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愛と暴力の現代思想

矢部史郎・山の手緑/青土社

価格:¥1,890(税込)
 
レビュー:ワタナbシンゴ
久々に興奮した。このグロテスクなまでの消費社会。消費することで自由を得ていると思わされている、思い込んでいる現代人の矮小化され、悲喜劇的な現実を、あるときは爆笑を誘う記述で暴露し、あるときはそこからの回避を力強く後押しし、たくみに、そしてしなやかに闘う作法を提示している。

なによりも矢部四郎(ヤブシロウ)の視点がいい。新自由主義批判の多くは、大きなものに焦点を置きすぎ、現実の実践的な高度消費・高度管理社会への抵抗の作法を示さない。しかし、矢部が戦う相手はディズニーランドだったり、東京都の権力側からの銭湯廃止の動きだったり、落書きを禁止する行政や持てるものたち側の住民だったり、いつの間にか刷り込まれてきた禁煙運動だったり、要するに「お前ら、近代以降の人間に問われているのは、自分自身の頭と体でそのルール自体を考え、作り出す、その思考的営みのことじゃねえのかよ。監視、消費で、いつの間にか権力側の都合のいいように摩り替えられ、手先のように従って生きる、その思考の死が、ルールに不服従なものよりも醜いってことを自覚しやがれ!」と、現代人の人間性回復を叫んでいるのである。

目を覚ませ、持たざるものたちよ。彼は市井で闘っている。俺も闘う。おもろいぞ。読め。
 

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