水宮うみ 2016年11月26日1時18分から2017年1月1日17時21分まで ---------------------------- [自由詩]寂しさ/水宮うみ[2016年11月26日1時18分] 寂しさを荷物にして歩いていると、 明るい空が見えた。 そのとき、寂しさを忘れた。 くらやみが、ひかった。 明るさが海の底でキラキラと、笑う。 今までの寂しさを、 海のように、あたたかく感じられた。 寂しいから、ひとり微笑む。 僕のこころに青い海があった。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]泣いたり笑ったり/水宮うみ[2016年11月27日1時01分] ふと過去を振り返ると、立体的な君がいた。 君の今を想う。今も三次元のなかにいるんだろうか。 僕は相変わらず二次元に夢中です。 夜、夢の中で今を考える。 君は周りに愛されているだろうか。 誰かを好きになったりしているだろうか。 僕が赤ちゃんのころ、君も赤ちゃんだった。 今でも偶に赤ちゃんになって、僕も君も泣いたり笑ったりする。 それが生きるってことだ。 君と僕は、泣いたり笑ったりするこの星に産まれた。 ---------------------------- [自由詩]日本語/水宮うみ[2016年11月28日23時11分] 日本語を習って育ったので日本語以外知らない 日の当たる場所で本について語る こうやって言葉遊びができる日本語を、楽しく思う ---------------------------- [自由詩]poem/水宮うみ[2016年11月30日8時13分] I like poem. I love my poem. A lot of Poem is People's minds for me. I like living japan. but I’m writing in English. This words is EIGO. I like a lot of Japanese Poem as I’m writing This poem in this place. If Native Person is looking at this place, I wish to this poem for you It’s experimental poem. For me. maybe you. ■自己流の和訳 私は詩が好きだ。わたしは私の詩を好んでいる。 詩たちは、わたしにとって、人それぞれの心だ。 わたしは今暮らしている日本が好きだ。しかし私は英語で書いている。この言葉たちは英語で書かれている。 わたしは日本のたくさんの詩が好きなので、この場所でこの詩を書いている。 この場所を見ている英語を母国語にしている人にも、この詩が届けばいい。 これは実験的な詩だ。私にとって。ひょっとしたら、あなたにとっても。 ---------------------------- [短歌]今、言葉に夢みる/水宮うみ[2016年12月2日23時48分] 短歌書く パソコンカタカタ 短歌書く ありもしないこと 夢にみながら 睡眠中 ことばが蠢く ぐちゃぐちゃと 拾い集めたんだ 夢の中のこと 自分だけ 取り残された 夢の外 これから今へと 旅に出ようか 夢に見た 言葉に出会った その瞬間 今を忘れて 独りきり黙る ---------------------------- [短歌]猫の手も借りたい/水宮うみ[2016年12月3日11時19分] 金がない金がないから働く飼い猫きみたちも働いてくれよ ---------------------------- [短歌]ふたりで作った、発明からは程遠い、やさしいことば/水宮うみ[2016年12月3日23時09分] 言葉では語りつくせないこの世界そんなこと知らん暖房入れよう 優しさが夜中を照らすその光あったかいけれど物足りないのだ 友達と電話でメールで話しあう発明したいね発明したいよ いつもとは違う帰り道どこかから学校にはないことばが鳴ってる ---------------------------- [短歌]晴れた図書館/水宮うみ[2016年12月4日0時10分] 図書館で面白そうなタイトル探す。選んでいるとき一番楽しい 選んだ本ずっしりしていてわくわくする重みはきっと輝きの重さ 晴れた日に図書館にある駐車場じてんしゃ集まりみな我を探す ---------------------------- [短歌]たぶん短歌/水宮うみ[2016年12月5日15時19分] 写真家はこれを共有したいんだね。一文字もない鮮やかな空 揺れる草木、光も知らずに輝いている 音楽は未だ始まっていない。さらさらと鳴る木々、ピチピチと鳴く鳥 この風景は私にしか見えない。緑と青の川沿いを歩く 草はとうめい空もとうめい。私も一瞬とうめいになる 言葉を見失いそうになりながら風を浴びる。生きているってそういうことだろ ---------------------------- [短歌]ふたり・ふたつ/水宮うみ[2016年12月5日15時23分] ネット上思いの丈を送信しハローわたしは此処にいますか? とぼとぼと自転車と歩く帰り道汗まみれになって泥まみれになって ---------------------------- [自由詩]人と海/水宮うみ[2016年12月5日23時28分] 人が海を楽しげに見ている。それだけでその人の心に海があることを知った。 海は言葉を持たない。ので、その人の荷物の本が少し寂しそうにしていた。 本だって文句なしの素敵な海になりたいし、人のなかにも海のなかにも心があって、心はふわふわ揺れ動く 人が生きるのに荷物はいらない。本をひとつの海として、心だけ持って走れ ---------------------------- [短歌]朝と夜の間/水宮うみ[2016年12月9日9時43分] 真夜中にドーナツ食べれば何百年だって生きれるさ 人に会うのを待ちきれないくらい綺麗な夜明け 晴れた日にはひかりの向こう側で彼女が待ってる ---------------------------- [自由詩]小さなわたし/水宮うみ[2016年12月11日0時21分] わたしのなかに小さなわたしがいて、週五日小学校に行く。 わたしが何もしてないとき、小さなわたしは学校の休み時間に考えている。 わたしについて、小ささについて、小さなわたしについて。 夜一緒に眠るとき、小さなわたしはわたしの何もなさを楽しんで聞いてくれる。 ネットで見た、誰だって知ってるネタで笑ってくれる。 なんだかわたしは小さなわたしになりたくなったので、「小さなわたし」で検索してみたら、たくさんの小さなわたしが出てきた。 無数の「わたし」にとっての「小さなわたし」がいて、わたしはうんざりして悲しくなって調べるのをやめた。 眠る前、ほわほわとした小さなわたしに聞いてみた。 「どうすれば小さくなれるかなぁ。」 「わたしのこと、忘れ去ればなれるよ。減らして減らして飛び上がるんだ。」 小さなわたしは虹色に微笑んだ。 ---------------------------- [自由詩]夢/水宮うみ[2016年12月12日9時14分] 昨日の夜、どれくらいの眠れない人が羊を数えただろう。 羊たちはなにを数えて眠るんだろう。 久しぶりに夜に夢をみた。夢の中に寝転がった一匹の羊がいて、その羊はうとうとしながら夢を数えていた。 その羊は123456789匹目の羊で、今まで誰にも数えられたことがない。 数えきれない日々を数えて、僕らはこころに夢を宿して眠りにつく。 夢みる人は、無数にいる。星の数くらいいる。 僕の夢は、僕のこころに宿っていて、僕のこころの中を駆け巡る。 123456789匹目の羊を追いかける。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]何か/水宮うみ[2016年12月12日13時23分] シュレーディンガーの性別。文字だけでは作者の性別が見えない。見えるのは人が書いているってことと、作者が実在しているってこと。 性別だけじゃなく、年齢も見えないし、声も見えない。それでも、作者の何かが見える。その何かが、一番大切なものだと思うのだ。 その何かを名付けようとは思わない。大切なものに、名前はいらない。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ふたりは音楽を共有する/水宮うみ[2016年12月12日13時26分] 君がこの曲聴いたら喜ぶだろうな、と思いながら曲を聴く。君がいなかったときよりも聴いてて楽しい。音楽は共有される。私たちが日本語を言語として共有しているように、ふたりは音楽を共有する。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]作文/水宮うみ[2016年12月14日20時46分] 作文は嫌いだ。なので詩を書いている。 詩は良いものだ。なんたって自由だ。 どれくらい自由かっていうと、 こ う や っ て無意味に一部を横書きしたって良い。 詩は物語じゃないので好きだ。直接物語ってくるのが良い。 別に小説が嫌いな訳ではない。 物語作れないので、小説書ける人を尊敬している。 むしろ詩より小説のほうが読んだ文字数は多いだろう。 作品数でいうと詩のほうが多いだろうが。 そもそも自分は国語が嫌いだった。 どうしても読み取れない作者の気持ち! どうしても納得できない先生のばってん! 作文は嫌いだ。子どものころ無理に書かされたので嫌いだ。 けれど作文を読むのは好きだ。 作文が嫌いな子どもの書く作文が好きだ。 自分はもう作文書きたくないけどな! ---------------------------- [自由詩]いらない筈のもの/水宮うみ[2016年12月14日22時29分] 言葉はいらない。死はもっといらない。 哲学的に木々が風に揺れている。 僕は確かさを追いかける。それは楽しい哲学だ。 うちの猫はなにやら哲学しているような風格があり、きれいに世界を持ってる。 必ずしも、哲学するのに言葉はいらない。続けるのだ。僕は僕の生命を。うちの猫はうちの猫の生命を。 考え続けることが正義なら、僕は悪だね。 廻る時間のなかで、流れ星のように流れながら、 いらない筈のものを頼りに追いかける。今、確かに、僕らは生命だ。 ---------------------------- [自由詩]言葉がなくなった日/水宮うみ[2016年12月15日22時04分] ある朝、おはようがなくなった。 朝食を家族と食べたとき、沈黙が怖いのでテレビを流したら、 言葉のない音を流し続けていた。居間にも世間にも喧嘩のない朝だった。 言葉がないので、穏やかだ。誰もが考えることができない。 僕は言葉のない鼻歌を歌った。言葉のない詩を書いた。 言葉がないから人と意思疎通することは難しくなったけど、 なんだかみんな同じように幸せそうで、幸せって言葉を使わなくっても幸せだってお互いに伝わった。 歌手たちの、名前も歌詞も無くなって、みんな音だけで幸せ、不幸せを伝え合う。 一日ぐらいそんな日があったって良い。 言葉が一度全部なくなったら、新しい言葉をきっと拾える。 ---------------------------- [自由詩]生きていく/水宮うみ[2016年12月17日1時01分] 僕は生きていく 千年樹も生きていく 太平洋も生きていく 働きアリも生きていく ひきこもりも生きていく 何のためにかって? ?がいっぱいあって、!もいっぱいあるからだよ 星やハートが70億の脳内を飛び交って、人やものと出会う度にこころが生まれ変わるからだよ ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]詩/水宮うみ[2016年12月18日21時15分] 詩人は詩から産まれる。 詩のように花が咲き乱れ、詩のように月は輝き、詩の入り込む余地がないくらいに、人々は自由だ。 詩人は語る。海のこと。心のこと。美しさのこと。 けれど、本当のところ、詩人が語れることは、言葉を超えられない。 それでも、言葉は受け継がれていく。言葉では語り切れないことを、詩人たちは語ろうとし続ける。 言葉は言葉を超えられない、という理屈だけでは語り切れないくらい、詩は言葉を無邪気に乗り越えていく。 ---------------------------- [自由詩]二十年/水宮うみ[2016年12月19日13時57分] 彼が世界を美しいと思えるようになるのに二十年かかった。 冬の風呂の暖かさを知るのに、夏の風の心地よさを知るのに、 青空の透明さを知るのに、草原の輝きを知るのに、二十年かかった。 ---------------------------- [自由詩]自然数の家/水宮うみ[2016年12月21日1時12分] 無数の素数たちは、真っ直ぐ前を向き、自然数のもとへと走りだすのです。 セミがミンミン鳴くなかを、ひまわりのところへ、かたつむりのところへ、 帰るのです。自然数のもとへ。 自然数の「おかえり」という声に、素数が「ただいま」と、笑って応える。 ---------------------------- [自由詩]夜に眠りたい/水宮うみ[2016年12月25日0時32分] 木には、おもちゃがたくさん飾られている 眩しいくらい、飾りが輝いて、木は朝も夜もずっと眠れない 輝きってなんだか虚しいね。死んでるみたいだ 木が、何も飾られていない、夜に眠る木になりたがって、身体を震わせて光を落とす ---------------------------- [自由詩]美しいと思ったよ/水宮うみ[2016年12月25日1時58分] あなたの美しさを追い求め続ける姿を美しいと思ったよ。あなたの美しさが、僕のこころに明日を夢みる力を与えてくれる。 明日、あなたのなかで、僕のなかで、どんな美しさが生まれるんだろう? それはきっと、かみさまだって見たことのない美しさだ。 ---------------------------- [自由詩]詩集のページをめくるときのように始まる/水宮うみ[2016年12月25日23時45分] 現実逃避に散歩した。人と一緒にいるのが辛いから。 腕時計もスマホも本も鍵もなにも持たずに外に出て、 川沿い、田んぼ、池、公園、草むら、海辺、かつての僕が居る、いろんな場所を歩いた。 自然は現実から最も離れた場所にある。自然のなかに言葉はないし、自然をぼぉーっと眺めているだけのときに言葉を使う必要がない。 自然のなかでは、他者の心の機微を気にする必要もない。僕は誰である必要もなくなる。 僕は一度終わって、自然に手を触れることで、もう一度始まる。 読みかけのまま、放置していた本のページをふと読み直すときのように始まる。 自然は詩集だ。何も書かれていない、何度も何度も読み込まれた、古びた詩集だ。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]インターネットの交差点で待ってる/水宮うみ[2016年12月26日23時40分] ある雪の日、名前のないわたしが名前のないあなたを待っている。 「吾輩は神である。名前はまだない」なんていうしょーもないことを言ったら笑ってくれるかなとか思いながら待っている。 待つっていう、なんだか特別な休み時間。そんなときにぐるぐる頭を回して、ふふっと笑ってくれるような言い回しを考える。思いついたらメモ帳にメモる。 あなたはマジシャンでお笑い芸人でサムライで料理人で、どこにでもいるかけがえのないひとつの大切ないのちで、男の子でも女の子でもない。 なんたってわたしの話を一回はちゃんと聴いてくれるところに惚れた。 思春期になにもかも喪って、それでも残った名前というもの。なにもかもを喪った次の日に、「わたしのなかに残るな!」って言って名前をゴミ箱に捨てた。 あなたはわたしのなかに居る訳じゃないから、わたしが無くなってもあなたは残る。 そのことが、わたしを安心させる。無くなるつもりはさらさら無いけど、わたしの外に好きなものがあるってことは、神様にだって秘密の生きた証だ。 生きてる右手と生きてる右手でハイタッチ。その音が、白い世界に確かに響く。 ---------------------------- [短歌]短歌です/水宮うみ[2016年12月28日23時11分] 現れた虫を新聞で退治する言葉は一瞬暴力になる ---------------------------- [自由詩]きらきらひかる/水宮うみ[2016年12月31日8時54分] 海のなかでしか光らないものが、夜空で輝いている。 「月が綺麗ですね」と、雲ひとつない夜に言ってみる。 家に帰って、海のようなベットにダイブ。暗闇のなかでしか光れないものがあって、眠りのなかでだけ、きらきらひかる。 ---------------------------- [短歌]タイムマシン/水宮うみ[2017年1月1日17時21分] タイムマシンについて瞳を輝かせ話せるような大人でありたい 元旦にストップウォッチを押しましたそれぞれの時にあだ名をつけて たくさんの涙が流れた夜が明け四百七年目の朝が来る ---------------------------- (ファイルの終わり)