海鷹四季道 2013年12月31日8時57分から2014年1月13日1時48分まで ---------------------------- [自由詩]海の薄氷/海鷹四季道[2013年12月31日8時57分] 与えられた役割が重厚な鎧に見えてしまう。 それが羨ましいといつから思っただろうか。 先に進むに連れて、薄氷は深淵の暗さを際立たせてくる。 近くを見れば、多くのまやかしの灯台が暖かみを帯びて誘惑する。 出来もしない事を氷空に絵を描きつつ、一歩でも前へと先に行きたい。 まだ見えぬ岸辺に、いつかたどり着くと信じて。 ---------------------------- [自由詩]あとは自由が無いと言うだけ/海鷹四季道[2014年1月3日16時08分] 冬になると私の全てが痛む。 銀杏の葉が落ちゆく時期から、曲がった末端を責め立てる。 暖房で窓は曇り、外は遠慮のない風が吹く。 家の中にいても、親の冷たい視線と言葉が突き刺さる。 もがき苦しんでも、扉を開ける鍵を持っていない。 暖房と毛布と温かい飲み物。 閉じ込められた幸せで小さな空間。 今年もこの幸せな季節が早く過ぎればいい。 ---------------------------- [自由詩]甘き毒を口に/海鷹四季道[2014年1月11日1時52分] 苦いものは苦手だ。 子供の頃から苦いものを避けてきた。 だから、いつも甘い毒を口いっぱいに頬張って生きてきた。 頬張れば見栄えが良くなると信じていた。 遅延性の劇薬と知らずに致死量を超えていた。 しかし、今ならまだ間に合う。 苦い毒を飲む時だ。 ---------------------------- [自由詩]七色硝子の国/海鷹四季道[2014年1月13日1時48分] 暗闇の中、老人たちは進んでいく。 右手に白杖と、左手にステンドグラスのランタンを持ちながら列をつくっていた。 夜光虫を引き連れて歩いているような、美しい列の先は遥か彼方だ。 美しさに目がくらんで、気がつくと同じ道を歩いていた。 暗闇の中にも無数の道があることを知りながら、一人で暗闇に挑めない。 意味を知らない美しさの果てに何があるのか。 暗闇の中にだけ答えがある。 ---------------------------- (ファイルの終わり)