水宮うみ 2018年9月21日21時24分から2018年12月31日3時27分まで ---------------------------- [自由詩]さよならインターネット/水宮うみ[2018年9月21日21時24分] ねぇ、インターネット。君がそんなに悪いだけのやつじゃないことを、僕は知っているよ。 君がみせてくれた優しさや楽しさを、僕は忘れちゃいない。忘れるもんか。 君がいなかったら、僕は今とは全然違う僕になっていた。 君はほんとうに、果てしなく大きい。まるで世界みたいに。 だけど、君は世界のすべてじゃないんだよね。 さよなら、インターネット。僕は旅に出るよ。 いつの日か、君よりもっともっと大きい、もっともっと優しい、僕になってみせるよ。 ありがとう。 ---------------------------- [自由詩]九月の夜/水宮うみ[2018年9月22日20時17分] 窓を開けると、九月の涼しい風が僕の部屋に舞い込んでくる。 こんなにも夜が美しいことを、今まで知らなかったよ。 感情も言葉も、静かな夢の中にいて、 時間がやさしく微笑みかけてくれる。 どうしようもない過去が、僕にはあるけれど、 こんな夜があるなら、なんだか大丈夫な気がするよ。 少なくとも今は、全然悪くない気分だ。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]パンケーキ/水宮うみ[2018年9月27日20時58分] 残酷に思える詩と、優しさを感じる詩が、僕にはあって、 僕は優しい詩が好きだ。 戦闘機より、パンケーキが出てくる詩を読んで、楽しい気持ちになりたい。 怒りや悲しみを、表現しないと駄目なときがあるとは思う。 だけど、僕が吐き出すまでもなく、世界は怒りや悲しみで溢れている。 だから僕は、優しい楽しい詩を書いて、 みんなの笑う顔がみたいな。 ---------------------------- [自由詩]流星/水宮うみ[2018年9月30日6時27分] 星の上で、星のように僕たちは出会った。 お互いの心へと、まるで流星のように恋に落ちた。 だけど、僕たちは変わっていく。 僕が君を好きだって気持ちも、君が僕を好きだと思ってくれていたことも、季節のように移り変わっていってしまったね。 僕は君の嘘にうんざりしてしまったし、 君は僕の臆病さに嫌気がさしてしまったんだろう。 でも、お互いがお互いを好きじゃなくなってしまったことで、 僕たちの間のすべては無駄になっただろうか。無意味になっただろうか。 そんなことはないはずだ。 永遠でないものにだって、星のような美しさが、星のような意味があるのだ。 だから僕は、君と僕の間を流れたあの星を、忘れないよ。 ---------------------------- [自由詩]夜が歌ってくれる/水宮うみ[2018年9月30日20時10分] 虫の声。車の走る音。飛行機の音。犬の鳴き声。 そういったものが、夜に静かに溶けてゆく。 僕の体も溶けていって、夜の一部になったみたいだ。 夜は、歌を歌ってくれる。誰も知らない声、誰も知らない言葉で。 その歌に耳を傾けるとき、僕の体はなくなって、 心だけの生き物になる。 言葉の意味は分からないのに泣きそうになる、 真っ暗なのに明るい気持ちになる、そんな歌だ。 夜はやがて明けて、朝になるけど、 夜の歌がいつだって、心のなかにいてくれるから、 今日も頑張って会社に出勤する。 ---------------------------- [自由詩]君のそばに/水宮うみ[2018年9月30日20時26分] 君のそばには、いつもきれいな空気があふれている。 ひょっとしたら君は、植物なのかもしれない。花なのかもしれない。 君のそばにいると、あたたかい気持ちになる。 ひょっとしたら君は、陽だまりなのかもしれない。春なのかもしれない。 まぁだけど、君は人間だよね。 花のような、春のような人間なだけだよね。 僕は、君という人に出会って、少しだけ人間を好きになれたよ。 ---------------------------- [自由詩]心/水宮うみ[2018年10月4日20時34分] 心は数にはあまり似ていない。 どちらかといえば、数と数をつなぐ、演算のほうに似ている。 その演算が、僕らを突き動かし、無数の鮮やかな数式を描いていく。 その式の出す結果に、救われたことも、 傷つけられたことも、あったね。 僕らは数ばかり見てしまうけれど、大事なのはきっと式のほうなんだろう。 数だけが数学じゃない。目に見えるものだけが、世界じゃないように。 数から始まった、果てなき迷宮の果てに、なにかがあるはずだ。 そのなにかはもしかしたら、ここにある心かもしれない。 ---------------------------- [川柳]夜の息/水宮うみ[2018年10月5日19時56分] 生きること明日へ呼吸をつなぐこと 故郷のひかりのような夜の風 真夜中の電話のなかの君の声 海の上みたいに静かな夜の色 息を吐く次の空気を吸うために ---------------------------- [自由詩]きみの寝息と夜の街/水宮うみ[2018年10月10日17時04分] きみのきらきらしたまばたきが星を生んだ。 夜の街にも光はあって、そういう種類の希望をきみはぼくにくれた。 きみの寝言はいつも幸せのかたちをしていて、だからこの街がまっくらになることはない。 夜になるとすぐに眠るきみのからだは、ぼくには蛍みたいに光ってみえる。 ---------------------------- [川柳]恋の人/水宮うみ[2018年10月16日17時42分] 恋人は路地裏をゆく冒険者 恋人の地球をはみだしがちな足 恋人の瞳で暮らす小人たち 恋人が銀河で鯉を釣っている 恋人が夕陽に向かって走り出す 恋人の心にいつも好奇心 恋人は雨が降っても外へ行く ---------------------------- [自由詩]夜/水宮うみ[2018年10月18日20時59分] ある日、ぼくは夜の町へと逃げだした。 夜の静けさのなかで、色々なことを考えた。生きる意味とか。このしんどさはどうすればなくなるのかとか。 あの頃のぼくは、とてもしんどかった。とてもつらかった。この世からいなくなりたいってずっと思っていた。 夜はぼくを、怒鳴ることも笑うこともしなかった。 夜は、ぼくに寄り添ってくれた。冷たい風で熱をさらっていってくれた。 夜は、ぼくの悩みに応えてくれた。静かに言葉を受け止めてくれた。 ぼくは、あの日の夜の優しさを、忘れることはないだろう。 いつかぼくの周りで悩んでいる人がいたら、あのときの無口でクールな夜みたいに、その人の力になれたらいいなと思う。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]絵本/水宮うみ[2018年10月23日20時24分] 夜のなかで今日も音楽を聴く。 聴いているうちに、音楽が星のように光ることがあって、 だから音楽は夜に似合うのだろう。 音楽は、歌声は人を落ち着かせる。まるで絵本の読み聞かせのように。 優しい夢を見れるような、 あなたの夜に寄り添う詩を、書けたらいいなと思う。 ---------------------------- [短歌]花/水宮うみ[2018年10月26日19時31分] 夢を見るあなたもわたしも歩く人 色彩のない花畑をゆく 思い出は消えていくからまたいつかふたりっきりで花を見ようよ ---------------------------- [自由詩]あかり/水宮うみ[2018年10月30日21時28分] どんなに目の前がまっくらになるくらい落ち込んでも、きっと少しは光があるはずだ。 だって僕らは生きていて、生きているからには希望があるから。 夜にだって、目を凝らせばぼんやりと道が見えるし、耳を澄ませば自分の心臓の音が聴こえてくる。 だから、大丈夫。 闇のなかに点々と浮かぶ星たちの光が、パンくずのように帰り道を教えてくれる。 ---------------------------- [川柳]日常の夢/水宮うみ[2018年11月13日16時48分] 麗しのユートピアにも秋の雨 たましいを取り戻すための小旅行 青い鳥ブルーな気持ちで家にいる 朝が来る絶滅危惧種が目を覚ます ---------------------------- [川柳]楽しくやっております/水宮うみ[2018年11月14日17時46分] てんてこ舞いながらも楽しくやっております うがい手洗いふくみ笑い 揚げ物をあげて落とす勢い ほとんど徒歩で本当にトホホ ひとり反省会の二次会はこちらです 君に会えて本当にラララララ 聴いてください「すんげえ高いヘッドホン」 ---------------------------- [自由詩]きみの味方/水宮うみ[2018年11月16日17時16分] きみの呼吸は、いつもきみの近くにいる。 きみの温度も、いつもきみの周りにある。 いつだって、きみの命はきみの味方で、すぐそばできみの全てを見守っている。 だから、一人ぼっちでも大丈夫。 きみの体が、きみの心が、きみのことを想ってくれてる。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]詩を書いています/水宮うみ[2018年11月19日20時04分] 他者の放つ言葉でたくさん傷つけられてきたし、それと同じくらい僕も他者を言葉で傷つけてきた。 これからも他者と傷つけ合うだろう。悪意がなくとも言葉で人を傷つけてしまうこともあるし、言葉では人を慰められないこともある。 それでも、僕は詩を書く。言葉は不思議なことに、詩のなかではキラキラ輝くから。 詩の形をした言葉たちは、生きているみたいに色んな表情をみせる。 詩というものは、現実と切り離されてはいない。僕らが普段使う言葉をもとに書かれているから当然だ。 だけど、詩は現実とは違う世界を見せる。想像は現実から遠く離れた場所へと運んでいってくれる。 個人的な気持ちを書いていたはずが、自分でもよく分からない詩になったり、空想を書いていたはずが自分の心情を書いていたりする。 フィクションとノンフィクションの間にある詩という形式は、嘘も本当も嫌いな僕にとってひとつの救いだ。 僕はもっと、ワクワクしたい。 言葉の森をさまよったり、言葉の宇宙にときめいたりしたい。 言葉で人を傷つけてしまうこともあるけれど、それでも、言葉から目をそむけずにいたら、何か綺麗なものが見えてくる気がするのだ。 僕はこれからも、言葉で傷つけ言葉で傷つくだろう。 でも、それと同じくらい、言葉で楽しませ言葉で楽しめるかもしれない。 悪い面はどんなものにもあって、言葉もまた、良い面ばかりじゃないというだけだと思えるようになった。 だからこうして、誰かを傷つける可能性に怯えながらも、楽しく詩を書いています。 ---------------------------- [自由詩]僕の心/水宮うみ[2018年11月24日16時25分] 僕の心は、僕の思い通りには全然いかない。 思いもしないことで、僕の心は傷つくし、 思ってもみない何かを、今も僕の心は想ってる。 僕の理解を越えたところで、僕の心は何かを感じ続けている。 だけど、そんな僕の心のことを少しでも感じ取れるのは、僕しかいない。 だから僕は、僕の心を大事にするよ。と呟いたら、 僕の心が少しだけ、笑ってくれた気がした。 ---------------------------- [自由詩]ペンネーム/水宮うみ[2018年11月26日18時19分] 自分自身を名付けることで、あなたのもうひとつの歴史が始まった。 あなたは書く。あなたが感じたたくさんの気持ちを、ペンを通してもうひとつのあなたの歴史に刻む。 そうすることで、あなたはやがて素敵なパートナーを持つことになるだろう。 もうひとりのあなたは、あるとき自ら言葉を話し始める。 自らの意思を持ち始める。 でも、面白いことに、ときに思いもしないことを話すその人だって、あなたなのだ。 その人と喧嘩することもあるだろう。 その人と会わなくなることもあるかもしれない。 だけどその人は、きっとあなたに最高の贈り物をくれる。 それが何なのかは、人それぞれ違う。 だから、あなたからあなたへの贈り物は、あなたのペンが書くまでのお楽しみ。 ---------------------------- [川柳]ホリデイ/水宮うみ[2018年12月9日16時31分] 階段をおりて一階にたどり着く エンジンをかけて車を走らせる 動物園数年ぶりに行ってみる 温かい飲み物買って一休み 何らかの花が咲いてる綺麗だな ---------------------------- [自由詩]滅ばない星/水宮うみ[2018年12月14日6時23分] 滅んだ星の美しさに、涙を流すから物語は続くんだね。 どこにも行けなくなった天体。強く正しい力はすべてを置き去りにして、 雲の上の天使たちがきみの叫び声を気にせず今日も笑っている。 光のなかに迷い込んでいくぼくら。光には冷たい温度があって、 目を覚まさない幼少期を優しく温めている。 だから騙されてもいいって、寂しい心が、 緩やかに泣いているからなにもかも嫌になった。 夜更かしは楽しいね。身体に悪くて心に悪くて、 星がひとつも見えないから楽しいね。 ぼくが星だったのなら、こんな悲しいことを言わなくて済んだのだろうか。 天使のキラキラした会話のなかで生成されていく、愛すべき、ぼくらの 滅ばない星。 ---------------------------- [自由詩]青い信号/水宮うみ[2018年12月14日6時25分] 星を見たり、草を触ったり、花を愛でたり、季節を感じたり、光を浴びたりできるのに、私の心はなんで満たされないんだろう。 今日も私は歩いていて、歩くこと以外なにも知らないから歩いていて、景色を眺めたり、雨に濡れたり、宇宙に絶望したりしながら、どこに向かえばいいのか分からないまま、なにかを恐れるように、 出口を探すように、 ひとり世界の底を呆然と歩いていて、  私の前にはたくさんの答えがあって、でもどの答えも物足りなくて、 欲しかったのは、 私だけの答え。それでいて尚且つ全員にとっての答えで、 そんなものはどこにもないからどこまでも迷路は続いていて、未来は続いていて、 悲しみも喜びも私のものではなくて、 だから行くあてもなく、行きたい場所もなく、 淡々と誰かの手のひらの上を歩くしかなかった。 っていう私の救助信号が、あなたにとって美しければ良い。 ---------------------------- [自由詩]春の星/水宮うみ[2018年12月14日6時46分] 指先から春になった、わたしは大好きな歌を口ずさみながら、 誰もいなくなった地球を歩いている。 夜なんてものが本当にあるとしたら、きっとこんな表情をしているんだろう。 つま先まで春になった、だけどわたしはひとりぼっちで、 生き物たちをずっと探している。人をずっと探している。 いつまでたっても、春になっても、世界は全然あたたかくならない。 誰も冬眠からさめない。 だからわたしは、夜空に指先で、 春の星を描いた。 誰かが、間違って目覚めるように。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]勇気/水宮うみ[2018年12月18日6時19分] 正しい方向が決まっていて、その方へ向かおうとすることだけを勇気だとは思わない。 ときに、みんなが正しいと思ってやっていることへ、疑問を投げかけることも勇気だろう。 答えのない問いだと分かっていながら、相談することだってときに勇気だ。 正しさを人と一緒に考えようとする姿勢を、僕は勇気だと思う。 また、思いきって行動してみること。それも勇気だろう。 一歩踏み出そうとする自らの勇気に、僕は何度も助けられてきた。 もちろん、思いきって何かをやってみた結果、後悔したことはある。傷ついたことはある。 でもその代わりに、素敵なものを見つけることができた。 一歩踏み出したことで、僕は世界を好きになれた。人を好きになれた。自分を好きになれた。 行動したことでたくさんのものを好きになれた。 世界の、人の、自分の好きなところを見つけ続けるためにも、僕には勇気が必要なのだ。 だから、僕は今日も、勇気を育てるよ。 ---------------------------- [自由詩]生き物さん/水宮うみ[2018年12月18日19時51分] 生き物さんは、生きている。 生き物さんは、毎日姿かたちが変わる。 生き物さんは、地球外生命体だ。 生き物さんは、ときどきひとりで泣く。 生き物さんは、泣いているとき少しだけ発光する。 生き物さんは、眠るまえに夜空を見上げる。 おやすみなさい、生き物さん。 生き物さんは、きっと明日も生きていく。 ---------------------------- [自由詩]みえない味方/水宮うみ[2018年12月24日15時38分] 周りが敵ばかりの状況に陥ることは、あるけれど、 そんなときでも、きみの味方はちゃんといるよ。 きみの心のなかに住む透明な生き物たちが、 きみの勇気ある行動をちゃんと見てくれてるよ。 彼らは姿や言葉を持たないから、きみの前に現れることはないけれど、 みえないところできみに拍手を送ってくれてる。 きみの言葉に耳を傾けてくれている。 だから、絶望しなくていい。 きみと一緒に、たくさんの生き物たちが育っていく。 ---------------------------- [自由詩]魔法/水宮うみ[2018年12月25日6時51分] 雨が降ったあとの街が、きらきらとひかりを反射するように、 たくさん泣いたあとの世界は綺麗に見える。 涙は魔法だ。涙と一緒に、悲しみも流れていく。 君の涙は、君のなかの大地を潤すよ。君のなかの樹々を育てるよ。 君の心を洗うよ。 だから安心していい。 君の涙が、君を助けようとしてくれる。 ---------------------------- [自由詩]卒業式/水宮うみ[2018年12月27日17時53分] ぜんぶ、紙吹雪になったらいいのに。 そう呟いた人から順に紙吹雪になっていく。 街は君の涙を無感動に見つめていた。 僕達の毎日は、いつまでたっても世界に届かなくて、 幸福な朝にだって白い孤独がちらついている。 だけどそんな日々も、もう終わり。 今日は世界の卒業式。 空も街も、本来の紙吹雪へと戻っていく。 世界中の人たちも、僕も君も、みんなおめでとう。 僕達はもう、誰にも出会う必要はないよ。 ---------------------------- [自由詩]12月31日/水宮うみ[2018年12月31日3時27分] 冬の街を歩くとき、私は少し優しい気持ちになる。 どんな感情も、持っちゃだめってことはないんだよ。 あの人がそう言ってくれたときの、きれいな白い息を思い出すから。 凍える季節のなかで初めて、私は私のあたたかさを実感する。 生活を、愛するということ。人を、大切に思うということ。 たとえ、それができないときでも、体はお日様みたいにあたたかい。 私はもう、私の気持ちを否定しないだろう。 白い息が宙を舞い、すぐに空気に溶けていく。 優しさはいつでも、少し先の未来で笑っていて、 どうやら世界が完結することはなさそうだ。 だからもう、歳をとることを恐れないよ。 今年、365回目のおやすみなさいを口にする。 もうすぐ、私たちの年が明ける。 ---------------------------- (ファイルの終わり)