、静けさの点でイカ (かいてんでのさけずし しずけさのてんでいか) ---------------------------- [自由詩]ピタゴラス数/水宮うみ[2020年5月13日9時59分] 3が3つで散々さ 4が4つで幸せよ 5が5つでゴゴゴゴゴ ---------------------------- [川柳]ながい流れ/水宮うみ[2020年5月13日15時36分] 青空はカラフル 風に舞うひかり 川には風が 風には川が流れている とうめいで眩しい色を星と呼ぶ 明け方の明度がすきなお月さま ---------------------------- [自由詩]余談なんだよ/水宮うみ[2020年5月13日19時54分] 余談だけど 照れが育って憧れがコア 鉄、黄昏て溶けたんだよ  よだんだけど てれがそだってあこがれがこあ てつ たそがれてとけたんだよ なんだ、可愛い若旦那  なんだ かわいいわかだんな 痛みよ 可愛い和歌読みたい……  いたみよ かわいいわかよみたい 夜、不思議、夢、雨、雪、詩、降るよ。  よる ふしぎ ゆめ あめ ゆき し ふるよ ---------------------------- [川柳]あのこの/水宮うみ[2020年5月14日10時55分] あの場所に この感情がのこっている この日々に あの傷口がのこっている ---------------------------- [川柳]日々の微々たる火/水宮うみ[2020年5月15日9時36分] ねこの手にして、ねこの背を撫でている 二度と返ってはこなかった、ブーメラン 雨ふって日暈みたいに傘ひかる ---------------------------- [川柳]昼の星の夢/水宮うみ[2020年5月16日17時54分] 光速で飛ぶのを止めた星の粒 小説のなかへ帰っていった夢 ひかりが眠たそうにうとうとしている あの人と何度もおなじ窓で会う あなたとの日々を回した錯視図形 ふるさとの星へときみが合図する あの夢のように言葉が吹いている ---------------------------- [川柳]実現した現実/水宮うみ[2020年5月18日12時22分] 消えたきみと花火のまぼろしを見ている あの歌を思い出している言葉の雨 泣くこともできずに曇るきみのそら きみの眼差しが世界の全てだった ---------------------------- [川柳]強い/水宮うみ[2020年5月18日12時25分] あのひとのギターと汗が流れている この豚は、旨すぎるから多分牛 パンダさん 何も言わずに笹を食う いい顔で写っているのがわたしです 勉強ができない代わりにめっちゃ強い ---------------------------- [自由詩]表面にいる/水宮うみ[2020年5月18日21時50分] 星の表面に無数の星があった 消失する約束を見送っていて 余白の海にただよう文字たち それがきみの星かを知らない 時間は立ち止まる風が生きる 部屋に焼きついたきみの寝言 雨のなかであなたの暮らす虹 夜に重ねた紙の明日の向こう 忘れたくなかった日々がある あるいは笑っていたかった人 ---------------------------- [自由詩]訥々と/水宮うみ[2020年5月22日18時17分] とりとめのない とめどのなさに とどめをさして とっくのとうに とおくへ行ってしまった ---------------------------- [川柳]静かにあったこと/水宮うみ[2020年5月22日19時29分] 日蔭には静かなひかりがあったんだ 俺たちは納豆のように粘っている 鮮やかな魚と羊がいるsky 脳内で花火大会が始まった 踊り場に訪れる夜 鳴る花火 ---------------------------- [自由詩]存在し始めた日/水宮うみ[2020年5月25日13時38分] この脳の一番ふるい記憶。 自分の存在を知った最初の日。 何月何日かも、本当に存在したかも分からないその日が、 自分の意識にとっての、僕の誕生日だと思う。 その日から今まで、覚えたり忘れたりしながら生きてきたことを、 なんだかすこしだけ夢のように感じる。 そんな日が、あなたにもあったのだろうか。 ---------------------------- [川柳]食べたかった/水宮うみ[2020年5月26日9時45分] 最初からサラダ食う気がさらさらない 俺はただ、焼き肉食べたいだけなのに あずきバーじゃないアイスが食べたいよ かき氷は夏の色をして光っている ---------------------------- [川柳]すきな声/水宮うみ[2020年5月26日10時03分] きみが答えるけらけらと笑いながら 声だけで呆れた顔をしてみせる あなたが笑っているときの世界の色 すきな子の笑顔につられて笑ってる ---------------------------- [川柳]教わらない/水宮うみ[2020年6月1日9時46分] ぼくの顔があの日の笑顔を覚えていた あなたらしい誤字脱字を見て和んでいる 教室で誰かが語っていた世界 快適な温度の夏が来てほしい 冷たさの向こう側にあるあたたかさ ---------------------------- [自由詩]回る日々/水宮うみ[2020年6月1日9時48分] 最低な 最後の恋さ 内定さ さいていな さいごのこいさ ないていさ 遠く日々ループする氏が記す、プール響く音 とおくひびるーぷするしがしるす ぷーるひびくおと ……ってか、地球行き地下鉄!? ってか ちきゅうゆきちかてつ ---------------------------- [川柳]朝の彼方から/水宮うみ[2020年6月3日17時05分] 疲れたら彼方から来る波に乗れ ぜんぶ零れ落ちた後に残る零 熱冷めて夢から醒める朝の雨 ---------------------------- [川柳]約束だった/水宮うみ[2020年6月9日17時58分] 過去形にならないように願ってた 化石にも未知の未来がやってくる 謎めいた約束だから絵になった 真実のように残酷な嘘を言う ---------------------------- [川柳]海の水/水宮うみ[2020年6月14日10時48分] 湯に浸かりノスタルジーに浸ってる 雨のなか潤っている草と土 梅干しのすっぱさ侮り後悔する きみが笑う この永遠を信じている ---------------------------- [川柳]暮れる眩む空/水宮うみ[2020年6月15日18時18分] ねむってる間は空を飛んでいた たくさんの光と巡り会っている 風景は眩しくて目を細めてる 永遠のように短い夏まつり ---------------------------- [川柳]明日に会う/水宮うみ[2020年6月16日23時30分] まるで比喩みたいな夕陽でビビってる 月明り きみと明日も会えるかな 十月十日を経て朝と巡り合う ---------------------------- [川柳]わからなかった/水宮うみ[2020年6月24日15時19分] 掃かれていく埃にも誇りがあった 梅のような苺のような色の飴 雨粒の振りして降ってるちいさな星 幻のように優しい声だった ---------------------------- [自由詩]傘/水宮うみ[2020年6月26日20時07分] 涙と一緒に時間もながれて、 すこしだけ早くかさぶたができる 泣かないでとは言わずにきみは 見えない傘を差してくれていた ---------------------------- [川柳]傾く無垢/水宮うみ[2020年6月28日19時45分] 夕陽からあの頃へ傾くこころ あの夜の、星がいまでも眩しくて ウトウトして傾いている無垢な時間 きみの顔を思い出すたび忘れていく ---------------------------- [自由詩]消えない幻/水宮うみ[2020年7月4日17時28分] あなたの言葉には、ぼくの世界の外側があって ぼくの心の中も、この世界に居るんだと思った あなたの影が、消えない幻だと知ったから ぼくはきっと、外側にある夢を信じ続ける ---------------------------- [川柳]写真になる/水宮うみ[2020年7月5日14時14分] 俯いたぼくの言葉を聞いている あのひとが綺麗と言った景色たち 水のような見えないものを持っている きみの連想に、春がながれていく ---------------------------- [自由詩]内部のひかり/水宮うみ[2020年7月8日17時53分] 目を瞑り、瞼の裏の夜空を眺める。 この夜空をみれるのはわたしだけ。わたしひとりを観客に、星々は静かに瞬いている。 けれど、そんな夜空を持っているのはわたしだけじゃない。 誰もが瞼に夜空を飼っている。 あなたとわたしの夜空が、どこかでつながっていたらいいな。 そんな夢をみながら、今日もわたしは目を閉じる。 ---------------------------- [自由詩]言葉から生まれる/水宮うみ[2020年7月8日17時54分] 言葉にすることで道が生まれる。誰かへの道。自分自身への道。予想だにしない世界への道。 その道を心が歩く。 心は言葉の上で旅を続ける。 わたしはもっと、あなたの言葉を聴きたい。あなたの言葉はあなたの体温だ。 あなたの心で、あなたの海だ。 ---------------------------- (ファイルの終わり)