水宮うみ 2019年4月25日6時32分から2019年9月13日6時03分まで ---------------------------- [自由詩]暮らす/水宮うみ[2019年4月25日6時32分] 上手にコミュニケーションがとれないこと。 常に公平な立場ではいられないこと。 自分も他者も完璧にはなれないこと。 ぜんぶひっくるめて、笑えたらいいね。 ---------------------------- [自由詩]恋人へ/水宮うみ[2019年4月25日20時27分] 変な曲ばっかり勧めてごめんね ---------------------------- [自由詩]とけていく/水宮うみ[2019年4月28日16時54分] いつか、きっと忘れていく。 雨雲がときどき、力をかしてくれたこと。 窓の向こうに広がる夕焼けが、美しかったこと。 きみがぼくの心を、やわらかい色に染めてくれたこと。 思い出さなくなっていって、ぼくの笑顔の一部になる。 ---------------------------- [川柳]手を振っている/水宮うみ[2019年5月1日19時59分] 猫の手に触れてるときだけ良い人です なにもかも夜にまぎれて寂しいよ さよならにふわっと花が降ってくる たんぽぽはずっと消えずにここにある ---------------------------- [自由詩]平成/水宮うみ[2019年5月3日5時45分] 平成の風景を、今でも時々、夢にみる。 あの頃の僕らは、別に輝いてなんかなかった。格好よくなんてなかった。 それでもふいに、あの頃の僕に、会いたくなるときがある。あの頃の君と、話したくなるときがある。 決して、美しくなんてなかったけれど。強くなんてなかったけれど。 僕らはあの頃、確かに平成だった。 ---------------------------- [自由詩]花とあなた/水宮うみ[2019年5月4日17時35分] 今のあなたは、自分を否定したくなるくらい悲しいんだね。 涙も出ないくらい、つらいんだね。 でも、わたしはあなたが好きだよ。 わたしの心に、あなたが花を咲かせてくれたよ。 あなたがあなたを傷つけないですむように、わたしは書き続ける。 あなたの育ててくれた優しい花畑で、あなたが元気になってくれるのを待っている。 ---------------------------- [自由詩]僕/水宮うみ[2019年5月7日20時09分] 優しくなりたいとは思わない。優しくなくても、構わないと思う。 人生で人に与えられる優しさには、きっと限りがある。 無理に優しくしようとしても、限度を越えると押し付けになるように感じる。 僕の優しさがその人の心に、どう届くかなんて分からない。 僕はただ、落ち込んでいる誰かを少しでも元気にしたい。 泣いている誰かの、そばにいてあげられる人でありたい。 それはきっと、優しさではなくて、誰かのためでもなくて、 その誰かのことが、好きなだけ。 ---------------------------- [自由詩]光/水宮うみ[2019年5月8日7時44分] 君が言葉に詰まった、数秒間。 その時間を、僕はきっと死ぬまで忘れないと思う。 僕にとってあの瞬間は、人に心があることの証明だ。 世界が美しいことの証明だ。 悲しみとは未だに仲良くできない。 いつでも楽しい気持ちではいられないけれど、 僕はきっと、幸せなんだと思う。 ---------------------------- [川柳]てってれー/水宮うみ[2019年5月12日19時40分] なんとなく目からビームを出してみる 僕たちはマックに行くのを諦めた 落書きの中で何度も恋をする ときどきは泣いたりもするお月さま 犯人はきっと我が家の猫ですね 火星へと祈りを捧げる土星人 潔く罪を認めた夏休み 神様に言いたいことはナッシング もう少しだけ笑ってていいですか 仮面ごと君を大事に思います ---------------------------- [自由詩]話す/水宮うみ[2019年5月16日0時10分] 心が言葉を作った。心と心が、話し合うため言葉がうまれた。 心は心から話す。時折心にもないことを話しつつ、話したいことを話す。話したことが話したかったことになる。 僕はもう、心にもないことは離そうと思う。 心を離さず僕を離さず、君と話をしていたい。 話したかったのは、話しているのは、僕の心だ。 ---------------------------- [川柳]想った所存/水宮うみ[2019年5月19日11時41分] 青色が麦わら帽子に恋をした 降り積もるあなたの愛でねむる姫 サンダルと月夜が似合うお父さん ---------------------------- [川柳]ぼくと夜/水宮うみ[2019年5月20日18時36分] 絵本の中で星を探した 月のみえない夜のかみさま あの子がすこし泣いた日の夜 ---------------------------- [自由詩]口笛/水宮うみ[2019年5月29日20時27分] 君を思い浮かべると、君の口笛も一緒に浮かぶ 楽しいとき、嬉しいとき、君は決まって口ずさむ どこかで聴いたことがあるような、その場限りの人懐っこい旋律を吹く 息とメロディーだけのとっても素朴なその音楽が、 どんな言葉よりも君を語っているように、僕には思えた 君のよろこびは口笛になる だから君の機嫌が良いかどうか、皆いつでもすぐに分かった 君は隠しているつもりらしかったけど、ほんとにバレバレだった まるで犬が尻尾をぶんぶん振るみたいに、君は嬉しくなると口笛を吹く ---------------------------- [自由詩]いいえ/水宮うみ[2019年6月17日18時28分] 「すみません、これは、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、ですか?」 「はい、これは、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、です」 「ありがとうございます、私はこれが、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、だと分かり安心しました、私と言います」 「それは良かったです、僕は私に、これが電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、だと分かり安心しました、ですね、考えました」 「分かりました、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、だと分かりました、思います、と感じません、分かります」 「はい、私は、私が電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、だと分かりましたと聞き、思いませんでした」 「ありがとうございます、私は、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、言います、と言いました」 「はい、僕は電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、だと分かりません、いませんでした」 「言いません、思います、と覚えました」 「はい、電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、泳ぎます」 「流れました、私に電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました、ではありません」 「ありがとうございます」 「電車という手首、流れる腹で、通常も足、夜に目なのに頬を待ちました」 「いいえ、そうでした」 「僕が流れて、ではありませんか、ですか」 「そうです、夜で通常、手首を待ちませんでした、飛んでいます」 「はい」 ---------------------------- [川柳]日々の星/水宮うみ[2019年7月11日19時36分] 君の笑顔に星が住んでる それからずっと星と暮らした すべての星に神さまが居る 星のあなたが空に手をふる ---------------------------- [自由詩]お日さま/水宮うみ[2019年7月21日20時55分] お日さまが毎日沈むのは きみがぐっすり眠れるように お日さまが毎日昇るのは きみがたくさん遊べるように おやすみなさい、またあした お日さまが言ってるよ ---------------------------- [川柳]歳をとらない彼女の歌を聴いている/水宮うみ[2019年7月30日20時00分] 夜空のように存在している 幻として君がほほえむ 夏が澄んでく 青がひろがる あなたの代わりにおとなになった ---------------------------- [自由詩]ラブソングの日/水宮うみ[2019年8月1日17時20分] 愛を言葉にするために未来がある。 そう信じられたのは、きみの歌が好きだったから。 相も変わらず、夜が来る。 日々の最後に灯が消える。 布団の中でラブソングを聴いていた。 ぼくの毎日に朝陽が昇るのは、きっときみが、希望を歌ったせいだ。 ---------------------------- [川柳]絵のなか/水宮うみ[2019年8月3日15時37分] 色鉛筆で君を想った 綺麗な夜だ絵画みたいに あなたを描いたひたすらにただ ---------------------------- [川柳]夏じゃない部屋/水宮うみ[2019年8月4日20時49分] 心のなかに雨が降ってる 一人で建てたおとぎ話だ 鉛筆みたいに直ぐに無くなる 心のそとで蝉が鳴いてる ---------------------------- [川柳]君の音楽がすき/水宮うみ[2019年8月5日18時38分] 君が心をおしえてくれた 今でもたまにCDで聴く 毎日に君の音楽がある ちょっと浮かんで聴いた新曲 ---------------------------- [自由詩]君のいない詩/水宮うみ[2019年8月10日19時07分] 君のいない詩を書きたい。 君がいないと書けないようじゃ、僕は僕と向き合えないから。 心の中の君が、ぜんぶ詩になってしまうから。 君から、言葉にならないものをたくさん貰った。 それは僕を詩にした。詩を僕にした。 君への恋から、僕の言葉は始まった。 でも、僕のぜんぶを君のせいにしたくない。 だから僕は、君のいない詩を書くよ。 君の笑う姿に、ちゃんと笑い返せるように。 ---------------------------- [自由詩]夏のかけら/水宮うみ[2019年8月11日5時42分] 自転車のないなつやすみ 扇風機よりも強そうな人 夜には秘密基地になります ひと夏を蝉は歌った ---------------------------- [自由詩]紙と暮らす/水宮うみ[2019年8月14日3時56分] みとれていたのは恋をしたから 朝のひかりで空の詩を書く 手紙のように話をしている 風にはきっと心があった 紙ひこうきで何度も出会う ---------------------------- [自由詩]愛されている/水宮うみ[2019年8月17日9時55分] ゴーヤが実る光のなかで 君と一緒にパンダをみてた 日々の出口で夜空は暮らす 青いから海になったりもする ---------------------------- [自由詩]なにもしない日/水宮うみ[2019年8月19日17時07分] あたしは、もうなにもしない。 きょうこそ、かならず、なあんもしない。 勉強もピアノも、いぬの散歩もなぁんにもしない。 あたしはっ! なにもっ! ひとつもっ! しない!! ぜったい! ぜっったいっ!! なんっっにもしないっ!!! ---------------------------- [自由詩]またね/水宮うみ[2019年8月22日3時51分] いつものようにとなりに座る 夕焼けのなかさよならをした 時はゆっくりふたりを変える すべてのような恋をしていた ---------------------------- [自由詩]君の絵/水宮うみ[2019年8月31日7時51分] 水平線を描く、言葉のない雑談。 色が飛んでいく、星のような瞬き。 風の夢が漂う。丸くねむる夏。 朝のにおい。 君の絵に出会って初めて、絵に出会って、君に出会った。 世界をわすれて、ずっと見惚れていた。 ---------------------------- [自由詩]ピアノ/水宮うみ[2019年9月7日7時44分] 振り返ると夕焼けだった。 鼓膜を揺らす色。 青が茜に、茜が藍に移ろっていく。 未来できっと私は、いまと違う音でピアノを弾く。違う耳で曲を聴く。 その風景は、いまもピアノの内で眠っている。 音楽は巡り続け、全部はここに在る。 ---------------------------- [自由詩]可愛さ以外/水宮うみ[2019年9月13日6時03分] 可愛くなることで生き延びた君が、いつか、 醜く泣けますように。 可愛さ以外も、愛されますように。 ---------------------------- (ファイルの終わり)