水宮うみ 2016年10月3日13時38分から2016年10月21日20時37分まで ---------------------------- [自由詩]大きな絵本をつくりたい/水宮うみ[2016年10月3日13時38分] 森より大きな緑を描いて、空より大きな青をつくるんだ。 嘘のない、まっしろな物語を、真っ黒な文字で書くんだ。 ---------------------------- [自由詩]そら/水宮うみ[2016年10月4日19時32分] ネット見てると気持ちが壮大になるけど、人の集まりに入ると壮大さが抜けて、そらになる。 ---------------------------- [自由詩]アップデート/水宮うみ[2016年10月4日19時41分] 生存のその先まで生きていきたい。孤立して、新しく生きるを作りながら。 周りの人は周りの人の言葉を更新し、わたしもわたしの言葉を更新する。 あなたたちも生きるんでしょう? 周りに流されずに、周りを守り守られながら、一つの生命として、当然のように生きる。 ---------------------------- [自由詩]欲しい言葉は水の中/水宮うみ[2016年10月4日20時47分] 言葉たちが水中できらきらひかる。 潜らないと読むことができない。 やっと読むことができても、 小学生のときの頭の中にあった言葉だったりする。 童心に帰れる言葉が、欲しい言葉。 ---------------------------- [自由詩]ふわっとした場所に帰る/水宮うみ[2016年10月6日9時16分] 言葉を持たずにふわっとなってふわっとした場所にふわっと帰る。 あるいて帰る。さんぽしたりひきこもったりして帰る。 帰り道、言葉にひらひらと手を振って、「さよなら」と言った。 ふわっとした場所には、あたたかいことばが待っている。 ---------------------------- [自由詩]あなたが眠るときの夢が痛くなければいい。/水宮うみ[2016年10月6日12時49分] 漠然とした、夢見がちな、優しい夢をみて、眠ってほしい。 あなたの言葉たちも、眠いときは眠ってほしい。 楽しい迷路の夢だ。目覚めたときがゴールだ。 ---------------------------- [自由詩]歌詞カード/水宮うみ[2016年10月6日16時21分] あなたの歌を聴いても言葉がさっぱり入ってこないから、あなたの歌詞カードが欲しい。 ---------------------------- [自由詩]いつも通りの町/水宮うみ[2016年10月7日9時38分] いつも通りの町を、いつもとは違う時間帯に散歩してみたら、夢みたいに、いつもとは違う現実みたいに見えて、何年かぶりに詩人になれたような気がした。 ---------------------------- [自由詩]なにがなんだか分からない/水宮うみ[2016年10月7日17時25分] サンタさんが生きる意味をプレゼントしてくれたので生きている 寒くなったり暑くなったり疲れますね 言葉は待ってはくれないので、とりあえず歩いている ---------------------------- [自由詩]サンタさん/水宮うみ[2016年10月8日9時40分] サンタさんに会いたい サンタさんと話したい クリスマスケーキを一緒に食べたい ---------------------------- [自由詩]彼/水宮うみ[2016年10月9日18時07分] 彼は主人公であることをやめて、彼になった。 ---------------------------- [自由詩]向き合う/水宮うみ[2016年10月10日9時30分] 「ことばなんていらないよ」 彼女は楽しい言葉を使う。 彼は言葉を探すが、楽しい言葉が見つからない。 彼のなかには、他者の悲しい言葉しかなかった。 「ことばなんていらないね」彼は、彼女の言葉を使ってみた。 くすっと彼女は笑った。なんだ、言葉いるじゃん。 そして、彼は言葉と向き合うことにした。 ---------------------------- [自由詩]音楽/水宮うみ[2016年10月10日10時10分] 「それってエレクトロニカ?」 彼女に聞かれた。 エレクトロニカです。 言葉のない音楽を一生懸命聴いているとき、彼はことばを聴いている。 彼女も聴いている。町のなかで。インターネットのなかで。 静かな音楽を聴いて、ぐっすり。 おやすみなさい。 ---------------------------- [自由詩]ロックスター/水宮うみ[2016年10月10日20時01分] 少年はバーーーン!!!!!!!!って掻き鳴らすロックスターに憧れて、エレキギター掻き鳴らして、バーーンってなって、歌詞頑張って考えて、音のバーーーン!!!!!!!!よりも歌詞を深く考えるようになって、歌詞は静かに、音はバーーーン!!!!!!!!となればいいじゃん、ってなって、少年自身がバーーーン!!!!!!!!ってなって、気がつけば少年は静かなバーーーンとしたロックスターになっていた。 ---------------------------- [自由詩]過激なバンド/水宮うみ[2016年10月11日18時16分] このバンドは曲だけはいい。 そう思って、ずっと聴いているうちに、 このバンドは歌詞もいい、と思うようになった。 このバンドの過激さが僕を生かしてくれた。 最近「勇気」とか「希望」とか歌っているが、 曲は過激じゃなくてもいい、もっとこのバンドの歌詞を聴かせてほしい。 ---------------------------- [自由詩]秋/水宮うみ[2016年10月11日18時23分] 水たまりが一瞬虹色になった。 遠くで電車が鳴いている。 植物が風を浴びてふふふとわらう。 雲がぐわんぐわん動く。 鮮やかな秋だ。 ---------------------------- [自由詩]道具がなくても人は生きていける。/水宮うみ[2016年10月12日12時36分] パソコンなくてもスマホなくてもCDプレイヤーなくても、改造したバイクなくても調理器具なくても、生きていける。 ことばが証明してくれる。 ---------------------------- [自由詩]風景を言葉でスケッチ/水宮うみ[2016年10月12日19時08分] 電信柱が夕焼けの前でシルエットになっていた。 川の表面がビニールみたいにキラキラ光る。 地球は平面なのかと思うようなそんな綺麗な風景だった。 写真で撮りたかった。 ---------------------------- [自由詩]静電気/水宮うみ[2016年10月13日15時01分] 電車がgo!!!!って行く。ゴーーーーォって音鳴らして行く。 ゴーーーーォって鳴る雷だって、電車なんだね。プラスとマイナスを運ぶ電車。 静電気でパチッってなった瞬間、僕は雷に触れた。電車に触れた。 ---------------------------- [自由詩]駅の待合室/水宮うみ[2016年10月13日18時04分] 電車のなかにいるときいつも音楽を聴いていたが、音楽聴かずに電車に乗れば、いろんな音が聴こえてきて、楽しかった。風景が動いて綺麗だった。 するべき事たくさんあるけど、なにもせずに乗るのが楽しい。 電車のアナウンスが命令されているみたいで嫌い。駅員さんが優しそうだった。 いろんな顔をしたひとがいる。いろんな声をしたひとがいる。 風景は元々綺麗だった。 誰も座っていない待合室が、寂しそうに見えた。 ---------------------------- [自由詩]生まれたところ/水宮うみ[2016年10月14日9時49分] 楽器を触ると、風景が見える。 誰が触ったって、見える。 ブルーハーツの青い空が見える。 ---------------------------- [自由詩]眠った/水宮うみ[2016年10月15日10時34分] みんな同じピアノを弾いている たくさんの手が、それぞれの好きな音色を奏で みんなピアノを弾いているうちに眠った。 ---------------------------- [短歌]私の幸せな生活/水宮うみ[2016年10月16日9時14分] 自転車がぐるぐるぐるって回りだしひとりではないそらのなかで泣く こわれそう交差点では赤と黄と青が生き生きしている深夜 本を読み疲れたからって本を閉じ今日は何日?音楽を聴く 文字を打つとなりで私は本をよむデジタルアナログ神さまは誰? 文字を打つあなたのとなりで本をよむあなたの文字列あなたのものだ ネットでしか知らないあなたを 知りたいよ 言の葉遊びが上手なあなた あなたにいつしか会いたい私 ---------------------------- [自由詩]もやもや/水宮うみ[2016年10月16日11時35分] 頭がビックバンみたいにバーーーンッ!!!ってなって素敵な朝だ 頭のもやもやがとれて、もやもやな髪型がストレートになって、可愛い女の子にでもなれた気分。カーテンがスカートみたいにたなびいて、風を呼ぶ 風ももやもやしてなくて、ストレートに流れて、もし、もやもやが空から降ってきても大丈夫だって、素敵な朝が言ってくれた ---------------------------- [短歌]音楽/水宮うみ[2016年10月16日21時14分] 音楽が僕をあたまをすり抜けて多分あなたの場所まで届く あなたの音楽を聴かせてよ話し言葉ではないあなたの音楽を 音楽をどうすれば産めるのか出産したひとに聞いたら小さな音楽を産んでくれた ---------------------------- [自由詩]無/水宮うみ[2016年10月17日12時11分] 夜気晴らしに散歩したら無になれた 無量大数になるよりも無になることは楽しいから、無になれたとき、何もないのは楽しいねって誰かと話したかった ---------------------------- [自由詩]仲間/水宮うみ[2016年10月17日12時37分] 無人の待合室で数人の無が座っている 無たちは穏やかに語り合いながら、何も待たずに座っている 僕が待合室に入ったら、歓迎して無の仲間に入れてくれた ---------------------------- [自由詩]言葉は残る/水宮うみ[2016年10月18日22時01分] 言葉のいらなくなった未来 それでも明日はくるくるって来る 音楽は残り、電気も残り、未だあなたは言葉を紡いでくれる ピアノから数が溢れ、ギターから平和が流れ、演奏者は歌う その言葉が心を揺らす ---------------------------- [自由詩]自分の言葉/水宮うみ[2016年10月20日11時18分] 「自分の言葉が残ってしまう」と嘆く少年少女の喜怒哀楽は言葉にできないくらい重く、 その重みは言葉が届かないところで明日を待っている。 その重みにとっての明日が、好きな小説家の新刊の発売日や好きなバンドのCDの発売日や好きなボカロpの新曲が投稿される日や現代詩フォーラムの詩人の次の作品が投稿される日や2020年かもしれないし、 少年少女は十分重みを持っていて、そこに更に重たさをつけ加える者が周りに居なければいいなって思う。身近に重みを共感してくれる友達や親がいればいいなと思う。 あなたが「明日を待っている」っていうことがみんな嬉しくて、明日だって喜んでいる。 ---------------------------- [自由詩]ヘッドフォン/水宮うみ[2016年10月21日20時37分] 朝目覚めると、ヘッドフォンのそとにいた 電車でヘッドフォンを外すと、電車のなかで音が鳴っていることを知った 電車のなかで、ぐっすりと眠る人も、さっぱりと起きている人もいる いろんな人がいろんな音、喜怒哀楽を鳴らし、こころを鳴らし、 そのなかでわたしがどんな音を鳴らしているのか、知らないけれど わたしも確かになにかを鳴らしているんだろう 夜寝るとき、ヘッドフォンのなかで眠る ---------------------------- (ファイルの終わり)