水宮うみ 2018年12月27日17時53分から2019年4月4日7時07分まで ---------------------------- [自由詩]卒業式/水宮うみ[2018年12月27日17時53分] ぜんぶ、紙吹雪になったらいいのに。 そう呟いた人から順に紙吹雪になっていく。 街は君の涙を無感動に見つめていた。 僕達の毎日は、いつまでたっても世界に届かなくて、 幸福な朝にだって白い孤独がちらついている。 だけどそんな日々も、もう終わり。 今日は世界の卒業式。 空も街も、本来の紙吹雪へと戻っていく。 世界中の人たちも、僕も君も、みんなおめでとう。 僕達はもう、誰にも出会う必要はないよ。 ---------------------------- [自由詩]12月31日/水宮うみ[2018年12月31日3時27分] 冬の街を歩くとき、私は少し優しい気持ちになる。 どんな感情も、持っちゃだめってことはないんだよ。 あの人がそう言ってくれたときの、きれいな白い息を思い出すから。 凍える季節のなかで初めて、私は私のあたたかさを実感する。 生活を、愛するということ。人を、大切に思うということ。 たとえ、それができないときでも、体はお日様みたいにあたたかい。 私はもう、私の気持ちを否定しないだろう。 白い息が宙を舞い、すぐに空気に溶けていく。 優しさはいつでも、少し先の未来で笑っていて、 どうやら世界が完結することはなさそうだ。 だからもう、歳をとることを恐れないよ。 今年、365回目のおやすみなさいを口にする。 もうすぐ、私たちの年が明ける。 ---------------------------- [自由詩]夏の窓/水宮うみ[2019年1月10日20時21分] 恋をしたので窓を開けることにした。 揺らめいている、夏のシルエット。 君のせいで、世界が晴れてしまった。 さよならを告げて君はこの場所を去る。 光と風を残して。 ---------------------------- [自由詩]虹/水宮うみ[2019年1月11日7時34分] 自分の歩幅で世界を歩く。 手作りの歌をうたって明日を目指す。 代わり映えのない毎日に、少しずつ色を付けていく。 日々は永遠じゃない、ぼくらは永遠じゃないから、 青空みたいに笑うことができた。大雨みたいに泣くことができた。 いろんなものがやってきたし、いろんなものが去っていった。 研ぎ澄まされていく五感の先で、いつかまた会えたらいいね。 花畑は、すぐそこだ。 ---------------------------- [自由詩]安心して眠れる場所/水宮うみ[2019年1月11日16時11分] きみが小鳥になるのなら、ぼくは青空になるよ。 ふたり寄り添って優しいだけの原風景を見ていた。 ---------------------------- [自由詩]あいうえお おえういあ/水宮うみ[2019年1月12日18時42分] ぼくのこえはぼくのうで きみのうではきみのこえ もじをうつ てをたたく うたをきく ゆめをみる よるはいつでもまっくら あさはいつでもまっさら  そらをとんでくひこうき ---------------------------- [川柳]学校だより/水宮うみ[2019年1月17日19時32分] わたくしは人体模型の友人です 父さんと音楽室で餅を食う 頼もしい視力2.0の図書委員 大丈夫この学校は奇跡的 春が来て静かに笑う校長先生 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ありがとう/水宮うみ[2019年1月20日7時47分] 僕の言葉にはいつだって、君が潜り込んでいる。 君だけじゃない。今まで出会った人たちの思いが含まれている。 たくさんの人の、たくさんの気持ちが混ざり合うことで、僕は言葉を書けている。 複数の楽器の音が重なって曲になるように、 複数の心が重なって、一つの詩ができる。 もしその詩が、誰かを笑顔にできたなら、 それは、僕一人の力じゃない。 僕に言葉を向けてくれた、気持ちを向けてくれた人たちのおかげ。 だから、ありがとう。 僕は最近、自分の書く詩が好きになってきたのです。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]思ったこと/水宮うみ[2019年1月25日7時24分] 自分と他者にズレを感じていて、社会が僕に求める像に違和感があって、自分のことを説明してくれる、解説してくれる用語をずっと探していたんだけど、無理に探す必要はないのかなと最近思った。他者からカテゴライズされて、分類されて、誰からも“ここにいる自分”を見てもらえないことを悲しんでいたのに、自分自身がカテゴライズしちゃってどうするんだよっていう。自分や他者を、それぞれ固有の存在として認め合いたいと思う。 僕は僕で、あなたはあなた。 そういうところから、言葉を書きはじめていこうと思った。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]休けい/水宮うみ[2019年1月27日17時48分] 表面上は笑っていても、 僕は心の中で、泣いたり怒ったりしている。 吐き出されなかった感情が、お腹のあたりにたまっている。 生きていくために、嫌われないために、気持ちを置いてけぼりにしてしまって、 僕の心はどんどん息苦しくなっていく。 だから、休むことにした。 自分の気持ちを感じるために、立ち止まることにした。 僕は、僕の心と話をした。気持ちを思いつくまま書き出していった。 自分自身と話し合うことは、大変だったけど、 ちょっと気持ちが楽になった。 人に嫌われるより、自分に嫌われることのほうが、つらい。 だから僕はこれからも、ときどき休けいするつもりだし、 今までよりもう少しだけ、気持ちを言葉にしていこうと思う。 ---------------------------- [自由詩]文学シティ/水宮うみ[2019年1月30日20時08分] ここは文学シティ。どんな気持ちも許される街。 悲しい人は、好きなだけ泣いていいよ。楽しい人は、好きなだけ笑っていいよ。 ここに神様はいないから、僕らは僕らを律しない。 もし君が日常に戻りたくなったら、文学ステーションに行けばすぐに家へ帰れる。 以前よりも少しだけ、フィクションみたいに歩けるかもね。 ---------------------------- [自由詩]幸せです/水宮うみ[2019年1月31日17時02分] 私の妄想は止まらない。ここでは詳細は言えないけれど、妄想して暴走して爆走してどこまでもぶっ飛んでいく。 止まらない妄想によってバカ笑いすることがある。それにつられて笑ってしまう人もいる。 どうやら私の笑い方は笑いを誘うらしい。 ときどき後で恥ずかしくなることもあるけど、なんだかんだこんな笑い方の私でよかったと思う。 楽しいときに楽しい気持ちを表現できる、私は本当に幸せです。 ---------------------------- [自由詩]冬の先/水宮うみ[2019年2月8日6時56分] 僕たちは、自分のために泣くことができる。 僕も君も、彼も彼女も、傷つくことのできる心を持っている。 悲しいことは、傷つくことはそんなに悪いばかりのものじゃない。 自分の悲しみに寄り添ってくれる歌を見つけたとき。 自分と似た傷を持つ人と出会ったとき。 僕たちはもう一度、世界を信じようとする。 自分や他者を、大切にしようとする。 悲しいことがすべて無くなれば、嬉しいこともきっと無くなる。 だから僕は、僕の悲しみを、喜びに会うための物語なのだと思うことにした。 どんな人でも、笑う姿は春みたいだ。 日を追うごとに、空も街も、僕も君も春めいていく。 冬を越したからこそ出会える、桜並木。 ---------------------------- [川柳]なな/水宮うみ[2019年2月11日9時33分] ごはんをたべて しあわせになる かずをかぞえる おふろのなかで ないてわらって おこってねむる あさがはじまる ふくをきがえる ---------------------------- [川柳]よっつのきせつ/水宮うみ[2019年2月14日16時00分] なつかしいなつ ねそべったきみ あきのこいびと どんぐりひろう ふゆのたいやき まっかなほっぺ はるめいていく きみがはためく ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]手を伸ばす/水宮うみ[2019年2月16日7時25分] ぼくの言葉が、謎めいたものではなく、理解できるものとして、きみに届いたらいいなと思う。 できれば美しい形で。 ぼくはきみに理解されたいし、できうる限りきみを理解したい。 誰かが誰かへ「あなたには分からない」と言うとき、その誰かは「あなたには分からない」と感じていることを理解されたがっている。 言葉を発するということは、理解を求めるということだと思う。 ぼくたちは完璧に理解し合うことはできない。自分自身すら理解しきれないのだから当然だ。 でもそのことを、悪いことだとは思わない。 だって全てを理解し合えたら、議論をする理由が、言葉を発する必要がなくなる。 分かり合えない悲しさは、分かり合える喜びのすぐ隣にいる。 隔てられているぼくたちは、愛する誰かへ手を伸ばす。 ぼくはその手を、美しいと思う。 ---------------------------- [自由詩]あなたの歌/水宮うみ[2019年2月16日19時48分] あなたは、決して一貫性のある人ではなかったね。 インタビューによって言っていることが違ったり、一曲の中でさえ矛盾していたりしたね。 だけどわたしは、あなたの歌に救われたよ。 あなたの書く詞は、滅茶苦茶だけど。自由過ぎるけど。 率直な気持ちが綴られていて、歌い続けるあなたは、ずっとずっと、格好良いから、 あなたの歌を、ずっとずっと聴いています。 ---------------------------- [自由詩]恋は生きもの/水宮うみ[2019年2月21日7時18分] 夕焼けが生まれる音を 僕は確かに聴いたんだ 君という名前の音楽が 呆れた顔で笑っている ---------------------------- [川柳]好きって力/水宮うみ[2019年2月22日21時11分] 大好きなあの子に明日会えるから 月曜日許してあげることにする ---------------------------- [自由詩]全部/水宮うみ[2019年2月24日8時42分] 「愛してる」という一言が、僕の気持ちの全部だった。 ---------------------------- [自由詩]涙ちゃん/水宮うみ[2019年3月2日19時15分] なんだか疲れてしまった日は、 おいしいパンを買って、一人でこっそり食べちゃおう。 僕らは何度でも、この世界に生まれる。 ---------------------------- [自由詩]心の遠足/水宮うみ[2019年3月7日17時41分] 十年前の自分と一緒に心の遠足に行こう。 ここには約束がある。 ---------------------------- [自由詩]春/水宮うみ[2019年3月9日16時11分] 君が未来でにやにや笑っている ---------------------------- [自由詩]道/水宮うみ[2019年3月9日18時26分] 自転車で世界へ。 ---------------------------- [自由詩]ふりかけよう/水宮うみ[2019年3月14日16時08分] いつのまにかコーヒーを飲む人になった。 えんぴつから青空が生まれていく。 褒め言葉が君を悲しい気持ちにさせるなら、 耳をふさいだって構わないんだ。 神様から君への祝福を、見て見ぬふりしたっていい。 毎日は、ふりかかってくるだけじゃない。 見たい絵を描いて、聴きたい音を鳴らして、 好きにふりかけをかけよう。 ふりかけが、ごはんの味を変える。 ---------------------------- [自由詩]延長戦/水宮うみ[2019年3月18日6時50分] 「残骸」 僕のこころは死んだから、いつまでもちゃんと笑えるよ。こころの残骸が涙を流すこともあるけれど、寿命まで生きるから許してほしい。星を見上げたことなんてないです。希望を持ったことなんてないです。無理やり笑顔を作るたびに、心臓が年老いていく。早くこの命が終わって、君への憎悪も一緒に消えてしまえばいい。みんな今日も一日、よく頑張ったね。 「ニュース」 天使になった。街は天国みたいに晴れ渡って、相も変わらずパトカーが元気に走り回っている。私は天使になったから、仕方ないなぁって思いながら息を止めて、絶対に来ないバスをずっと待っている。早く、あなたに会いたいよ。たった一言をまだあなたに伝えられていないから、私は人間の街で佇んでいる。 ---------------------------- [自由詩]えへへ/水宮うみ[2019年3月24日10時08分] 春を手紙にしたためて、 十年前の自分に送るよ。 ---------------------------- [川柳]にゃん/水宮うみ[2019年3月28日2時01分] 勇猛果敢に高みを目指す 背中の辺を撫でると喜ぶ 景色を眺め思索にふける 猫の言葉で夢を見ている ---------------------------- [自由詩]楽しい日々/水宮うみ[2019年3月30日7時12分] なにかが少し違えば、一緒にいることはなかった。 きみと出会わなければ、ぼくは他の誰かを好きになっていたかもしれない。きみも、他の人を好きになっていただろうと思う。 きっとふたりとも、それぞれ別の場所で幸せになっていた。ぼくだけが、きみを幸せにできる訳でもないだろう。 それでも、きみに会えて、好きになれてよかった。 きみの変なギャグセンスや、かわいい笑いかたや、真っ直ぐな言葉に出会えてよかった。 奇跡じゃなくても、運命じゃなくても、この恋がずっと続けばいい。 きみの笑顔が、ぼくの笑顔の理由になる。 出会ってくれて、本当にありがとう。 ---------------------------- [自由詩]四月/水宮うみ[2019年4月4日7時07分] 好きな人たちと、楽しく暮らしたい。 願っているのはそれだけなのに、私は今日も優しくなれない。 四月の花は、こんなに素直に咲くのにね。 誰かの感情に染まるのは簡単だから、 好きなものは自分で決めるよ。 綺麗な花を写真に撮って、大好きな人に送る。 ---------------------------- (ファイルの終わり)